東方夢幻界鄕 ~有り得たもう一つの可能性の物語~   作:龍姫★サキ

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少しばかりペースが遅くなるかもしれませんが、マイペースに投稿していく予定なので応援宜しくお願いします。


024話 予想外と真相と…

 

「ところで…なぜ私は呼ばれたのでしょう?」

 

 

 

天狗に案内をされること数分、途中で文と椛がエスコートに加わる。椛はともかく文がいるのは珍しく幻月が『どうしてここに?』と聞くと…『たまたま椛と会ってしまったので、前に見放したツケを払っているですよー』と言ったんだとか。

 

文は、ハハハ…と苦笑いを溢しながらそっぽを向ける。…大分、反省しているようですし…問い詰めないでおきましょうか。

 

五人体制で歩いている最中、私は疑問に思った事を聞いた。

 

「いや、済まない。此方にも詳しいことは聞かされていないのだ…答えられなくて申し訳ない」

 

 

 

二人とも全く知らない様です。

 

別に、会えば解るのですから良いのですけどね。

 

 

 

 

考えてみれば天魔ってあの天狗社会の一番上にいるとんでもない妖怪なんじゃなかったんでしたっけ?

 

 

原作知識では天魔って言葉だけが知られていて、それ以外は全くの謎という存在の全てが正体不明の天狗だったはず……

 

 

 

第六天魔王……は歴史上の人物の織田信長の異名の一つなので、実質種族と時代が違いますから除外されますね。……ホント、なんなんでしょうかね?

 

と言うか…あれ?もしかして、私達、とんでもない人から呼ばれてません??凄い今更なのですけど。…あれ?もしかしなくても、今の状況、流石に色々とまずいのでは……??

 

 

 

今になって、嫌な汗が出てくる。

 

なんか、私達…とんでもないヒトに目をつけられたのでしょうかね?

 

まあ鬼に絡まれているその時点で十分とんでもないのですけど…

 

「ねぇ?天魔様ってどんなお方なのですか~?」

 

エリスが気さくに問いかける。

 

その言葉に反応したのは紋さんであった。

 

「…そうね~。私から見たならば、付き合いが長い頼れる友人って所かしら?…他の鴉天狗とか白狼天狗とかはどうかは知らないけど、一般的には使いどころがない謎の存在って広まっているようね」

 

エリスの問いに悩みながらも自分の答えを出してくれる紋さん。どうやら紋さんは天魔とは親しい仲であり、その顔を見るにたまに付き合っている仲なのだと思う。

 

椛さんは…何かと思うところはあるのでしょうが周辺の警戒に夢中で殆んど意識されていない。

 

一方で文さんはと言うと。

 

「…そうですね。…天魔様の事は母さんから聞いておりますよ。…ただ、これだけは言っておきますが私は会ったことはありますが、口にはするなと言われていますので…これ以上は私の口からは言えません。…あ、決して心なんて読まないで下さいよ?私達の威厳に深く関わってしまいますので…」

 

と念を押されてしまった。

でも、解ったことは射命丸親子は天魔ってヒトに会ったことはあるらしい。ただ、他言無用で控えるように敷かれているらしく実際に会って見ないことにはわからないとか。

 

まぁ、本当なら皆の記憶を見れば楽ではありますけど…それをするなと言われてしまっては守るしかありませんね。それに、今の私にはそんな気力が残っていませんのでやる気にもなれない。

 

 

「…あ、そうでした。椛さん。少し良いですか?」

 

「…え?ええと。…なんのご用…ですか?」

 

「その、上着を貸してもらっても良いでしょうか?ボロボロだとちょっと恥ずかしいので…」

 

 

流石に、このままの姿で会いに行っていいお方ではないはず。

 

それをわかっているのか椛さんも快く貸してくれた。

 

「……あの、ここで着替えるのですか?」

 

 

なぜか鴉天狗の二人が落ち着きを無くす。どうしたのでしょうか?

 

 

「そうですけど…?それがなにか…?」

 

「いえ!特にと言った訳では無いのです!」

 

 

 

ふーん。

 

 

返り血やなんやらで汚れた上着を脱ぎ、折り畳む。下に着ている服も血の付いている左腕の所を引きちぎっていく。

 

 

何故か案内係の鴉天狗達が驚いて顔を赤くしてますが別に左袖が消えただけじゃないですか。どこかダメなところでもあるのですか?それともそういう性癖でも持っているのですか??

