カゲチヨ日記   作:yakyo

108 / 158
74ページ

α月β日

 

秋と言えば食欲の秋、読書の秋、そしてスポーツの秋。

 

っと言う事で、今年の学校イベント、秋のスポーツ大会が近々あるみたいだ。

 

フットサル、卓球、バレー、ソフトボール、リレーのどれか一つに参加しなきゃいけない。

 

運動会終わったと思えばこれかよ。

 

アサヲ達は正直どれも出たくないと言う。

俺も出たくはないな。面倒だし。

 

俺等は安パイで卓球を選択。

わざと負けて昼寝しよ。

 

俺等が話してると、クラスの女子の歓声が上がった。声の出先を見ると、どうやら坊主と赤髪のイケメンがリレーに出るらしい。

 

それだけで歓声上がっちゃうの?そいつらが裸になったら萌え死ぬの?

 

チダイが言うには、野球部エースとバスケ部主将らしく、スクールカーストトップで顔も良く足も速いとの事だ。

 

ふーん。そーなんだ。

 

アサヲ達は不公平だと言うが、俺的にはリレー枠を埋めてくれるなら別に何でもいい。

 

するとそのイケメン共は、万福と言う少しぽっちゃりとした男子生徒に悪い意味で絡んで来た。

 

御荷物だの足を引っ張るだの好き勝手。人間には得意不得意ある事を知らんのか?小学生みたいな絡み方して正直不快だな。

 

所詮、顔だけイケメンだって事か。

シディさんを見習え。

 

体育にて

徒競走でスポーツ大会のリレー選手を決めるそうだ。

 

面倒事はごめんだ。わざと遅く走ろ。

 

他の人達が走り終わり、次は俺の番となった。一緒に走る人はリレーに出ると言ったイケメン2組と万福という男子だ。

 

あのイケメン2組とつるんでた男女2人が、万福が履いてる陸上靴の事でいじる。

別に誰が靴履こうがお前らには関係無いだろ。

 

スタートと共に一斉に走り出すと、万福が一位を独占。イケメン2組がビリ争いしていた。俺は元々全力で走るつもりは無かったが、何故か身体が怠い、っというより重い。

 

まるで、運動神経が下がったかのように感じた。まぁこれ位なら、特にモーマンタイだ。俺は2位を維持してそのままゴール・・・・いや、2位になっちゃ駄目だろ。

 

イケメンの2組は、曲がりコースから外れコケてしまった。

 

なんだ?運動神経いいはずなんじゃなかったのか?

それを見たイケメン2組とつるんでる二人は幻滅して万福の方に行き称賛。手のひら返しが凄いな。

 

しかし、まるで運動神経が逆転してるみたいだ。

 

ちょっとばかし、万福が何をしたのか気になるな。

 

 

 

α月β日

 

 

数日後

 

万福はバスケで活躍。他の人も称賛の声をあげた。逆に、イケメン2組はまるで素人の様な動きをし、つるんでた奴らに引かれていた。

 

イケメン2組は万福を校舎裏に呼び出し、何かしたのだと絡んでいたが、万福は2人を嘲笑う。坊主の方が殴り掛かるが避けられコケてしまった。それを見て万福は更に嘲笑う。

 

2人は悔しいながら去って行った。

俺は、万福の前に現れ、俺は今回の出来事を指摘した。

なぜ、運動神経が逆転してしまったのか、それは万福に着いている腕輪が原因のようだ。

 

何故か俺の場合、運動神経が低下したが悪くなったわけではないのは謎だったがな。

 

万福は自信気に腕輪のおかげで馬鹿にされる事も無くなったと言う。

正直そんなもん使って目立って嬉しいもんかね~?

