別世界に来てしまったチヨことカゲチヨは、別世界のカレコレ屋にて元の世界に戻るためにしばらく住む事になった。
さて、今日もカレコレ屋に依頼人がやって来た。
「カレコレ屋に動物園の飼育員の手伝いをお願いしたいの」
今日は飼育員の女性がカレコレ屋にて飼育員の手伝いの依頼をしに来た。
ヒサメ「動物園・・・!!動物好きだし私はやってみたいです!!」
カゲチヨ「アー、俺動物嫌い・・・メンドそう・・・。」
ヒサメ「イイじゃん!!こんな機会中々ないんだしさ!!
ねぇ!!シディ!!チヨ!!」
チヨ「まぁーうん。いいんじゃない?」
カゲチヨ「返事適当だな。」
ヒサメはシディとチヨに同意を求めた。チヨが適当に同意したことにツッコむカゲチヨ。だがシディは何処か乗り気ではなかった。
シディ「・・・俺は・・・動物園と言う物が嫌いだ・・・」
この予想外の発言にヒサメだけでなくカゲチヨや依頼人は驚いた。チヨは何となく予想はついていたか、納得したような顔をする。
「どうして?」
シディ「動物を捕獲して見世物にするなんて行為は
人間のエゴだ・・・。」
「動物たちの自由は少ないが安全に過ごせてるよ。
お互いに利益があるんじゃない?」
シディ「だが売り上げが上がらなきゃ殺処分して餌にする動物園もあると聞くぞ。
ウィルスによる大不況で実際に行われたと・・・」
「それは・・・」
シディ「殺処分して餌にする事は人間というのは随分偉い存在なんだな。」
チヨ「シディ。言い過ぎだ。」
シディ「だが・・・」
チヨ「実際に入って働かなきゃ分からないだろ?
一回、自分の目で見て感じてからでもいいんじゃないか?
それでお前の考えが変わらなければそれでいい。
人それぞれの考えがあるからな。
ただ頭ごなしに全てを否定するのは
良くないんじゃないかな~と俺は思うぞ。」
チヨの言葉にシディは渋々ながら了承した。
シディが了承したことで依頼人は頭を下げて感謝した。
カゲチヨ「っつても俺達動物飼育員の事よく知らねーよな。」
ヒサメ「確かに」
「動物飼育員は動物園やサファリパーク、水族館などで
動物の世話を行う仕事なの。担当する動物の生態を
よく把握し健康を保つことが最も重要な役割の一つだよ。」
カゲチヨ「うわっ、めっちゃ大変そう。」
依頼人の説明を聞いて嫌な顔で鼻をほじるカゲチヨ
それを呆れ顔で見るヒサメ。
「その他にも環境教育的な役割や動物のデータ取得など
調査研究の一端を担う事もあるんだ。」
シディ「動物はどこから連れて来てるんだ?」
シディは不機嫌そうに依頼人に質問する。チヨは内心ため息をしながら和菓子を食いながら依頼人の話を聞いた。
「以前は、野生動物を捕獲するのが一般的だったけど
近年は動物保護の観点からも飼育している動物を
施設内で増やす努力もしているよ。」
シディ「最近の動物園には異宙の住人も居ると聞く
それはどうやって?」
「それはまだ捕獲が主だね」
依頼人の発言にシディは怒りをあらわにした。
シディ「お前らが捕獲した異宙の住人にも
家族がいるんだぞ。家族を離れ離れにしてまで
見世物に・・・・むぐっ!!」
チヨ「落ち着きんしゃい。」
食べていた和菓子をシディの口に無理矢理ねじ込み話を強制的に中断させた。
チヨ「続きをどうぞ。」
「え、あ、あぁ・・・」
カゲチヨ(あんな怒りをあらわにしたシディを
押さえつけるとか、チヨヤベー。)
平然と話を続けようとするチヨに
依頼人だけでなく二人も動揺する。
シディは未だにモグモグと和菓子を口の中に含んでる。
チヨ「ってか、飼育員になるには資格とか必要なんですか?」
「いや、動物飼育員に必須の資格は無いよ。
先輩について補助的な業務を行いながら
経験を積むのが主かな。」
カゲチヨ「先輩の補助とか怠いなー。
「まだまだだね」とか言ってスカしてたら
いきなりレギュラーになれねーかな?」
ヒサメ「どこの超人テニス部中学生?
