カゲチヨ日記   作:yakyo

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ストーリー第3章 PART7

 

シディside

 

 

 

ホルス「力がほしいんでしょ?大切なものを守るための力を。」

 

 

俺の姿で話しかけるこの人物・・・・・

 

 

シディ「お前・・・誰だ・・・?」

 

ホルス「誰?酷いのね。ずっと一緒にいたのに。」

 

 

ずっと一緒にいただと?

な、何を言ってるんだこいつは・・・?

 

 

ホルス「大切なのは力を求めるかどうか。貴方が求めれば力は溢れてくる。」

 

 

もう一人の俺が近づき、そいつの手が俺の頬を触れた。

 

 

ホルス「あぁ、なりたい顔だわ。うっとりしちゃう。」

 

 

そう言ってそいつは俺の頬を舐めてきた。

俺はとっさに、そいつからの距離を取った。

 

なんだ、この嫌悪感はっ。

 

 

ホルス「私を受け入れて?ね?」

 

 

俺は・・・。

 

すると、俺の足が何者かに引っ張られた感覚があった。

 

そこには2人の男女が俺の両足を引っ張っていた。

 

 

「駄目だ・・・駄目だ・・・。」

 

「逃げて・・・。貴方が貴方じゃなくなる前に。」

 

 

俺が俺じゃなくなる・・・・。

 

 

ホルス「亡霊共め。」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

シディとヒサメがゲイザーの幻覚を見せられている間、負っていた怪我を回復させたアヌビスは息を吐きながら退屈そうにしていた。

 

その横目に、一人残された黒い羊の女はアヌビスにびくびくしながら離れて立っていた。

 

 

「あ、あの。喋ってもいいでしょうか?」

 

アヌビス「勝手にしろよ。」

 

「彼は何なんですか?」

 

 

怖がりながらも、シディの方を見てアヌビスに質問しだす。

 

 

「『狼男とホルスのDNAを持ったファーストロットの混血児』っと資料には書いてありました。ですがおかしな点が多い。」

 

 

黒い羊の女は、疑問に思ったおかしな点を淡々と述べた。

 

シディの力はあまりに突き抜け、ファーストロットの改良版であるセカンドロットでもシディに勝てる個体はいない。

ホルスのDNAが強力なら、セカンドロットにも使うはず。

だがセカンドロッドにホルスのDNAを受け継いだ個体は存在しなかった。

 

そして、ファーストロットはシディ以外死んでいる。

 

 

「彼はいったい何なんですか・・・?」

 

アヌビス「確かにこいつは、ホルスと狼男のDNAを植え付けられた。けどなぁ、そもそもホルスは人間が扱える生物じゃねーんだよ。」

 

 

黒い羊の女の質問に、淡々と答えたアヌビス。

 

DNAを植え付けられたのはきっかけに過ぎない。

 

 

「シディはホルスに選ばれた。」

 

 

そうアヌビスが語る。

 

 

アヌビス「そもそもホルスはどんな生き物だと思う?」

 

「えっと・・・その、凄く強くて・・・太陽の代わりになってて・・・。」

 

アヌビス「ちげぇ。ホルスは寄生生物なんだよ。」

 

 

アヌビスの言葉に驚きの声をあげた黒い羊の女。

 

ホルスという生物は人型の生物に寄生する。その後に人々が知る鳥の姿になるのだ。

 

ホルスは寿命を来る前に、次の身体を選んで種を植える。

植えられた種は、だいたい20年ぐらいの月日で育ち、育ち切ったら古い身体を捨て、新しい身体に人格を映す。

 

 

アヌビス「シディがホルスの力を使えるのは、DNAを受け継いだからじゃねぇ。ホルスの次の身体として選ばれたんだ。」

 

「じゃ、じゃ・・・彼は。」

 

アヌビス「シディの人格か?・・・・消える。」

 

「っ!?」

 

