自称真人のヒーローアカデミア 作:無花果
今年もよろしくお願いいたします。
そんな応用の幅を広げる機会も、潜みながらでは思うように上手く行かないのは自明の理で、だからこそというべきか。多少なりとも露見の
人気の少ない路地裏で屯する
目的は当然、術式の解釈を広げることだ。一人たりとも逃がすつもりはないし、部下にする気だってない。
結局最後は殺すのだから、態々そんな足取りを遺す意味もない。
当に死んだ魂が、骸を離れて好き勝手しているだけの亡霊に過ぎない。
「な、なんだテメェはーーーっ!?」
「い、い、い、何時から其処にいたァ!」
「気持ち悪ィ見た目しやがって、何か用かゴラァ!!!」
突如として現れたようにしか見えなかったであろう
そんな小動物じみた怯えを前にして、
「別に取って喰おうって訳じゃないさ、でもちょっと個人的な疑問の解消に付き合ってよ☆」
ああ、
初めは勘違いした馬鹿が、ヒーローの真似事をしているんだと思った。
継ぎ接ぎだらけの気持ち悪い見た目の男がいきなり現れて、ついビビッて委縮しちまった。
そんな自分を誤魔化すように大声を張り上げ、武器を取り出して威嚇する。
それだけで大抵の人間は警戒して顔を顰めるか、怖くなって逃げるかの二択を迫られると経験で知っていた。
なのに恐れも警戒もせずに、背筋が凍りそうになる位に悍ましい笑顔を浮かべて愉し気に向かってくる始末。
その過ちを、俺等は命で償う羽目になったんだから。
「い、、いぎィいあァアアアアアああぁぁあああ!!!!」
男に手で触れられた奴が金切り声を上げて身体を引き攣らせる。それはまるで断末魔のように鋭く、芯にまで響く絶叫だった。
そのすぐ後に、目に見えて異変が現れた。
「な、何だよ、アレ……!?」
腹が妊婦のように膨れ上がり、内側から爆発するかのように破裂した。血や臓物を周囲に撒き散らし、多少距離のあった俺らの身体にもその一部が付着する。
ベットリと不快な、けれど温かみのある液体が滴る感覚は不快で、喪失しかけていた意識を強引に現実に引き戻すには充分すぎた。
あまりにもあんまりな死に様に、俺等は恐慌状態に陥った。
「い、イヤァーーーーーーーーーッ!!?」
「何だよアレ、何なんだよぉお前ぇえええええぇぇえええええ!!!!」
「逃げろ、逃げろォオオオーーーーーーーーー!!!」
ある者は泣き叫び、ある者は恐怖で引き攣って腰を抜かし、またある者は恥も外聞の一切も捨てて逃げ出そうとする。
けれど、無駄に終わった。既に俺らは目の前の死神の掌の上だった、文字通りの。
「逃げちゃうの、つまんないなー。もっと遊ぼうよ、俺と!」
幼子のように屈託のない笑みを浮かべた男は、まず真っ先に逃げた奴に狙いを定めて腕を伸ばす。
その腕は可動範囲を大きく越えて伸び、刃物のように先端を鋭くして、
まるで人間の解体ショーを見ているようだと、俺は何処か冷静にそんな奴の死に様を見据えていた。
並の
「ひ、ひぃ、ひぃいあーーーーーーーーッ!!」
それを見ていた俺とは違う奴が、涎を垂らして正気を失った濁り目で男に襲い掛かる。そんな奴の姿を、男は何処か待ち望んでいたかのような目で構えていた。
男の胴体にナイフが刺さる、何の抵抗もなくスッと入っていく刃先に何処か美しさすら感じ、思わず見入っていた。
刺した感触を認め、震えていたソイツは幾分か落ち着きを取り戻していたようだった。それを見ていた周りの奴らも、遅れて安心したのか弛緩した空気が周囲を包む。俺もさっきまで感じていた畏怖の念をすっかり忘れて、忘れようとして。
「ふぅ……なるほど、
それが仮初の安心だったと、すぐに思い知らされる事になった。
ナイフが刺さった男の身体は粘土細工のように流動し、ナイフを蠢かせ弄ぶように向きを変えるとそのまま刺した奴の顔面目掛けて突っ込んでいく。
碌な抵抗も出来ず、ソイツは恐怖に表情を歪めたまま脳天を貫かれた。ナイフの先端が、奇怪な角のように飛び出ている。
男が何を納得したのか、どんな疑問を抱いていたのか。自分の命の危機すら棚に上げて、そんな事を俺は真面目に思案していた。
眼前では必死に抵抗する仲間の姿と、それを冷静に対処し確実に命を刈り取る男の姿があったのにも拘らずに、だ。
やがて周囲で生きているのが俺一人になって、男に首を掴まれ持ち上げられても現実逃避のように考えを模索していた。
「へぇ、君。このまま死ぬのに怖くないんだ?」
魂に澱みが少ない、と男は一人ぼやく。
どうせ今にも死ぬ命だ、最期に残った謎を氷解させて死ぬのも悪くはないだろう。
