東方夢幻界鄕 ~有り得たもう一つの可能性の物語~   作:龍姫★サキ

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さとり「私の知らない所でカッコいい真似をしないでくれます??」
魅魔「なにもお前だけが主人公なのはおかしいと思わないのかい?」
さとり「……それも、そうですね。」


【魔天廻鄕異変】廻る生と廃す死を…~終幕~その4(魅魔解決編)

 

私は、狂ったアイツに向けて魔法を解き放つ。

だが、相手も相手だ。それに対応して素早く避けられた。

 

直後途轍もない魔力の凝縮があると肌身で感じとりその方向を見る。

 

 

 

「魔砲…………マスター……スパーク……!!」

 

 

 

あの悪魔の少女の片手からとてつもない魔力が感じられる。

 

…。

………。

 

 

これは…魔力障壁じゃ防げないな。

 

 

私は悟りギリギリで回避をする。

 

…刹那、嫌な気配がした。

突然、目の前に緑髪の少女が現れ予期したかのように待ち受けていた。

 

途端、少女の右手に黒い影の様な刃物が形成される。

それは鋭利の様に光を反射する疑似ナイフだった。

 

 

「フフッ♪影刃……シャドウ、ブレードォッ!!」

 

 

鋭い一閃だった。常人ではとても目で終えない速度で繰り出された攻撃は私の腹部へ吸い込まれる様に突貫する…!!

 

 

理解しがたいが、スペルというものはそういうものさ。実体していて未実体な矛盾する奴でも、スペルならそれらをそのまま再現できる。

 

 

 

この黒いナイフは例え私が怨霊の存在でも、痛みを伴う刃物だったらしく、平然と引き裂けるモノだと言う事を表す。

 

「…急所は流石に障壁でも軽減出来ないっ!!」

 

そう悟り、刃の反対側へと避けた。

 

 

……グサッ!!

 

 

私の脇に強烈な痛みが走る。

 

 

「ウグッ!?……舐めるなよぉっ!!魔符!!マジック…ブラストっ!!」

 

すかさず反撃を行うも、それを予期した様にひらりと大きく避けられる。

 

其処へ…

 

「魔…符……サイド…スパーク……」

 

片言に紡がれた言葉だけでスペルが発動された。

右手に魔力が溜まる。

 

避けないと…

 

そう思うも今の私では動く事すら出来ない状態。

 

 

…バシュンッ!!!

 

相手の動作も発動してからのタイムラグすらも感じられず…弾丸かと思わせる程、早すぎた。

 

一瞬にての攻撃は痛みも無かった。

 

目に終えない鋭い光線は私の腹部を直撃し…あっという間にすり抜ける。

 

「―っ!?……な……にぃ……!??」

 

意識が飛ぶレベルで襲いかかる…動けなくなる程の痛み。

 

…しかし、私は既に死んでおり幽体だ。

…痛み等…私は死んでからとうに忘れてはいたが…

そもそも人間の人体なら胴に風穴を開けられ即死していただろうな。

だが残念な事に私は幽霊で怨霊で不死身と呼べる。

死ぬ事は絶対にない。

 

…死ぬ事は無いが、人並みに痛みは感じる。

普通なら失神レベルの痛みなのだ。

 

貫かれたと意識したその瞬間、強烈な痛みが私を襲う。

 

 

 

「……ぃっう!?………っ!…くぅっ!!」

 

 

 

意識が飛びそうになるが、それではアイツらとの約束を破ることになりかねん。

そして、それは同時にさとり妖怪の鼻端を折ることも出来ず笑われるのが目に見えるからだ。

 

ほんの少し耐えていると人間だった際に大火傷したかの様な…そんなヒリヒリしている様な痛みに変わった。

 

「…ひとまずは、たえ、たが……」

 

変わったところで負傷したことに変わりはなく次の瞬間には鈍痛の様に響く痛みに変わった。それは後の行動すら制限しまい兼ねない痛みでもあるのだ。

 

「…追撃でもされたら堪らないな…ここは…」

 

私は体勢を建て直し、後ろに後退しようとする……

 

 

「逃がさないよぉ~♪」

 

……っ!??

