東方夢幻界鄕 ~有り得たもう一つの可能性の物語~   作:龍姫★サキ

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始めて東方作品の三次創作を投稿します。
今回は、【古明地さとりは覚り妖怪である】のハーメルンの小説を題材に繰り広げられるもしもです。
もしも、元日本人の記憶を持った者がさとりの他にも居たのならどういう展開へと持って行ったのだろうかの妄想を現実にしてみたく書いてみました。
話の内容は概ねその作品とほぼ変わりませんが、その内容の含みに若干自分が想像した展開をいれてみた…そんな感じですね。

それに投稿感覚は、気紛れに投稿するので不定-
さとり「くどいです。さっさと始めてください」
幻月「そんなの後からどうとでもなる。早く始めて」



001話 目覚めるさとりは頼もしい相方を持つ。

さとり視点…

 

わたしが『私』を認識したのはいつからだっただろう…

それを自分の中で繰り返すこともう何分か…という意味も何もない自問自答をしても答えは得られずそれの繰り返し…分かりやすくするなら、突然と自分の中に眠っていただろう意識という名前の『自分』が芽生えた…みたいな?

 

 

…いや、『意識』だけなら数年前からあったようで。

…だけどうろ覚えみたいな、霧みたいな靄が頭の中にかかって上手くしっかりと表現は出来ない。…まぁ、何とも言えない思い出はある。

 

それが、無意識だったのか…

はたまた意識が何処に向いていたのか…。

 

…それが全く分からないのだが、取り敢えず意識はあった。

そしてついさっきようやく私と言うものを認識したようだ。

…と言うかさっきから誰に話してるんだろう。

 

と不確定に言うのもただ単純にはっきり記憶してないからだったりする。

 

ただし私が私を認識した時点で私は誰なのか。…そしてそれがなんなのか。…そして意思が…など、色々と思い出していった。

 

私は、古明地さとり。

誰が名付けた訳というのではなく、あくまで『私の意思が私の姿』を認識した際に

『ある記憶』のある情報の姿と酷似している者から取ってきて当てはめた名前だ。

 

そう私は…私の現在の脳は西暦202×年の日本という国並びそこで生きていたとされる一人の人間の記憶が丸々入っている状態のようだ。

…まぁ、それが私であったかと言われればどうか分からない。赤の他人の記憶なのかもしれないし、または、私の前世の記憶なのかもしれないし。

 

俗に言う転生と言う奴だろうか…?…いや、それとも時間逆行?…それとも憑依?…まさかのTSF?

 

それにしてはこの記憶を自分の意思が体験したものでは無くただの記憶として持っている。

…あくまでも知識としてしか認識してないのは不思議だ。

…うーん、心を読む妖怪だからだろうか…。まあ、そんな事は今はさしたる問題じゃない。

 

この身体が東方projectという弾幕シューティングRPGと呼ばれるゲームに出てくる全キャラの内、とある作品中の何処かのステージにて其処の『地霊殿の主』と経緯がすれ違い、それ故にして戦う事になるある種『トラウマボス』という事について…

 

…って、今言うことでは無いのでそういう話系はまず後だ。…話は戻すが、ついさっき私を認識した時点で私は何処かに閉じ込められているようだ。

 

周りが硬い壁?

…木?のような物に囲まれ全く身動きが取れない。

 

その上紐のようなものが絡んできて余計に動き辛い。

…って、あっ!?これって『サードアイの管』だ。

うん。新たな発見。そして悲しいことにそれが本当にどうでもいい発見であった。

 

…うん。

まぁ、あまり動いていない身で自分が言えることでは無いが……もう。この管邪魔!

 

って言って外す事になるなら何がさとり妖怪であろう。というか、その前に管が切れて血が絶えず流れて死んじゃう!

 

と、深く考えても埒が空かないので、取り敢えず闇の中にいつまでもいるのは本心で嫌なのだ。

まぁ、此処から出たところで闇じゃないなんて保証も何処にも無いと言い切っても、それを言ったらそれで終わりだろう。

 

というか、永遠に終わらない話題である気がしてきた。

 

…取り敢えず天井?のような部分に両手を付けて押してみる。…うん、見事に開かない。

…解ってはいたけれども!

 

それなら、壁もって…うん。ビクともしないね。

どちらも同じ…まぁ、それなら、天井の方がまだマシかもしれない。

 

……妖力だとかそう言う…未だによく分からない力を使えば何とか出来るのか?

 

…って言うか妖力だとか霊力だとかなんてどうやって使うんだ?切実な話、さとりの記憶。

 

…まぁ、意識があった頃の記憶から少なくともその力のヒント位は得てみようかと思ったのだが…それ以前にこの身体の意識はあるのにどっちにしろ『何もしてない』

 

もぅ、無意識、意識した関係なく本当になにもせずここにずっといた様な気すらしてきた。

 

いや比喩とかじゃなくて本当にね。

この身体が無意識中でも一切動いてないの。

 

そもそも細胞単位ですら動いてない。

いや、死んだみたいな意味じゃないから安心を。

それでも意識はあっても生命活動無しじゃどうしようもない。

 

結局『闇に慣れた』…って事だけを習得した。

意味もない収穫でもあるが。

 

でも私は闇が嫌いだ。矛盾かな?

だって暗いの嫌なんだもん。

そんな理由でって?