 

 

「…さとり…。いい加減空気位読もうよ……」

 

「え?なにがです?」

 

「…わからないならいいや。…昔と変わってなくて良かったよ」

 

幻月は意味不明な事を呟いた。昔もなにもなにも変わっていませんよ。…エリスも紋さんもなんでこっちを見ているんです??余計意味がわかりません。

 

 

「あの…さとりさん。基本的に女性に慣れていないだけですから…」

 

私が向けている目線に気が付いたのか、椛さんが軽くフォローを入れてくれた。

 

慣れていないなら仕方ないですね。

 

 

 

幻月やエリス、文さんは、はぁ…と溜め息をついて、『鈍感なヒトだね…』と呟く。

 

 

まあ、そんなことはさておいて、椛さんが渡してきてくれた天狗装束を上に羽織りその中にサードアイを入れて隠す。

 

ようやく、静かになった。

 

 

「すみません。お借りしますね」

 

「気にしないで下さい、さとりさん」

 

ちょっと…?!お二人はいつまで赤くなっているんですか?

え?どれだけ女性慣れしていないんです?流石に不味いですよ?

 

「すいません。この二人は女性にめっぽう弱いんです…」

 

 

……慣れてないし弱いって…この先、生きていけるんでしょうか…?

 

 

あ、紋さんがお二人に近付いて……説教し始めた…。

 

これは、もう御愁傷様と言うしかないですね。紋さんに目をつけられては逃げられませんよ。多分、後で女性に対する訓練とか直々にするのでしょうね。

 

 

 

 

暫く歩くと目的の場所が見えてきたらしい。

 

紋さんは、凄い重々しい扉を開けてくれる。そこを抜けてようやく、屋敷の中に連れてこられる。

 

屋敷手前で椛さん達から案内が交代する。

ただし、紋さんは案内を交代させず自ら志願していたらしく椛さんと文さん含めた四人は後は頼んだと一言言った後、すぐさまその場から去っていく。

 

 

どうやら、これ以上先は紋さんの様な身分が高いヒトもしくは、今回の私達の様に呼ばれた者以外は入れないらしい。

 

同じ家系である文さんでも、やはり身分が低いってだけで入れないって事なんでしょうね。

 

 

 

紋さんがさぁさぁ、入って入って♪とまるで自分の家のように嬉しそうに手招きをし始める。

 

私達はそれに頷き屋敷の中へと、入る。

 

其処でもう一人の案内係として居たのは紋さんよりも背丈が高く、身長180センチ程あるかと思われる大柄な天狗であった。

 

大天狗だろうか?

 

 

終始無言でついてこいとジェスチャー。

 

紋さんはその様子を見たようで、『こら、飯綱。お客さんに対して失礼でしょう?』と叱咤。

それに対して飯綱と呼ばれた大天狗は『申し訳ない。ただ、ここから先は天魔様の領域。それをわかっていないのは、御友人である射命丸殿では?』と質問を質問で返した。

 

紋さんは『それはわかっているつもりよ。でも、天魔ちゃんからは許可は貰っているから。それよりも、天魔ちゃんは、貴方達、皆にプライベートな時間だけは畏まんなくても大丈夫。って許可を得ている筈なのに、どうして頑なに畏まるの?』

 

『はぁ、それを今話し合う時間じゃない。…後で説教は聞いてやる。だから、今はこの者達をお連れする任務が先だ。…それでいいか?』

 

と飯綱と呼ばれる天狗が返した所、まだ不満があったようだが仕方無いかと一言呟き、此方を向く。

 

『お待たせしたわね。それじゃいきましょ♪』

 

紋さんは、何事も無かったかのように案内を続けた。

 

 

私達はそのやりとりを見て、最初嫌っているのではないかと思ったが、叱った理由が別の理由だった為、その気ではないらしい。となると元々から寡黙な性格なのでしょう。

 

 

まあ相手が話しかけてほしくないのであれば私も黙っておきましょうか。

 

現に紋さんからごめんね?と謝られましたし。

 

 

「……天魔様。連れて参りました」

 

 

 

紋さんとの会話で聞いてはいたが、やはり端から聞いていても威厳があると言う印象が強く残る様な口調と声音である。

 

奥の方で紋はいるのか?と一言。

 

「はい。私の隣に」

 

大天狗は落ち着いて返事を返した。

 

 

「…ならば、紋と共に入れ」

 

少しして奥から声が聞こえる。

 

 

同時に襖が勝手に開く。成る程、特殊な仕組みの術式が組み込まれてある。

 

「ふひゃ!?…もう、自動で開くなんて…現代に似た仕組みが使われているんだね…」

 

幻月は称賛の声を上げる。

 

私も驚きました。まさか、音声認識システムが採用されているとは…凄いですね。

 

 

「……そっちの悪魔と天使の翼を持つ者も含めて忠告しておく。…普段は温厚な方だから大丈夫だとは思うが…粗相が無いようにな。…紋、頼んだぞ」

 

「…言われずとも解っているわよ。…この娘達の面倒を見ればいいんでしょ?」

 

「その言葉、前に何度も聞いたが一つも守れた事が無かったじゃないか。…まあ今回こそはよろしく頼むぞ?…だが、期待はしないがな」

 

「…はいはい。それじゃ、いきましょう」

 

紋に連れられて奥へと進む。

 

途中、私の側を通りすぎた先程の大天狗が一瞬だけ避難の目と共にそう言い放った。

 

