現代の異能(偽)の青春の記録   作:チキ・ヨンハ

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執行人

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生……なぜ彼が先生の命を狙っているか、心当たりはありますか?」

 

調印式の会場から走って離れながらも、ヒナタは先生へとずっと疑問に思ってた事を投げかける。

 

「……分からない。ただ、彼と二回目に会った時に、私は彼に酷い事をしてしまった。もしかしたら……彼の事を分かってあげられなかったからかもしれないね……」

 

乙骨との二度目の邂逅。その時のことは、先生の心の奥にずっと残っていた。……もっとも、乙骨はその事で先生に何か思っている事は無いのだが

 

「先生……」

 

ヒナタが先生に言葉をかけようとした時、前に人影が見えた

 

「っ!あれは……」

 

目を凝らして見てみると、以前トリニティにて見たことのある格好をしていた

 

「アリウス分校の兵装!今回の襲撃はアリウスが……!」

 

今回の襲撃の主犯を理解した時、あちらもこちらに気がついた様で、周りに声をかけ始めた

 

「おいっ!こっちだ!シャーレの先生が居るぞ!」

 

「マジか……あの人が失敗したのか?」

 

アリウス兵達が言葉を交わす中、先生とヒナタは小声で会話をする

 

(先生、私が時間を稼ぎます。その内に……)

 

(……分かった。……ゴメン。足を引っ張って)

 

(ふふっ、お気になさらず。私達は先生より頑丈なので!……では、3、2、1……)

 

今だ……と、ヒナタが合図を出そうとして……

 

自分達の後ろから響いた何かが落下してくる轟音により中断された

 

『!?』

 

(この気配……まさか……もう!?早すぎる!)

 

(うっそでしょ……)

 

「何だ!?……って、あんたか」

 

「……結構遠かった。中々速いですね」

 

「……やはり、ですか」

 

広がる土煙の中から出てくるのは、予想通り……乙骨だった

 

「ん……アリウスの人達でしたか」

 

「ああ。……にしても、あんたが仕留められなかったのか」

 

「ちょっと邪魔が入ってね。……でも、それも問題無い」

 

アリウス兵にそう言った乙骨は、手元に一振りの刀を生み出す。刃は潰していない、真剣だ

 

「くっ……先生、やはり私が時間を稼ぎます。その隙に……」

 

「まずは君だ」

 

「なっ……ガハッ!」(目は離していない、意識もあちらに向けていた……それなの……に……)

 

音もなくヒナタに近づき、鳩尾に掌底をぶち込み気絶させ、次はお前だという様に先生へと近づいていく

 

「っ……」

 

 

 

 

 

 

 

「すみません。先生」

 

 

……

…………

………………

 

 

「はっ……はっ……!」

 

「そんな……」

 

「う……そ」

 

数秒遅れて、乙骨と先生が居る場所に着いたヒナ達。だが、そこで見たのは……

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「がっ……」

 

先生の心臓に、刀を突き刺している乙骨だった。そして、すぐに刀を引き抜き、倒れそうになった体を抱える

 

「お前……お前ぇぇぇ!!!」

 

「ツルギ!」

 

その現場を見たツルギは、身を焦がす程の怒りのまま、乙骨に突っ込んでいく。……だが

 

「『動くな』」

 

「っ!」

 

またしても不可解な術で動きを止められてしまった

 

「ごめんね」

 

「がっ……」

 

そして、動きを止められている間に、ツルギの意識は闇に落とされた

 

「……さて」

 

『っ……』

 

ツルギの意識が落ちた事を確認した乙骨は、残りの二人の方に目を向けた。二人も例外無く、乙骨の術によって動きを止められている

 

「……すみません二人とも」

 

「ぐっ……」

 

「っ……」

 

ツルギと同じ様に、ヒナとハスミの意識も、乙骨によって落とされた

 

「……終わりました。僕はベアトリーチェさんに報告をしてきます」

 

「ああ。……それはどうするんだ?」

 

アリウス兵が目を向けたのは、乙骨が抱えている先生の遺体だ

 

「僕が処理しておきます。貴方達はまだやることがあるでしょうし」

 

「そうか……分かった」

 

「では」

 

そう言い残し、乙骨は一瞬で走り去って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ……頼むぞ」

 

 

 

 

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