 

理由なんてそんなものよ。

その後も色々試してみる。

 

すると…その過程の途中…

 

「ふぎゅ!?」

 

と可愛らしい一声が私の足元から聞こえてくる。

これは誰か踏んだな。

 

そう思い急いで退ける。すると暗闇のなか立ち上がった音が聞こえてくる。

そして。

 

「うぅ…ぐぐぅ…。イテテ…。もぅ、誰なの?私を踏むなんてぇ…今日は散々ね…」

 

「す、すみません…。この暗闇ですから前が良く見えなくて…ですね…」

 

この謝罪こそが、初めて私が口を動かして話した第一声であった。その謝罪の声に踏みつけてしまった相手は反応し、起き上がる。…暗くて黙認出来ないので音で判断するしかないけど…。

 

「良いよ。まぁ確かに、何者かは知らないけどさ…こんなに暗いなら、私がここで倒れてて、貴方が気付かないままに私を踏んでしまっても貴方に非は無いし…」

 

と良く見えない相手はため息混じりで正論を話す。

 

話し方から察すると、畏まった話し方が出来ない人なのかもしれない。

良い意味では話しかけやすいお人好し。

悪く言えば空気か読めない嫌な奴。

 

「…その、それは、すみません。…本当に見えなかっただけなんです」

 

「え?あ、いいよ。いいよ。そんな謝んなくてもさ。視界が悪いのがいけないもんね。それに、貴方ともこうしてないと会えなかったかもしれないし…?」

 

それは、遠回りに貶しているのか…そうじゃないのか…いえ、どうでしょう。

 

…と、話がそれました。

 

「…こほん。それで…なんですけど…。ここの暗闇は、どうしたらいいですかね…?」

 

「それを私に聞く?…んぅ~。そりゃ…私の力をもってすればこのくらい…って言いたい所だけど…。むやみやたらに私の力を行使したりでもしたら逆に何処か柱を壊して私達が生き埋めにもなりそうだし…うーん。いやぁ~。難しいなぁ…」

 

うん、だめだこれ。

ついでに言うとこの人の頭がそもそとダメだったわ。

 

詰んだ。完全に詰んだ。

 

さよならーってこんな感じかなぁ…。

アハハ…。

 

永遠にこんな所に二人で閉じ込められてこの人生が終わったかもしれない。

 

……何現実逃避してるの私。

……。

 

あの人はもう考える事止めた感じなの?流石に諦めが速すぎるでしょ?

 

…何でわかるかって?そりゃ…呻き声の様なあの人の声が先程からプツリと切れたと思ったらドサッて、音がしたからだけど、多分、疲れたから倒れただけだと思う。

 

あの人の事は今はどうでもいいや。構っていると永遠に終わらない感じがするから。

 

とりあえず、私の中にあっあ人間としての記憶…便宜上、『前世記憶』と呼ぼう。

 

それがまだ残ってる。

 

あてになるかは分からないけど参考にしてみるのも……

 

………。

 

『諦めんなよ!どうしてそこでやめるんだ、そこで!もう少し頑張ってみろよ!ダメダメダメ!諦めたら!周りのこと思えよ!!応援してる人たちのこと思ってみろって!あともうちょっとのところなんだから!頑張れ!!頑張れっ!出来る、出来る筈だ!!』

 

……?!

 

……おっと間違えた。

 

……ってかなんだこれ?

てか応援してる人って、まず誰や…

 

…いや、少しは元気でたけど。…余りにも唐突な記憶の再生のせいで呆れて仕方なくな元気擬き的な奴だけど。

 

…ってな訳で、さっきのはノーカン。

 

改めて『前世記憶』の再生開始っと。

 

ふむふむ。

あー…なるほど。

 

…何となく掴めそうで掴めないかな?習うより慣れろを実践する時かもしれないな。…まぁ、とりあえず仕切り直して練習を始めましょうか。

 

先ずはイメージ。

 

よく使役エネルギーとかってイメージでどうこうって言うのがあるよね。…ってなわけで先ずはチャレンジ……

 

 

数分後……

 

なんやかんやしている内に、倒れていた人も暗闇の中私が何かをやっていることが気になったようで聞いてきたのだ。

 

今から私がやることをその人に説明してみたら…

「面白そうだから私も協力してあげるよ」

 

って、遊びじゃないんだけどなぁ…

 

まぁ、本人はやる気になってくれたようだし、協力者が一人でも多くいてくれた方が助かるし…てな訳で一緒に弾幕みたいな物を作る事になった。

 

それからというものであれこれ奮闘した成果が遂に実を結んだ。そう。

 

…『弾幕っぽいもの』だ。

色は…青色でよく分からないのだけど。

 

もう一方が私が作った『それ』の力を感じ取って一言。

 

「貴方…頑張った成果は確かに認めるよ?…でもさ、その…なんと言うか~。その青い弾幕…みたいな奴?にどれだけ妖力を込めたの?それは弾幕…と言うより爆弾みたいかなぁ~?…あぁ。これが俗に言う『爆弾幕』…なんちゃって」

 

面白くも何ともないし…。

と言うより何気に私をけなしてない?

 

少し傷つくけどね。…まぁ、あの人なりに私を気遣っているのだろう。かなり回りくどいけど…。と言うよりもそれを理解する私が凄いけど…。

 

 

…一方であの人はわたしよりも先に弾幕を作り上げた様で、私があれや、これややっている内にそっちはもう七つ以上の弾幕の組み合わせを作り出していたのだった。

 

……。

 

取り敢えず分かったことは…明らかに燃費が悪い!