 

 

「偉そうにするな!!自分だって陰キャの癖に!!あいつらに馬鹿にされて悔しかっただろ!!」

 

 

陰キャなのは認めるが悔しくはねぇよ。

百歩譲って悔しかったとしても、今のお前さんもそいつらとなんら変わんねーよ。

 

俺の発言に万福は言葉を詰まらせる。

 

俺は万福を連れて陸上部が居るグラウンドに来た。

 

 

「速く走りたかったら、地道に練習しろって説教垂れるつもり?」

 

 

そんなんじゃねぇーよ。

俺が言いたいのは、運動神経低い奴がその腕輪の力で良くなって本当に嬉しいかどうかって事だ。

 

そこにはタイム落ちたはずの陸上部先輩であろう人達が前向きに練習をし、タイムが上がったはずの陸上部の後輩であろう人はどこか納得いかない表情をしていた。

 

そりゃあそうだ。沢山努力してる奴が急にタイム伸びたって嬉しくないはずだ。

努力した過程があるこそ、勝ったとき嬉しい気持ちになると俺は思うな。

 

 

「そんなの綺麗ごとだ!運動神経が良い奴が学校では正義なんだよ!!」

 

 

本当にそうか?

 

俺は能力で腕輪を破壊。

運動神経良くても嫌われる奴はいる。

本当の正義は、前向きに努力していく奴だと俺は思うね。

運動神経が正義ってのは小学生までだよ。

 

すると先ほどの後輩であろう陸上部の男子が万福の名を呼び近付いてきた。

どうやら中学の時同じ陸上部だったようだ。

 

その後輩君は万福が走るフォームが綺麗だと一目惚れし、自分も陸上をやりたいと思ったそうだ。また万福と一緒に走りたいそうだ。

 

いい後輩君じゃないか。

俺は万福の背中を軽く叩いてやった。

 

人間、必死に努力すりゃあ、エリートを越えることがあっかもよ?

 

・・・あれ?似たような事、小学生に言ったような気がする。

 

 

 

α月β日

 

 

スポーツ大会。

卓球の試合をわざと負け、急いで万福が参加してるリレーに向かった。

 

丁度、万福が走っており、順位は3位。

1位じゃないにしろ中々いい順位だ。それに前回より早くなってる。

俺が鍛えたおかげだな!!

 

だが、そんな万福をイケメン2組は嫌味を言って煽って来る。

こいつら、全然反省しないな。

 

イケメン2組はつるんでた男女に同意を求めるが、意外につるんでた男女は逆に2組を蔑んだ。

 

やれやれ。手のひら返しもここまでくると清々しいな。

 

走り終えた万福は、俺の方を見て笑顔でサムズアップしてきたため、俺も軽くサムズアップで返した。

 

こういう青春もたまにはいいものだな。

 

 

 

α月β日

 

 

エロ漫画家を目指していた青髪の女子大生がカレコレ屋にやってきた。

何だ?シディに会いに来たのか?っと思ったら違くて、俺をご志望のようだ。

 

あれ?デジャブ?

 

どうやら、最近漫画の売り上げが向上して、アシスタントを複数雇えるようになったらしいが、急遽アシスタントの一人が事故で入院してしまい作業が遅れてるため代打の助っ人としてお願いしに来たようだ。

 

まぁそれくらいならいいか。

アシスタント料はきっちり貰うからな。

 

交渉成立して、俺は彼女の仕事場に向かった。

 

俺の他に黒髪ロングの女性と茶髪メガネの男性のアシスタントさんが居て、いい人そうだったが、約一名だけ若干意識が高そうな金髪男性が居た。

どうやら、問題はアシが一人抜けた事だけじゃなく、この意識高い系の男性が碌に出来ない事に悩んでいるそうだ。

 

俺に先輩風を蒸かして挨拶するが、完全に下に見てるな。

 

作業に進めるにつれて、そいつが頼まれた背景作業は、後輩だからと俺に丸投げ。消しゴム掛けや買い出しといった楽な作業だけしかやらない。

 

何のためにアシスタントやってるんだか・・・。

 

俺が背景やベタ、モブの作業を任されている最中ずっと無駄口を俺に言い聞かす。

やれエロ漫画は一般の人が読まないだの、アシスタントやってるのはコネを作りたかっただの、全人類が面白いと思える作品を考えてるだの聞いても居ないことをぺらぺらと話し出す。

