ハルケギニアの極道者 作:1R1分1秒KO
俺にミスは許されない。その理由はお祖父様の性格にある。
かつてのお祖父様の性格はかなり荒く、お祖父様の部下が裏切った時は刀を抜いて今の道場の本部にあたる所で見せしめ、斬り殺すという過激なことをしている。
6年前に起きた俺の事件を境に性格は少し丸くなったがそれでも荒い部分があるので気をつけなければならない。
「7号…今日の任務の相手わかっているの?」
おっと、ボケッとしている間にイザベラの話しが終わったみたいだな。…さっきまであんなことを考えていたのはイザベラがタバサに任務を与えていたて、俺はその心構えを思い出していた…
「吸血鬼」
さらりとタバサは返事をし、イザベラは眉をひそめた。
「ふん…まあいいわ。とっとと行きな。」
ようやく長い長い話しが終わり俺達はシルフィールドに乗ってサビエラ村へと向かい…その付近で着地するとシルフィールドが人間に化けタバサに杖を持たされた。
「それじゃ行こうか。」
俺はそう言ってタバサについて行こうとするが
「…マサムネは村に入らないで。ここは私達が片付ける。」
「何故だ?足手まといだとは言わせないぞ?俺はお前よりも強いと言える自信がある…」
「だから都合が悪い。」
都合が悪いって…こいつ吸血鬼を欺かせる気か?俺の推測だとアホの子のシルフィールドを生かした作戦ってことか…
「…わかった。だが付近の森まではついていくぞ。」
となれば吸血鬼はどちらか本物か確かめるために森の中にタバサを連れて行く…俺は森の中で待機してあらかじめ吸血鬼を待ち伏せしておいた方が得策だ。もしもこのまま付いて行ったら逆にタバサを助けることは出来ない。
「構わない。」
タバサはそこまで計算していないのかそう言ってサビエラ村へと向かった。
タバサ達が村で歓迎を受けている間俺はルフィーナと木の上でおにぎり(お祖父様の故郷の料理らしく、ご飯を三角形にしたものだ)を食べて双眼鏡でその様子を見ていた。
「あのガキ~っ…中々本性現れねえな。」
俺はルフィーナの耳と感覚を共有させて話し声を聞いたが誰だかさっぱりだ。ただ一つ言えるのは外部からやってきたという婆さんは外れということだ。その見た目で吸血鬼の年齢なら1世紀くらいの年齢になるだろうし、そこまで長生き出来るのに疑われるような真似は絶対しないはずだ。
「簡単に吸血鬼の本性は現れませんよ…吸血鬼の本性が現れるのは夜頃でしょうし、それまで待ちませんか?」
そう言ってルフィーナが俺を休ませようとするが俺は首を振った。
「そうも行かねえよ。あのガキが一番怪しいんだよ。」
「何故そこまで拘るんですか?」
「…お前の耳の情報だとあいつも元々は外部の奴だろう?あの婆さんが来る前に突如現れた…そしてあの婆さんが来た頃に吸血鬼としての行動をした…幼稚にもほどがあるがそれなら自分は怪しまれないし、あの婆さんに罪をなすりつけることが出来る。」
「確かにそうですけど…せめて夕方まで待たれては?」
「奴が昼間森に入らないとは限らん…その時が奴の最後だ…」
しかし、俺の昼間の待ち伏せは無意味に終わり、夜になった…何故だ!?
「くそ~っ…結局来なかった…」
俺はそう愚痴をこぼすと後悔した。
「だから言ったのに…」
ルフィーナは呆れた声を出して俺をじと目で見てきた。ちなみにあの婆さんはルフィーナの先住魔法で隣の村に移動させた…
「だが無意味って訳でもなさそうだな…」
すると俺の推測通り、タバサとあのガキが森の中へと入って行った。
「静かに行くぞ…」
「了解しました。」
俺達はタバサとあのガキを目で追いかけ、ゆっくりと近づいた。
「イタイイタイって言っているよ?」
ガキがそういうとタバサが木の枝に絡まった。
「吸血鬼…!」
朝とは違い、タバサに怒りが混じった声が聞こえた。
「言っておくけどメイジが嫌いなのは本当なの…私の目の前でパパとママを殺した。だから見つけたらすぐに美味しく頂くの。食事をするにも奴らは邪魔者だもの…」
…
「人間も私も生きるために殺す。私は悪くない。」
もう奴は決まった…
「ルフィーナ…タバサを助ける準備をしろ。」
俺はそれだけ告げた。
「え?」
ルフィーナとガキの声が同時に聞こえた…というのは俺がガキをナイフで刺したからだ…
「な…んで?」
そう言ってガキは俺を見て驚いた顔をした。まあ殺気もなく突然ナイフが刺さっていたら驚くだろうな…
「てめえの言うことはわかる…だがな、それは犯罪だ。だからてめえは悪い。」
俺はそう言って背後から刺したナイフをさらに突き刺した。
「まさか騎士がもう1人いたなんて…思わなかったわ…」
「てめえの考えは悪くなかった…だがな運が悪かった。それだけのことだ。恨むんなら自分の運を恨むんだな。」
そして俺はガキを正面に振り向かせ、俺の持っている刀で斬るとガキは絶命した。
「…ありがとう。」
タバサはルフィーナによって解放されるとそう言って礼を言った。
「これも任務の内だ。てめえのヘマは俺が拾う。わかったな?」
俺は錬金で油を出し、ガキを火葬してやった。
「わかった…だけど一ついい?」
「なんだ?」
「貴方は何故あの時怒っていたの?」
「あのガキが犯罪を犯罪と認めなかったからだ。」
実際には違う…もっと別の理由で俺は怒っていた。あの事件のことを俺は思い出してしまったからだ。
「そう…」
「さて…俺はここで待っているぞ。」
「ん…」
そうして俺とタバサの任務は終わりを迎え、トリステインへと向かった。