オーナーに呼び出され、リサイクルショップにて手伝いをしているカゲチヨ。フィーアと荷物を運んでいる途中、話し掛けられた。
フィーア「スズキとサトウがトッププレデターを抜けたそうです。」
カゲチヨ「・・・・あ?」
唐突過ぎて、思考が止まってしまった。
カゲチヨ「何で・・・。」
フィーア「正確には買い取られたそうです。」
カゲチヨ「いや、正確に言われても経緯が分かんねぇよ。
ちゃんと説明してくんない?」
結果だけ説明するフィーアに経緯の説明を要求するカゲチヨ。まるで自分が察しが悪いと言いたげにため息を吐くフィーアに苛立ちながらも我慢して話を聞いた。
フィーア「彼らは混血児の中での欠陥品です。
陽狼と氷電に負けてしまった彼らは、トッププレデター内で
生かすかどうかという段階まで話が出ていたらしく、
その最終試験としてケルベロスという異宙人の幼体捕獲を
したらしいです。」
カゲチヨ「もし失敗すれば破棄ってか。クソな組織だな。」
フィーア「まぁそう言うのは建前で、
ケルベロスを使って2人処分するのが目的だったそうです。」
カゲチヨ「クソ以下だった。さっき二人は買い取られたって言ったよな?
つまり二人は生きてるって事でOK?」
フィーア「OKです。ちなみに、たまたま通りかかった陽狼を加えて
何とかケルベロスから生き残ったそうです。」
カゲチヨ「通りでボロボロで帰ってきたと思ったらそんな事になってたのか。
ってかさっきから、らしいとかだそうとかやたら使うけど
誰から聞いたんだ?もしかしてまだ組織と繋がってんのか?」
フィーア「組織からは何も連絡はありませんでしたよ。
おそらく、向こうにとって私は行方不明もしくは死亡扱いです。」
カゲチヨ「・・・なんかごめん。」
フィーア「何の謝罪ですか?
先ほどの話はスズキとサトウ本人たちから聞きました。」
カゲチヨ「まぁトッププレデターを抜けた事は喜ばしい事だが
あいつ等は買い取られたんだろ?いったいどこの誰が・・・。」
フィーア「彼らが言うには、「キュリオシティ」と名乗ったそうです。」
カゲチヨ「何だ?そのポケモンとかに出てきそうな街の名前は。
怪しさ満点じゃねぇか。」
フィーア「怪しくても買われた以上は仕方がないと思います。」
2人の現状を聞いたカゲチヨは、複雑な感情になりながらも一先ずは2人の無事に安堵した。2人が死んだらシディやヒサメが悲しむと思ったからだ。しかし、一つ疑問に思った事があったカゲチヨはフィーアに向いて聞いた。
カゲチヨ「何でその話を俺に言おうと持った?」
フィーア「え・・・。」
カゲチヨの発言に言葉を詰まったフィーア。
カゲチヨ「前々から思ってたが、何故お前が組織に戻らずにここで働いてるのか。
俺から組織を抜けろとは言ったが、無視してもよかったはずだ。
負けたから組織に戻っても居場所が無いと言ったが本当にそうか?