 

何もしなくてもいいから黙っててくれ。頼むから。

 

 

「それに俺って、売れる漫画を見抜くの得意なんだよ。本屋で表紙買いした作品が人気になってアニメ化になっていたんだよ。それも一回二回だけじゃなく数十回も、これって才能だと思うんだよ。」

 

 

あーすごいすごい。

 

意識高い男性の話を聞き流しながらも黙々と作業を進める。

ちなみに、平積みになった漫画は、すでに売れてるものばかりである。だからアニメ化にならない作品を探す方が難しいまである。

 

 

遅れを取り戻し少し余裕が出来たことで、今晩はみんなで居酒屋で飲むことになった。

俺は一応、一応学生なのでウーロン茶を片手に持っている。

 

飲み会は盛り上がり、楽しく会話をしているみんなを俺は黙って聞いていた。

話を聞くに、どうやら黒髪ロングと茶髪メガネのアシスタントの二人は月例賞で努力賞を取ったそうだ。

 

おぉ~。それはすごいな。

そのまま連載へと頑張ってほしいな。

 

 

「プッ。努力賞って・・・。月例の努力賞取っても虚しくない?」

 

 

っと嘲笑う。ついでにこいつは受賞どころか賞にすら出してない。本人曰く「新作アニメとゲームで忙しい」んだと。漫画家が見るアニメやゲームは仕事で、娯楽の消費はプロアスリートの体作りと同じで、良い創作のために栄養を取っているっとそれっぽい事言い出す始末。

 

野郎は苦しんで漫画描くより楽しんで漫画描きたいようだ。野郎的に苦しい・しんどいと思ってる状態で書いた漫画は間違ってるっと言う。

 

そして何故かうさぎとかめの話をし出した。

 

 

「努力家が才能を持った者を負かす話だと誤解してる人が多いが・・・うさぎは目覚まし時計持つだけで二度と負けない。つまり本当の意味で努力は才能には一生及ばないって話だ。」

 

 

だから努力しない。努力したら負けっと断言した。

 

本人的に賞を出しには「即連載を撮れるような漫画」を描くそうだ。

才能で初投稿で初連載を果たすそうだ。

 

一言だけ言おう

馬鹿なの?

 

飲み会の帰り道

依頼人が俺に「彼をどうにかできないのだろうか?」相談して来た。

それはやめさせたいと言う意味でいいのだろうか?

 

依頼人が言うのに、他のアシスタントとかにも迷惑掛かるし、やめさせたいけどもし角が立ったらどうしよう。っと相談してきた。

 

空気は悪くなると思うが少し様子見をした方が良い。

もし、彼が賃金を上げるように言い出して断ったら文句言い出すのであれば切ってしまえばいい。

 

仕事碌にせずに賃金だけ上げさせようなんておかしいからね。

例え才能があっても合法的に切れるしね。

 

 

α月β日

 

 

数日後

 

野郎が持ち込みで担当編集が付いたと言い出した。その証拠に名刺を見せて来た。

 

野郎が出した原稿を見るが、あまりにも酷かった。顔のアップはちょっとうまい程度で、体のバランスも、構図もお世辞にも上手いと言えず、なんなら未完成だった。背景とかほぼほぼ下書き状態。これでストーリーが面白かったら良かったんだが、どっかで見た事ある様なありきたりなテンプレストーリーだった。

 

これ、担当はついたって言うよりただただ名刺貰っただけなのでは?