ってか飼育員のレギュラーって何?」
チヨ「お前には飼育員の柱は無理だ。
その辺のおんぼろ住宅地の柱にでもなってろ。」
カゲチヨ「ひでー!!」
次の日の朝
7:30出勤
カゲチヨ「ふぁ~あ~・・・ねみぃ~。」
ヒサメ「昨日夜更かししたからでしょ
少しはチヨを見習いなよ。」
カゲチヨ「俺は俺、あいつはあいつだから。」
ヒサメ「いや同じ存在でしょうが。」
朝から言い争ってる二人を横目に
いまだに不機嫌な顔をするシディ
チヨ「まだ気が乗らないか?」
シディ「あぁ、チヨたちには申し訳ないが
俺の考えは・・・・」
チヨ「それは終わってからにしよう。
依頼引き受けちまったんだ。
嫌でもやりきらなきゃな。それにいい機会だろ?」
シディ「いい機会?」
チヨ「飼育員になれば嫌でも動物達と触れ合える。
そこで動物達がどういう気持ちなのか確認出来る。
飼育の方は俺等でやるから。
お前は好きな様に行動すればいいさ。」
シディ「チヨ・・・。」
二人が会話してる中、依頼人が挨拶してやってきた。
そして、これからの業務の説明を受けた。
「まずは動物たちの様子に異常が無いかの健康チェック
園舎の清掃、エサやりなどを開園前にお願い!!」
カレコレ屋4人はそれぞれの配置で掃除したり、動物達のエサやりなどの作業をしていた。シディが清掃してる場所で馬とヤギが合わさった異宙が白いユニコーンの様な動物の異宙をいじめてる現場を目撃する。
シディ「やめろ!お前ら!!」
「ヒーン!!」
白い動物を助けいじめていた異宙の動物を追い払った。
「キィー・・・」
シディ「他と体の色が違う・・・突然変種か・・・?」
「キィーキィー」
シディ「いじめられてたのか・・・
捕獲されていきなりこんな環境に連れて来られたら
こういう事が起こるのも仕方がないな。」
10:00開園
シディ以外の3人は次の業務に取り掛かっていた。動物達を寝室から展示スペースへと移動させる。
カゲチヨ「動物を移動させるとかヨユーじゃん!」
チヨ「フラグか。」
ヒサメ「・・・・」
カゲチヨ「あ、ちょっと待って靴ひも解けてる。」
その場でしゃがみ靴ひもを結ぶカゲチヨに
ゾウはしゃがんでるカゲチヨを踏んづけてしまった。
カゲチヨ「ギャー!!助けてー!!」
チヨ「お約束って奴だな。」
ヒサメ「何やってんだか・・・」
何とか動物達を展示スペースに移動させた3人。11:00になりエサやりをする事になった。カゲチヨとヒサメはゾウにエサをやっており、チヨは別の動物のエサやりをしようとしたら飼育員たちの話し声が聞こえた。
「おい、どうするんだ?」
「虎のエサやりの飼育員今日休みらしいし」
「俺は嫌だぜ。怖いし・・・」
それを聞いたチヨは飼育員たちに近寄った。
チヨ「俺がエサやりしますよ?」
「い、いいのかい?」
「でもここの虎は凶暴だよ?」
チヨ「モーマンタイです。」
チヨはエサの肉を持って檻の中に入り
虎と対面した。
チヨ「ほれ。エサ持って来たぞ。」
「グルルルル。ガァ!!」
チヨにとびかかった虎。誰から見てももうダメだと思っていたら、驚きの光景を目にした。
チヨ「おいおい。舐めるな舐めるな。ざらざらしてくすぐったいぞ。」
チヨの顔をペロペロ舐めたり頬ずりしてる光景を見て驚く飼育員達。チヨは気にせずに虎の顎を撫でたりしてエサをやった。これで役目は終えたから他の動物のエサやりに行こうとしたら、虎に袖を噛まれ行かせないようにと引っ張られる。
チヨ「なんだお前?構って欲しいのか?
仕方がないなぁ。」
困った顔で苦笑いしながらも、運動させてストレス発散させないとダメかと考え檻の中で鬼ごっこをし始める一人と一匹。その合間にエサをやったり愛情表現の頭突きをくらったりと観客がこちらに見ている事も気にせず交流していた。飼育員はそんな一人と一匹に空いた口がふさがらなかった。
チヨ「これで満足かい?」
「ガオォ」
チヨ「そうかいそうかい。」
満足したような返事をした虎にチヨは頭を撫で檻から出た。結構な時間、虎と遊んでたため他の動物のエサやりはほとんどカゲチヨとヒサメがやったため、二人に怒られる。チヨは「サーセン」と謝罪。
一方、シディは白い動物の事が気になり、その子の傍に居た。
シディ「やはりエサにありつけなかったか・・・」
「キィーキィー」
シディ「親が近くに居れば、いじめられる事もなかったのか・・・?」
チヨ「かもな。」
シディ「チヨ・・・。」
「よっ。」と一言言ってシディに弁当を渡した。
チヨ「食わねぇと午後まで持たんぜ。」
シディ「すまない。」
チヨ「その子か?お前が気になってる子ってのは。」
シディ「この子は他の動物にいじめられ仲間はずれにされてた。」
チヨ「そっか。ったく。いじめられてるの知ってたら
他の檻に移動させろってんだ!」
チヨの言葉に反応せず心配そうに白い動物を見た。そんなシディにその子は草を加えシディにあげようとする。
シディ「え・・・」