欠陥品ならともかく、正規品なお前をわざわざ手放すとは思えない。
それに今だって、俺等の味方をしないと言ってる割に
2人の現状を話した。何でだ?」
そう言った後、しばらく無言になってしまった。沈黙してる中、フィーアは不安げに口を開いた。
フィーア「・・・私にも分かりません。
なぜ、ここに残ろうとしたのか・・・。
なぜ・・・あなたに話したのか・・・。」
カゲチヨ「・・・・」
フィーア「もしかしたら・・・あなたが言う「普通の日常」と言う言葉が
気になった・・・興味があった・・・かもしれない。
2人の事は既に済んだ話だから・・・だと思います。
すみません。自分の事なのに、分からないんです。」
今になって、何故そんな行動したのか、考えても分からずにいたそんな自分に苛立っていた。そんなフィーアにカゲチヨは頭を撫でた。
カゲチヨ「俺が悪かった。そんなに思い詰めるとは思わなかった。
分からないならゆっくりと分かって行けばいいさ。
辛くなったら一休みすればいい。時間はいくらでもあるんだ。
ゆっくりと行こうぜ。」
フィーア「・・・」
その言葉と行動に、どこか安心感を覚えたフィーア。しかしこの感情を「普通の日常」を模索してるフィーアにとってまだ分からなかった。
カゲチヨ「さて、そろそろ依頼に行って来るかな。」
フィーア「あ・・・。」
頭を撫でてた手が離され、物足りなさそうに声を出してしまったフィーア。
カゲチヨ「んじゃあ俺、行くからオーナーによろしく言っておいてくれ。」
フィーア「あの・・・」
カゲチヨを呼び止めるフィーア。何だ?と首を傾げながら彼女を見た。
フィーア「その、・・・何故、私を殺さず生かそうと思ったんですか?」
その唐突な質問にカゲチヨは無言になってしまった。
フィーア「あなたは、「普通の生活」を送れと私に言いましたが何故です?」
カゲチヨ「それは・・・」
フィーア「前回ははぐらかされましたが、教えてください。」
一度目を閉じ、真っ直ぐフィーアの目を見てカゲチヨは質問に答えた。
カゲチヨ「お前らの様な。被験者たちを一人でも多く救いたい。
そんな偽善心だ。」
フィーア「偽善心・・・。」
カゲチヨ「それにお前は俺に似てるしな。手を差し伸べたくなったのさ。」
フィーア「似ている・・・。私は陰キャじゃありませんよ。」
カゲチヨ「そーいう意味で言ってねぇよ。まぁいいや。
じゃ、もう行くな。」
フィーア「あ・・・。」
行こうとするカゲチヨにフィーアは手を伸ばして裾を掴んだ。
カゲチヨ「今度は何だ?」
フィーア「あの・・・その・・・
手伝ってくれてありがとうございます。
気を付けて行ってください。」
カゲチヨ「おう、オーナーによろしくな。」
リサイクルショップを出たカゲチヨ。店内にはフィーアだけになった。カゲチヨを見送ったフィーアは少しだけ顔を赤くしていた。
フィーア「何故・・・呼び止めてしまったんでしょう?
オーナーに聞けば分かるのでしょうか?」
そう呟いて、オーナーが帰って来るまで作業に取り掛かっていた。
カゲチヨside
俺達は依頼で大量発生したヒルの調査しに山にやって来た。
ヒサメ「私、ヒルって見た事ないんだよね。」
シディ「ヒルは血液を吸うナメクジみたいなものだ。
そうだな、カゲチヨに似てるな。」
カゲチヨ「誰がナメクジだ。あれか?気持ち悪い所が似てるってか?」
ヒサメ「誰もそこまで言ってないでしょうが。」
まったくたまに棘のある言い方するよな~この無自覚天然ジゴロイケメンは。しかし・・・。
カゲチヨ「それにしてもヒルの調査とか、
神谷の野郎めんどい依頼してきやがって。
テメェで調査しやがれってんだ。
調査兵団のクセに。兵長のクセに。」
ヒサメ「何変なこと言ってるのさ。それに神谷先生でしょ。」
シディ「皆で山に来れて楽しいじゃないか。」
カゲチヨ「ヒサメせんせー。約一名遠足気分でーす。」
ヒサメ「誰が先生だ。」
俺達がそんな会話をしていると、子供らしき叫び声が聞こえた。俺は声の出所に向かった。
そこには、一人の男の子を襲うとするヒルの様な怪物がいた。
俺は二人より先に前に出て、高く飛びその怪物に向かって蹴り上げた。
カゲチヨ「サンダーボルトスクリュー!!」
上空から蹴りつけ、そこからパンチを連打したあと、強烈な一撃を放つ。
カゲチヨ「ゴッドハゥンドッスマーッシュ!!!!」
拳を離した後、後ろに飛び
カゲチヨ「成敗!!」
と叫んだあと怪物は俺の発火能力で爆発した。
二人が付いた時にはすでに終わった後だった。
カゲチヨ「おう、遅かったな。」
ヒサメ「カゲが早すぎるんだよ!」
いつものパターンでヒサメに頬を抓られる俺氏。それを横目にシディは俺が倒した怪物を見た。
シディ「ふむ、ヒルは血を吸うと膨らむから
お腹いっぱい血を吸ったんだろう。」
カゲチヨ「血吸い過ぎるとこんなに大きく成長するのか。
知らなかった。」
ヒサメ「いやいや!!おかしいでしょ!!ヒルに手足は生えてないから!!」
カゲチヨ「アレだろ?進化したんだろ?ニョロモが進化してニョロゾなる時
腕生えてただろ?アレと一緒一緒。」
ヒサメ「いやニョロモって何!?ニョロゾって何!?
