カゲチヨ日記   作:yakyo

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α月β日

 

カレコレ屋に映画のプロデューサーがやって来て、俺等に映画の監督と脚本をやってもらいたいとの事だ。

 

お帰りはあちらですと言ったらちょっと待てと慌て出す。

未経験者に何依頼してくるんだよ。

そーいうのはちゃんとした監督と脚本に依頼しなさいよ。

 

それでも俺達にやってほしいんだと。

仕方がないので話だけ聞くことにした。

 

どんな映画の話が決まってるのか聞くと、とある漫画の実写化だそうだ。

 

お帰りはあちらですと再度言ったらまた慌て出した。

 

実写とか失敗臭しかしないんだが?

俺達が脚本なんかしてみろ、炎上確実じゃねぇか。

 

乗り気しねぇ~なぁ~。

俺がそんな態度取ってると「何故そんなに冴えない表情してるんだ?」っと聞いてきた。

そりゃあお前、漫画の実写は叩かれる傾向が多いのだよ。

漫画ファンの期待を応えられなければすぐに叩かれる。

 

それに変な改変やらで、物語の面白さが半減してしまう。

いや、半減どころではないのかもしれないな。

 

プロデューサーはビックチャンスと言うが、そんなビックなチャンスなんていらねー。

映画監督だとか有名原作だとか役者が豪華だとか、良い事風に言うが監督全員断ったんだろ?

だから俺等の所に来たって訳か?

俺がそう言うと、どうやら図星だったようで言葉を詰まらせた。

 

人気漫画の実写化なんて、危険極まりないからな。

そりゃ叩かれる要素があればプロでも断りたくもなるわ。

 

それに俺達に回った来るほど断られたって事は、作者が結構な頑固者かファンが過激な原作って感じか?

 

どうやら後者だったらしい。

原作者もそこまで乗り気ではないらしい。

じゃあその実写化やめろよ。

何でそんなにやりたがるんだよ。

 

プロデューサーは勢いよく立ち上がり、お客に素晴らしい映画を届けたいっと言うが、それは儲かるからやりたいんだろ。

また図星を突かれて言葉を詰まらせた。

 

人気漫画は元々ファンが多い。

期待値は低くても、とりあえず観てくれる層が居るって訳だ。

更に漫画の原作量は安い。例えば、70億円の興行収入が出た漫画原作の原稿料使用料は25万って噂がある。

つまり、ある程度のリターンが約束されてるのにローリスクって事だ。

 

俺が説明し終えた時、プロデューサーはしょうがないじゃないか!っと子供の様に泣き出した。

本人だってやりたくない。でも会社は社員とその家族を守るために利益を上げなきゃいけないと叫び出す。

 

いや、だから何だよ。

利益上げるならもっと他になかったのかよ。

漫画原作者が考えたオリジナル作品を映画にするとか。

 

なぜ人気漫画と言う炎上爆弾を俺らが抱えなきゃいけないんだよ。

こんな依頼お断りだっと言ったら、プロデューサーは泣きながらこちらに擦り寄って来る。

えぇい鬱陶しい。

 

こやつが言うには原作は人気少女漫画「異宙の彼方へ」なんだそうだ。

残念ながら俺は少女漫画は専門外だ。

しかしこの「異宙の彼方へ」というタイトルに反応したのが一名居た。

 

ヒサメである。

 

どうやらその「異宙の彼方へ」略して「イチュカレ」の愛読者らしい。

そのせいで、この依頼が強制的に受ける事になった。

 

あ~あ。俺知~らね。

 

その「異宙の彼方へ」という漫画の物語は、異宙人と人間の恋の物語なんだと。

異宙人は王子様が訳あって地球の高校に転校してきて、人間の女子高生と惹かれあっていく。

その時、王子を巡って戦争が起きて、そこにヒロインが想いを伝いに行くらしい。

 

ヒサメはオタク特有の早口で説明。

ご丁寧な説明ご苦労さんな事だ。

 

脚本は原作の漫画通りにやればいいんだが、そうは行かないようだ。

 

異宙の王子を演じる役者がアイドルグループらしい。

あ~これ聞いただけで雲行きが怪しくなった。

 

