α月β日
ゲンレイに俺に電撃能力が身に付いたって言ったら
「やっぱりお前は異常だわ」と言われた。
失敬な!
・・・おい、お前らも「異常な奴」と言いたげな目をするんじゃないよ。
ゼクス達にそんな目で見られる俺氏。
何だい何だいみんなしてさぁ~っと地面にのの字を指でなぞる。
俺が若干へこんでると、ゲンレイから二人に稽古つけやってほしいと頼まれた。
何で俺?
どうやらずっと同じ相手の組手だとこの二人のためにもならないらしい。
色んな奴と戦って学んでほしいって事だ。
確かにそれは一理ある。
その提案に俺は乗った。
こっちもこっちで試したいことがあるからな。
道場へと場所を移した俺たち
ゲンレイの合図で試合が開始した。
鍛えられてることもあってか、二人は前回よりも強くなっていた。
こりゃあ、嘗めて掛かると痛い目にあいそうだ。
遠慮がちに能力を駆使して俺に襲い掛かる。
この二人、俺を殺そうとしてない?
カンナは水と炎の能力で龍を作り俺に放つ。
俺は足を能力で真っ赤に染めて、気功を纏い龍の上を走る。
「そんなのあり!?」と驚くカンナに
ありだっと言ってカンナの背後に飛び背中を蹴り飛ばした。
着地したところからゼクスの能力で地面からケルベロスの波動が襲い掛かった。
俺はブラッドスパイクで打ち消した所、懐に入られ殴られた。まぁ手で拳を受け止めて防御したがね。
前回よりさらに強くなったゼクス。
この調子なら、トッププレデターに襲われても大丈夫だろう。
まぁ、負ける気はないけどな。
赤く染まった足で連続蹴りを喰らわす。
怯んだところにゼクスの胸あたりに発勁を叩きこむ。
二人は肉弾戦で俺に挑んできたが、まるで悟空&ピッコロVSラディッツみたいな構図になりそのまま攻撃をさばき、隙をついて拳を叩きこむ。
「女の顔殴るなんてひどい!!」と怒鳴ってきたカンナだが、勝負に男も女もないのだよ!!
・・・・後で謝っとこ。
っと心の中で思っていたら、いつの間にか背後にいたゼクスは俺の身体を掴みパックドロップを畳み込もうとした。
俺は腹筋に力を入れて一回転し、逆にバックドロップをし返した。
「やっぱ規格外の化け物だ。」と呟くゼクス。
失礼な!こんなの鍛えれば誰だってできるのに、なぁ?とゲンレイに同調を求めるが、こっち見るなと言いたげな顔をしてきた。
俺に味方がいないようだ。
二人の強さもわかったことだし、こっからはすこーし強めに行くけどいいよね。
答えは聞いてない!
全身を電撃で纏い、軽く飛んでから高速で移動。
離れた距離から一瞬で目の前に現れたことに驚くカンナ。
そんなカンナに俺は鉄山靠を喰らわせ、そして起き上がったゼクスの前に一瞬で近付き、昇竜拳を喰らわせた。
二人が気絶したところで試合終了となったが
「暴れたりないだろう、今度は私が相手だ。」と言って構えた。
本当は自分が暴れたいくせに。
その勝負受けて立つ。今度こそ俺が勝つ!!
負けましたぁ~
α月β日
今日、カレコレ屋にて依頼人の女性が笑顔でサクッと死にたいと言ってきた。
その発言に唖然とする俺達。
そりゃあ笑顔で死にたいって言われれば誰だって驚くわ。
彼女が言うには、生きてるって意味不明と考え、特段楽しい事ない。辛い事がそこそこ多い。
だから、死んじゃおっと軽い感じで言ってきた。
だが死ぬのは一人でやるのが怖いから俺に協力して欲しいって事だ。
シディは依頼人の女性を止めようとする。
ボティスは愉快そうに笑いだす。
ボティスは壺にハウス!