分かんない物で例えないでくれる!?」
あれ?良い例えだと思ったが違ったか?ニャオハの方が良かったか?
カゲチヨ「しっかしこの怪物も気になるが、その子供も気になるな。」
俺は気絶して倒れてる子供を見た。
シディ「気絶している。」
ヒサメ「病院に連れてった方がよさそうだね。」
そう言って、依頼を一時中断し、山を下り二人は子供を病院に送った。
んで俺は依頼の中断について俺とヒサメの担当の神谷に報告。
カゲチヨ「まぁそう言う訳で、ヒルの調査は一旦中断させてもらった。」
神谷「そうか。ま、そういう事なら仕方がないだろ。」
カゲチヨ「子供の事が片付いたら、依頼を再開するわ。」
神谷「おう。そう言えば渡したバッチ、どうだ?」
神谷が言うバッチとは、前回ヒサメとシディがエイファに攫われた時に活躍した発信機だ。
カゲチヨ「有り難く使わせてもらってるわ。
この前もおかげで2人の居場所が分かったしな。」
神谷「そりゃ良かった。」
カゲチヨ「急にどうした?」
俺を見て、やる気なさそうな口調をしながらも、何処か真剣な雰囲気を出していた。
神谷「・・・カゲチヨ。迷惑掛けるな」
カゲチヨ「・・・依頼は遂行出来てないが?」
神谷「ま、一応な。」
一応・・・か。
俺は神谷と別れ、発信機でどこの病院に行ったのかを確認したら・・・。
カゲチヨ「何で病院じゃなくて
そう2人が子供を連れて行ったのは病院ではなくリサイクルショップだった。
シディ「ウム、病院に連れて行ったのだがな・・・
これを見てくれ。」
そう言って毛布を捲ると、子供の片足が魚の尻尾になっていた。
カゲチヨ「異宙人なのか?」
オーナー「いいや、この子は普通の人間だよ。
昔のカゲチヨと同じようにね。」
昔の俺って事は・・・
シディ「昔のカゲチヨ・・・右目に暗黒龍が宿っていて
左手に暗黒帝王の呪いがかけられていただろうか?」
ヒサメ「シディ・・・そのカゲは現実には存在しないんだよ。」
カゲチヨ「そうだぞ。俺は昔、感情の無い暗殺者だったんだよ。」
ヒサメ「はいはい。」
おい。投げやりに答えるんじゃねぇーよ。ツッコミ役はツッコまなきゃ何のために存在してるんだよ。
カゲチヨ「まぁ話を戻すと、この子は誰かにやられたって事か。」
オーナー「おそらくな。雑な施術してくれちゃって。」
シディ「どこの病院でも病状が分からなくてな。
ダメもとで異宙関係に詳しいオーナーに聞いてみたら
治せるかもしれないとの事でな。」
カゲチヨ「そいつは良い判断したな。」
オーナー「すぐに身体を戻す事は難しいがな。
異宙人の細胞への拒否反応は止められる。」
カゲチヨ「つまり?」
オーナー「もう少ししたら目が覚ますよ。」
んで、子供をカレコレ屋に連れて行った俺達だが・・・
「がるるるる!!」
カゲチヨ「痛いって。」
何故か俺の手を噛んでいる。
カゲチヨ「起きた途端に噛みつくとは元気だなお前。」
ヒサメ「いや、思いっきり噛まれて何平然としてるの!?