 

お陰で私の妖力?はスッカラカン、例えると空腹時かの様に地味に痛い。

 

それでもって身体の重さが先よりも増した様なそんな感じ。あの人はもう言うまでもなき妄想と幻想の天才!付け加えると魔法の扱いが上手いと言うべきか。更にあれで目覚めたばっかというのだからこれがまた凄い。

…なんか嫌みと悪口みたいなのだけど気にしない。

 

 

 

本当は肉体強化とかそう言うのも浮かんだけどイメージ出来なかったから仕方ない。

 

それでは発射!

 

そう思って思いっきり天井に叩きつけようと構えようとしたが、その前に先の人が思いっきり試作の弾幕を真上にむけてぶちかました。

 

……それもかっこよく。

 

「…私が編み出したこれを遠慮なくぶちかますとしますか。…魔砲『マスタースパーク』!!」

 

それ、何処かの白黒が使っていたスペルカードみたいな…って…

 

「…あ、やり過ぎたかも…?」

 

「やり過ぎたかも…じゃないです!やりすぎです!」

 

 

何処かの森で雷の落ちるような音がした。

 

 

…実際は森じゃなく、ここで鳴った爆音だけど…

…うん、兎に角やり過ぎだ。ってか、やらせる前に止めるべきだった。

 

あんな狭い空間でマスパさせたら逃げ場の無い超爆風をもろ被るって事を、さ。

 

 

 

勿論天井?

 

……この際天井でいいや。

 

天井は完全に吹っ飛んだ。

 

それはいい、それはいいのだが…やり過ぎ。少しは加減したって…いや、あの人もさっき目覚めたばかりだから加減どうとかいっても理解するには難しいし言わないが得かな。

 

…そんな事よりも、先程の爆発のせいで私の身体は大きく吹き飛ばされ、同時に、私の身体は爆圧で派手に潰れた。

一方の先の方ももろに…ってマスパしている本人の場所だけ綺麗にくりぬかれて…潰れないとは。

 

あー。もう、この際、あの人は規格外です。うん。

呆れすぎて、もう言うこと無しです。はい。

 

 

それよりも私ですよ!!!骨どころが内臓まで押しつぶされてる。はたから見たら見事なスプラッタですよ。…え?痛くないのかって?

 

いやうん、痛い。

全身がヒリヒリする程度に痛い。

 

あれ?それってあんまり痛くない?

まぁ妖怪だし?

 

更に潰れた身体が再生しているようだ。身体が元に戻っている感じがものすごいする。正直気持ち悪い。身体がグニャグニャしてる。

 

するとあの人がこちらをみて一言。

 

「えーと。大、丈夫?身体は…。あ、大丈夫そうだね。うん。……再生する所を遠目から見てエグいね…再生する瞬間って」

 

解ってはいたけど、あの人ってかなりの毒舌なんだね。

 

それよりも…本当にこれは凄いよ。

再生…それに合わせて関節が動くようになり痛みが引いて行く。更にそこまで妖力を使っていないのが驚きだ。

 

あの人の方を見るとあの真っ暗な暗闇から解放されて日の光に照らされる。

先から話していた人の姿が現になった。

 

一見して天使の翼を持っており私と同じ位の背丈。

髪色は黄金色で目の色が金色。

寝巻きに見える服だが良く見ると薄い生地を使用した『ワンピース』である。

 

…可愛い。

私がそう思う位には、今の彼女の立ち姿が淑やかで清楚に美しく見えたのだ。

 

だが、一目みて口元の辺りでキラリと光った何がが合った。

そう、牙であった。

 

上を見上げると太陽が其処にあった。

 

……眩しい。

 

私があの人と同じように空を見つめた瞬間に目の奥が白く、そして、ツンっとした痛みで目を閉じる他なくなる。…再生したばかりの瞳孔が小さくなりまともに見えるようになるまでしばらくかかる。

 

そりゃあ年単位でここにいたんだから仕方ないね。

 

上半身を起こし頭上にデカデカと開いた穴から頭を出した。

その前には、先程の彼女が白い翼を大きくのびのびの広げたまま此方を振り向きその手を差し伸べた。

 

「ほら、手を貸すよ。」

「あ、その…ありがとうございます」

 

私が外へと出てからの最初の一声がこれだったのだ。

幼い子供の声でだ。

 

一瞬、風が起こり新鮮な空気を運んできてくれる。

 

土と草木の匂い。

 

心地が良い温度と湿度。

 

あんな狭い空間より断然良い。

 

一呼吸おき身体に新鮮な空気を送る。

その姿をみた彼女が可愛らしい声で話しかけてきた。

 

「スッキリした顔だね。…アハハ。なんか、私のせいで…ごめんね?」

 

「その事はもう良いです。許しますから。記憶から掘り返さないで下さい」

 

我ながら無意識にこう答えてしまった。

 

「…うん。……あの、突然で悪いけど貴方の名前って聞いても良い?名前がわからないとちょっと不便だし、呼び辛いし」

 

先程までの勢いは何処へいったのやら…。若干空気が凍った様な気もするが、気にしないことにしよう。

 

「…古明地さとり。それが、私の名前です。…貴方の名前は?」

 

「さとりかぁ…。ふむ。地霊殿の主様…ね。……。あ、えっと。私の名前は、…うん、幻月。幻のげんに綺麗な月のげつと書いてげんげつね」

 