チヨ「あげるって言いてぇんじゃないか?」
シディ「そうか・・・。ハハッ、俺は大丈夫だ。
優しいんだな、お前は。」
自分を心配してくれるその子の頭を撫でた。
その後、13:00から園内のガイドツアーをする事になった。ヒサメはきちんと子供達にカピパラの説明するが、カゲチヨはアイス食いながら木の下で涼んでいた。子供達に「あれ何?」と指差して質問してきたからチヨは「アレはまるでダメな男、略してマダオだ。お前ら、間違ってもマダオになるなよ。」と説明するチヨに「誰がマダオだ!!」とツッコまれる。そして時間が過ぎ、17:00閉園の時間になった。
カゲチヨ「なぁ、もうお客さんは帰ったのに
俺等は何やってんだ?」
ヒサメ「私達はお客様が帰った後も動物達を寝室に戻して
エサやりや食べ残しが無いかの観察、体重測定などの
健康チェックをしなきゃいけないの。」
カゲチヨ「ふーん、大変だな。」
ヒサメ「お前もやるんだよ。」
二人がまたもや言い合っている一方。また白い動物が別の動物達にいじめられてる。シディは檻の外で悲しそうに見ていた。自分が一時的にいじめを止めてもまたいじめられる。飼育員に言って隔離してもらったほうがいいのか、それとも逃がした方が良いのか・・・。そう思い悩んでいたシディの後ろにチヨと依頼人がやって来た。
「逃がすんじゃなかったの?」
シディ「・・・群れの中でいじめられるあいつが
今まで生きて来れたのは動物園だからだ。
自然の中では食べ物にすらありつけず
死んでしまってるだろう。」
チヨ「人間のエゴで助かる命って奴かね。
お前が最も嫌いそうな言葉だ。」
シディ「・・・・」
「確かに動物園は人間のエゴだよ。でも私達は動物を愛してる。
それだけはハッキリ言えるよ。楽しんでるお客も動物が好きなの。
動物達にも自由は無いが安全がある。」
シディ「でも・・・動物達がどう思ってるのか分からない。」
チヨ「まぁ、人間と違って話せないからな。」
「そう、だから動物の気持ちを理解するのは簡単じゃない。
例えば具合が悪そうにしているのを見ても原因が分からず戸惑う事もある。
あの子みたいに知らず知らずのうちにストレスをため込ませてしまう
可能性もある。」
シディ「・・・・」
チヨ「飼育員も大変だな。」
「うん、すごく大変。でも私達は考える事を辞めない。
私達はこの檻の中でのあの子達の幸せを願っている。
安心して、あの子は別の檻に移すから。」
シディ「・・・俺は・・・」
シディが言葉を言いかけた時強烈な光に包まれ、3人は驚き檻から少し離れた。。上空から神々しい異宙がやって来た。その異宙がやってきたせいか空気が震えシディですら反応できなかった。
チヨ「おいおい・・・すげぇ力だぜ・・・」
「き、麒麟だ・・・。」
シディ「麒麟?」
「異宙の住人・麒麟。地球での目撃例はほとんどない。
目にも追えぬ速度で移動する幻獣・・・!!」
チヨ「スッゲー。ご利益あるかな?カメラ無い?カメラ?」
「ある訳無いでしょ!?あんたこの状況で何呑気な事言ってるのよ!!」
チヨ以外の二人はあまりの迫力差に動けなかった。そんな中、白い動物もとい麒麟の子供がシディに駆け寄り擦り寄ってきた。シディはそんな麒麟の子供をなで別れを告げた。
シディ「・・・お前は麒麟とやらの子供だったのか。」
「キィー」
シディ「・・・親とはぐれるのは哀しいよな。
俺も似た事があったから分かる。
良かったな、親と出会えて。」
「キィー」
シディ「・・・ウム、じゃあな。」
麒麟は子供と共に帰って行った。帰ってから光が消え、依頼人は尻餅し勢いよく息を吸い、シディは膝をついたまま上を見た。
チヨ「行っちまったな。」
シディ「あぁ。」
チヨ「立てるか?」
シディ「あぁ大丈夫だ。」
「き、麒麟の子供だったなんて・・・」
シディ「相手に生き死にを握られるのは不安だろ?」
その言葉に依頼人は何も言えなかった。
シディ「俺は・・・ただ動物達と友達でいたいのだ」
「と、友達・・・?」
シディ「友達と言うのは対等な物だ。俺は対等な友でいたい。
動物園と言うシステムは嫌いだが
ここで働いてる人達が動物を愛してるのは分かった。
働いてみてよくわかったよ。」
依頼人はシディの言葉に笑みをこぼれ、シディから差し出した手を握って握手をした。チヨは後ろで少し安心した顔をして仕事に戻ろうとしたらシディに呼び止められた。
シディ「チヨ、ありがとう。お前が後押ししなきゃ、
俺は動物園全体を嫌いなままにしていただろう。」
チヨ「俺はただ依頼を受けただけで何もしてねぇーよ。
お前が勝手に行動して考えをちょびっと変えただけだ。」
シディ「・・・なるほど。」
チヨ「?」
シディ「これがツンデレっというやつか。」
チヨ「おい、何処でそんな言葉を覚えた。
あとツンもデレもしてぇーよ。」
締まりのないオチになったが、シディの動物園に対する考えがほんの少しだけ変わった一日だった。