ちょっと君!そんなもの食べたらお腹壊すよ!!」
カゲチヨ「俺の手をそんなもの扱いですか。そうですか。」
それでも俺の手を離さない子供にシディは落ち着かせようとする。
シディ「落ち着け。俺達は敵じゃない。
話し合おう。日本語は通じるか?」
「・・・」
子供はシディの言葉を聞いて落ち着いたのか、俺の手を離した。おぉ~いてぇ~。歯型が思いっきりついちゃったよ。
カゲチヨ「おめぇさん。名は?」
「・・・・」
俺の質問を無視。
カゲチヨ「偽名でもいいぞ。」
「・・・・チョコ」
シディ「どうして体がそんな風になってしまったんだ?」
チョコ「・・・お前らには関係無いだろ。」
シディの質問に答えるつもりが無いチョコ。するとチョコの後ろ横にボティスがやって来た。
ボティス「なんじゃこのゴミみたいなガキは!?さっさと追い出せ!!
同じ場所に居るだけでワシの品格が傷付くわ!!」
カゲチヨ「安心しろ。俺と契約してる時点で品格が傷付いてるから。」
ボティス「・・・自分で言ってて悲しくならないのか?」
俺に同情とは珍しい。お前は品格より品性を何とかせい。
シディ「確かに、俺達には関係無いかもしれないが
何か困ってる事があるなら力になるぞ。」
チョコ「・・・何でだよ?」
ヒサメ「私達はカレコレ屋って言って、
困っている人の依頼を解決する仕事をしてるからだよ。」
チョコ「・・・そんな怪しい奴ら信用できるか!!」
意地っ張りな子供な事で。
チョコは夜中にも構わず、何処かへと行こうとしていた。
チョコ「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・!」
カゲチヨ「息を荒げてどこ行くんだ?」
俺が話しかけた事でチョコは睨み付けた。
チョコ「関係ないって言っただろ!?」
カゲチヨ「おう。関係ないな。だから。」
俺はチョコの首根っこを掴み背負った。
カゲチヨ「勝手に送らせてもらうわ。道案内よろ。」
チョコ「はぁ!?誰が、お、降ろせ!!」
カゲチヨ「おいおい、合理的に考えようぜ。
その足で帰るとして結構時間掛かるぞ。
だったら誰かの手を借りて帰った方が早い。
近くまで付いたら降ろしてやるからしばらく我慢しろ。」
チョコ「・・・俺は、お前を利用するだけだからな。」
カゲチヨ「はいはい。利用してください。」
チョコ(こんな変な大人。初めて見た。)
俺がチョコと話してる後ろでヒサメ達が何か話していた。
ヒサメ「素直に心配だから送るって言えないのかな?
本当、めんどくさい性格。」
シディ「それがカゲチヨの良い所だ。
ヒサメが一番わかってるだろ?」
ヒサメ「はぁ!?私はそんな事っ・・・!!」
シディ「ボティスも来るんだぞ。」
ボティス「なんでじゃ!?」
シディ「皆で行く方が楽しいだろ?」
ボティス「嫌じゃ!!ワシは一人の方が楽しんじゃ!!」
そんな後ろで話し込んでる2人と1匹にチョコは気になるのか俺に話し掛けた。
チョコ「な、なぁ。あいつ等あそこで
何か話し込んでるみたいだけど・・・。」
カゲチヨ「放って置け。どうせ後で追いかけて来るから。」
俺は、チョコを家まで送ろうとしたが、その時嫌な予感がした。
それは何なのかはわからないが。面倒事になる事は避けられないかもしれない。