特に気にすることも無いので見て見ぬフリをする。

 

 

 

 

どうやら、先程の鴉天狗は部屋には来ないようです。私と幻月、エリスの三人が誰もいない部屋に入ったのは良いですけど…どうしたのもでしょう。

 

 

「…少し待ってね?私はちょっと天魔ちゃんの様子を見てくる。…多分、なんか準備とかしているんだと思うわ……すぐ戻ってくるからっ!」

 

と、紋さんは私達を残して奥へと消えていった。

 

残された私達は呆然をしていましたが、特に気にすることもなくそれぞれで待ち時間を潰すことに。

 

私は黙って素数でも数えていましょうか。

 

 

 

1……2……3……5…………。

 

 

 

 

 

 

 

数分程待っていますが、来る気配が無い。向こうから呼んでおいてここまで待たせるとなるとちょっと心配になってきます。

もしかして、私を捕らえるための罠だったのでしょうか?

 

いえ、そうだとしたら紋さんが終始口にしていた友人だと言うことに説明がつかない。そもそも、ヒトも良く誰に対しても平等な紋さんが探しに言った時点で、天魔と呼ばれるヒトも同じく気さくでお人好しな性格の持ち主なのでしょう。

 

だとしても、捕らえるための為の可能性も否定できない。

もしも、罠というの可能性を考慮してすぐに行動しなければいけないという衝動にかられたがそうだとしてもその証拠が少なすぎる。

 

 

私を捕らえた所で一体何になるというのだろう。私は…そこらへんのモブと言っても変わらない程度の戦闘能力しかないさとりですよ?幻月からは戦闘能力よりも戦闘技術と知識かあるからモブとは言い切れないと、そう評価してくれますが…。

 

いえ、そうだとしても…まだ、齢200年にすら届いてないんですから…

 

 

 

それを考えれば、私を捕らえようとするならば力ずくでいけばいい。…寧ろそんな回りくどい事をせずともいいので罠とは到底思えない。

 

 

 

天魔がどのようなヒトか知りませんが、こちらをからかっているだけかもしれませんし。

 

 

そう考えれば何処かに隠れている?

 

だとしたら、何処でしょう?6畳しかない小さな部屋です。隠れるところなんて見当たりそうにない。

 

 

 

 

さて、天魔の性格がなんであれ、私ならどうするでしょうか。

 

 

隠れるところがない部屋。からくり屋敷みたいに壁が回転したり天井が開いたりなんて構造にはなってない。

 

故にこの部屋には私を含めて三人しかいない。そう思った方が合理的ですが…

 

と思っていたら紋さんが帰ってきました。

 

「…あれ?紋さん?どうしたのかな?」

 

「…幻月ちゃん。…まぁ、驚かないで聞いてね?…天魔ちゃんね…きっとこの部屋にいるわ…」

 

「へぇ?!…どこにいるの!?」

 

「それは、私の口からは言えないわ。…言ったら天魔ちゃんの機嫌を損ねちゃうかもしれないから…ごめんね?」

 

…ふむ。

 

紋さんの言ったことが正しいならば、私が先程から感じていた視線にも納得がいきます。

 

 

 

最初は誰かが覗き見でもしてるのではないかと思って大して気にしてなかったのですが、現在の思考から考えてみればこれは天魔のモノなのじゃないかという可能性が出てきた。

紋さんの話を考慮するならこの部屋の何処かで私達を見れる位置にいるのでしょう。

 

 

 

私達の反応を楽しみたいのであれば、相手がよく見える場所がいい。それでいて分かりづらい所です…

 

私でしたら、そうですね…。外からみるのでは死界が多いですし、狙って見る事は出来ない可能性がある。

 

それにベター過ぎてすぐパレますし……ですから。

 

それなら、エリスならどうするのでしょうか…。

 

エリスには他人に成り済ませる能力があります。それを使って相手に悟られず忍び込むことも…ましてや至近距離からの観察もできる。

…でも、それは彼女にしか出来ない事。なので参考にはならない。

 

では、幻月ならどうするのでしょうか。

 

…恐らく、幻月は能力を使っても覗き見ることは不可能に近いはず。…なら、どうするのか、この部屋で相手に悟られず尚且つ相手にも悟られない方法。

 

…残る可能性は、相手の真上に陣取るか、真下にいるかの二つ。

幻月がこそこそと回りくどく面倒な方法をとるはずがありません。それこそ真下に陣取るとか。

 

だと、すると残りの取れそうな方法と言えば…?

