α月β日
俺は現在、依頼で駅員の仕事をしている。
すると、俺の目の前で電車の飛び込みをした女性が引かれそうになったため、俺はファイズアクセルを起動して助ける。
あっぶねぇ~。危うく事故る所だった。
女は何で助けたのと喚き散らすが、俺はビンタして説教した。
死ぬのは勝手だが、電車の飛び降り自殺はやめろ。
運転手、乗客者、鉄道会社に迷惑が掛かる。
それだけでなく、お前の両親にも迷惑が掛かる。
彼女は俺に抱き着いて泣き出した。
俺は彼女を駅事務室に連れて行き、なぜ自殺しようとしたのか事情を聞いた。
彼女は会社勤めのOLで、ひどいパワハラを受けて前の職場を辞めて再就職のために就活をしていた。今日も面接のために乗車して乗ろうとしたのだが、また人から傷付けられてしまうんじゃないかと思ってたら、ホームで体が動かなくなったとの事だ。
人間不信って奴か。
父親はとうの昔に亡くし、母親一人で自分を育ててくれたのに迷惑掛けっぱなしだったから、もう死ぬしかないと思っていたらしい。
彼女は俺に礼を言って帰ろうとしたが、俺はストップをかける。
しばらく、駅事務室に居てほしいと言って、待ってもらった。
この女性を放っとけば、また同じことをするだろう。
そんな危うさが彼女の中にあると考えた俺は残るように引き止めた。
そこに、依頼人の駅員の先輩が入ってきた。
「もし、あのまま電車が止まったらどうなってましたか?」と質問すると、先輩は険しい顔をして答えた。
その場合、彼女には損害賠償を請求しなくちゃならないとの事だ。隣の彼女はびくりと肩を揺らし震えていた。
安い金額ではなく、莫大な大金を払わなければいけない。
飛び込みによる賠償の内訳は、「遺体の処理費」「清掃費」「遅延の払戻金」「振替輸送代」など。
発生状態によって変わるそうだ。
今回はラッシュで利用者が多かったから大体1千万近く掛かるそうだ。
だがもし彼女が轢かれて電車が止まったとして、死んだ彼女には払えない。じゃあ賠償金は誰が払うか。
遺族だ。
しかも彼女の家族は母親一人。もし払えない事となると相続放棄の手続き取るしかないそうだ。
家や資産を相続しない代わりに賠償金はチャラにできる。
だがチャラにした分、鉄道会社が肩代わりしなくてはならない。
どっちを選んでも苦しいのは変わらない。
まぁ真面目な話をしたが、結局電車は止めずに助け出したから、問題なく通常通りに運転できてる。
だから、今回はお見逃しでいいんじゃないかな?と先輩に言ったら苦笑いして、今回だけとの事で許してもらった。
女性は勢いよく立って、俺達に謝罪をした。
そんな彼女に、先輩は自分の過去を話し出した。
昔、電車で人を轢いたことがあるとの事らしい。
「お前は悪くない」と色んな人に言われたが、先輩にとっては経緯などどうでもよく、「人を殺してしまった」という事実だと語る。
そんな経験しても、駅員はやめないとか、凄い人だよこの人は。
それでも運転手の宿命と思ってても罪悪感は残る。
もし彼女があの駅で死んでたら、運転手にそんな思いを抱かせてしまう。
先輩みたいな挫けない鋼の心臓じゃなければ、トラウマになったり仕事を辞めたりしてただろーよ。
自殺は彼女が思ってるよりも、多くの人を不幸にすると先輩は語る。
それに何より一番の不幸は、女手一つで育ててきた娘が自殺して死んでしまった事だ。
母親が大事なら、不幸にしちゃいけない。
俺がそう語ると、彼女は涙を流して、何度も謝った。
これで少しは前向きに生きてほしいものだ。
俺は彼女を見送って依頼を終えた。
α月β日
数週間後。
俺はヒサメと一緒に最近行きつけになった喫茶店に寄った。
そこには自殺しようとした女性が明るい表情で接客してくれた。
俺が紹介した店で再就職したのだ。
ヒサメは「誰?知り合い?」と頬を抓りながら言ってきた。
事情は後で話すからその手を離しなさい。
そんな俺達のやり取りを見て、クスリと笑い出した女性は席に案内した。
女性は今までの経緯をヒサメに話し、自分を助けてくれた俺と、色々と手を回してくれた駅員のおかげで、自分に優しくしてくれる人も居るんだって思い出せた様だ。
お礼と謝罪を込めてここで俺が進めたこの店で働くことに決めたと語る。
「優しいね。」っとヒサメは言うが、また目の前で自殺されちゃあたまったもんじゃないからな。
っと答えたら「ツンデレ~。」と言いやがった。
誰がツンデレだ。
俺はヒサメの頬を引っ張った。
α月β日
キモ5こと俺達・・・というよりアサヲ達が芸能雑誌を読んでいた。
アサヲ達は歌手の「寺崎かよい」のファンで相当熱中しているようだ。
前までは城ヶ崎美嘉に熱中だったくせに。
彼ら的には、それはそれ、これはこれらしい。
便利な言葉なことで。
するとチダイがマスク越しで吐血。
何事かとチダイが読んでたページを読むと
「寺崎かよい、人気アイドルグループ「森林」のリーダー岡森けんじとの熱愛!!」
っという文春記事が載っていた。
それを読んだアサヲとルイとマチャソが吐血して倒れた
・・・あの、吐血するのはいいけど俺の机の上でしないでもらえない?