 

こいつ!?いつの間に!!

 

気付くと私の目の前に緑の髪の少女がたっていた。

これは流石に避けられない!!

 

「心槍……メンタル…イズ…トライデント!!」

 

少女が手をかざすと槍のような物が形成される。

その刃先は三本に割れて、まるでトライデントの様に変質する。

その槍を此方に向けて刃先を調整し……一気に刺し貫いた。

 

 

「二度も同じ手は食らわないよっ!!」

 

 

 

無意識に私は魔力を障壁の方に回してダメージを押さえようと工夫する…!!

 

刹那の時間が流れる!!

 

 

 

…フォン!…ギィィンッ!!!

…シュゥゥンッ!!

 

 

鈍い金属の様な音が鳴り響き、同時に魔力が削られる感覚が襲う。

 

しかし、それは私の元に届く前に消えた。

間一髪の賭けだが、奇跡的に届かなかった様だ。矛は私が産み出した魔力障壁に阻まれ、ギリギリで貫かれる事なく消滅した様だ。

ダメージは無かったが…魔力がある程度削れてしまった。

 

ちっ。

嘗めていたのは私の方だったか。

どう考えても二対一。

 

数で押しきられれば例え相手が30%の力でも合わされば60%となる。

もし、連携でもすれば弱くとも隙がない攻撃となり、事実上100%以上の力は出せる。

 

…それにだ。

 

…さっきからスペルを詠唱せずに淡々とスペルを使っているが明らかに異常だ。

 

通常、スペルを詠唱する事でそのスペルの持つ力を100%以上の力を引き出せる仕組みになっている。

だからこそのスペルと呼ばれる強力な必殺技の様なモノになる。…が、もし、詠唱しなければそのスペルの持つ力の八割以上が減衰して相手にダメージすら入らない攻撃になる筈なのさ。

 

 

 

「……即ちだ。……。(…この異常事態を引き起こしている奴がいる事が発覚する。それこそ泥仕合の様な勝負の行方のすらも握っていると。…それならば…そいつを…重点的に狙い、潰すまでさ)……さて、様子見は終わり。反撃開始さ。ここからが…ね」

 

 

 

……といっても、状況は何一つ変わらないが……

これを倒しても、次はサリエルの一騎討ち。

できる限り魔力と体力は温存はしないとな。

それに、決着は10分以内って決めたからこそ、時限発動型の魔法を使用したんだ。

 

ここで苦戦するようじゃ、最強の魔法使いを名乗れないしな!!

 

 

「…本当に、お前達という存在は仲が良い様だ。それも息の合う連携でこうも簡単に私を追い詰めるのだからな。…ただ、今回その相手が悪かった様だ」

 

私は狂ってしまい相手の言葉すらも通用しないだろう狂人者二人に軽く笑いながら述べた。

 

「…私は魅魔。こうも魔法に秀でているとお前達の強さの理由も少し考えるだけで紐解けてしまうからさ。もう少し相手に悟らせない様なやり方で私を追い詰めた方が多少なりとも私の体力と魔力を削れたのだが……」

 

 

「お前達のターンはこれで終わり。そして、同時に詰みでもあるのさ!!」

高らかに宣言する。

 

瞬時に私はこの現象を引き起こす馬鹿の側に移動した。

 

「……っ!?」

 

驚くのも無理は無いだろう。

 

移動したのも多分、相手はある能力で既に把握済みで其処に攻撃すると予め用意して構えていたからさ。

その可能性だけは無限に存在するが万が一にでもあちらの思惑にひっかからない様な立ち回りだけは狂ったアイツらには用意されてない。

……そう。

 

 

大体狂っているならアイツらの基準が明確になる。

私が戦闘の為に動くならなにをどうするのかを先に捉え、その目的に動く。

その戦闘の先読みとそれだけに考えられるあらゆる可能性にしか目がいってなかった。…それ故『能力で予見出来ない可能性だけは予測は不可能』となるさ。

 

クククッ!!

