話の舞台は邪王星団です。
…かつてこの世界は1万年もの間、吸血鬼またの名を貴族に支配されていた。しかし吸血鬼が霊長の立場に就いていた恩恵もあった。
それは吸血鬼の超科学のおかげで人類は自らの手で引き起こした核戦争で荒廃した世紀末から文明を復興出来て、外宇宙からやってきたクトゥルフじみた生命体のアウター・スペース・ビーイング、略してOSBの侵略を防ぎそれとの戦争に勝つことが出来たからだ。
だが地上に君臨し栄華を極めた吸血鬼またの名を「貴族」達の世も終わりを迎え地上は再び人類の時代を迎えようとしていた…。
しかしそれでもなお貴族の脅威は辺境において猛威を奮い、人々の生活を脅かし続け、それは人を超えた能力を持つ「吸血鬼ハンター」の誕生を促すことになった。
だが吸血鬼ハンター達も貴族と同様に一般の人間達から見たら恐怖と畏怖と尊敬の対象だった。貴族は生ける災害と例えることが出来るほど強くて並大抵の人間では抵抗も出来ずにいいように扱われる。つまり天変地異の化身とも言える貴族達と戦えて運が良かったら狩れる吸血鬼ハンター達もとんでもない強さと言えるだろう。
ただ単に強いだけだったらそんなハンター達を人間達はそこまで怖がらないだろう。だがハンター達は大抵の者が暴虐無尽の存在だった。貴族を狩るという命がけな仕事の都合上、一つの村や町が潰れるくらいの報酬をハンターが要求して満足に払えないと依頼人ごと滅ぼすのは序の口で、最悪、特に意味もなく村や町を滅ぼすのが多々あるからだ。実際にあるハンターが立ち寄った街で見つけた気に入った女性を手に入れるために空間ごと地震で揺らして街を破壊したり、あるダンピールハンターが報酬の代わりに血を要求して血を吸われた犠牲者の村人の大半が貴族やダンピールになって結果的に滅びたりしたからだ。
つまり吸血鬼ハンターによって引き起こされる被害は貴族によって引き起こされる被害と似たような物だから貴族の被害に悩まされている人間はまず自力で解決することを目指す。それでも駄目だったら最終手段として吸血鬼ハンター達に頼るのだ。
───とある辺境の貴族の城
そこでは貴族を狩りに来た吸血鬼ハンター達と貴族の配下達がぶつかり合っていた。
超次元迷路、無限に埋もれる砂地獄、あらゆる者を洗い流して溺死させる大洪水地帯、火竜陣───侵入者を許さず脱出も許さない死の罠をくぐり抜けた歴戦のハンター達に対して立ちはだかるのは氷を纏った改造狼男や貴族の超科学で作り出された緑のフランケンシュタイン達!
鉄で出来たかのギリシャ神話のステュムパーロスの鳥を連想させる貴族のメカニズムで出来た鳥人がハンターを蹴り殺す、その隙を突いて電気を自由に扱える発電体質な雷の化身といえるハンターが最大出力でショートさせて壊す。
フェンリルの血が入っている狼男が電気を操るハンターの人体の細胞の一欠片まで凍らせて切り裂く。
緑のゴリラを連想させるフランケンシュタインが引き起こした大爆発に対して人体発火現象を利用して炎や爆発を自由自在に操れるハンターが同じような爆発を引き起こして相殺する。
超科学や魔導力学等のあらゆる技術で出来た貴族の城内でなく普通の城内だったらとうに余波で崩れて荒野が出来るそんな戦争とも言える激戦が繰り広げられていた。
「皆の者!そこまでです」
そこに気品のある月のように美しい声が響いた。
戦闘を行っていたハンター達がその声に気を取られて出所を見た瞬間、彫像のように固まってしまった。
その理由は出てきた城の主がとんでもない美貌を誇っていたからだ。
普通、貴族が美しいのはデフォルトみたいモノで並大抵の人間は見ただけで骨抜きにされるから貴族を狩る吸血鬼ハンター達は大なり小なり貴族の美貌に対して耐性を持ってないといけないのだ。
だが出てきて戦闘停止を呼びかけたメル・ゼナという貴族は眉、瞳、鼻、唇――個々の美しさと配置の精妙さを、どんな詩人の筆も書き尽くせはしまいとんでもない美貌を誇っていた。
勿論、顔だけではなくゴシック・アンド・ロリータを着こなしている体の造形もバランスよく整っていた、その体はまさに神が作り出した美しさだった。どんな絵師もそれを完璧に書けない美貌だった。
そして城の窓から出てきて城内にいる全員を照らしている月光がそのメル・ゼナという貴族が出てきた瞬間、メル・ゼナだけに月光のスポットライトが当たっている状態になったのた。
ハンター達はこんなにも美しい姿をした貴族がいるのだろうかと思考する前に美に溺れて何も考えられなくなってしまった。
「この城から出ていって遠くに消えなさい」
そうメル・ゼナが蔑んだ目で言うのと同時に言霊に操られたようにハンター達はふらふらと消えていった。おおっ!これもメル・ゼナという貴族が持つ至高の美貌がなせる技であろうか!?
