カゲチヨ日記   作:yakyo

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α月β日

 

金髪の若い男がやって来て俺達とボードゲームをプレイして欲しいとの事だ。

机の上にボードとコマが置かれていたが、そのコマから泣き叫ぶ声がした。

 

どうやら、このコマは本物の人間らしく、一度コマになってしまうとゲームが終わらない限り戻れないそうだ。

 

また面倒且つ胸糞な依頼人が来たもんだ。

 

金髪野郎の目的は、クリア報酬の宝だそうだ。

このボードゲームで先にゴールしたコマは宝を現実世界に持ち帰れる。

 

つまり、対戦相手がいないとゲームがならない。

だから、お人好しの俺等に依頼して来た。

 

必要な人数はプレイヤー1人とコマ2人。

俺ははコマになった子供達を助けるためにゲームをやる事になった・・・のだが。なんか違和感がある。

 

プレイヤー決めは、相手が決める事になり、シディがプレイヤーになる事になった。

俺等はシディを信じてコマになった。

 

ルールは簡単。ルーレット盤に弾を転がせ止まった所の数字に進め、ゴールを目指すと言う物だ。

 

止まったマスに書かれてる文章の通りに実際に行われる。

「穴を掘って1000ゴールド見つける」「老婆を助けて5000ゴールドを貰える」など書かれていた。

 

しかし、この金髪野郎。さっきから高い数字出過ぎじゃないか?

逆にシディはあまりにも低い数字が出過ぎる。

 

俺はシディに、「耳を傾けろ」っと一言言った。

 

 

モンスターとの戦い。

高い目で攻撃が成功。低い目だと失敗する。

攻撃を喰らったコマは怪我をして弱ってしまった。

 

どうやら、人形のHPも現実世界とリンクしており、0になってしまったら、それはつまり「死」である。

負けた場合でもコマは死ぬ。

 

途中で中断すればコマは永遠にゲームの中。

 

シディ、お前がどうしたいかはお前が決めろ。

どんな結果でも、俺はお前を咎めるつもりは無い。

 

俺のこの言葉に、シディはクリアを目指す事に決めた。

 

さて、シディは金髪野郎のイカサマに気が付くか・・・。

 

順調にコマを進める。

相手のコマとの距離は大差ない。

どうやらイカサマに気付いてくれたようだ。

 

金髪野郎は、ルーレットの玉を狙って入れてやがったんだ。

木で出来たルーレットはその日の湿気によって外枠が微妙に歪む。

それを知っていて金髪野郎は自分でルーレットを用意した。

 

歪みを把握し、狙った場所、つまり高い数字に玉を入れる事が出来る。

 

シディは音で、相手の投げ込むタイミングを計った。

耳の良いシディが毎回金髪野郎が同じタイミングで玉を入れるから覚えたそうだ。

 

気付いてくれてよかったよ。

 

だが、子供達を助ける方法は無いに等しい。

 

助ける方法が思いつかない以上、俺達はシディを信じることしか出来ない。

シディは俺等を助ける事を優先するそうだ。

 

全ての責任は自分がすると言い出した。

バカヤロー。俺達は仲間なんだ。

俺等にもその責任背負わせろ。

 

お互いコマを進みゴールが見えてきた。

結局、子供達を救う考えも思い浮かばず最終局面まで来てしまった。

 

次に9を出せば、どちらかがゴールになる。

焦ったのか、金髪野郎は1を出してしまった。

 

子供達は金髪を批難。金髪は子供達に謝罪した。

子供達はシディに降参するように命乞いするが、シディは困った表情しながらも断る。

 

シディの反応に二人そろって金髪野郎に罵詈雑言を放ち、仲間割れをする。

 

どうやらこいつらはグルだったようだ。

金髪野郎は借金持ちで、この子供達の提案でこのボードゲームで勝って借金返済しようとしたらしい。

 

シディは安心したらしく心置きなくコマを進め、俺等はゴールした。

ゴールした瞬間、コマの二人は消えていった。

 

俺等は宝を持ち、元の姿に戻った。

 

シディには悪い事してしまったな。

悪役を引き受けさせてしまった。

 

金髪野郎は借金取りに殺される事が決まり、絶望した。

 

「カゲチヨ、ヒサメ。悪いがもう少し、勝手をさせてもらう。」

 

