カゲチヨside
ゼクス「僕を・・・救う・・・?」
俺の言葉に唖然としながらも笑い出した。
ゼクス「ハッ!お前が一体僕の何を救うって言うんだ!
この研究所からか?あいにく僕は救いを求めてない!」
カゲチヨ「まぁこれは俺が言ってる妄言だ。
無視しても構わなかったんだぜ?
反応するってことは、どこか救いを
求めてるんじゃないのか?」
ゼクス「勝手な解釈だな。お前をさっさと始末する。
向こうが心配だ。」
カゲチヨ「ヒサメや女の所に行くのか?あの女が心配かい?
ってか心配出来たんだな。」
ゼクス「出来るに決まってるだろ。」
カゲチヨ「お前は、他の人の命を簡単に奪ってどう思うよ?」
ゼクス「仲間以外の命などどうでもいい。」
カゲチヨ「そうか・・・。」
俺は男の返答を聞き一度目を閉じ再度男に視線を向けた。
カゲチヨ「あんた。根はいい奴だろ。」
ゼクス「・・・は?」
カゲチヨ「普通だったら、仲間の事なんて心配しねぇよ。
お前さっき言ったよな?「お前は心配しないのか?」って。
それって、どこか他人を思いやる心があるからじゃないのか?」
ゼクス「違う!!あいつが任務を忘れて
氷電を殺すかもしれないと思っただけだ!!
僕を分かったような風に語るな!!」
カゲチヨ「感情的になるってことは図星って事になるぜ。
だが嫌いじゃない。」
ゼクス「だまれぇ!!」
ゼクスは俺に襲い掛かるが、先ほどより動きが雑になっている。
カゲチヨ「どうした!さっきより動きが鈍ってるぞ!!」
ゼクス「黙れ!!」
まるで悪役だな。だが、出来ればこの男の心を何とかしたいもんだ。こういう奴ほど、こんな胸糞な組織に置いておくわけにはいかねぇ。じゃなきゃいつか壊れてしまう。
前世の様な二の舞だけはさせねぇ。
『えー警備の皆さん。お仕事でーす。
研究所に向かっている武装集団がいます。数は50数名。
実験動物の補充をしたいので6歳未満は確保、それ以上は処分で。よろ!!』
放送が流れ、聞いた俺とゼクス。ファミリア達が来たか。流石にこれ以上は止められなかったか・・・。そう思いながら奴の顔を見ると、不機嫌そうな顔をした。やっぱ、根は良い奴じゃん。
カゲチヨ「6歳未満は確保って、トッププレデターは
ロリコン集団組織かよ。お前はこんな所に居ていいのかよ。」
ゼクス「ここが、僕の生きる場所だ。」
カゲチヨ「お前がここにいたら。大事な仲間が守れなくなるぞ。」
ゼクス「何?」
カゲチヨ「平気な顔で異宙のDNAを入れて、戦闘マシーンにさせる奴らが
まともな思考持つと思うか?実験のためなら、
お前らを犠牲するのも訳無いと思うぜ。」
ゼクス「何故そう言い切れる。」
カゲチヨ「お前らの様なのを散々見てきたからだ。」
人の道を外した研究者にロクな奴はいない。俺はこの身を持って知っている。
カゲチヨ「そいつらの分まで一人でも多く
お前らのように実験された奴らを救いたい。
ただの勝手な偽善行為だよ。」
ゼクス「確かに偽善だな。」
カゲチヨ「だろ?」
俺が同意するとゼクスは笑い出した。何だ。ちゃんと笑えるじゃん。
ゼクス「お前と・・・もっと早く出会えたら。
状況が違っていたかもしれない・・・。」
カゲチヨ「今でも間に合うさ。」
俺がそう言うがゼクスから嫌な雰囲気が漂った。
ゼクス「いいや無理だ。
僕には成し遂げないといけない任務がある。
だからこそ、ここでお前を倒して。任務を遂行する。」
ゼクスは一度目を閉じて数秒、思いっきり目を見開き、目元の痣から目が開いた。
ゼクス「リデュース!!」
カゲチヨ「!!」
「リデュース」その言葉と共に、ゼクスは巨大なケルベロスの波動を出し俺に向けて放った。俺はまともに喰らってしまったが何とか持ちこたえた。鈴の吸血鬼ほどではないが凄い威力だ。おかげで服がボロボロだ。力を使い過ぎたのか、ゼクスは膝をついた。
ゼクス「・・・はは。さっきの喰らっても、まだ立ってられるのか。
お前・・・化け物だな。」
カゲチヨ「失礼。超失礼。」
ゼクス「・・・寿命を消費した所で無駄だったな・・・。」
寿命?消費?