アヌビス「ホルスの力を強く引き出せば引き出すほど、早くこいつの人格は薄まる。ギバーはホルスとしての覚醒を早めると言った。だから俺は協力してやってんだ。」

 

 

説明し終えたアヌビスはシディを見ながら溜息を吐いた。

 

 

「意味分かんねー契約すんなよな・・・。」

 

 

そう小声でつぶやいた。

 

 

「彼女の方にもゲイザーを取り付けたのはなぜですか?」

 

アヌビス「あぁ。この女も強くなって目覚めたら、いい玩具になるだろ?」

 

 

不敵な笑みを浮かべて、質問の返答をした。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

ヒサメside

 

 

 

ヒサメ「がはっ!!」

 

カゲチヨ「おら立て!!そんなんじゃ守れる物も守れねぇーぞ!!」

 

ヒサメ「そんな事言ったって・・・」

 

 

もう体力的にも精神的にも限界が来ていた・・・・。

 

カゲに数えきれないほど殺され、数えきれないほど痛めつけられた。

 

 

怖い・・・。

 

あのアヌビスって子よりも数倍怖い・・・。

 

やだ・・・これ以上、もう・・・・。

 

 

 

 

 

 

『お前はこれからこの先どうしたいか。よく考えておけ。このまま組織を追うためにカレコレ屋をやり続ける道に進むか。カレコレ屋をやめて、組織に関わらない道を進むか。』

 

 

昔、カゲが私に問いかけた言葉。

 

そうだ・・・私は選んだんだ・・・3人と共に戦う事を・・・。

 

 

『恐怖する事は悪い事じゃない。その恐怖を受け入れ、強い勇気で乗り越えろ。誰かを守るためにな。』

 

 

怖い。また殺されるのか、また傷つけられるのか・・・。

 

逃げ出したい・・・けど!誰かを、2人を守れるなら恐怖を抱いても立つんだ!!

 

 

『お前に必要な事は危機感と限界を超える事だ。相手の殺気を感じ、一手一手を思考を巡らせて考え行動する事。そして、誰にも負けないという強い意志だ。』

 

 

相手の殺気を感じて、一手一手を読んで行動する。

 

今の私に体力はない。能力も残りわずかでしかない・・・。

 

だからこそ、自分の限界を    

 

 

 

 

 

超えるんだ!!

 

 

 

 

そう思った瞬間。私の中の何かが反応したかのように、力が溢れ出した。

 

 

なに?この感覚・・・。

 

リディースを使った時と同じ・・・いや、それ以上の力だ。

 

でも、リディースとは違う。

 

 

カゲチヨ「やっと目覚めたか。」

 

 

いつの間にか、私の身体は元の大きさになっていた。

リディース時とは違い、見た目はそんなに変わっていなかった。

でも、力は溢れ出す。

 

これが、限界を超えた私の力なの?

 

 

カゲチヨ「お前が限界を超えるための軸はすでに出来ていた。後はきっかけだけが欲しかった。現実の俺じゃ、どーもお前を甘やかしてしまう傾向があるからな。」

 

 

そ、そうか・・・。確かに、カゲは私に無理矢理こんな無茶な事しないもんね。

 

修行をしなくなってからも、カゲは何も言わずにいてくれた事に、私は甘えていたんだ。

 

 

カンナ「ヒサメちゃんが体中に能力を発動したまま特訓するのは無駄じゃなかったって事だね。限界超えたらまた慣れるまで維持する特訓は続けなよ。」

 

ヒサメ「う、うん。」

 

カンナ「本当はD.C.器官で効率よく能力を解放するっていう方法もあったんだけど・・・・カゲチヨやししょーの修行してみると、今更必要ないよねぇ~。」

 

ヒサメ「D.C.器官?」

 

カンナ「その変は現実のカゲチヨにでも聞きなよ。」

 

 

何でカゲが?