 

 

 

 

 

そう思い、私は真上を見上げる。

 

 

 

其処には、天狗のお面を頭に引っ掛けた青年が天井にくっつく様にして私を見下ろしていた。

 

天狗装束。髪は短めでボサボサしてますがそれでいてよく纏まっている。それが中性的な顔立ちと合わさって違和感なく収まっている。

 

 

…好青年といった感じですね。

 

「………」

 

 

 

視線が交差する。一瞬だけ向こう側の妖気が流れる。かなり強いものだ。紋さんと似た強さを持っているようだ。その気になって襲い掛かれば私なんてひとたまりも無いでしょうね。

 

 

「…よっ!さとり妖気の嬢ちゃんだな?」

 

 

直後、視界から青年の姿は消え今度は目の前で声がする。同時に漆黒の羽が視界を埋めていく。

 

 

どうやら降りてきたようだ。

 

 

「……おっと、そう言えば君達もさとりの嬢ちゃんの付き添いなんだろ?…たしか、純白の翼を持つ珍しい悪魔の嬢ちゃんと悪魔の嬢ちゃんだろ?」

 

「…ええ、初めまして。古明地さとりともうします」

 

「私は幻月。さとりの相棒的存在って所かな」

 

「エリスです。幻月様とは従者と主みたいな関係でしょうか?」

 

私が紹介したのと同じく二人も順に挨拶と紹介をした。

 

 

 

目の前に降りてきた天狗から流れるその妖力、紋さんの持つ刀と同じくらい濃厚で…尚且つ紋さんとはまた違って、快晴の様に晴れやかで、澄んでいる。

 

紋さんの持つ刀は雨上がりの空に虹がかかっても、気がつけばいつの間にか消えているかのような…そんな天気雨の様に綺麗で、清んでいる。

 

恐らく、このヒトが天魔なのでしょう。

 

現に紋さんは先程とは大違いに緊張も緩めている。

 

 

 

「…ええと、私の格好…ちょっと見ていられないとは思うけど…」

 

幻月の事を気にしては居なかったが、そう言えばあの時の術者の攻撃を食らって服が所々破けていたんでしたね。

 

「あぁ。それか?…そんなの気にしないし、堅苦しく話さなくても良いぞ。…其処にいる友人(あや)の様に砕けて話してくれて結構だ。そうそう、俺は天魔って言われているんだ。これは、職業に関してでも言える事なんだ。…天狗達の一番上の職業、それが【天魔】って奴さ。それを一応、やっているもんだ」

 

 

そう言って目の前に座り込む。

 

鬼のような豪快さが出ている辺り、鬼とつるんでいることが多いのでしょうね。

紋さんも鬼と付き合っているって萃香さん自身も話していましたし、本当に事実なのでしょうね。

 

 

それにしても紋さんと言い……凄い軽いヒトです。

 

引きずらない性格なのか…その役になってから吹っ切れたのか…また、紋さんの元からの性格に引かれたのか…或いは、その両方か……。

 

 

「ええと、こう言っては失礼かもしれないけど…天魔って名前じゃなかったのかな?」

 

「そうだな。元々は違う名前だったんだが、この役職が決まってから消えてしまったんだよ」

 

 

幻月は、あ。そうなんだ…と呟き、黙る。なんか、聞いていたこっちも聞いてはいけない事を聞いてしまった気がします……。

 

 

「ま、気にするな!紋もそう思うだろう?」

 

「ええ、そうね。…でも、最初、嫌がっていたのは何処の誰だったかしら~?」

 

「ちょ!?…おいおい、紋。それは冗談でも言わない約束だろう??」

 

「フフッ。ごめんなさいね?少しからかってみただけよ。……と言うわけで、改めて私の事も話さなきゃね~♪…こほん。」

 

「私は、射命丸紋。基本的に紋(あや)と呼ばれていて、鴉天狗達における一番上の長の内の一人よ」

 

「因みに大天狗とはまた違ってね?職業柄的には他の長と変わらないんだけど…天魔と同等の権限は持っているの。…と言っても天魔は一人だけだから、私は基本、天魔の補佐をするって役柄な訳」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

二つ名 天狗達の頂点に立つ者

名前 天魔(てんま)

能力 妖刀を自在に扱える程度の能力

   運命を導く程度の能力

特殊能力 超加速未來視(アクセラレーヴィジョン)

・相手の動きや行動を予め予測出来る。また、応用として相手の行動に対して超加速でき、相手が止まって見える様に自分だけ加速して動きの可視化も可能。

 

 

天魔のステータス

 

筋力 SS++

耐久力 SSS

防御力 S-

魔力 S+

速力 SSS+

 

 

・・・・・・・・・・・

 

二つ名 天狗達の頂点に立つ者の補佐役

名前 射命丸紋(しゃめいまるあや)

能力 業風と剣術を扱える程度の能力

   攻守を操る程度の能力

 

特殊能力1 幻想滅裂(ファンタズムキラー)

・所謂、幻想殺し。魔法や呪術、式神や不滅の類等の理科学的説明不可な現象に対してとてつもない特効を得る。その特効は相手によって効果は様々で、魔法や呪術は効果全てを打ち消し、式神なら一撃必殺。不滅や不死の類のモノなら傷を付ける事が出来る上に再生の遅延が可能である。

 

特殊能力2 超限感覚(ハイパーセンス)

