エデン条約調印式会場。先程まで生徒達の(良くも悪くも)声で賑わっていた建物は、一瞬にして無惨な瓦礫の山へと姿を変えてしまった
「ゲホッ……一体何が……」
そう呟く先生に、先程先生を瓦礫から引き出したヒナタが答える
「分かりません……ただ、何者からの襲撃を受けた様です」
襲撃。その言葉を受け止め、先生はこれからの対応について脳のリソースを割きながらも、辺りの状況把握も同時に行う
「先生!ご無事でしたか!」
「せ、先生……!」
ふと、後ろから声をかけられた。振り向くと……
「ツルギ!ハスミ!」
「正義実現委員会のみなさん……!」
ツルギとハスミが居た。二人とも自分の足で立ってはいるが、そう軽くない怪我を負っている
「みんな、すごい怪我……大丈夫?」
「これくらい大したことはありません。ですが先程の爆発で、正義実現委員のほとんどは戦闘不能になってしまいました。それに、ナギサさんやサクラコさん……それ以外にも多くの方が見当たらなくって……」
「それは……」
心配だ。そう彼女が言葉を続けようとした時
ぬるっ
と、肌に纏わりつく様な嫌な気配をその場に居る全員が感じた
『ッ!』
(なんだこの気配……間違いなく強い。だがそれ以上に……不気味すぎる)
(この気配……あの時の……しかしそれより遥かに異質……)
(感じたことの無い気配……それにこれは……殺気?)
(この気配……っ!まさか!)
先生とハスミだけが、この異質な気配の主の予想が付いたようだ。そして、それに答える様に、一人の人間が姿を表す
「あれ……一人じゃないんだ」
乙骨憂太だ。積み上がった瓦礫の上から、彼女達を見下ろしている
「誰だ……?」
「乙骨憂太……あなた達も聞いた事はあるでしょう」
「あれが、あの……」
「っ……なるほど。それなら納得だ。……だが」
ツルギ達が言葉を交わす中、先生はただ彼を見つめていた
「憂太……」
「お久しぶりです。先生。どうやら怪我等はないようで……残念です」
「え……?」
乙骨が言った言葉に、先生は驚きで固まってしまう。その瞬間……彼の体がブレた
「なっ……!先生!」
「うわっ!」
彼の体がブレたのを先生が認識した時、隣に居たツルギが先生の体を押し倒した。そして、先程まで彼女達が居た場所には……刀を構えている乙骨の姿が
『先生っ!』
「私は大丈夫!ありがとう、ツルギ」
「いえ。お前……なんのつもりだ」
(絶対斬ったと思ったんだけどな……なるほど、それなりにやるみたいだ)
「何って……殺すつもりですが」
『なっ!』
乙骨の口から出た言葉に、その場に居る全員が驚きを表にする。キヴォトスでも、キヴォトスでなくても、殺人は重罪だ。それをまるで当たり前の様に言ってのける目の前の男。そしてその言葉が、真実であることを先の彼の行動で全員が理解していた
故に、今の彼女等の思考は一つ。先生を逃がす
(ハスミ……)
(ええ。分かっています。……頼めますか?ヒナタさん)
(……分かりました)
少ない言葉で意思の疎通を完了させたツルギ達。後はタイミングのみだが……その時
「こっち!」
という、力強い声と共に、乙骨に向けて無数の銃弾が放たれた
「……」
驚いた様子も無く、その銃弾を後ろに跳躍する事で回避したが……隙はできた
(ゲヘナの風紀委員長……!好機!)「ヒナタさん!」
「分かりました!先生!失礼します!」
「えっ?……うわっ!」
その隙を逃さず、ヒナタは先生を抱え、出口に向かって走りだす。もちろん、その後を彼も追おうとするが……
「行かせないぞ」
「……だろうね」
ツルギとハスミが立ち塞がる。そして、その横にヒナも並んだ
「彼は?」
「敵です」
「了解」
短い会話。しかし、それだけで十分
「以前戦ったけど、パワーもスピードも桁違いよ。舐めてかかると一瞬でやられる」
「了解。私は支援を」
「私は前に出る。行くぞ!」
次回、死闘
使ってほしい術式とか組み合わせ。あとは呪具とかも募集してるので良ければ是非
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