 

 

カゲチヨ「それより、とっととかかって来い。お前がその能力を慣れるためにもな。」

 

ヒサメ「さっきまでの借り、倍にして返してあげるからね!」

 

 

ありがとう・・・カゲ、カンナちゃん。

 

皆を守れるように・・・もっと強くなるよ。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

バチッ!

 

 

ドゥゥゥン!!

 

 

「きゃっ!!」

 

 

幻覚から目覚めたヒサメは勢いよく立ち上がり、全身雷と冷気が走す。

力が壮大に覚醒したことでゲイザーが外れ、気絶してしまった。

 

 

ヒサメ「はぁぁ・・・・・。」

 

 

ヒサメはいまだに幻覚を見ているシディを見た。

そんな心配してるときに、アヌビスは立ち上がりヒサメに近付き馴れ馴れしく話かけた。

 

 

アヌビス「生きてるぜ。まだな。そのうちシディの人格は消えるけど。」

 

ヒサメ「・・・・シディを解放して。」

 

アヌビス「力ずくでやってみっ     

 

 

ドォォォォン!!

 

 

アヌビス「ぐはぁ!!」

 

 

何をされたんだ?攻撃が見えなかった。アヌビスは殴られた顔面を抑えながらそう思った。

 

 

アヌビス「早く・・・なってんじゃん。少しは面白く・・・っ。」

 

 

殴られても余裕の表情を見せたアヌビスの足元を氷漬けにし、腹を殴り、足で顎を蹴り上げた。

 

倒れたアヌビスを見下ろしす。

 

 

ヒサメ「なんでも思い通りになると思わないで。シディは絶対に消させない・・・!!」

 

 

フラフラと立ち上がり、アヌビスは不敵な笑みを見せる。

 

 

アヌビス「コロス。」

 

 

殺気を出したアヌビスを前にヒサメは変わらぬ表情で見た。

 

いくらアヌビスが自分に殺気を浴びせようとも、カゲチヨの方が数倍、数百倍怖かった。

 

そして、普段のヒサメなら絶対に言わない、らしくない言葉を発する。

 

 

ヒサメ「強い言葉使わない方がいいよ。弱く見えるから。

 

 

カゲチヨが言うであろう台詞を真似て発言したヒサメに、アヌビスはこめかみに血管が浮かび上がり、怒りをあらわにする。

 

 

アヌビス「少し強くなったからって調子に乗るなよクソ女が!!」

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

ヒサメside

 

 

まさか私が、こんな事言うなんて・・・。

クスッ。カゲの影響を受けすぎちゃったかな♪

 

今までは、カゲとの特訓でしか接近戦してなくて、普段は能力を放つ事しかしてなかった。

 

幻覚世界での戦いで、私の戦闘法はわかった。

 

カゲ・・・カゲが使った技、真似させてもらうね。

 

私は全身に電気を纏って・・・軽くジャンプして     

 

 

アヌビス「!!」

 

 

アヌビスの背後に立って、カゲがやってた鉄山靠という技を見様見真似でアヌビスに当てた。

 

 

アヌビス(ありえない!?何で幻覚見せただけでそんなに強くなるんだよ!?・・・・っ!?)

 

 

隙を与えない。私は凍気を拳に漂わせて、正拳突きを放った。

 

そうしたら、アヌビスの腕が凍った。

 

 

この技の名は     

 

 

ヒサメ「ダイヤモンドダスト。」

 

 

前回、カゲと身体が入れ替わった時に見たこの技。

 

密かに練習はしてたけど全然できなくて諦めてたけど、今の私なら出来るって自信があった。

 

 

アヌビス「調子に乗るな!!」

 

 

次の相手の一手を読むんだ!油断せずに警戒心を、危機感を持て!

 

躊躇うな!怯えるな!思考を止めるな!

 

覚悟を持て・・・・。

 

 

相手をぶっ倒すほどの覚悟を!!