幻月。…確か、東方の歴史上で古くも有名な作品に出てくる裏ボス。

 

『二代目マスタースパーク伝達者』の異名や『シスコン姉』という『超妹好き』を二つ名にされるなど忘れ難き白き悪魔…そしてこれまで出てきた全作品中、最も凶悪過ぎる難易度設定や初見殺し弾幕王とも呼ばれる作品のEXボスの姉。

 

1パターン攻略するのに時間を掛けすぎると『発狂モード』と呼ばれる狂化状態へと入り、全弾幕を放つスピードと弾幕自体のスピードが大幅に強化されてしまう。その為、舐めているとその難易度を大幅に上げられてしまう原初最恐トラウマボスの一体である。

 

 

…そんな幻月の知識は今はどうだっていい。

 

 

 

 

今、私は凄く清々しい顔をしているのだろう。

 

幻月の表情を見れば明らかだ。

 

そして現在の状態を言い表そうと大きく息を吸い込む。

 

 

「何処よここーー!」

 

 

と、大声で叫んだ。

 

……何処だろう。ここはさ。

 

「…幻想郷?」

 

幻月がボソッと先程の私が叫んだ問いに答えるのだった。

思わずこう突っ込んでしまう。

 

「いや、合っている。いえ、違いますね。…というか、ここはボケる所じゃありませんし…」

 

「…アハハ…。私だって貴女みたいに叫びたいけど、叫んじゃったらそれはもう子供みたいじゃない?」

 

…いやいや、そもそも貴女の見た目は子供みたいに幼いから別にいいんじゃないの?

…っていちいち突っ込んで行ったら永遠に終わらなさそうなので我慢する私だった。

 

それより、この場所って……

 

四方を囲うように建てられた西洋風の建物。

 

…ここは、多分、中庭なのだろう。

 

そして自分のいる穴は見た感じ墓?のようなところだ。

 

 

まさかと思い振り返ると丁度いい感じに墓石がある。

 

うん……

 

古明地さとりは考えるのを辞めた。

 

「うわぁ…?!」

 

「縁起悪い…」

 

…ロリボイスがそよ風に吹かれて消えて行く。結構可愛い声だよ?皆の想像しているだろう声よりもね。

 

ほんとお世辞抜きでさ…。

 

…先程幻月がうわぁ…って言っていた理由は訊かないでおこう。

大体想像が出来るし。

 

「…さてと、これからどうしましょうか」

 

と独り言を溢した私だったが、幻月が此方に歩み寄ってくる。

 

「…と、思い出したんだけどね?さとり。…話は現状から大分飛躍しちゃうけどさ…貴女って、今の世界についてはどれだけ知っているの?」

 

「え、と?突拍子の無い話をするのね?…え~と。き、奇遇ね?私もこの世界についてとか今の私の存在についてとかを貴女と一緒に考えようとした所よ」

 

「…なら、良かった。…ここらで私達が置かれているこの状況を整理する機会だし?…じっくりと話し合うとしましょうか」

 

墓場から出て、幻月の提案により、少しその墓場みたいな場所から離れて落ち着いた所に落ち合った。

そして今、この状況や自己紹介を含め二人で討論することになったのだった。

 

 

 

 

……げんじょうはあく…。

 

私は何故かここの『私』をゲームのキャラとして知っている。

 

私は現在よく分からない人間の記憶並び性格の一端を丸々受け継いでいる。

 

『私』は現在何処にいるのか、そもそもここは『私の記憶』にある世界なのか違うのか。

私は自身が持つ能力と自身が扱えるだろう妖力の使い方を全く知らない。

 

その事を幻月に全て話した。

 

すると、今度は幻月の方からも自身の状態について話し出した。

 

「私もね、貴女みたいに私以外の記憶が存在しているの。貴女と同じ様に言うなら元人間の記憶って所かな」

 

ん?この人。私と同じ?

 

まさかと思っていたけど私と似ている『人』だったなんて。だから、あんなに相互理解が早かった訳か。

 

「でも、唯一違う所を挙げるなら私の能力と妖力の扱い方が何故か判るって所かな。…本当に朧気みたいな感じでぼやっとしかイメージ出来ないけど…其処は私のイメージ力が補ってくれているから不都合はないけど…」

 

「それは判ります。私と違ってですけどイメージ力が凄すぎです。貴方の現在作っていたスペルカードも見事に7つ位は試作として作っていたでしょう。」

 

「…うん。まぁ、誉められるのは、慣れて無いからどう反応するば良いか解らないけど…ありがとう。」

 

「でも、あれだけは問答無用にぶちかましてほしく無かったです。…痛くはありませんでしたけど…。もし其処に私達以外の人間がいたら大変な事になっていたのかもしれません。少しは反省して欲しいです」

 

「…だから、あれは本当にごめんねって謝ったじゃん!?…私だって、あそこまで威力があるとは思わなかったんだし…」

 

…今でも許していないけどいつまでも愚痴愚痴いっても仕方ないし、取り敢えず水に流すと言った感じで冗談として片付けましょう。

 

「フフフ…。冗談よ。もう許しているし、気にしないで。…でもって同じ事をもう一度やったら今度こそ私は許しませんよ?それだけは頭のなかに入れておいてください。」

 

「…ほんとごめんね?……えっと。本来の話に戻すけど、私の能力について。『本来の幻月』には●●程度の能力の概念って無い作品だったらしいわ」

 

「そうですね。私が知っている作品にもこれ以降に書かれる作品にも彼女の能力は描かれていませんしね?…ですけど、貴女の態度からみるに、その程度の能力を持っていると?」

 

「ありゃ!?…流石はさとり。私が話す前に正解をいうなんて…。あ、もしかしなくても心を読んだのかな~?」

「読んでいません!!」

「…ん?あれぇ?そうなの!?」

「私の能力の扱い方が解りません。って私の自己紹介の時に予め言いましたよねっ!?」

「…あ、アハハ…じょ、冗談だよ…」

 

こいつ。

…本当に忘れていたのでは…?