・常に感覚が鋭くなっており、どんな角度からの攻撃でも必ず回避する事が可能。また、視認範囲内ならどんな攻撃でも受け流す事も可能。視認範囲外なら無意識の内に回避する。その応用として、千里眼の様な真似も可能であり、対象がどんな所へと隠れようとすぐに見つけ出す事が出来る。

 

※以前紹介した際に取得していた特殊能力の無敵之受流死(インビジブルパリィ)は統合されました。具体的には彼女の努力によって特殊能力が開花しました。その内容は受け流しの他に感覚を研ぎ澄まし、死角からの攻撃を自動的に回避できる技術と千里眼と似た様な事が可能になったそうです。

 

 

紋のステータス

 

筋力 SSS+

耐久力 SS

防御力 S-

魔力 SS+

速力 Unknown

 

所持スペルカード

 

神剣『草薙剣舞(くさなぎのつるぎのまい)』

『神速無双』

韋駄天(いだてん)『無双風塵(むそうふうじん)』

『業風無双剣嵐(エアブロストストリーム)』

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

「えーと。そ、そうなんですね?……えーと、天魔さん。その、私達をわざわざ呼んだのってなんかあるんです?」

 

エリスは、恐る恐る天魔さんに質問をする。

 

エリスの問いに、天魔さんはあぁっ!と一声出し、思い出したかの様に手を叩く。

 

ちょっと待ってください。まさか、本当に忘れていたんですか?

 

 

「…さとりちゃん。大丈夫よ。…本題に入る前にそもそも空気が悪かったでしょ?そんな状態で本題に入れるわけ無いじゃない」

 

私の顔をみてそう答えた紋さん。

 

紋さんってたまに相手の心情を確実に読み取りますよね。…さとり妖怪の私からすればかなり凄い事だと思いますが…

 

「…ナイスフォローだ、紋。…待たせて済まないな。その事については今から話そうかと思っていた所なんだ。だが…少しだけ待ってくれ。話すことをまとめる」

 

 

そう言って天魔さんは、私達の前に坐り直した。先程の様な砕けた座り方ではなく、素人の私から見ても筋が通っているとすぐに判るほど綺麗な姿勢だ。

 

 

それを当たり前の様にやってくるのだ。相当仕込まれているのでしょう。

 

瞬間、部屋の空気が変わる。

 

幻月もエリスも空気が変わった事にすぐに感じ取り、エリスは一瞬驚き、幻月は一言『へ?』と阿保な返事を溢した。

 

それもそうだ、目の前の天魔さんから流れる妖気がプレッシャーを与えて来たのだから。

 

「…堅苦しいのは無し。…って言っておきながら、俺から堅苦しくしてしまって済まないな…」

 

「い、いえ、おきになさらず…」

 

「この度は、人間を撃退するのに協力してくれて感謝している」

 

そう言って深々と頭を下げる。

 

私はどうして良いかわからずあたふたする。

 

「あの……どうして、私達なんかに…」

 

 

「確かに、さとり妖怪は皆から嫌われている。だが、我々を救ってくれたのは事実だ」

 

 

「…そして、そんなさとり妖怪でも心から慕う仲間が多いのも事実でしょう?…鬼や天狗、神様に悪魔、噂で聞いたけど、あの月から来たお姫様も貴女の事を信頼しているらしいわ。…ましてや藤原家の名主、藤原不比等すらも貴女の事を信頼して娘を託した…。そう聞いているわよ。…今はどうかは知らないけどね?」

 

 

当たり前の様に言い放つ。

 

そうやって考えてくれる妖怪もいてくれているのですね……

 

 

そんな事よりも紋さんの話した内容の内、その二つについては私と幻月…一部を除いて私達の身内しか知らない情報なのですけど…。

 

今は、聞く雰囲気でも無さそうですし思い出したら聞くことにしましょう。

 

 

 

 

そう考えていた瞬間、部屋に張っていた空気が拡散しプレッシャーが嘘のように無くなる。

 

「あら?もう限界?」

 

「無理言うなよ紋。これでも頑張った方だぞ?…ホントなれねぇわ…やっぱりなぁ…」

 

あっさりと素へと戻る…元々かなり大雑把な性格の様ですね。こういう役目には向かないようです。

 

…ですけど、嫌いじゃないです。

 

 

 

「さとりには色々と言いたいが、言い過ぎると紋にまた説教されるし…端的に言うぞ。…本当に感謝しているよ。ありがとう」

 

 

「いえ、たいそうなことはしていません。それに、紋さんも、貴方も私の事をそこまで嫌ってはいないようですが…何故?」

 

 

「え?だってさ、便利じゃないのか?その能力は。俺は別に嫌いじゃないけどな。紋は言わずもながらか?」

 

「えぇ。私は、さとりちゃんと会った瞬間からこの子は信用できるって解ったの。それに、文だって貴方の事を嫌ってはいないでしょう?」

 

