「運営のELダイバー?」
メビウスとBUILD DIVERSの邂逅から数日して、BUILD DIVERSのフォースネストでは、その時いなかった二人がメビウスについての話を聞いていた。
「はい、すごく頼りになる人なんです!
よくわかってないというか、教えてもらえなかったところもあるんですけど…」
「そう――おいしい――調べてみる余地は――辛味がいい――ありそうね
――もぐ――おかわり。」
「話聞く時ぐらい食べるのやめなよアヤメくん…」
コーイチの作ったペペロンチーノをほおばりつつ神妙な――全然神妙そうじゃない――表情で詳細を聴き出しているくのいち風のダイバーの名はアヤメ。
BUILD DIVERSの情報収集担当で、普段は何か変わったことはないかと各地を飛び回っている。
今日はもう調べを終えたようで、とりあえず拠点に戻ってきたらしい。
ちなみにかわいいもの好きである。
「でも、話を聞く限り悪い人じゃなさそう
だってリクがこんなに信じてるんだもの」
「サラもそう思うよね?」
アヤメの隣に座る、全体的に色素の薄い少女はサラ。
電子生命体・ELダイバーの一人で、現在はビルドデカール技術によって現実世界とGBN、そのどちらでも生活できるようになっている。
かつては彼女の是非をめぐって騒動が起きたこともあったが、リクたちの奮闘もあってすべてのダイバーがその存在を認めている。
ちなみに彼女もかわいいもの好きである。
「確かに怪しげなそぶりはないし、その黒いガンダムのことも含めて信用していいんじゃないかしら
もしもの時は対処すればいい話だし、運営に問いただすなんて手もあるはず
それにバグなんて、膨れ上がる前に対応策を考えた方がいいわよね
――コーイチさん、おかわり」
「腱鞘炎になるよ?」
すでに空の皿を山と積み上げ、なおおかわりを要請しながらアヤメは判断を下す。
ちなみに電子世界なのでコーイチの手首が破壊されることはない。現実は非情である。
「アヤメくんもこう言ってるし、とりあえずは信用してみようか
幸い全員戦えるし、緊急時も何とかなるだろう」
メンバー全員の賛成が得られたことで、本格的にリクたちの運営への協力が決まった。
これから彼らは、運営にその旨を伝えることとなる。
☆ ☆ ☆
GBNの中心、あらゆる構造物よりもはるかに高い、GBN・セントラルタワー。
ダイバーたちがログインして最初に現れる場所であり、ミッションを受ける場所であり…
そして、この世界の秩序を司る運営が、その天秤を握る場所。
その無機質な廊下を、リクたちはまっすぐに進む。
「やぁ、待ってたよ」
しばらく進むと、人のはけた広場にメビウスがいた。
運営への伝達に向け、彼に管制塔への案内役を頼んでいたのである。
「案内よろしく頼みます、メビウスくん」
「任せて、多分待ちかねてると思うから」
「?誰がですか?」
「ううん、何でもない」
メビウスの後に従い、広場を抜けた先にエレベーターがあった。
ガラス張りらしく、中からGBNを一望できるようになっている。
全員が乗り込むとメビウスはぴぽぱと基盤を操作し、エレベーターを作動させた。
「一度は会ったことあると思うけど、難しい人だからね
きみたちならまぁ、少しは甘めに見てくれるかもしれないけど…」
ガラス窓の向こう、はるかに広がる電子世界を見つめながら、メビウスはつぶやく。
しばらく景色を眺めていると、やがてセントラルタワーの最上階についた。
さあ入って、とメビウスに促されるまま中へ進んでいくと、ぱりっとしたスーツに身を包み、難しい表情でディスプレイを睨んでいる人物が部屋に中心部に立っているのがわかる。
「ゲームマスター、連れてきたよ」
「…あぁ、来たか」
「「「「「「えっ?」」」」」」
驚愕のあまり固まってしまうリクたち。
なぜならメビウスがゲームマスターと呼んだ人物は、彼らの知る人物とは遥かに異なる姿をしていたからだった。
微動だにしないリクたちを横目に見ながら、ゲームマスターと呼ばれた彼は嘆息する。
「そんなに驚くことでもないだろう」
☆ ☆ ☆
「話はメビウスから聞いていると思うがそういう事だ、BUILD DIVERS
…そうまじまじと見つめるな、ただの単独行動用の軽装備だ」
「別垢ってこと?」
「そうだ」
せわしなく両手の指を動かしディスプレイを操作しながら、若干うんざり気味にゲームマスター――現在のアカウント名は「
どうやら運営は人手があまり足りていないらしく、彼自身も解決のために直接働いているらしい。
いつもなら運営用の本アカウント(おなじみガンダイバースキンのアレである)を使用しているのだが、そういう事情もあってかもっと身軽に行動する必要があるようで、現に管制棟の真ん中では彼の本アカが自動運転で稼働している。
「昨日話した通りだけど、これからはぼくたち…つまり運営との共同作業が主になる
昨日のアレみたいな各個で撃破なんてことはよっぽどのことがない限りないと思うから、一緒に頑張ろう!」
ゲームマスターの横に立ったメビウスが高らかに宣言しながら、リクたちに微笑みかける。
「よ、よろしくお願いします!」
「あぁ」
ここに、運営とBUILD DIVERSの共同戦線が確立された。
〔あとがき〕
すいません。前回に引き続き無印ダイバーズお披露目回です。
本当にごめんなさい、こういうのやり始めると止まらなくなる性分で、ついつい2枠使っちゃう作者の悪癖です。
次回こそは話を進めるので、お待ちください!
(あ、あとできれば評価とか感想とか出してほしいです!
どんな意見でも改善と励みになりますので、どうぞ忌憚なく!!)