…疑問が残りますけど、話が逸れるので、あえて突っ込まない。

 

「…ほら。話が逸れる所でしたし…続きをお願いします」

「う、うん。…え~と。続けるけど、この『私』には無かった『~程度能力』がうっすらだけど使えるよ~って感覚があるんだ」

 

「…どんな程度の能力なんですか?」

 

「…塩対応的でなんか悲しくなるけど…さとりだから仕方ないよね」

 

ねえ、それ私にわざと聞かせる様にいっています?

 

思いっきり悪口言われていますけど…?

でも、ここもぐっと我慢して続けさせるように促す。

 

「…そんな事、今から始まった事じゃ無いですよね?良いから続きをお願いします」

 

「…判ったよ。もぅ。…私の能力は『理を操る程度の能力』なんだ」

 

理?

 

理って世界における絶対的法則、ルールみたいな物なのかな。それを操るとは…?私がそう考えている疑問はすぐに解消された。

 

「理を操る程度の能力って言うのは、まぁ、簡単に言えば常識やルールを根本的から反する事が可能になる能力って感じかな?…例えるなら燃えない筈の物質を能力を使えば燃やしたり出来るんだよ」

 

「…ふむ。大体判りました。幻月さんの話はこれで終わりで良いでしょうか?」

 

「……何だか泣きたくなってきた…。」

 

…。

私の塩対応が効いたのか、口数が少なくなってしまった幻月。

 

そういえば、私ってどんな感じなんだろう…。

 

そう思い、先程までいた場所から少し離れ、割れたガラスに写し出される私の姿が垣間見れた。

 

髪の毛は薄い紫。

 

フリルの多くついたゆったりとした水色の服装。

それと膝くらいまでのピンクのセミロングスカート。

 

頭の赤いヘアバンドと複数のコードで繋がれている第三の目

…眼鏡かけたほうが可愛いかもしれない。

 

 

おっと、これは違う。似てはいる事は否定はしないが、今は関係ないからスルーする。

 

そして今、私達の目の前に大きな館がある。

 

…まず一番手っ取り早いのはこの館を調べることだ。

 

と言っても…外見だけでもすでに3割程崩れてるけど…

それでも意を決して建物に入ってみる。 

 

窓から失礼しまーす!

 

その後ろから、幻月の声で大胆すぎじゃん!?

 

もっと状況を確認してからの方が…って遅いか…。

という心の声と実際に出した声の両方が聞こえてくる。

 

確認してからだと時間がかかりすぎる。

 

なら、行き当たりばったりだ!!

ということで…窓に向かって突撃を繰り出す。

外枠すらなくなった窓を通り抜けたその先は…何もなかった。

 

 

 

……中すっからかんじゃん!天井とか床全部抜けてるしハリボテ同然なんですけどさっきまでの冒険心返せ!このやろー

いっそもう外見も崩れてしまえ!

 

…仕方ない諦めよう。

それじゃあ二つ目現在位置確認と…出来れば能力把握。

当然生まれたばかりの新米妖怪だから下手に動くのは命取りだ。

 

取り敢えずしばらくは妖力の使い方を考えないと……戦闘力皆無の現状で他の妖怪に出会ったらなんて考えたら…

 

話がわかるのならまだなんとかなりそうだがそうでなかったら……DEADENDコンテニューは無い。

 

うん、やべえ。

 

自身の能力も気になるけどこれは相手がいないと検証不可だし…下手すると色々やばいことになりそう……

 

ほら!忌み嫌われてるってなってるじゃん…それって豆腐メンタルな私には到底耐えられないし、下手すれば闇堕ちとか冗談抜きでなりそう。

 

と言うわけで能力うんぬんは後々!

 

それじゃあ妖力テストと訓練開始!

 

冗談抜きの30日後…

まずいです…お腹すいたのです…ごめんなさい妖怪舐めてた。

一方の幻月さんも同じく食事の事をすっかり忘れていたらしく、28日位私と幻月の自身の持つ妖力テストと訓練は付き合ってくれたのだが、今日の一日前急に調子が悪くなったみたいに、ぐったりとなり、練習もパスされたのだ。ここで気付く私だったら、流石と言えたのにそれを無視したお陰で今度は私までこうなってしまうとは…不甲斐ない私が情けない…

 

即ち、今の私は飲まず食わずで約一ヶ月練習してたら今になって急に……

ま、まあ空腹だけで他は…妖力が枯渇しちゃっただけだし…生命活動にはまだ余裕がある。

 

って言ってもいつまでもここにいても何にもならないし…こ、こうなったら…一か八か!まだいろいろ怪しいけどこの館からおさらばするのだ!

