いやぁ、なんとか勝てましたね。久しぶりの全開ってことで、結構疲れました。敵も中々の強敵でしたし
「憂太!」
疲労を感じていると、後ろに居る先生から声をかけられた。振り向けば、スクワッドの面々もこちらに来ている
「ん、先生。えーと、ですね。一先ず、謝罪を。ベアトリーチェを逃す結果になってしまって申し訳ないです。アリウススクワッドのみなさんも。あれだけ大口叩いてあれとは。いやはや、お恥ずかしい」
「私は大丈夫だけど……」
そう言って、後ろをチラリと見る先生。今回、一番思うところがあるのは彼女たちだろう。あいつ、ベアトリーチェにいいように使われていた彼女たちのことだ。恨みの一つや二つあるだろう。あいつを殺す決定機を逃した僕に、何か思うところはある筈だが……
「……いや、私たちは構わない。正直、あなたや先生が居なかったら、私たちはあのままだった筈だ。私たちを救ってくれたあなたに感謝はあれど、それ以外を思うのはお門違いというものだろう」
そう、錠前さんが代表して言ってくれる。他の人の顔を見ると、彼女が言ったことはスクワッドの総意であることが分かる
「……そうですか。それなら、良かった、のかな?」
正直、大口叩いてあのザマかよ。とかなんとか言われると思ったんだけどな……
「……って、そうだよ! 憂太、怪我とかしてない!?」
思い出したかのように大きな声を出す先生
「ああ、大丈夫ですよ。僕は頑丈ですからね。というか、怪我をしても僕は自分で治せますし。……ああそうだ。秤さん」
「アツコでいいよ。私も憂太君って呼ぶから」
「え、ああ、そうですか? なら、アツコさん、と。で、アツコさん。怪我は大丈夫ですか?」
「うん? ああ、これなら大丈夫。心配しないで」
「……と言っても、女性の肌ですし、傷が見えるのはあまり良くないでしょう。少し、失礼しますね」
そう言って、彼女に近付く。そのまま彼女の負った傷の場所に手をかざし、自分の中のエネルギーを、彼女の傷を治すモノへと変化させる。すれば、傷はたちまち治ってしまった。まあこのくらいの傷ならね
「……すごい。痕も残ってない」
「ふう。良かったです」
「はえー……見るのは初めてだけど、凄いね」
他の人はみんな驚いている。まあ、普通はできないだろうしね……
「……さて、これからの話に移りましょう」
そう言い、顔を真剣なものへと変える。それを感じ、みんなも顔を引き締めた
「今、アリウスのみなさんはエデン条約の調印式という重大イベントを襲撃したテロリスト、という立場です」
僕の言葉に、スクワッドの面々は目を伏せながら頷く
「まあ幸い、あまり顔が割れている、ということはなさそうですが。それでも、厳しい立場なのには変わりません。……ま、それは僕もなんですけどね!」
ははは。と笑う。今、キヴォトス中からの僕の評価はそれはもう酷いものだろう。前から悪名だけは広がっていたのに、今回の襲撃に加担しているとなれば、いつ捕まってもおかしくないだろう。いやー、笑えてくるね
「……いや、全然笑えないんだけど……」
「え? そうですか?」
正直、悪名なんて今更だし、もし僕を捕まえに来たとしても、僕のこと捕まえられる人なんて……あの人くらいか。まあでもあの人今居ないし、実質誰もいない
「一人には慣れてますし、大丈夫ですよ」
「うーん……。うーん……!」
なぜかとてつもなく唸っている……。一体どうしたんだろうか
「よし! 憂太、それからスクワッドのみんな!」
『?』
「シャーレにこよっか!」
…………
『はぁ?』
あの後、僕とスクワッドの面々は、結局シャーレに所属することになった。言ってしまえば、犯罪者や問題児だらけである。そのため、先生に何回も確認したが、彼女が言うには
『うち、権力持ってるし、七囚人の子とかも来るし、多分大丈夫でしょ!』
との事らしい。いや、ダメだったことがもっとダメになるだけでは? とも思ったが
それから、エデン条約襲撃についてだ。あの襲撃の犯人はアリウスである、という旨の放送がされたが、そこに先生が介入。彼女たちも被害者であり、黒幕は別に居る、と。信頼される大人であるあの人の影響力は凄まじく、彼女たちに対する風当たりは、随分と優しくなった。それでも、納得できない者達も居るようだが、まあそれは仕方ないことだろう
僕? 僕はそりゃ、自分の意思で襲撃に加担した犯罪者って認識よ。合ってるんだけどね。先生も、こればっかりは本当のことだし、どうにかしようにもできなかったらしい。最初からどうにかしようと思ってた訳でもないし、まあいいんだけど
一応、今はシャーレで軟禁中という扱いらしい。まあ、僕が居ることで先生に不利益が出るなら、すぐ居なくなるんだけどね
そんなこんなで、シャーレは今賑やかになっている。スクワッドの面々や、たまによく来る総決算の人。あとは、手伝い当番とかも。結構な人数が訪れるから、結構賑やかで愉快な日常を、僕は眺めている。そう、眺めているだけだ。一応犯罪者だからね。あまり堂々としてると、当番とかの子が怖がるかもだから、いつもは隠れたりしてる
そんな感じの、楽しい日常さ。……ま、いつまで続くかは分からないけど、ね
しれ〜っと