お前の好きにしな。

 

俺はシディに宝箱を渡した。

その宝箱を金髪野郎に渡した後、胸倉を掴んだ。

 

「仲間を巻き込まれて、俺はすごく怒っている。本当は今すぐお前を殺したいくらいだ。宝箱を渡すから二度と俺達の前に姿を見せるな。」

 

殺気を放ち、金髪野郎に脅しをかける。

そんなシディの殺気に怯え、律儀に宝箱を持って逃げて行った。

 

今回は頑張って活躍したシディのために、何か美味い物食いに行くぞ。

俺が奢る。

 

おい、ヒサメ。お前は少し遠慮せい。

 

 

α月β日

 

「今日、父の所に行くが一緒に来るか?」

 

そうゲンレイから誘いを受けた。

 

話を聞くにゲンレイの父「サイゴウ」は、ゲンレイの親であり師匠でもある存在だとの事だ。

武術も気功も全て父から教わったもので、今はゲンレイに道場を継がせ、自分は施設の責任者として身寄りのない子供達の世話をしているらしい。

 

・・・待てよ?ゲンレイが80代って事はその父親、幾つだよ。

100歳は超えてるんじゃないか?

 

俺とゼクス、カンナにユキノにほたみと一緒に施設に向かい、ゲンレイの父サイゴウと出会った。

 

見た目からして年老いた爺さんだが、漂う強者感が出ており、若干冷や汗をかいてしまった。

 

施設に入ると、子供たちが元気に遊んでいた。

どうやらここの子供たちは全員訳アリらしく、親に捨てられた子や、親を亡くした子。実験により作られた子などが居るそうだ。

 

そんな子供たちのために居場所を与えるためにこの施設を作ったそうだ。

 

しかし、子供たちを育てるのに相当の金が必要だろう。

いったいどこから金が出てるんだ?

 

俺がそう言うと、FXで大儲けしているらしい。

 

見た目に反して現代的な稼ぎ方。

それに、人助けや宝くじ、大会の賞金とかでお金が有り余ってるため、子供たちのために使ってるそうだ。

 

奥の部屋に入り、各々椅子に座り、茶を啜った。

ゲンレイの赤ちゃん時代とか、失敗談と聞かされ、昔のことをバラされた本人は顔を真っ赤にして父親を殴ろうとするが簡単に避けられる。

 

さ、流石ゲンレイの師匠。

娘の攻撃を軽く避けてらっしゃる。

 

ゲンレイは一度冷静になり父親に俺らを紹介した。

どうやら、俺達をここに連れて来たのは、新しい弟子たちと同居人が出来たと父親に紹介したかったみたいだ。

 

なんかまるで親に彼氏を紹介するみたいだな。

 

サイゴウさんはそれぞれに挨拶し、俺の前に来たと思ったら、ジーっと見られた。

何か顔についてる?

来る途中どら焼き食った時のあんこが付いてた?

うわっ恥ずかし。

 

「お主、相当鍛えておるな。その年で気功を使いこなせるとは大したものだ。」

 

驚いた。一目でわかるとは。流石達人。

伊達に年をくってたわけじゃないか。

 

「わしの修行を教わればもっと強くなるぞ。」

 

マジで!?それは是非!!

 

「こいつは私の弟子だ!勝手なことするんじゃない!お前も乗るな!!」

 

ゲンレイに思いっきり殴られてしまった。

いってぇ~。

 

そんな会話がありつつ、俺らは子供たちの遊び相手になったり飯をごちそうになったりと時間を過ごしていた。

 

ここの施設に来て一番驚いたのが、若い女性が施設で働いており、しかもその女性はサイゴウさんの二人目の嫁らしい。

なんと80歳以上の年齢差だって。

 

流石のゲンレイもこれに驚き「再婚したのなら連絡くらいよこせ!」っと叱った。

 

帰る際、サイゴウさんに呼び止められた。

 

「ゲンレイをよろしく頼むな。」

 

?まぁ別にいいですけど。

むしろよろしくされるのは俺では?

 

なぜかゲンレイの顔がほんのりと赤かったように見えたが夕日が出てたからだろう。

 

おいカンナ。疲れたからって俺の背中に乗っかるな。

 

 

 

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