 

…。あ、だめだ…このテンションじゃ持たない。それに妖力が枯渇してる時点でシャレにならない。妖力技使えないじゃん。

 

今まで特訓してきた意味ェ…

 

「…うぅ。お腹…空いたせいで、こうなっていたのねぇ…あはは…おてがらぁ…」

と、今でも倒れそうな声にて私を褒め称えた幻月ちゃんは、もう頭が幼児化しており、もう私よりも大人な対応だった影も微塵も無くなってしまっていた。

 

私も、今にも倒れそうな位に怠いが、このまま倒れたら二人諸共行倒れまっしぐらだから、空元気でもいいから声を聴きたいと無意識で思ってしまった。

「う…がんばる」

 

取り敢えず声に出してみる。いつ聞いてもええボイスや。自分で言うのもなんだけど…これじゃあナルシストだ。

 

「…さとりって、こんなキャラだっけ??」

 

さりげなく幻月から呆れたツッコミが入る。

 

「…その、ノーコメントで…」

 

そんな訳で館から真っ直ぐ数百歩歩いてみる。道なんてものはなく完全にあてずっぽに歩いている。もちろん普段は邪魔にしかならないサードアイは後ろの方に纏めてある。

 

そこで気づく。あれ?妖怪なら飛べるのでは?そう思って空を飛ぶシーンをイメージしてみる。

 

「そーらをじゆーにーとびたーいなー」

 

「ねぇ…さとり?馬鹿に空腹過ぎてバカになっちゃたの?」

 

幻月から飛び切りの毒舌コメントが口から発せられる。

そんな事はお構いない無しに地面を蹴って思いっきり飛び立つ。

 

そして着地…

 

orz…

 

やっぱ妖力無しで飛ぶのは無理か。

いや、それ以前に飛べるのか?

 

「あのね…何がしたかったの?飛ぶには貴女まだ溜まって無いんでしょ?妖力。そんな状態で飛ぼうなんて…自殺行為も程々にしなさいよ?」

 

「さっきまで。馬鹿だった幻月さんに言われたくないのですが?」

「なんのことだかさっぱり…」

「あのですねっ…!!」

 

…って言うか妖力ってどうやったら溜まるんだろう。さっきから溜まる兆候が一切無い。まだ生まれたばかりで知名度なんて皆無の妖怪だからか?やっぱ知名度とか畏れとかなのか?

 

…いくら考えても可能性しか浮かばない。

 

こりゃ一個一個候補潰して行くしかないか…ってかその前に人のいる所の近くまで行かなきゃ話にならんな。

 

うん、結構山下ったかもしれない。かなり周りがひらけてきた。時間的には数時間。方向感覚が狂わされる森林だったにも関わらず結構簡単に下れたかもしれない。

因みに幻月さんと私はたまには話がかみ合わなくなりぶつかったりと波乱万丈な下山だったけど結局は、利害の一致で話が突然と切れるという良く判らないループに陥っていたのだった。

 

どれどれそろそろ町や村が見えても良さそうなんだけど……そう思っていた矢先目の前に何かが飛び出してきた。

 

一瞬妖怪とか獣系かと身構えかけた。だがよく見ると猫だ。それもかなり小さい。

 

「……猫ちゃん?」

「にしても、珍しい毛並だけど…?」

「それは…そうだと思う。…けど…」

 

「ミャー」

 

警戒してなさそうな雰囲気が出ている。これはもしや……能力実験のチャンス!

 

しゃがんで猫と対峙する。そして背中に回していたサードアイの視界を猫に向ける。

 

「(うーお腹すいた。この妖怪なんかくれないかな〜)」

 

おお!なんか声が脳に…これが能力と言う奴か

 

なんか、声が響くって言うか…脳裏に何考えてるのかがそのまま浮かんでくるみたいだ。

成る程…これが能力か。サードアイの視界に入った者しか見れないと…今考えてることだけしか読み取らないのか?

 

まぁそれは今後の課題か。

 

「あーすいません。今手持ちの食料が無いので…ごめんなさい」

うん、本当ごめん。果物とか木の実とか全くなかったんだ

「おぉ…さとりってこういう時役に立つもんだよね…」

「―一言余計です…っ!!」

 

「(そっか…仕方ないね。あれー?この妖怪、あたいの考えがわかるの?)」

 

「ええ、しっかりと見えていますよ」

「…。(見えているじゃないんじゃない?詳しくは判って居るん―)」

「其処。聞こえますよ。詳しくはノーコメントです」

「はいはい。(さとり妖怪らしいわ。頼りになるね)」

 

そう言って黒猫を優しく抱き上げる。

途中、物凄い雑念のせいでイラッてきたけど、気にしないでいこう。

 

…ふむ。この猫があまり抵抗しない。

「(おお!?なんだかありがたいねえ。それじゃあちょっと甘えさせてもらうよ)」

「ええ、構いませんよ」

ふむふむ、あまり警戒して来ないところを見るとかなり度胸ありますね。猫だけど

 

「(なんか変な事考えてない?あたいは勘に従っただけだよ)」

「いえいえ別に」

 

なんだか側から見たら猫と話す頭のおかしい子扱いだろう。

まぁ周りには誰もいないし気にしない気にしない。

猫の首元を軽く撫でてやりながら暫く平地を歩く。

 

「そう言えば、この近くに集落とか人が住むところってありますか?」

 

さりげなく情報収集。

 

「(ああ、右方向に進めば結構大きな村があったはずだよ。確か…お偉いさんが住んでる大きな寺があるんだ)」

「お偉いさんが住んでる寺…ですか。ちなみにそのお偉いさんの名前はわかりますか?」

 

