アースラに回収された俺達はすぐに艦橋まで走った。
「リンディ艦長!状況は?」
「皆さん、これからプレシア・テスタロッサの居る時の庭園に向います。」
「母さんの所に・・・どうして?」
「操られているプレシアはフェイトさんが居なくなった事で手段を選ばない状態に陥っています。」
「只でさえ、リンカーコアの汚染で死にかけているのに、これ以上魔力を使わせたら手遅れになる。それを防がないといけない。」
フェイトの問いにリンディ艦長と俺は順番に説明する。
正直、操られているプレシアは危険だ。
フェイトをも巻き込んでまでジュエルシードを取ろうとした位だ。
「兎に角、時の庭園までまだ1時間があるわ。
今の内に傷の手当と休憩をしていてください。」
「「分かりました。「はい。」」」
それぞれ部屋に戻る途中、俺はフェイトに声を掛けた。
「なあ、フェイト。」
「どうしたの?」
「ちょっと、アルフ連れて俺の部屋に来てくれないか?」
「良いけど、何で?」
なぜアルフもって感じで見つめて来るフェイト。
「プレシアに関してフェイトに伝えないといけない事がある。アルフも一緒なのはそれが理由。」
「分かった。後で、アルフを連れて行くね。」
そう言ってフェイトは、部屋に戻っていく。
「で、なのはは何時まで隠れているんだ?」
「あははは・・・バレてた?」
通路の陰からなのはが出て来る。
「お前な・・・隠れるなら気配消しとけよ。クロノに頼んで練習した方が良いぞ。」
「あれ、翔真君は教えてくれないの?」
「俺は独学だから教えても意味無いと思うぞ?まあ、それは置いといて・・・、なのはに頼み事があるんだけど。」
まあ、気配を消すとかは慣れだし、呼吸音無くすだけでもだいぶ違うし。
「頼み事?良いけど、理由は?」
「なのはの魔力収束で時の庭園のあるポイントに漂っている残留魔力を回収してこの筒に収めて欲しい。」
俺は空のカートリッジを渡す。
なのはは、用途が分からない為か質問が無い。
「時の庭園ってフェイトちゃんの家だよね。なんで集めるの?」
「プレシアの使い魔を復活させるために必要だからさ。
出来るか?」
「うん!任せて!」
なのはは、胸の前で両手を拳にして元気よく頷く。
なのはに頼みごとをした後、俺も部屋に入るなりベットに飛び込む。
いくら幻想殺しで打ち消しても勢いまでは打ち消せない為、体にすごい力が掛かる。
正直、このまま寝たい気分だけど気合で起きる。
『もうじき、フェイトさん達が来ますよ。』
「分かってる~、もう少しだけだらけさせろ~。」
『はぁ、分かりました。』
コン、コン・・・
と、ドアを叩く音がした途端、俺は飛び起きつつ、乱れた服装を整える。
そして、きっちり頭を切り替える。
「入っていいぞ。」
「え、と・・・お邪魔します。」
「入るよー。」
フェイトは少し緊張した顔で、アルフはいつも通りだった。
いや、フェイトは緊張って言うより不安の方が大きい感じだ。
二人に部屋のイスに腰掛けて貰うようにうながした。
「で、母さんの事で伝えないといけない事って何?」
「そうだな・・・まず、辛い事かもしれないがフェイト、君は普通の人間ではない。」
「・・・ッ!」
「翔真!何言ってるんだい!」
二人はそれぞれ当然の反応をする。
フェイトは心のそこから傷ついて、アルフは怒り心頭だった。
まさか、俺の口から言われるとは思ってもみなかったみたいに。
「フェイトも感付いて要るかも知れないけど、フェイトは数十年以上眠り続けているプレシアの娘、アリシアのクローンだ。
もう、一生目覚めない娘の代わりになッ・・。」
ガタンッ!
アルフは俺の服の襟を掴み、壁に叩き付ける。
頭を打ったらしく、後頭部から生暖かい感触がする。
「これ以上言ったら例え翔真でも容赦しない!」
「アルフ・・・やめて。」
「けど、フェイト!」
「翔真、・・・続けて。」
フェイトの表情は心の壊れかけている人そのもので目の光は失われていたが、聞き続けようとする。
アルフは、乱暴だが手を放す。
「・・・代わりだった。プレシアは記憶の癒着や魔力量といった違いでアリシアとは呼べず、代わりにこの実験のプロジェクト名 F.A.T.Eから取ってフェイトと名付けた。
日記に書いてあったよ、アリシアとして見ると別人だがアリシアの望んだ妹・・・双子だな。そう言う風に見たら良いと。」
そこまで言って、俺はイマジンからディスプレイを表示してもらい、プレシアの日記を開く。
「でも、私はアリシアとしてっ、アリシアの記憶も持って・・・。」
「じゃあ、俺の前で俺の話を聞いているのは誰だ?
人ん家の玄関ぶっ壊したり、勝手に入ったりしたのは誰だ?俺の作った飯食べて居たのは誰だ?
そして、」
ここでいったん区切り溜めて言う。
「お前は皆からなんて呼ばれている?」
「・・・っ!」
やっと気づいたみたいだな。
「アリシアの持ってない記憶、お前だけの記憶、そしてお前の名前はフェイトだろ。」
そこまで一気に言った俺はフェイトに手を差し出す。
「行こうぜ、フェイトの姉とお母さん、リニスを助けるために。」
その言葉、その手を見たフェイトの目は光を取り戻し、俺の手を握る。
「うん、行こう、私の家族を助けるために。」
「フェイト・・・。」
アルフの心配事の無くなった安心した声が聞こえる。
「え~と・・・。」
「僕達の事も忘れて無い?」
「まったくだ。」
パッとフェイトが後ろを振り向くと、なのはとユーノ、クロノが居た。・・・・って!
「何でいるんだよ!」
「え!」っとフェイトがビックリした声を上げる。
「それは・・・。」
「翔真の部屋からもの凄音がしたから慌てて来たんだ。」
クロノがやれやれって感じで言う。
「なのはは、もうすぐ着くから呼びに来たの。」
「はぁ~、いっつ。」
緊張がほぐれ、一気に体の力を抜くと急に頭が痛みだした。
触ると、手に血が付いてた事からアルフは手加減なしに叩き付けたらしい。
「翔真、すぐに手当てするから。」
そう言ってユーノが回復魔法で傷の手当てを開始する。
それを見たアルフは申し訳なさそうな顔をして来る。
「ごめんよ、翔真。流石にやり過ぎた。」
「俺の方こそ済まんな。気の利いた言い方出来なくて。」
アルフとも手を握る。
「うん、わかりました母さ、艦長。皆、着いたぞ。」
「よし!皆でプレシア達を助けるぞ!」
「「うん!「「ああ。「わかった」」」」」
俺を合わせた6人は転送ポートに移動する。
「では、転送します。気を付けて。」
リンディ艦長の言葉を最後に6人は時の庭園に転送される。