 

だから、私も自ら力を少し使いこの後、私は未来でどう動くのかを予測した。

緑髪の少女から逃げる可能性、防御する可能性、スペルで対抗する可能性、様子を見る可能性、スペルを撃った場合の立ち回り方という可能性……と色々あるが、そのなかに、理不尽な能力を使用してサポートする者を真っ先に排除するという可能性は、彼女の力的にも不可能と恐らく見越して入ってないと予測し、見事に的中した。

 

幻月という目の前の天使の様な翼を持つ悪魔を先に一瞬で潰すという未来だけは予測すらしてなかっただろうさ。

 

なにせ先程から攻撃を受けてそれが出来ないだろうと思う。

せいぜい傷をつけるだけと。

 

「……クククッ!!油断大敵って奴さ!!恨むなら予測出来なかった自分を恨みな!!」

 

一瞬でカタをつける……!!

 

私は残っている魔力の半分を使用し隙が出来た幻月に取って置きのスペルをぶちかます。

 

幻月という少女は恐らく強さも別格。さとり妖怪の旧友と言える強さを持つ。

 

 

私も未だに謎の能力の理を操る程度の能力。

本来の力だと下手を打てば私の予測を上回る行動をされて、彼女の相手にすらならないだろう。

…でも、今の彼女は狂って能力の半分すら引き出せない状態。だから、彼女の能力には必ず抜け穴が存在する事になる。

 

 

 

 

「これが魔法。これが真髄。究極の魔法で宇宙の彼方までぶっ飛んじまいなっ!!魔皇『オールレリーズサン・ユニバース』!!!」

 

 

私はスペルを発動する。

緑の髪の少女はそれに気付き阻止しようと瞬で迫る…

 

「…それも予期していたからこその魔力をかなり使ったスペルさ。……助けに来ても来なくても…同じ結末だったのを忘れては困るよ。…チェックメイトさっ!!」

 

瞬間、私を中心に大爆発が巻き起こる。

それは惑星の終焉。

ハイパーノヴァと思わせるかの様で美しくも凶悪な衝撃波が辺りを包んだのだった。

 

閃光の様な光が収まった。

 

これでアイツら二人が倒れてなければ、そのときは私がチェックメイトな訳なのだが……。

 

 

 

 

「ア……がぁ……わ、たしハ……わたし…は、ぁ……!」

 

 

 

緑の髪の少女は姿が変わり、濃い黄色で長髪を持つ悪魔に変わった後に真下に垂直落下していく。

 

一方で幻月の方は

 

「………ぃッくぅ……ぅ。……か、か、だが……動く…はぁ、はぁ、ようやく……誰も…傷つけなくても…す、……む」

 

そう言った後、力無くなる様に垂直に落下していった。

 

 

 

 

見過ごすことは出来ないので、落下した二人を抱えて、側に浮いている大きい岩に寝かせた。

 

…そして、運が良いのか……悪いのか……丁度10分が経過した様で私の魔法が問答無用で発動された。

 

 

…。

……。

麟という少女に目配せしてもう出てきて良いと伝えた。

 

 

途端、麟と呼ばれた少女は此方に駆け寄り、二人の側で止まる。

 

「魅魔さん。……貴女は、…ど、どうして??」

 

麟が質問するのも一理ある。私はこの異変を起こす手助けをした黒幕の様なモノさ。

ただ、手違いでアイツらは私の予想を遥かに越える様な行いをして私の気分を損ねた訳だ。

所謂、利害の一致って奴だ。

「ふ。私の気分が珍しく良かったからな。偶然、助けに入っただけに過ぎないさ。……これでも、私は人の情位持っているし、助けを乞うもの思いを踏みにじる様な薄情者だけが考える、人として最低な考えだけは、持ってすらいないさ」

 

 

…こう答えた方が都合が良い。

黒幕としてやってはいけない行為だったしな。

 

 