「え、ま、まぁ…そうですが…」

 

 

まさか二人とも私の能力を嫌いじゃないと言うなんて…本当に変わったヒトです。

 

まぁ、今の私は眼を隠していますからそれが本心なのかどうかは全くわかりませんが。

 

…ですけど、彼の目はまっすぐこちらを見つめていて…その瞳にはそれが本心だとしっかりと記されていた。

紋さんの方は相変わらず此方に微笑みかけている。だが、その笑顔は純粋であり、心に雲一つない本心だと言うことが見てとれた。

 

 

 

…ずっと見つめられていると恥ずかしくなってきますね。

 

 

「…………」

 

 

「…お、そうだそうだ。お前達。なんか望みとかある?俺が叶えられるモノだったら何でも良いぞ」

 

「……望み…ですか?」

 

「い、いきなり言われてもなぁ…」

 

 

 

「…それは、流石に急すぎない?話す話題が思い付かなかったから、取りあえず望みを叶えようとするの止めない??」

 

紋さんの言う通りですよ、ホントに。

あらかた今思い付いたと言った感じでしょう。

ここで取り巻き大天狗とかが居ればお止めください!!と言って色々と私にたいして余計な事を言いそうな気もするけど…。

今いるのは私達三人に紋さんと天魔さんだけだから。生憎、取り巻きとかも何もいない。

 

 

「…敢えて言うのでしたら、貴方と友達になって欲しいかなぁ…なんて」

 

「ふっ、あははっ!!そりゃ、こっちから是非ともだよ!さとり。…ほら、お前も。…紋もさとり達の事が気になっていたんだろ?」

 

仲を取り持つ様に天魔が紋を会話の中に誘う。

 

「そ、そりゃ、そうだけど…。私は一方的に友達の様に接していたから……気分を害していないか不安だったの…。さとりちゃん?…私からも改めて、友達になってくれないかしら?」

 

「…紋さんなら喜んでですよ。と言うよりもう既に友達じゃないんですか?私としては友達だと思っていたんですが…」

 

「あら?!嬉しいわね!ありがとう!!じゃあこれからも宜しくね?さとりちゃん、幻月、エリスちゃん」

 

 

 

 

 

天魔の瞳が一瞬だけ歓喜の色が見えた。

 

…天魔と言う役職柄、同族で友達と呼べる存在は紋ただ一人だったのでしょう。ただ、紋も常にこれるわけでもないため実質一人で友達も作れずに過ごしてきたんでしょうね。

それに、天魔も紋の二人は他種族からも鴉天狗の中の長という事で畏怖と敬意ばかり向けられるらしい。

 

 

鬼は……確かに付き合いが長い様だが、仲が良い友達とは呼べず、一言で表すなら酒を飲みまくる悪友状態。

 

 

 

……寂しかったのでしょうね。

 

いくら天魔だと言えどここまで人の上に立ち孤独に生きるのが難しそうな人では…そうなってしまうのも仕方ないですよね。

紋さんも同じく似た職業につき天魔と同じ位置に立つなんて、他の天狗達は畏怖や敬意と言うよりも嫉妬や嫌悪を抱いているのでしょう。…だから、あの時紋さんに対して私と似たような目をしていたのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、戦闘後の処理もあってその場はすぐに解散することになった。

 

また、部屋の外で待機している大天狗に案内されるかと思いきや天魔自身が玄関で送ってくれるとは……。

 

大天狗含め全員びっくりしてましたよ。

 

紋は『ま~た大天狗達をからかってからに…そんなに面白いの?』と呟いていた。

 

同感ですよ。

そういうのはちゃんと連絡をしてからやればいいのに…何を考えているのか…。大方周辺の反応を楽しみたいだけなのかもしれませんが。

 

 

実を言うと幻月とエリスは、天魔とちょっと似たような事を私にしていたんです。

そして、その反応をみて楽しんでいました。

 

 

 

そんな二人は…何故か引いていた。

…いや、貴方達が私に対して似たような事をやっていたんですが??

 

私が此方をみているのに気付くと、『何でこっち見るの?!』と言っているかのように驚く。…って、そんなに驚くんですっ!?

 

 

 

 

「なんか…天魔様が迷惑をかけちゃったようですけど…」

 

 

門の外で待っていた椛さんがいきなり謝ってきた。どうやら他の二人は逃げたみたいだ。

 

「別に気にしてはいませんから大丈夫ですよ。それに…結構良いヒトでしたし」

 

そう言うと凄く苦笑いしていた。

 

確かに接待だとか身のこなしなどは全然駄目でしたけど…筋は通っていますし根はとても良かったですよ?

 

普段から身のこなししか見ない人には判らないですけど……紋の言う通り、天魔の器にしっかりとはまっていますし…

 

「まぁまぁ、椛。言いたいことは判りますよ。態度とかは天狗の長として…天狗の看板を背負っているとは思えないんですけど…母さんはそれがあの子だから仕方無いと割りきるのが良いんです」

 

文は、椛さんの表情をみて予測して答える。

 

まあそうでしょうね。

ですが、妖怪ってそんなものでしょう?私達みたいな特殊な生まれをしているヒトを除いてですが。それとも天狗も私達の様に、特殊なだけなんでしょうか?