事務症の傾向で、そのアイドルを使うならグループ49人全員を名前のある役で出せって事らしい。

はい、原作ファンの怒り所その1。

 

松野6兄弟ならともかくAKB48かよ。

そんなに居るならイケメンパラダイスでもやってろ。

 

ヒサメはこれを聞いて驚いたが、予想してた事だろうが。

安易に依頼受けやがって。

これ全部脚本に書きださなきゃいけないとか、あ~頭痛が痛い。

 

んで今回のヒロイン役だが、人気若手女優を起用してるらしいが、スケジュールの調整が合わなかったらしく撮影を三日で終わらせてくれっとの事らしい。

 

調整できないなら役者替えろ!

もしくは撮影日を先伸ばせ!

三日とか出来るかバカヤローが!

上がその役者ならチケット売れらだと言うが知るか!

その上の者呼んで来い!

 

それとスポンサー関係の話になり、ヒロインが文化祭でドレスを着るシーンがあるらしいが、あのシーンを和服に変えてほしいそうだ。

原作ファンの怒り所その2

 

もうこれ、炎上商法したいとしか思えねぇよ。

こんなの絶対に炎上不可避に決まってるんだろーが。

よくこれでビックチャンスとか言えたなオイ。

 

こりゃあ、他の監督たちも断りたくもなるわ。

 

そしてクライマックスの戦争シーン。無しにしてくれとの事だ。

原作ファンの怒り所その3

 

予算の都合上らしい。

そりゃあ俳優が49人に人気女優使えば予算なんてすぐに消えるわ。

 

それと期限がカツカツらしいから急ぎ目でお願いしたいんだと。

 

とりあえず出来さえすれば何でもいいそうだ。

どうせ何だかんだと金払って見る客が居るんだから、ビジネスになるなら、つまらなくてもいいと言い出した。

 

そうかそうか・・・。

 

 

って出来るかバカヤロー!!

俺はプロデューサの顔面を蹴った。安心しろ手加減はしてる。

 

そんなんだから漫画の実写化は炎上すんじゃ!

漫画と読者を舐めんじゃねぇよ!!

 

そんなに漫画実写したいならもっと全力で取りかかれよ。

ただ出来ればいいってもんじゃねぇーだろ。

 

俺の言葉に続きシディも反論。

どんな制約があろうと原作ファンや漫画家さんが楽しみに待っててくれてるはずだ。

だったら、中途半端に作らず、少しでも面白くするための努力するべきだろう。

面白い作品を作れば売り上げも上がってビジネスにたるだろ。

 

 

俺はヒサメの方に向き「そこん所、ファンとしてどうなんだよ。」っと言うと、「私、やっぱり面白くしたい!!」っと力強く言った。

 

良く言った。

それじゃあ、この作品を全部崩してオリジナル作品を作る。

賛否は分かれるだろうが、この方法しかない。

本当はこんな原作ブレイクしたくはないが、仕方がない。

 

それを待った掛けるプロデューサー。

原作者は改変に敏感。少しでも製作者側に我を出せばすぐに炎上すると言うが、んなの今更だわ。

どっちを選んでも炎上は不可避だわ。

 

ヒサメはこの作品が駄作に終わるのは嫌だと言い、だったら少しでも楽しめるように作りたいと言う。

 

ヒサメの言葉に溜息を吐きながらも、了承し期限の件をなるべく交渉してくれるそうだ。

 

あ~あ。今日は徹夜だなこりゃ。

 

 

α月β日

 

数週間後

 

「異宙の彼方へ」の上映日

 

原作から大きく改変した形を公開。

結果は、原作から離れたため叩く人が居るが、内容の面白さに評価してくれる人が居た。

 

まぁ賛否両論なのは仕方がない事だ。

だが、駄作よりはマシだな。

凡作程度にはなったはずだ。

 

映画の評価にヒサメは少しへこんでしまってるが、創作なんてそんなもんだ。

面白い奴もいればつまらないという奴もいるもんだ。

 

まぁ、もう二度と漫画実写の脚本なんてやりたくないがな。

 

 

 

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