ARMORED CORE Ⅵ /LOST RAVEN 作:この先生きのこマン
ベイラムグループからの公示だ。
補給拠点を襲撃しようと目論むルビコン解放戦線の戦力を迎撃したいらしい。
そのために戦力をあらかじめ減らしておけ、ということだ。
なお報酬は戦果によって支払われる。
不特定多数へのばらまき依頼なのもありこちらの力はさほど期待していないようだが、
ここは遠慮なく稼がせて貰おうぜ。
エド・ワイズ
独立傭兵の諸君!
ベイラム同盟企業、大豊による依頼を公示する。
ルビコン解放戦線が補給拠点への襲撃の為侵攻部隊を進軍させているとの情報を得た。
襲撃先の補給拠点も迎撃するだけの用意はあるが、無駄な消耗は抑えたい。
野心ある諸君!
解放戦線侵攻部隊を襲撃し戦力を減らせ。
我々は敵兵器撃破数に応じて追加報酬を用意した。可能な限り敵方の戦力を削いで貰おう。
これらは諸君らにとって手堅く実績を作る好機だ。奮闘を期待する!
〜〜ブリーフィング音声記録より抜粋〜〜
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『レイヴン聞こえる? 今回のミッションについて振り返りましょう』
このルビコン3という惑星は多分に漏れず血生臭い話がごまんとある。それ故に大金が舞い込むような美味しい依頼から割に合わない依頼までが玉石混交としている。
故に依頼はある程度シーラがエドが集めてきた情報をもとに選り分けて、レイヴンが最終決定を行う形だ。
それが決まれば出発進行と言うわけだ。
例の人工島からレイヴンのACを固定したヘリが飛翔する。
ヘリの操縦は地球でレイヴンが雇ったパイロットが。そこに同乗したシーラがオペレートする形となる。
レイヴンは輸送中のACのコックピットでスタンバイしているという訳だ。
レイヴンたちをルビコン3へと誘った人工島はどうにも施設や電力、弾薬、果てはガレージまでもがあるのでレイヴンたちの拠点としてはもってこいだった。
ここまで至れり尽くせりとなれば少し不信感も覚えるし件の襲ってきた無人機の存在もあるのであまり過信は出来ないが、右も左もわからず何処から弾丸が飛んでくるか分からないようなこの惑星の中では現時点では一番マシと言えるのは確かだ。
話を戻そう。
今回レイヴンらが受諾した依頼は解放戦線侵攻部隊排除。
内容はお察しの通り、ルビコン解放戦線に対する火付けと壊しだ。
『ルビコン進駐を行った星外企業の一つ。ベイラムグループから公示よ』
シーラの言う通り、依頼主はベイラムグループだ。
「ベイラム……クレストのような企業だったか」
『粗方そうね。ベイラムもACパーツをリリースしていて実弾と信頼性を重視した企業。クレストとまるで瓜二つ……』
この惑星において、複数の企業たちがひしめいている。その中で一際大きな勢力を持つのが、
先程言った【ベイラム・インダストリー】
これはレイヴンが知るクレスト・インダストリアルに相当する企業だ。
信頼性のあるAC用パーツと実弾系の武装を多く輩出しており、扱いやすさと質より量と言わんばかりに量産性において定評がある。
『何処の星に行っても存外人間の考える事は同じなのかもしれないわね。それに対抗し得る企業がまさにミラージュそのものだもの』
もう一つは【アーキバス・コーポレーション】
レイヴンの知るミラージュ・ワークスに相当するものだ。
先進性の追求と高級志向を重視したAC用パーツをリリースしており、高級かつ新機軸のパーツとレーザー兵器系をやたら多く輩出している。
こちらは量より質を重視していると言えよう。先進的な装備並びに戦力少数精鋭で持っている。
この2つの企業は系列企業を複数有しておりその戦力はレイヴンの知るかつての企業勢力に勝るとも劣らないレベルのものだ。
『話が逸れたわね。一旦アーキバスの事は他所に置いておいて、正確にはベイラムからではなく傘下企業、大豊大豊核心工業集団による依頼よ。ルビコン解放戦線は現在、ベイラムの補給拠点を襲撃しようとしているからこれの勢力を極力減らして』
星外企業であるベイラムらはとある事情で封鎖されたこの惑星、ルビコン3に強引と言えるやり口で進駐している。
そこには『資源』があるのだという。それに対して、閉鎖される前である半世紀ほど前から入植していた人間たちがルビコン解放戦線なるレジスタンスを作って反目している、という訳だ。
今回の依頼は、そのレジスタンス活動の一環としてベイラム系の補給拠点をそれなりの戦力をもって襲撃しようという。
それを察知した大豊は一応その自前の戦力で迎撃出来ん事はないが傭兵を雇って襲撃部隊を荒らして迎撃を楽にしたいという訳だ。
『報酬は歩合制。破壊した兵器の数が多ければ多いほど儲けは大きいわ』
通信機越しからでもわかる。
シーラの声が少しノリに乗っている。これまでの仕事でも守銭奴のフシはある事は知ってはいるが、このルビコンに飛ばされても変わらないらしい。
そんなビジネスパートナーの性分に少しばかり安心感を覚える。そうでなければ特定勢力に属さない独立傭兵と組んで金稼ぎなどやってはいられない。
「
『──えぇ。それは勿論』
おそらく、シーラは輸送ヘリの席でニタリと笑っているに違いない。
それはレイヴンも同じだった。
全て金で解決するとは言わないが、大体事を成すには金が必要だ。
それに──
この知らない新天地でACを動かすことが出来る。
その事実に高揚感めいたものがあった。
『作戦エリアへの到着まであとわずかよ。準備して』
今回の作戦エリアは森林地帯のど真ん中。即席で作られた前線基地のようなものだ。そこには輸送ヘリと言った大ぶりなヘリから小型ヘリ。小型MTから大型MT。戦車までが鎮座している。
シーラに促されるがままにレイヴンは無言でACの各種システムの起動スイッチを倒していく。
命を吹き込まれたACは駆動音という名の鼓動を鳴らし始める。そんな中でシーラがカウントダウンを告げていく。
『投下開始まで、3、2、1──投下!』
がちゃん。
輸送ヘリのロックが、外された。
落とされる鉄の塊。それはアーマード・コアと呼ばれる地上最強の兵器だ。
ずしん、と音を立てて大地に立つACの頭部のカメラはすでに、解放戦線の兵器たちを捉えていた。
【メインシステム 戦闘モード起動します】
さて、全部壊すか。
レイヴンの生来のドブのように濁った瞳に昏い炎が僅かに宿った。
レイヴンと書いて、ひとでなしと読む。