 

 

ヒサメ「だぁあああああ!!」

 

アヌビス「がぁあああああ!!」

 

 

氷の能力で相手の動きを封じ、電撃で接近攻撃。

それが私の戦い方。

 

相手を嬲ってるみたいでこんな戦い方は好きじゃない・・・。

 

 

『戦い方の好き嫌いしていたら、自分や仲間の命を奪われるぞ。』

 

 

分かってるよ。

 

命のやり取りに、そんな事言ってられないもんね。

 

 

アヌビス「ちっ。戦闘だとシディ越えか。」

 

 

結構全力だったけど、まだ立ってるなんて。

見た目に反して結構タフだこの子!

 

今の私だと、まだアヌビスには勝てない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私だけ」ならね!

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

アヌビス「!?」

 

 

何者かに腕を掴まれたアヌビスは、掴んだ相手を目にすると、そこにはシディが立っていた。

 

 

アヌビス「ようやく終わったか。悪いけどあの女を・・・。」

 

 

言いかけた時、思いっきり遠くへと投げられ苦痛の声を上げた。

 

 

アヌビス「その力、お前は受け入れたって事だな。もうシディは消えたんだろ?」

 

 

シディは目を瞑って、幻覚世界の出来事を脳裏に浮かんだ。

 

 

 

ホルス『どうするの?』

 

シディ『今行かなければ、俺は大切なものを失う。だがお前の手を握れば、何か困る事が起こりみたいだな。』

 

ホルス『じゃあやめる?』

 

シディ『やめただろうな・・・・一人なら。俺は困った時には、いつだって2人が助けてくれる。だから大丈夫さ。』

 

 

 

シディはホルスの手を掴み、力を得る事を受け入れた。

 

そして、シディの人格は    

 

 

シディ「俺は消えてないぞ。」

 

 

    まだ消えてはいなかった。

 

 

アヌビス「あぁ?まだシディなのか?何でだ?」

 

シディ「俺にも分からん。悪いが、これ以上お前に俺の仲間を傷付けはしない。」

 

アヌビス「ちっ!2対1かよ。いいぜ!本気の本気でお前らぶっ殺してやるよ!!」

 

 

少年体からエジプト神話に出てくる黒い狼「アヌビス神」の身体になって力を解放した。

 

2人に襲い掛かるアヌビス。

 

 

シディ「悪いが。ヒサメには指一本も触れさせない!」

 

 

拳に炎を纏わせて応戦する。ヒサメはシディのサポートをするように戦闘に加わる。

 

 

アヌビス(ぐっ、ふざけるな!たかが幻覚見せただけでこんなに強くなるとか、反則だろ!)

 

 

「フゴァアアアアアアアア!!」

 

 

アヌビス「!?」

 

 

背後から、アヌビスによって失った片手を包帯で巻かれたゴブアツがアヌビスに拳を振り上げた。焦ったアヌビスは何とか飛んで回避する。

 

 

アヌビス「何でお前が生きている!?」

 

 

ゴブアツが生きていたのは、シディの兄弟にしてゴブアツの息子たちによって治療されたからである。

そんな一瞬の余所見をしていた隙を、ヒサメは逃さず氷で身体を凍らせ動きを封じる。

 

氷漬けにされたことで、しまったっという表情をした。

対応が遅れた事で、シディからの攻撃が来ることを予想し    

 

 

シディ「・・・お前とも友達になりたかった。」

 

 

一瞬、一瞬だけアヌビスの目にはシディじゃなく、銀髪の長い髪に金色の瞳をした女性が写った。

 

 

アヌビス「・・・俺は友達じゃ嫌だって言ってんだろ。」

 

 

悲しそうな顔で、小声で呟く。

 

そして、シディの特大の火炎をもろに食らい、崖下へと落ちていった。

 

 

シディ「・・・アヌビス、さよならだ。」

 

 

悲しそうな表情で、そう呟いた。

 

 

 

 

 

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