突然だがわたくしは吸血鬼ハンターDの世界にモンスターハンターの古龍メル・ゼナの擬人化みたいな姿と力を持って生まれてしまった転生者だ。
誇りある貴族として生まれたお嬢様吸血鬼だけどわたくしは出生は特別だったようで、お父様が偉大なる神祖様にお母様の胎内にいる生まれる前のわたくしを実験体として提供したおかげで人間と龍のDNA情報が混ぜて作られて生まれた貴族らしい。
つまりわたくしは御神祖様が実験で生み出したDやバイロン男爵等と同じ実験で生み出された存在ということだ。
ちなみにお父様とお母様はわたくしの面倒をきちんとよく見て領民思いの親としても領主としても優秀な存在だった。
そう・・・そういう存在だった。わたくしが充分に育ったら宇宙に飛び出して行きやがったのだ。あのヤローは。
面倒な領地運営なんて両親に任せて部屋の中でゴロゴロしながら過ごしたかった〜!どの吸血鬼ハンターDの巻に出てきた文章だったか忘れてしまいましたが、貴族が寝る棺に入った者は快適過ぎて出てこない者が多いという情報は本当でしたわね!
「お嬢様!またハンターです!」
・・・ああ、本当に憂鬱。
元男性の身で勝手が違う女性の身、しかも吸血鬼の体になっていて人間の血を吸いたい貴族の本能を抑えて今世の肉体に適応して同じ貴族の今世の両親やマイエルリンク等の人間を襲わない領民思いの慕われる貴族としてやっているのに、ハンターが襲ってくるなんて・・・。
常識外れな美貌を持っているチートメル・ゼナ美少女貴族が転生特典でもこの状況やっていけませんわ!
そう思って侵入者の姿を見たわたくしは驚いた。
「D━━」
この世の者とは思えない程の美貌の持ち主が二人揃った時、城内が白く染まった。いや城内だけではなく差し込んでくる月光まで異変が起きて揺らいでいるのだ。どっちを照らしたらいいのか月が迷っているのだろう!ハンター達の戦いで生き残った貴族メル・ゼナの配下達がこの美しき存在が二人いる空間に自分達は相応しくないと発狂して逃げ出した。
「ハンターDよ、聞きたいことがあります。何の為にこの辺境の果てまで訪れてこの身を滅ぼしに来たのか教えてくださいますか?」
彼女はDの美貌を見て一瞬フリーズしたがすぐさま気を取り直すと質問した。
「『都』だ」
とDは言った。
「民に文句言われないような統治をしているのに?」
その返答に対しDは更に答えた。
「『都』は辺境地区の積極的開発に乗り出した。表向きは、辺境になおも残る貴族の忌まわしい影響力を排除し、農民たちの精神を解放するという名目だが、真の狙いは、こういう場所に秘匿されている品だ。だからどんなに慕われても狩られることになる」
彼女はDに軽く会釈をした。
「教えてくださってありがとうございます。ですがわたくしはまだまだ生きとうございます。お礼は貴方を返り討ちにして配下にすることにします」
Dへ吹き付けるメル・ゼナの敵意で室内温度は徐々に下がって歪んでいく。だがDの周囲の空間には異常がない。
「参ります」
そう貴族メル・ゼナが呟くと瞬間移動とも言える超スピードでマントを翼のように変形させてDに叩きつけた。だがDはそれに反応し長剣で受け止めるのと同時に白木の針を投げつけた。それを少女は槍のような尻尾で全部叩き落とすのと同時に超スピードで距離を離した。
両者の攻防は光さえも置き去りにした戦いだった。散った火花が空中に消えるよりも早く、
「終わりにしましょう」
という告げる声がした。
「星が流れる約束の日が来ました」
すでに両者は自然体になっていて戦闘で荒れていた空間は元に戻った。
「ヴァルキュア公が戻って来ました」
と赤光を眼から放ちながら少女は言った。遠い声であり遠い眼をしながら星空を流れる一つの流星を窓から見ながら言った。
「彼は自らを虚空へと追いやった者たちの骨まで焼き尽くそうとするでしょう。罪科のない子孫にも一片の慈悲も与えません。わたくしは、遙か彼方の日々にわたくしの一族と彼らの先祖と交わした約定にしたがってそれを阻止する運命があります」
影は二つに分かれた。
「感謝します」
少女の声が届いたかどうか分からないがお互いに無防備な背中を見せながら少女はマントを完全な龍の翼にして城の窓から飛んで、Dは城から出た後、サイボーグ馬を走らせながら北部辺境に向かった。
「━━今回は誉めてやる」
と嗄れ声が言った。
「おまえも見た。わしも見た。少女が見たものをな。大凶星が北の果てに落ちたぞ。長い長い尾がわしにはまだ見える。おお━━来るぞ。わしらにしか感じられぬ衝撃がな。だが、それは死でも終焉でもないぞ。━━五」
Dは馬を走らせつづけた。一瞬たりともその足は止まらず、彼は全速力で馬を走らせた。
「四」
暗黒のただ中で、巨人とある女貴族が長いため息をついた。
「三」
西部辺境区内の小さな村で、三人の家族がふと眼醒めた。
「二」
龍成分が高くなっている少女の貴族が一旦空中で停止した。
「一」
星は凍土と大森林の土地に吸い込まれた。
「ゼロ」
静かだった。時が止まったかのような静けさが世界を包んでいた。 それから━━「来たぞ」 と嗄れ声が告げた
「北部辺境区の半分は壊滅したぞ」
死の彫像のごとく美しい黒衣の若者の眼にも、その死は映じていたのかも知れない。
「ことが終わったらバイロン男爵とミスカのところに厄介になりましょうか・・・?恩があるから邪険にしないでしょうし・・・それか、Dの旅のお供になるという案もいいでしょうか?」
落ちた星の場所を見ながら貴族メル・ゼナは事が終わったらどうしようと悩んでいた。
この話も必ず完結させると約束します!
小説を書くのは大体が自己満足かもしれないけど・・・評価バーに高評価色が着いて欲しいです!
誤字脱字、アドバイス等がありましたら報告よろしくお願いします。