現代の異能(偽)の青春の記録   作:チキ・ヨンハ

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vsベアトリーチェ→???

 

 

 

「私に一人で勝つ?私が消耗しているから勘違いしている様ですね。乙骨憂太、所詮貴様は井の中の蛙。未だ敗北を経験していないだけの子供。まずはその自尊心から……へし折ってやりましょう!」

 

ベアトリーチェがその姿を変容させる。今までの姿から、更に異様な怪物の姿に。まるで樹を思わせる様な姿。普通であればその変化は見たものに多少なり恐怖や不快感等を植え付けるだろう。……しかし

 

「……大口叩いてそれだけ?なんか枯れ木みたいだし……ま、死に体のお前にはピッタリか」

 

乙骨は何も感じない。彼がこの程度で恐怖を感じる道理はないのだ

 

「……ふん、すぐにその生意気な口をきけなくしてやる!」

 

最初に動いたのはベアトリーチェ。自身の身体を鞭の様にしならせ、乙骨へと振りかざす

 

「そんな攻撃!」

 

だが、彼女が攻撃を仕掛けた時点で乙骨はそこに居なかった。辺りを探すベアトリーチェだが……見つける前に上からの刀による突き刺しを受ける

 

「なっ!?っ、ガハッ!」

 

「当たるわけないだろ!」

 

やったのは勿論乙骨。彼は最初の舌戦の間に、ベアトリーチェの真上に自身の神秘を込めた石を投擲していた。先程行ったのはその石と自身の位置の入れ替えだ

 

「ぐっ……調子に乗るな!」

 

未だ自身の身体に刀を突き刺す彼に向けて、彼女は赤黒い光線を放つ。その攻撃に、乙骨は刀を手放し、彼女を土台として跳躍することでそれを避けた

 

「はぁっ……はぁっ……」

 

「あれ?もう疲れちゃった?あんだけ大口叩いてたのに」

 

「チィッ!」

 

先程の先生とスクワッドとの戦闘により、彼女は体力の大方を使用していた。今動いているのも、目の前の子供に対する憤りを動力源とした、云わば火事場の馬鹿力というやつだ。それだけが、今のベアトリーチェが動かす力だ

 

「舐めるなよ……クソガキがァ!」

 

「そう来なくっちゃなぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄まじいな……」

 

「うん……いや本当に」

 

少し離れた壁際で、先生とスクワッドの面々は二人の戦いを見ていた

 

「マダムがあれだけの力を残してるのも驚きだけど、それを難なく捌いてるあいつもヤバいね……」

 

「うへぇ……凄いですねぇ」

 

各々の感想を話す中、サオリが思い出した様に顔を上げる

 

「そうだ……姫、アツコを!」

 

その言葉に、全員がアツコを探す。幸い彼女が居る場所は二人からは離れており、彼女達はアツコを救うことに成功した。しかし……

 

「姫……しっかりしてくれ……」

 

「ひ、姫ちゃん……」

 

「……外傷が酷い。血を流しすぎてる」

 

彼女の怪我は軽いものではなかった。身体の至る所から、未だに血が流れ出ている

 

「姫……アツコ。頼む、目を開けてくれ……お願いだ……アツコ……目を……開けてくれ」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

少女の、心からの願い。その願いに応えるかの様に、目の前のお姫様はその瞼を開く

 

「……サオリ、ちゃん……?」

 

「っ!アツコ……!!」

 

「姫……」

 

「ひ、姫ちゃん!!気がつきましたか!?」

 

「うん……サオリ、ヒヨリ、ミサキ……みんな、おはよう」

 

「アツコ……!!!」

 

(ふぅ……こっちは大丈夫そうだ……後はーって思ったけど、憂太なら心配は要らないか)

 

囚われの姫は救出された。最後は元凶である者を打ち倒すのみ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はァっ!」

 

「残念、空振り」

 

「チィッ!……舐めるなよ……そう何度もっ!?」

 

幾度も繰り返される攻防。それにより、僅かに残っていた力さえも使い果たしたベアトリーチェは情けなく地面に倒れ伏してしまった。姿も元に戻っている

 

「あーあ。もう終わりか」

 

「なっ……くっ、クソォ……!」

 

「さっきとは違って、僕が見下ろす側だね。どう?地面の味は」

 

「ぐぅっ……!」

 

「……ま、こんなもんか」

 

一つため息を吐き、倒れ伏しているベアトリーチェに向けて、彼は刀を振りかざそうとし……

 

 

 

 

 

 

「少し待って頂きたい」

 

それは彼にかけられた声により止められる

 

「……誰ですか?」

 

「私は『ゲマトリア』のゴルゴンダ……挨拶は省略するとしましょう。あなたは私を知っているでしょうし」

 

『ゲマトリア』その単語に乙骨の警戒は最高レベルにまで達する

 

「……それで、何の用で?」

 

「ああ、私は戦いに来たのではありません。マダムを連れ戻しに来たのです」

 

「私を……!?」

 

その言葉に、乙骨や周りに居る先生達だけでなく、ベアトリーチェさえも驚きを顕にする。しかし……

 

「させるとでも?」

 

乙骨がそんなことを許す筈がない。刀の切っ先を殺気と共にゴルゴンダに向ける

 

「そう仰ると思いました。……ですので、知り合いに少々手を貸して頂くことにします」

 

「何を……っ!?」

 

ゴルゴンダの言葉の後、地面が大きく揺れた。まるで地震だと錯覚する程に

 

そして、その原因はすぐに現れた

 

フードの様な布を被り、本来顔のある場所に顔は無く、暗闇が広がっている巨人。レベル上げをサボっていたプレイヤーを地獄にたたき落としたモノ。人の手によって作られた天使……ヒエロニムスだ

 

「まさか……『教養』?……いや、だとしても、なんでここに」

 

「これは……っ!?まずい、ベアトリーチェは!」

 

乙骨が先程まで奴らが居た場所へと目を向けるが……そこには既に誰も居なかった

 

「っ……あぁクソ!やられた!」

 

彼は怒りのままに、持っていた刀を地面へと突き刺した

 

「憂太!」

 

「……先生。すみません、あれだけ言ったのに取り逃がすとは……」

 

「いや、これはしょうがないよ。……それより、今はこいつを」

 

「……そうですね。奴を仕留められなかったお詫びに、ここに居る人達は全員無傷で返します」

 

「え……?」

 

今までと少し違う雰囲気を漂わせる乙骨。その雰囲気に、先生は少し違和感を覚えた

 

「……来い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リカ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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