カゲチヨ「おい、どういう事だ。」
ゼクス「どうせお前に勝てず、処分されるんだ。教えてやる。
異宙人のDNAを2種類。人間の胎児に与えて混血児を作る計画
デュアルコアプラン。ファーストロットはほぼ全部失敗作。
成功したのは陽狼だけ。僕達や氷電はセカンドロット。
混血児は戦闘を目的に作られた生き物だ。
僕達セカンドロットの混血児は
40の前に寿命が尽きるように設定されている。」
カゲチヨ「!!」
その話を聞いて俺は驚きを隠せなかった。40前。そんなに短いのか。ふざけやがって・・・。
カゲチヨ「年取って能力が落ちれば、はいさよならってか。
何とも自分勝手なクソ組織だ。」
ゼクス「兵器の価値が無くなる・・・当然な事だ。
それにセカンドロットには寿命を削る代わりに、
潜在能力を引き出す機能がある。」
カゲチヨ「それが、さっき呟いてた「リデュース」って訳か。」
気に食わねぇ・・・・気に食わねぇ・・・っ。
ゼクス「!!」
カゲチヨ「是が非でもテメェらを救いたくなった。」
寿命が無い?だったら俺の寿命、何年でも何十年何百年くれてやるよ!!
カゲチヨ「今までも組織を壊すと考えていたが、改めて決心した。
ぜってぇートッププレデターをぶっ壊す!!」
パチパチパチ
どこからか拍手する音が聞こえた。音の方を見ると、黒髪の中性的な人物が現れた。
「その決意。とても素晴らしいです。」
ゼクス「お前は誰だ・・・。」
その人物はゼクスの問い掛けに答えず、ゼクスに向かって抱き付いた。
「大丈夫。僕は怖くない。あなたはトッププレデターに言われて
無理矢理戦ってるのでしょ?可哀想に、人間のエゴで
こんな身体にされちゃって・・・。ごめんね、酷いよね・・・。
酷すぎるよね・・・。悪いのはトッププレデター。
人間が全部悪いの。」
ゼクス「なっ!」
抱き着かれ、同情してくるその人物に動揺するゼクス。いきなり出て来て何なんだ?
「ごめんなさい。少し寝てて・・・。」
するとその人物とゼクスが居る場所から青い魔法陣が浮き出てゼクスは眠ってしまった。
カゲチヨ「一応聞くが・・・そいつに何をした。」
「眠ってるだけ。それよりも生きててくれてよかった。」
は?何言ってんだこいつ?知り合い面しやがって。・・・どこかで会ってないよね?
「君達の事はファミリアから聞いてるの。
本当は前から知ってたけれど。」
ファミリアの知り合い・・・か?それに前から知ってるって・・・。
「僕の名前はギバー。君に会いに来たの。カゲチヨ君。」
カゲチヨ「俺に?」
「僕の夢は人間を全員殺すことなのよ。」
カゲチヨ「人間を全員殺す・・・随分と物騒な言葉が出たもんだ。」
ギバー「人間は身勝手で欲望に忠実でしょ?