 

「それにね?天魔さんは結構寂しがりやだったよ~」

 

「……え?」

 

あらら…椛さんの反応をみる限り、殆んど役職の力と彼の力で敬われてしかいないようですね。

 

「…う~ん。だから、もう少しだけ友好的に話しかけてほしいんじゃないの?…例えるなら文と椛の関係性的に悪のりしている友人に笑いながらタメ口で突っ込みいれる…みたいな?」

 

幻月の推論は私も思っていた所である。

ただ、これはただの推測。確証もないしその証明も不可能。

 

「そう、なのですか」

 

「もうちょっと相手を考えてみるとわかるかもしれませんよ?」

 

 

きっと、天狗の縦社会では上の人には最初から敬意と畏怖の視線でみているのでしょうね。

 

それ自体が悪いとは言いませんが…彼らだって同じ妖怪。…なら、大体は思うことは一緒だったりするんです。

それを上手く言えなくて一人になってしまうのも…ヒトの心の特徴なのでしょう。

 

「ほら、椛ちゃん。皆こう言っているんだから、前向きに検討してみたらどうかしら?」

 

「…天魔様…の友人である紋さんにそう言われては…。判りました。今度、機会があったら努力してみます…」

 

何か思うことでもあったのか、椛さんが決心したように言う。

 

次に天魔と会うときは、椛さんも同席出来るように頼んでみましょう。ダメと言われれば、勇義さんに頼めば良い。宴会を口実にすれば…なんとか行けますね。

 

それでもダメなら天魔の事を一番に判っている紋さんにお願いして貰うしか…。紋さんはとても優しいから天魔の事を無理矢理にでも説得して同席させてもらえそうですし…

 

「あの~?私に対してなんか変な事でも考えていませんか?」

 

「いえ…いや、変な事ではありませんが、考えていたには考えていました」

 

「……???……あの、どっちなんですか?」

 

「さぁ、どっちなんでしょうかね。まあ気にしないで下さい」

 

「…判りました」

 

「…フフフッ♪…さとりちゃんらしいわね?」

 

「……何がです?」

 

「いえいえ、別に~?ただ、色々と考えてはいるのね?って思っただけよ~♪」

 

「………そうですか」

 

 

――…椛ちゃんの事を想っているのね?…フフッ。勿論、遠慮なく協力するのを約束するわ

 

…ですか。

心を読みましたが、紋さんはやっぱり変わり者ですね。まあ仲間がいるのといないとでは大違いですし大いに頼りましょうかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

並んで歩くこと数分、萃香さん達の居る仮設診療所が見えてきた。

 

全体的に里が、閑散していると思ったら殆んどがこっちに来ていたようだ。

 

 

まあ、今回は負傷者も沢山出たわけですし…?

それに動ける者はみんな警戒待機してるようですし…。

 

幻月は、その様子を見て『やっぱり慣れないモノだなぁ…』と呟き、側に居たエリスはその先を見据えた瞬間すぐに顔を下へと伏せる。

 

私は何かあったのかと思い、その方向を向く。

 

「成る程。…そう言うことですか」

 

遠くからでも漂ってくる血の匂いと死臭。

 

椛さんもその様子を見たらしく、一瞬だけ顔を顰める。

 

 

…入口から何度も出たり入ったりする天狗や鬼達。

 

その中には誰かを担いで出てくる白狼天狗もいた。

 

「……さとり。大丈夫?」

 

「…。えぇ。なんとか…ですが」

 

「無理しないでよ?あの戦闘のあとなんだもん。…遠慮せずに頼ってね?」

 

幻月は私の側へと寄り添う。

 

「解ってますよ。無理しませんから」

幻月が私にこう言うのも無理はない。

何故ならば、背中に背負ったヒトが見るも無惨な姿に変わっているのだから。

 

…あの白狼天狗にとってどのような妖怪だったのか…私には想像することはできない。

 

 

 

「あのぉ…私…そろそろ限界で…帰っても…良いですかぁ…?」

 

ふと、エリスが口を開く。

 

「エリスさん?どうされたのです?…あ、いえ、別に構いませんけど……」

 

私の体が短時間で完全に再生しているのを見て、やはり驚きを隠せないようです。

 

まあ、仕方ないですよね。

 

「…エリスは、この光景に慣れていないんだよね…?」

 

「恥ずかしながら…そうです…」

 

「…そう言うことだから…私もさとりも帰るけど…良いかな?」

 

いつの間にか私も含まれて居るようですが…?まぁ、私もその言葉を言いたかったのでちょうど良かったのですけど。

 