俺が詳しく聞くが、彼女的には別に悲劇的な事は無く、生きてても全然楽しい事も無い。
生きるのって辛くない?と言い出す始末。
「何が辛いんだ?」シディがそう聞くと
彼女は「何かが正しいか分かる程度には頭が良くて、その正しい事を行動に移せない程度には怠惰でそれを許せない自分には真面目な自分だから辛い。」と語り出す。
そんな自分を殺したいと思う事は普通だと彼女のお考えだそうだ。
こんな話、必死に生きようとする人の前で言ったら怒り心頭だろうな。
ボティスが明るい表情で俺にどうするかと聞いて来る。
んなの決まっている。
俺は彼女の首に能力で掠り傷をつけた。
「あんたには俺特性の毒を体内に入れた。俺の合図一つで、体中猛毒が巡り苦しみながら死ぬだろう。」
俺がそう言うと、女性は喜んだ表情で帰って行った。
ずっと俺と居た事で分かっているようで特にヒサメ達は咎める事言わなかったが、どうする?と聞いてきた。
特にする事は無いと答えて俺はカレコレ屋を出た。
彼女は笑顔で居たが、あれはある種のSOSなのかもしれない。
特に現代社会は、SNS普及で「こう生きるのは善」「こう生きるのは悪」と通説が流れる。
間違ってる事が出来ないってのは相当なストレスがたまって辛いんだろう。
無理に笑顔作って場を収めても、いつかは限界が来て彼女の何かがプツンと切れてしまうかもしれない。
これはあくまでも俺の憶測だ。
ただ前世で似たような人が居たからもしかしたらって話だ。
俺は彼女の仕事帰りに、偶然を装い会う。
彼女は何時殺してくれるかドキドキしてるそうだ。
ある程度の距離が無いと能力が発動できない。そう嘘をついた。
死にたいっていう人間が仕事とは、変な人だな。仕事好きなの?っと言うと。
好きじゃない!嫌い!!大嫌い!!っと答えた。
好きじゃないならやめればいい。
俺がそう言うと驚く彼女。
どうせ死ぬんだ、やめたって問題ないだろ?
俺の一言に彼女は動揺。
何動揺してるんだか。それが死にたいって言ってた人の反応か?
俺が真顔に言うと彼女は仕事を辞める発言をした。
次の日
俺が暇だからどっかで出かけようと言うと彼女は私服に着替えて一緒に出掛ける事になった。
死ぬ前にやりたい事ってある?
と聞いたら、水たばこを吸ってみたいと言ってきたので連れてってやった。
水たばこの店に行き、吸って見たものの咳き込む彼女。その隣で心配する男性。
そこから二人は楽しく会話しているのを俺は眺めていた。
お前は吸わないのかって?
一応二十歳なんだが、学生でもあるから吸えん。くそぅ。
数時間が過ぎ、俺は女性をマンションのドアまで送った。
α月β日
あれから数日後が経ち
前回会った時よりいい笑顔になった。
彼女は今日、水タバコで知り合った男性と遊びに行くそうだ。
そうかと言い、俺は能力を発動させた。
彼女は胸を押さえ苦しみ出した。
あと数秒もすれば死ぬ。もう十分楽しんだだろ?
苦しいと言う彼女。苦しいのは当たり前だ、体内に毒が入ってるんだから。
俺は依頼を遂行する。そう言うと彼女はやめろと言い助けを求めた。
「私・・・生きたい!!」
その言葉を待っていた。俺は能力を解除して、彼女に俺が作った解毒剤を渡した。
彼女は、自分で臨んでいたのに契約違反してしまって社会人失格だと呟く。
別にいいだろ、違反してようが失格だうが。
人の道に外れなければいくらだってやり直しは効く。
年配の人達だって失敗を繰り返して、色々と学んでやっと社会人にられるんだ。
なんでもかんでもちゃんとしなくてもいい。
完璧な人間なんて居なんだしさ。
俺が彼女の頭を撫でると、大泣きして俺を罵倒した。
俺は黙ってその罵倒を受け止める。
その辛かった思いを存分にぶつけてくれ。
辛い時は辛いと言ってもいい。
人はいつか死ぬ。必ず死ぬ。
だからこそせめて、精一杯生きて行けばいいと俺は思う。