他の生き物たちはいつもその被害に遭ってきた・・・。
大量に家畜を殺し、食料を無駄に捨てる。
可愛く品種改良した犬猫は、売れなきゃ殺す。
動物園は不景気になれば、動物を殺してその肉を
他の動物に食べさせる。その上、自分達で
命を奪っている感覚すらないんだ。
そう言う疑問を口にすると「まだそんな事言ってるの?」って
大人は言い出す。自分はただ眼を逸らしただけなのにね・・・。
ひどすぎるよね・・・。」
カゲチヨ「要するにアンタはヴィーガンって訳か。
それも酷いと来たもんだ。いい病院紹介しようか?」
ギバー「残念ながら僕は正常だから紹介する必要は無いよ。
僕はね、生き物を救いたいんだよ。人間から。」
カゲチヨ「毛虫やアメンボだけじゃなく、
人間だって必死で生きてんだよ。同じ命だ。」
ギバー「うん、知ってるわ。僕も人間だもの。
何の変哲もない人間。見えない?フフッ。」
カゲチヨ「見た目だけ言えばな。じゃあさっきの能力。アレは何だ?」
何の変哲もない人間を自称するんだったら、あんな魔法陣はどう説明するってんだ。
ギバー「仲間が助けてくれたの。」
そう言うと、ギバーの後ろから侍の格好をした吸血鬼と黒い羊の顔をした異宙人がやって来た。
ギバー「僕はちっぽけな人間よ。誰かに助けてもらわなきゃ
この世界で生きていく事も出来ない。ただね、
僕には目があるの。」
カゲチヨ「何だよ。写輪眼持ちか?うちはか?うちは一族の生き残りか?」
ギバー「残念。その写輪眼も持ってないし、そのうちは一族でもないわ。」
いや、俺のボケを真面目に答えるなよ。
「ギバー様にはわかるんでGOZARUよ。真っ先に自分の利益を優先させて
他者から奪うだけの者と、何かを受け取ったらそれ以上の物を
与えようとする者。その2種類を見抜けるでGOZARU。」
カゲチヨ「なんだそら?たったの2種類だけでここまで言える訳?」
そう言うと侍の吸血鬼が俺の喉元に刀を向けた。
「ギバー様を侮辱するな。
穢れた血にはこの偉大さすら分かんないでGOZARUか。」
カゲチヨ「侮辱してねぇよ。呆れてんだよ。
侮辱するならその似非侍の格好を侮辱したいね。」
「このっ!」
ギバー「やめなさい。」
「・・・申し訳ございません。」
そこはGOZARUって言わないのかい。
ギバー「簡単な話だよ。僕は仲間を助ける。
そして仲間は僕を助けてくれる。そうやって
助け合いの輪を広げて来ただけの事なの。
それだけ皆、人間に苦しめられているのよ。」
カゲチヨ「苦してるのは本当に人間だけか?」
ギバー「え?」
カゲチヨ「異宙人だって、汚い奴らやそいつらで苦しめられてる奴はいる。
人間を全員殺せば救いになる?
なる訳無いだろ。結局その仲良しこよししたとて、
いずれ裏切る者が出て来る。何せ、生き物には感情がある。
感情があれば欲望も出て来るってもんだ。」
ギバー「なんとも悲しい考えですね。」
カゲチヨ「悪いが。あんた等に構ってる暇はねぇ。
アンタらが仕向けたファミリア達が心配なんでね。」
俺の発言に、ギバーは笑顔から一瞬だけ驚きの表情を見せ元の笑顔に戻った。
ギバー「よく、僕が仕向けたと分かりましたね?」
カゲチヨ「お前がファミリアの事を知っていた。
つまり支援者ってのはお前らじゃないかって言う憶測だ。」
「憶測でよく口にできたものだな。」
ギバー「そう、彼女達を支援したのは僕。危険な情報と引き換えに
貧相な武器を提供すれば、彼女たち勝手に死ぬでしょ?」
カゲチヨ「・・・。」
ギバー「ねぇカゲチヨ?僕と一緒に行きましょう?
あなたには僕らの先導者になってほしいの。
僕はね、本当に普通の人間。人類滅亡って言う夢は
僕の寿命じゃ難しい・・・。だから不老である君が悲願を達成して!
お願い!!僕たちと・・・。」
カゲチヨ「何を言うかと思えば勧誘且つ人任せか。」
ギバー「え?」
俺の答えはこいつと会ってからすでに決まっている。
カゲチヨ「嫌なこった。」
すると侍の吸血鬼は遠慮なしに俺に切りかかるが、腕を真っ赤に染め、硬度を上げて防いだ。
カゲチヨ「そんなに人間を死んでほしいなら、
まずはテメェーからくたばんな。」
こいつらの思考は、トッププレデターと同じくらい反吐が出る。