α月β日
この数日間、アサヲ達は学校を休んでいるようだ。
そこまでショックだったのかよ。
そして今日カレコレ屋にて、そのアサヲ達が休んだ元凶の寺崎かよいが依頼人としてやってきた。
元凶って言っても、本人のせいじゃないんだけどな。
あいつらが勝手にへこんで勝手に休んでるだけの話。
まぁあいつらの事は置いておいて。
彼女の話を聞くと、どうやら誰かに脅されているようだ。
懐から手紙を出し、机の上に置いた。
「男と別れろ、さもなくば殺す。」
という内容の脅迫状だった。
これってアサヲ達の誰かじゃないよな?
若干、あいつらを疑ったがそんな事する奴らじゃないと即否定した。
シディは別れればいいじゃないか?と言うが、彼女は机を叩き「それは出来ない!」と大声出した。
どうやら、その岡森というアイドル歌手と一緒に仕事していろいろと優しくしてもらい、失敗しても慰めてくれ、助けてくれたその人柄の良さに惚れて好きになったみたいで、別れるつもりはないらしい。
その真剣な彼女に俺らは依頼を受けた。
ヒサメからどうする?と聞かれた。
一先ず俺らは彼女の護衛をする。
ファンの仕業なのかどうかもわから無い以上
張り付いて守るしかねぇと思った。
彼女の周りに怪しい人がいないかを探索しつつ行動。
行動してから数分。
とある喫茶店にて、寺崎と岡森が変装して密会をしていた。
こんな場面、アサヲ達が見れば発狂もんだな。
二人の会話を聞くに、お互い距離を置いた方がいいと岡森は語りだし、寺崎は悲しい表情しながらも了承。
岡森が寺崎の手を握り、いつかほとぼりが冷めたらまた会おうと言う。
そんな岡森の顔を赤くする寺崎。
シディとヒサメは二人の祝福を願うが。
俺はど~も、あの岡森は信用できない。
寺崎のライブ
シディとヒサメはライブ内で待機。
俺はというと、岡森が入ってる便器のドアの前に立っていた。
具現能力で、ずっと奴の後を追い、怪しい行動をしてないか警戒していた。
すると奴はドアの向こうで、寺崎の事で誰かに電話をしていた。
マネージャーなのか事務所のタレントなのかは知らんが、明らかにあった時とは態度が違っていた。
どうやらこの岡森、近々やる大河ドラマのためにわざと寺崎の事務所に脅迫状を送りこんだ張本人だって事が分かった。
「女遊び慣れてない女は駄目だ。ちょっと優しくしてやっただけですぐ本気になる。」っとクズ発言を連発。
録音した事だし、俺は片足を上げドアを思いっきり蹴り壊した。
急に俺が入ってきた事で驚き怯える岡森。
「お前の血は・・・何色だー!!」っと叫んで顔面を蹴ろうとした所で寸止めした。
白目で泡吹きながらしょんべん漏らした岡森の情けない姿を写メって便所を出た。
二度と悪さしないように、事務所に釘さしておくか。
ライブ終わった頃、寺崎を呼んで、岡森が脅迫状を送った張本人だと説明したら、悲しそうにしながらも作り笑いして大丈夫と言ってきた。
彼女が言うに、男運が悪いらしい。前好きだった人がホモだったらしい。
マジかよ・・・。
男にフラれてアイドルとしての人気が下がって、何も無くなった。
そう言って涙を流した。
俺はスマホをいじり、とある人物たちにテレビ通話を繋ぎ寺崎に見せた。
画面の向こうにはアサヲ達がこれからも応援するとか君のファンはやめないぞと思いの丈を告げた。
少なくとも、この4人は君のファンは居てくれるだろ。
これからも頑張って行けばいいさ。
俺がそう言うと、寺崎は大泣きし「ありがとう」と礼を言った。
芸能界は大変だと思うが、負けずに頑張てほしいもんだ。
おまけ
ライブの帰り道
ヒサメ「ところでカゲ。
何で岡森さんが犯人だと分かったの?」
カゲチヨ「犯人とまでは分からなかったが
怪しいとは思った。」
シディ「なぜ彼を怪しいと思ったんだ?
いい人だと思ったんだが・・・。」
カゲチヨ「寺崎さんが依頼に来たとき、少し調べたんだが
どうやら近々、岡森主役の大河ドラマがあるという
噂があるらしい。もしそれが本当なら、
スキャンダルで主役交代になる恐れがある。
それに、あいつには黒い噂もあってな。」
ヒサメ「黒い噂?」
カゲチヨ「なんでも寺崎以外にも他の女優やアイドル数名に
手を出しているらしい。まぁこれはスレとかの噂だから
全て信用できる・・・とまではいかないけどな。
だから念のために見張っていた。」
シディ「スレ・・・とはよくわからないが、
そんな噂を書くって事は、何かの信憑性のある話が
あったからじゃないのか?」
ヒサメ「ただ嘘書いてただけじゃないかな?」
カゲチヨ「もしかしたら、岡森を陥れるために
同業者が書いたのかもしれないな。
例え、嘘だろうと陥れたいほどの理由があった
・・・かもね。」
ヒサメ「・・・」
シディ「芸能界と言うのは怖いな。」
カゲチヨ「あくまでも、憶測だけどね。」
ヒサメ「カゲの憶測は大体当たるから怖いんだけど。」
カゲチヨ「へこむわ~。」