ARMORED CORE Ⅵ /LOST RAVEN   作:この先生きのこマン

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 メインシステム 通常モード
 作戦行動 再開


Reverse03 人工島探索F

 銃声はたった一度だけだった。

 

『621……!』

 

 ウォルターが身を乗り出しモニターに齧り付くように猟犬の名を呼ぶ。

 モニターから映し出される映像は変わらず眼前のunknownを捉えていた。

 それはLOADER4にダメージがない事を意味していた。

 

 そして──unknownの後ろでバチバチと音を立て頽れるナニカが一つ。

 

『なんだこの機体は……迷彩か!?』

 

 企業MTとはまるで違う。

 立てた皿に手脚と首を生やしたような、やんわりと言えばやや生物的、率直的に言うならば異形だった。1発目で急所を撃ち抜いたのは流石は621と言ったところか。

 それは621の背後にも彼自身が倒したものと同じものが半身を焼け焦がせながら糸の切れた人形のように倒れる。621もunknownも既に()()()()()に勘付いていた。

 

 不測の事態に遅れを一切取らない621の立ち回りに安堵を覚えながらも、ウォルターはunknownを観察する。

 あのunknownの持つ大型ライフル。あれはレーザーライフルだろう。

 チャージせずにあれだけの破壊力となれば探査用フレームのLOADER4がまともに貰えば無事では済むまい。

 

 レイヴンを自称し、ACのようなナニカを駆るunknown。

 そして情報ログ:Revolution。

 人工島。

 友人たち、そして()()

 

 ウォルターの脳裏で繋がって欲しくない点と点が繋がりを始める。

 次に2機が取った行動は蜘蛛の子を散らすように散開する事だった。2機のいた場所にレーザーが降り注ぐ。

 

 ──MDD方式か

 

 まず621のLOADER4はシステムをスキャンモードに切り替え、MDD方式で姿を消したMTの居場所を洗い出す。

 そして床を強く蹴った瞬間、アサルトブーストを発動させ一直線に飛ぶ。

 

 アサルトライフルを連射し、姿を消したMTに当てるとその欺瞞が綻びを生みウォルターの目にもその姿を露わにする。

 また同じ形状のMT。今度は手には異形のレーザーライフルを携えていた。

 居場所は分かった。次はあのレーザーライフルをどうするかだ。居場所が知れてもあの射撃の直撃をもらったしまえば意味がない。

 MTが再び引き金を引く。その時LOADER4は──アサルトブースト中に横に避けた。

 ただでさえアサルトブーストするだけで相応のGがかかるというのに最中に横に緊急回避──クイックブーストを使ってみせた。普通の生半可な人間ならば下手すれば肋が折れ、内臓がぐちゃぐちゃだ。だが生憎621はただの人間ではなかった。

 

 完全に距離を詰め切るまでアサルトライフルの弾丸を当て続け、逃亡しようと自らの脚をバネに飛びあがろうとした矢先LOADER4はそのレフトアームをMT目掛けて大きく振るった。

 パルスブレード。それはエネルギーで斬るというよりはエネルギーの奔流で押し流すと形容した方が正確と言えよう。

 レフトアームに取り付けられた発振装置から放たれた奔流はMTの身を焼き尽くすには充分だった。

 

 

 一方でunknownというと、621が対処しているMTとは違う個体を追っていた。

 あくまで片方は任せると言わんばかりだ。状況を理解出来ているあたり比較的『まとも』寄りなのだろう。

 アサルトブーストに匹敵する瞬間速度を出しながら左右に機体をステップさせて、狙撃を避けてみせる。大振りなレーザーライフルの銃口は既に虚空に確信を持って向いており既にMDD方式のからくりに気づいているようだった。

 

 あのunknownの目には既にMTの姿を捉えているようだ。

 スキャンモードを駆使できているのか、それともその背中にある羽のようなレーダーが捉え切っているのか。unknownの乗り手のみぞ知ることだ。

 ジャンプを繰り返した移動を仕切ってからレーザーライフルの引き金を引くと獣の咆哮のような銃声と共に青白いエネルギー弾が射出される。──命中。半身が焼けた状態で電磁迷彩が解けていく。

 

 ACSが機能したのか辛うじて反撃をかけようと動き出す。その動きはぎこちなくunknownが携行しているレーザーライフルの破壊力を雄弁に物語っていた。

 もう1発は、撃たないようだ。逃げ足も覚束ないMTに迫るunknownはレフトアームに装備されたそれをオレンジ色に輝かせる。

 レーザーブレードだ。その刀身は短い、剣と言うよりは短剣(ダガー)だ。

 まるで鳩尾(みぞおち)(えぐ)るかのように振るわれた一撃はMTの息の根を完全に止めるには十分過ぎる一撃だった。

 

 

 中心部を抉り斬られたMTはばちばちとスパークしながら、ランプを明滅させながら倒れ込む。

 狙いは性格無比。下手なAC乗りでは倒しようのない存在だ。まだ621は環境に慣れきっていない、このまま下手に交戦はさせられない。

 横槍を入れてきたMTの所属は気になる所だが、unknownと交戦して621を失おうなら元も子もないというものだ。

()()からその旨についての連絡が来ているがウォルターは一瞥してから目を離した。

 

 その時だった。

 unknownの頭部が点滅を始めた。

 

「そちらに戦闘の意志はあるか──か」

 

 随分と古風な信号を送るものだ。

 ウォルターは苦笑いしながら621に通信を送る。

 

「621、不測の事態に備えて戦闘モードは維持したまま待機しろ。後は俺が対応しよう」

 

 ウォルターの指示の通りLOADER4は引き下がるが戦闘モードはカットしなかった。なにぶん向こう側の意図が掴み切れずにいる状況下において下手に無防備でいる訳にはいかない。だが、あの乱戦において621の寝首を掻くチャンスは相応にあったはずだが現状手を出しては来ていない。

 この人工島の正体を知るという点において、あのunknownは貴重な手掛かりだった。

 

 ──さて、交渉という行為が通じる相手だといいが。

 

 最悪決裂した場合の事を考えて621を戦闘モードのまま待機させている。

 だが向こうも何かしらの思惑抜きであんな真似はするまい。内心腕を捲りながらウォルターは621のLOADER4を介して返答用の信号を送った。

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