死への恐怖も理不尽への憤怒もかなぐり捨てて、俺は男に問い掛けていた。
「なぁ、何で俺達だったんだ?」
「はぁ? 言ってる意味が分かんないね、何が言いたいんだい?」
「アンタは言った、個人的な疑問の解消が目的だって。それが俺たちを使っての実験なのか、殺す事そのものが目的なのかは知らないけど、俺達が狙われる理由があったのかなって思ってな」
良くも悪くも、俺達は世間から焙れた落ちこぼれだ。社会からドロップアウトし、何時野垂れ死んでも文句を言えない負け犬だ。
そんな何処にでもいる、一山幾らの屑をどうして使おうと思ったのか。
今際の際の疑問としては少々覚束ないが、大した意味はないのかもしれないと何処か達観して最期の言葉を紡ぐ。
そんな俺を、男は何処か感心するように何度か首肯すると笑みを浮かべて答えを投げ遣して来た。
「んー……最初は目に付いたから、何処にでもいるようなチンピラを使って術式――ああ、君等にとっては個性か。個性の経験を積もうと思ってね」
「なるほど、って事はアンタは
「まぁ、この世を善悪で無理やり二極化したらそうなるんじゃない?」
良くある話か、弱い奴が強い奴に食い物にされる。弱肉強食、自然界における絶対法則。こんな惨たらしい死に方をするとは思っても見なかったが、運が悪かったと諦めきれる。
ああ、俺は結局ーー何者にもなれない半端者で終わるんだなぁ。それがどうしようもなく、悔しかった。
「ああ、今は君達で良かったと思ってるよ。君みたいに絶体絶命・危機一髪の瀬戸際に立たされて、自分の最期を冷静に見据えて覚悟を決められる、カッコいい決意を垣間見れたんだからさ」
「ハッ、逃げられないと悟って諦めただけさ」
「それでも大抵の人は泣き喚くよ、無様にね。やめて嫌だ、死にたくない。助けて神様、お母さーん! ってね。自分の醜さ、愚かさを棚に上げてさも聖者のように」
ああ、目の前のこの男の事が少しだが分かってきた。
この男は人間に、或いは自分にか……兎に角、強く深く絶望している。
人間の善意を底抜けに信じていたからか、或いは信じていた誰かに裏切られたからか。どちらにせよ、録でもない体験をしたのは明らかだ。
だがどうしようもない、これから死ぬ俺では救えない。死ななくとも、俺ではどうしようもないだろう。
だからせめて、この男が何時か報われる事を強く祈る。どうか幸せになれずとも、救われてくれと。
「だとしても、だ。俺はもう諦めた、
「そうだね、もうそろそろ騒ぎを聞きつけたマスコミ連中が来るだろうし。今はただ、君に感謝を」
掌が俺に触れる、意識が遠くなっていく。痛みはない、不思議と死の恐怖も感じていない。
やっと終わると、心の何処かで安らぎを得ていた。
意識を手放す直前、最期に見たのは此方を穏やかに見つめる男の瞳だった。
「其処にいるんだね、
最期に聞こえたのは、怖気が奔るような悍ましい別の男の声だった。
Q.お前が大人だったことがあんのかよ?(友人からの催促)
A.どうやろ? 真依ちゃんに聞いてみよか(目そらし)
Q.真人もとい真仁くん倫理観壊れてね?
A.毎日不気味な粘土細工(比喩表現)に興じていればそうなるかと、まだ覚醒してないからね。
覚醒したらOPの真人みたく、笑顔でスキップしながら無為転変で遊び倒すだろうから今はまだまだ幼体みたいなもんです。
Q.チンピラくん達が一体何したって言うんだ!?
A.その辺にいて、いなくなっても大して気にされない存在且つ悪意を以て人の尊厳を容易に踏みにじれるロクデナシだったからこそ目に留まった感じです。
その辺の一般人の誰がAFOシンパなのか分からないのと、まだ呪霊としては幼い真仁くんだから無関係な民間人だったら心痛むなーとふわっと考えてたのもあります。
Q.真人くん物覚え良すぎない? チートか?
A.そもそも無為転変そのものがチートだからセーフ理論(すっとぼけ)
それは兎も角として、他にやるべき事もやりたい事も一切ない状態だったので、思考や感覚が目の前の蹂躙に全部振り分けられてたから物覚えも速いです。原作初登場時の真人と比べてまだまだ感覚を掴み始めた位なので其処まで強くないです。今はまだ。
Q.AFO「来ちゃった♡」
A.真仁「帰って(震え声)」
次回、最初からクライマックス。
Q.続きは何時?
A.お正月は皆さん忙しいだろうから、多分見つからないだろうし(遅くなっても)ヘーキヘーキ。
そう思ってた時期が、私にもありました……新年早々地震って何だよ(畏怖)