それを聞いた途端猫は物凄い悩み始めた。

 

「(誰だっけ…確か厩戸とか言ってなかったっけ?あ違うな豊聡耳だったっけ?なんかそんな感じの名前だったかな)」

 

厩戸…聞いた途端頭に電流が走った感じの衝撃が来た。

 

え?厩戸って事は…何、飛鳥時代なの?と言うかこの時点で豊聡耳なんて名乗ってた記録あったっけ?うん分からん。

 

んん!?それ以前に私が目覚めたあそこの建物…明らかにおかしい。

 

西洋風の建物にしてもあんなのはまだまだ先…と言うかこの時代に煉瓦や石をあそこまで綺麗に製造する技術なんてないはずよね

 

ましてや日本に限っていえば長崎の出島か明治以降にしか無いはず…なぜあそこに?

 

うーん、うーん……

前世知識っぽいものを使ってもそこらへんは分からず。それにしてもお寺に住んでるか…

 

 

「その寺って斑鳩寺って名前では?」

 

「(おお!そうそう、そんな名前の寺だよ)」

 

斑鳩寺…わかりやすくいうなら初期の頃の法隆寺だ。

 

「へぇ?かの有名な聖徳太子様がいたあそこかな?…にしても、猫と会話できるさとりって面白いね。フフッ!み、みているだけでも…プククッ!!」

 

「…褒めています?けなしています?バカにしてます?どっちなんです?」

「……あえて、ノーコメントで」

 

「…。それ、考えていませんよね?」

「バレてたか…?」

 

「それくらいはさとり妖怪としてアタリマエですっ!」

 

幻月のせいでかなり時間取っちゃったけど、要するに、太子が斑鳩宮に入ったのは600年辺りだったと記憶にはあるのだけど…ん?…あ、あれ?めちゃめちゃ昔なんじゃ……うわー幻想郷すら出来てる気配無いよこれ。

 

この前世知識は基本2000年代、今は600年代…すごーい1400年分のジェネレーションギャップだー。

ってそうじゃなくて…どうしよう。

 

やっぱりさとりになってる時点で薄々分かってたけど豊聡耳って厩戸皇太子が自ら名乗ってるあたりこの世界って東方Projectだ。

 

…って言うか当時なんて呼ばれてたのか知らないけど。

 

聖徳太子は本名厩戸(通説)だしその後も厩戸皇子とか王とか名乗っててあだ名っぽい奴と言うか別名で豊聡耳って呼ばれていたらしいけど本人がそう名乗っているとは考え辛い。

 

物部とか小野妹子あたりがそう呼んでたんだっけ?

…ってなるとやっぱり前世記憶の歴史ではなく前世記憶にある創作の方だろう。

 

 

推測を超えない域とはいえかなり考えつくな…

 

しかしこれは参った…いやこれだけじゃないけどね。

 

覚り妖怪は基本妖怪からも人間からも忌み嫌われてるはず…

 

普通に人里入りも…サードアイ隠さなきゃいけないし。

これ隠せるか?って野暮な質問は無し。と言うかこの無法同然の世界で生きていけるか?

 

なんかもう…早速お先真っ暗なの…

だからと言ってこのまま何もしないでいたら絶対deadendだし…確か妖怪の根源って畏怖とか恐怖とかの人間の感情だったっけ?

 

そこんとこどうなんだろう。

「えーっと…妖力とかを溜める方法知ってますかね…」

 

場違い筋違いなのは分かっている。でも猫以外に聞くことが出来ないの…わー友達いねえ…

 

「(さあね〜?あたいみたいな猫に聞いたって分からんよ。…まぁ人間を軽く脅すとか襲うとか食べるとかすれば溜まるんじゃないんかねえ??)」

 

やっぱそんなものか…

 

「(なんだい?これから人でも襲いに行くのかい?)」

 

「あー……未定です。少なくとも放っておいて妖力が回復するならそれでも良いんですけど」

 

枯渇寸前の妖力が回復している兆候はない…うーん、時間で回復するって訳では無いのかな…

 

「(うーん…苦労してるんだねえ 猫には分からん)」

 

ええ…八方ふさがりも良いとこですよ。

 

何をするにも人里は無理他の妖怪に見つかるのも駄目…妖力はドジ踏んで枯渇してるし…

 

仕方ない…もぅ!なるようになれぇ!!匙を投げてやる!もう諦めるわっ!!

 

「(大丈夫かい?良ければあたいが助けてやってもいいけど?)」

 

「ぜひお願いします!」

「私も是非!!!」

 

「(あんたはいいとして、寧ろ後ろのお前さんは私の言う事が判るのかい?)」

「まぁ。今となって、私の能力の一端を使ってあなたの声を私にも聞こえる様にした感じだから、聞こえるよ。…妖力消費は控えたかったけど、こうなったら仕方ないし」

 

「(さ、左様ですか…。まぁ、いいや)」

 

まさかの猫から協力の申し出が!まさに猫の手も借りたいとはこの事だ。え?違う?細かいことなんて気にしちゃダメなのよ!