「エリスさんも幻月さんも帰っても私に決める権利は無いので何も言いませんが…せめてさとりさんの意見は聞いてからにしましょうよ?」

 

正論を説かれ幻月はうっ。と言い口を閉じる。

 

「確かにそうですね。幻月さんはそう言う悪い癖があるのでしたね。すみません。ですが、実を言うと私もお暇しようと思っていた所なんです。なので、詳しい話はまた後日ってことでいかがでしょう?」

 

また後日ということにしましょう。

 

それに今は、ルーミアさんの容体が気になります。

 

 

 

近くを通った鬼の一人に『私達は帰ります』と伝言を頼んだ。

 

鬼を使いっ走りにする私を見て、椛さんが顔面蒼白になってました。一方で私と会話したその鬼は快く応じてくれました。

 

 

 

…言えばどうにかなるものなんですよね。

 

「椛?…そんな取って喰おうなんてしないんだから、ほら行こ?」

 

側で震えていた椛さんの手を引く幻月。私達はその場を後にするのだった。

 

本来なら椛さんが私達をエスコートするはずなのですけど…

 

鬼と会話したその瞬間から立場が逆転しちゃいましたね…。

 

…何故、鬼に対して異常な程までに怖がるのでしょうかね?

 

 

私達はそこまで怖いとは思えないのですが…。

椛さんがここまで怖がられているのを見ていると逆に鬼達がかわいそうに思えてきそうです…

 

 

 

 

 

椛さんに聞こうかどうか迷っているうちに、もう里の入り口についてしまった。

 

椛さんはこれから警戒に戻るようで私とはここで別れる。

 

 

「じゃあ、天魔様によろしくお願いするよぉ~」

 

 

 

「はい、わかってます。彼女に伝えておきますね」

 

 

 

…ん?

何か今、違和感が…

 

 

 

「?…どしたの?」

 

私の様子が変わったことに、幻月は気づいた。

流石、私の相棒。…って、そうではなくて…

 

「いえ、幻月。椛さんが言った言葉について何か引っ掛かるなと」

 

「???……彼女に伝えるって言った言葉が何か変なの?」

 

「いえいえ、そうではないですよ。エリス。…んと…え?まってください。彼女って椛さんが言ったんですよね?」

 

「えぇ。そうですが?…って、さとりさん?まさか…今までずっと男だと思って接していたのですか?!」

 

椛さんは、声を大にして驚いた。

そりゃそうですよ。今まで男性だと思っていたんですから。

 

「幻月は判っていたんですか?」

 

「…まぁ、うん。私は紋さんが取っている行動と言動で既に判っていたんだけどさ」

 

「エリスは分かってましたか?」

 

「ううん。全然(ぜーんぜん)。でも、やけに女の子の扱いが丁寧だなぁ~とは思っていたけどね?」

 

 

エリスが言った様に私達の扱い方に慣れている様子ではあったんです。また、妙に私達へのスキンシップが激しいとは思ってはいたんですよ。

 

…例えるなら、やたら女性慣れしているというか…?

思えば、天魔の匂いも桜の香りがしてましたし……。

よく見れば顔も中性的であって、どちらかといえば綺麗ってイメージがあったのですけど……。

 

「……え!女性だったのですかっ!?」

 

まさか、あの性格と行動で女性とは考えられない。

 

 

 

「ハハ……。初めて会う方がよく間違えられていますね。…思えば、今では天魔様と仲が良い鬼達も最初は、男だと思って接していたみたいなんですよ」

 

 

 

……そうでしょうね。

 

あれじゃ、初対面は男だと勘違いされても仕方ないですよ。

ましてや、鬼達にも見抜けない位に男の風格が出ているのですから、間違えてもしょうがないです。

 

 

 

椛さんと別れた後の記憶は朧げであった。

 

三人になった途端、不安か何かが一気に押し寄せてしまって、無意識に急いでいたような記憶はあります。

 

幻月やエリスも急に急ぎ足になったと言ってましたし…

 

 

まぁ、無事なのは変わりないので何をそんなに不安になったのか…よくわかりません。

 

たとえ、分かったとしてもそれはもう少し後になってからでしょうし…?

 

その時には、この不安の事を覚えているかどうか……

 

 

 

 

 

「……あれ?」

 

里の近くまで来たところでふと違和感を覚える。

 

すぐにその正体はわかった。

 

「ん?どうしたの~?」

 

エリスが立ち止まり此方に駆け寄ってくる。

 

 

「あ、いえ、大丈夫ですよ。…私の勘違いでした。エリス。ありがとうございます」

 

「判った。焦らないでゆっくりとね~♪」

 

「はい」

 

……上着返すの忘れていました。

 

エリスには恥ずかしくて言えませんでしたので、嘘を付いちゃいました。まぁ、優しい嘘だと言うことにひておきましょう。

 

この上着は今度返すことにしますか。

 

忘れてなければですが。

 

 

私達は、皆が待つあの家へとゆっくりと帰るのであった…。

 

 

 

 

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