「なにか企みはあったと思いますが、事情は聞きはしません。そして、本当にありがとうございます。魅魔さん」

 

「…はぁ。礼なんて要らないさ。私は黒幕。そしてこれを引き起こした張本人の一人なのだから。悪人に情けなんてかけられても、…心底迷惑で複雑なのさ。」

 

…素直に受け取れない辺り、私はまだまだ人心が判ってないのか。

 

でも、こうやって感傷に浸っている時間じゃない。

もうすぐこのスペルは時間が来て解除される。

そしたら、折角助けたこいつらにまた危険が及ぶ。

それだけは避けたい。

 

ならどうするか。

……アイツらの所へ魔法を使って時空を歪ませて逃がすだけだ。

逃がすことが出来れば、体力回復さえすれば、あっちの異変なんて余裕で解決出来るようになるだろう。そうすれば、私がもしここでやられてもアイツらには私が救った借りを伝えてくれる筈だから、すぐにでもここへ足を運ぶだろう。

…ならば。

 

「……さて、喋っている時間はない。お前たちだけでもこの空間から逃げろ。」

麟は驚く。

しかし、反論はしなかった。

「……大丈夫なんですね?」

「ふ。私を誰だと思っている。最強の魔法使い様だ。あの魔天使野郎に負けるとでも??」

 

私はそう言い、魔力を半分使いこの場所と地獄へ簡易に行ける道を作り上げた。

 

「…判りました。…無理は、しないでください。……お礼にはなりませんが…貴女の体力と魔力を全部回復します。…ご武運を。」

 

 

「巡る生命、流転する時間軸。全て私の意のままに流れ、目の前の対象を救いたまえ……女神『エウロペ』…!」

麟は、二人を抱き抱えて移動する前に私にあるスペルを詠唱し発動させた。

 

 

この感覚は……体の時間だけが巻き戻る奇跡に近い感覚。

 

このスペルは下手をすると存在すら消えてしまう危険なスペルだった様だ。

…対象だけの時間を巻き戻し、体力や魔力が完全な状態の時まで遡る事も可能。

その代わり代償として体力や魔力を大幅に使用してしまうハイリスクの犠牲スペルだった。

 

 

 

 

…私の掛けた絶対回復治癒魔法は対象の体力と魔力の両方を回復させ、それは完全になるまで半永久的に発動し続ける奴さ。

 

なら、この犠牲スペルを詠唱しても暫くすれば完全復活するさ。

 

 

 

 

 

麟達を見届けた直後、道は閉ざされ、同時にスペルが解除される。

 

 

「……ほう。私の言いなりになっていた魔法使い擬きが一匹助けに入ったか。…そして、お前が私に立ち塞がる新たな敵として認識しても構わないか?」

 

 

サリエルがそう威圧する。

 

「…そうさ。私はお前達を倒す。私の思惑通りに動けば良かったもののそれを無視して勝手に行動されあまつさえ此方の住人の命を卑劣な手で散らすときた。我慢の限界って奴さ。……覚悟しな。お前ごとき私の本気を出すまでもない。…知り合いに手を出した罪…どのくらい痛いか身体で教えてやる!!」

 

……本当に変わったな。

今の私は、アイツらに復讐すると決めた。

しかし、その復讐方法が変わってしまったさ。

だから、アイツらには感謝しかない。

此処まで私を生き長らえさせてくれたこと。

生きる意味を作ってくれた事にだけ感謝しよう。

 

この借りを今ここで返す!!

その後は、私の本当の目的の為に行動するさ。

 

 

「お前の遺言は良く覚えておこう。無様に散った裏切り者の亡霊と言う名だけ残して一切合財を消し飛ばしてやる。……これが、お前という偉人の……最後の戦いだと……知れ!!!」

 

 

 

魅魔は、サリエルに向かって突貫する。

…この無謀過ぎると思われる戦いが後に刻まれる勇姿になることも知らなかった。

 

 

 

【魔獄挟界異変】侵されし秘匿された幻想の地その1に続く…!!

 

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