 

「(あ、その代わりになんか美味しいものくれよ)」

 

「ええ、任せて下さい!」

「うん。任せて!」

 

「(それじゃあ先ずは服だね。妖怪としても人としてもそれは目立つよ?)」

 

あー…デスヨネ。これじゃ目立ちますよね。って妖怪からも目立つんですかー

 

確かにさとりの服って概念すら存在しないよね…

 

「(じゃあ寺のある村が近くなったらどうにかするから、それまで運搬よろしくー)」

 

この世界で自我を持って約一ヶ月、早速猫に助けられる。

 

あ…そう言えば今更ながら人のいるとこって大体妖怪がいるよね…

 

今の状態で妖怪に出会ったらそれこそ狩られる側だよね…

 

弱肉強食待った無しだよね……まぁいいか。その時考えればいいや。 

 

歩き続けること数時間、特筆する事もなく場所と時間は過ぎていく。

 

まあ…あるとしたら食料確保のため寄った川で危うく獣野郎に殺されかけた事くらいかな。

 

え、どうしたかって?偶然サードアイが心の声をキャッチしてくれたから奇襲は回避できたよ。

 

そんで全力顔パン

 

ただそれだけ。

 

脳震盪起こしたのか勝手に倒れちゃったからさ、美味しくいただきました♪

 

ほんと、ただ一匹を殴っただけで他の奴ら逃げ出したよ。まぁ私はそこまで戦いが好きではないから良いんですけどね。

 

いやあ、知性の殆どない獣型妖怪で助かった。

 

それになかなか美味しい肉だったね。お腹の足しになったし妖力がちょびっとだけ回復したよ。

 

妖怪っぽいものでも食べれば妖力つくのね。なるほどなるほど…

 

とまあ多少のアクシデントはあったものの、無事?かどうかは置いといて…ようやく人が住む家が見えてきた。

 

畑仕事をしている人もちらほらと見かける。

 

近くに神社が建設中と言うこともあってかここら辺の田畑はかなり活発の様に見える。

 

でも家とか相変わらずの竪穴式住居ってのがちょっと見てて面白かったりする。

 

当然私はと言うと……

 

「…食らいやがれ!疑似スペカ!…単純『飛鳥文化竜脚』ッ!!!」

 

バゴォォォンッ!!!!!

 

 

「いやいや!??いきなり襲うとか!??さとり!!何してんの!??」

 

道を歩く人達を軽く跳ね飛ばして猛ダッシュしてた。

 

「(いきなりなにぶっ飛んだことしてんだい!??)」

 

え?だってこうやって暴れた方がなんか妖怪っぽいでしょ?

それに私の存在と畏怖、怖れを回収するにはこっちの方が良いじゃん。

 

現に少しづつだけど妖力がたまってきた感じがするし?やっぱり妖の根源って人間の感情なんだね。

 

「(こ、こんな事してたら陰陽師が来て大変な事になるってば!)」

 

「知ってますよ。そんな事」

 

「ホント、馬鹿何だか、安保なんだかわけわかんなくなるわ…さとりさん…」

 

「(正気かい!?)」

幻月さんのキャラ崩壊が凄まじい。さっきまでもお人好しキャラは何処へ…??

こほん。二人とも失礼ですね?

 

私はこれでも普通に思考してこの結論に至ったんですよ。

 

それに…

 

「いざとなったらこのまま逃げるだけですから」

 

そう言って真っ直ぐ猛ダッシュする。途中に家があったかもしれないが普通にぶっ壊しちゃったかも?

 

うーん…いっか♪

 

ってな訳で適当に辺りを走り回り、適当なところで近くの山に逃げ込む。

 

本当は山とかに逃げるのって得策じゃない気がしないでもないけど、他に選択肢が無いんだよねえ……

 

「(ゼェ…ハァ…本当に、アンタ達何考えてるんだい…)」

「はぁ…はぁ…。ワタシ、飛べない制限なかったら普通に飛んで逃げれたんだからね!??走った事無かったしぃ…はぁ…」

 

「まぁ、妖力の回復方法も分かった事ですしね?」

 

確かに。幻月さんって殆ど空中に浮いていますし、走ったこと早々無かったんでしたっけ?

 

「(聞こえているから。…全く。次はそんな野蛮な真似しないでよ…もぅ)」

 

おっと。私の声も聞こえる様になったわけですか…これは失礼。次から対策しないと…

 

でも妖力を溜められる限界領域が小さいみたいですね。さっきので8割程回復できたってのが凄い…ただ走っただけだよ私。

しばらく歩くと空洞状態になってる木を見つけた。

 

丁度一人分のスペースがある。これを狭いと思うか広いと思うか…私は広いと思う。

 

見た目はともかくなんとか雨風しのげそうなところだ。

今日はここで一夜にしよう。

それに色々これからの事を考えないといけないし

 

こいしとか幻想郷とか地底とか…

しかしそれよりも最も大事なこと、それは…

 

「少し疲れたので寝ます。猫さんはこれからどうします?」

「(んーそれじゃあ、あたいも一緒にいるとしますか。久々に面白そうなのと出会えたからねえ)」

 

好奇心からなのだろうか純粋に興味からなのだろうか……

 

目の前で毛づくろいをする黒猫の行動理由はサードアイでも読めなかった。…別に大した事では無いのでよい。そのうち能力を使いこなせるようになればいつかはそう言うのも読めるようになるのだろう。

嬉しさ反面不安と恐怖が渦巻く。

こうして初めての道連れが二人出来たのだった。

 




未だに完成してない未完成品なのでみるかたは要注意。
参考にしている小説があるためそれを読んでからの方が分かりやすいかも。
また、この小説の前に人物紹介がかかれます。
また、それはリアルタイムで更新されると思います。
気紛れに更新されますので、気長にお待ち下さい。
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