 

依頼人は、ちゃんと完成させて持ち込み直した方が良いと言うが、担当もついたからもうこの原稿やっても仕方がないと言い出した。

 

俺と依頼人は溜息を吐いた。

 

数時間後

 

俺は新しい原稿描かないのか?っと言うが、待機中だとの事らしい。あーだこーだと言うが結局自分から連絡する事は無かった。

 

 

 

α月β日

 

 

野郎が担当編集の事で音沙汰無いと愚痴る。

 

 

「これじゃ漫画の進めようがない。非常識だと思わない?もしかしてヤバイ編集に当たっちゃったのかなぁ?」

 

 

ヤバイのはお前の方だよ。

 

 

そして数週間後

 

とうとう野郎は依頼に賃金上げを要求して来た。

依頼人は俺の方を見たから俺は首を横に振り、断るように言った。

 

漫画アシは年功序列じゃなく能力重視で給料が変わる。

俺や他のアシ達が給料高いのはしっかり背景やらモブやらで作品に貢献してるからである。

 

 

「じゃあ俺も背景描くので給料上げてください。」

 

 

そこまで言うなら俺より上手く背景描いてみせたら俺の給料を半分あげるけど?っと言うと分かったと了承するが、家で描くから時間外労働だからその分背景一カットの給料欲しいと言い出す始末。

 

出る訳無いだろ。会社員じゃないんだから。タダ働きが嫌なら強要するつもりは無い。自分の持ち込み用原稿でも描けばいいんじゃないの?

 

アシ現場は仕事する場であって練習する場じゃないんだよ。

 

 

「さっきから何だよお前!後から入ってきた奴が生意気なんだよ!!」

 

 

この現場では俺は後から入った新人だが、背景作画はお前より上だが?っと睨み聞かせたら声を詰まらせる。

 

 

結局、どこの仕事も努力しなければいけない、特に漫画家の現場はそう言う世界だから。

 

俺の言葉に依頼人は作業に戻るように言うが、野郎は納得できず、辞めると言い出した。

 

 

「努力で何でも乗り越えられるって勘違いしたノロマなカメが好きなタイプの人間の下に働いても売れる漫画描けませんので。」

 

 

俺もカメは好きじゃないよ。

 

特に自分をうさぎと勘違いする怠け者のカメは特にね。

 

 

その後、入院していたアシスタントが帰って来て俺の依頼は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

カゲチヨの部屋にて

 

 

ヒサメ「漫画って初投稿で即連載出来るの?」

 

カゲチヨ「無くはないが確率は低い。」

 

ヒサメ「でも今の時代ってSNSとかで即連載って話は聞くよ?」

 

カゲチヨ「確かに最近はネットの普及で即連載はあるが、あいつの場合は、大手の出版社の持ち込みだから、それで初投稿即連載はほぼ不可能。それにSNSだって初投稿で出版社に目付けられるとは限らないだろ?」

 

ヒサメ「確かに。継続的に投稿していかないと目を付けられないもんね。」

 

カゲチヨ「ちなみに一般漫画に漫画家になるルートは、最初に投稿・持ち込み。その部分で没喰らったりする。それが通ったら次に賞レースに漫画を投稿。そこで賞を受賞したら担当を付く。担当付いたらしつこい位に連絡してネームの打合せしたりする。」

 

ヒサメ「それって担当さんに迷惑掛からない?」

 

カゲチヨ「逆に鬱陶しいと思わせるくらいに掛けた方が良い。漫画家志望は自分以外にも大勢抱えてる担当も少なくないから、顔を覚えてもらわないといけなくなる。変に気を遣うといつしか忘れられるぞ。」

 

ヒサメ「そーなんだ。」

 

カゲチヨ「そして、ネームの打合せをしたり没を喰らったり手直ししたりとして、読み切り掲載用の漫画を描く。読み切り掲載出来たら、最後に連載用の連載ネームを描いて連載審査が通ったら本誌に連載掲載って事だ。」

 

ヒサメ「へ~。地道なんだね。じゃあもし初投稿で連載した人ってよっぽど天才で面白い漫画描ける人?」

 

カゲチヨ「いや。それは運とタイミングだな。上の人が気に入ってその作品を連載って言ったら連載なんだろう。知らんけど。」

 

ヒサメ「その辞めた元アシスタントの人、何でそんな思考回路になったんだろ?」

 

カゲチヨ「さぁ~ね。」

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。