「くッ!数が多い!」
ストラグルバインドからのブレイズキャノンで傀儡兵を吹っ飛ばしたクロノは周りを見て焦りを覚える。
翔真に入口を任せて突入したのは良いが、外と比べようが無いほど屋敷内にも傀儡兵が居た。
ホールまでの通路ではなのはやフェイトの砲撃魔法で強行できたものの、広いホールではそれが生かせず、それぞれバラけて一対多での戦闘になっている。
自分やなのは、フェイトアルフはその状況でも戦える・・・がユーノはそうもいかない。
元々、回復や結界といった補助魔法が得意な彼はこの状況ではバインドで縛る事しか出来ず、自分に接近する敵に対しては逃げの一手しかない。
その為、クロノは早々にアルフを掩護に付けた。
「ディバイン・・・・シュート!」
「アークセーバー!」
二人の誘導型魔力弾が複数の傀儡兵を破壊するが、すぐに次の傀儡兵が2人に向かて攻撃を始める。
「バインド!フェイトちゃん!」
「サンダー・・・・レイジ!」
二人はまるで何年も組んできたコンビの様に息の合った攻撃を繰り出し確実に破壊する。
「「ハア、ハア・・・」」
だが、攻撃を行えばそれだけ魔力と体力を消費する。
クロノが焦るのは無理もない。
まだ、ホールに達しただけでこれだからだ。
エイミィの報告では、操られたプレシアは駆動炉とジュエルシードを使って次元震を発生させ、此処を崩壊、消滅させようとしているとの事。
その証拠に、屋敷内からじわじわと虚数空間が現れ広がっていた。
虚数空間とは、あらゆる魔法が強制的に解除され、内部では魔法は使えず重力の底まで落ちていく魔導士にとってそれは死を意味する空間。
それが屋敷内に広がっている。
かあ、艦長が現在崩壊を阻止すべく庭園内部で頑張っていると報告が来た。
それでも、このままではプレシア、アリシア救出に間に合わない。
クロノが目の前の敵をバインドからの砲撃で仕留めていているのに気を取られ、下からアルフが仕留めそこなった敵の接近に気付かなかった。
「うわっ!」
下から来た砲撃を間一髪シールド系防御魔法で防いだクロノに上から挟むようにもう一体の傀儡兵が襲ってくる。
「クロノ君!」
「危ない!」
(やられる!)
クロノが咄嗟にさっきと同じ防御魔法を張るが防御力より展開速度を優先したため、この一撃を防げるか分からない。
傀儡兵の拳がクロノの防御魔法に触れる前に傀儡兵の動きが止まり、そして爆散した。
気付いたら下の傀儡兵も下からの攻撃で同じく爆散する。
それから、立て続けに複数の光が下から飛んで来て正確に傀儡兵を破壊する。
光を放った主は、高速で上に上がると、右手に持った剣で次々と斬って破壊する。
最後に中型機のコアに剣を突き刺す事でその動きを止める。
コアを破壊されそれは爆散して散る。
爆発と煙が晴れると、そこには黒髪で小学3年生の平均より少し高い背活発そうな顔の少年が姿を現す。
「苦戦してるっぽいねクロノ」
「すまない、助かった。入り口の方は良いのか?」
少年・・・翔真はクロノに近づく
「まあ、ちょっと苦戦したけど全部片づけた」
そう答えつつ、ライフルに変形させたデバイスを近づく敵に向かって撃つ。
「正直、時間が無い。どうにかしてここを突破しないと・・・だが」
「この物量ではまともに動けんと」
見ると、プレシア達の居る部屋に続く通路の前に大型2機、駆動炉の方も小中多数が壁になっている。
「クロノは俺と駆動炉側に砲撃・・・なのは、フェイト!二人は大型を頼む!
アルフはなのは達の援護、ユーノはこっちの敵を縛ってくれ!」
「「わかった。」」
「うん、任せて」
「隙を作るよー!」
「ユーノ!」
「うん、チェーンバインド!」
ユーノの鎖状のバインドが傀儡兵の手や足を固定し、動きを封じる。
そこへ、デバイスを剣にした俺が飛び込み傀儡兵の首や胴を両断し、クロノがS2Uを傀儡兵に当てブレイクインパルスで粉砕していく。
・・・途中、途轍もない爆音が聞こえたが二人とも聞かなかった事にしていた。
「ラス1!」
「OK!ホリゾンタル!」
最後の一機を潰し周りを見る。
(・・・見なかった事にしよう。俺は一切木端微塵の大型機も半壊しかけの屋敷もそれ見て笑顔のお姫様二人も何も見て無い!)
横を見るとクロノも同意見のようで、顔が引きつっている。
「よ、よし。なのはとユーノは駆動炉の停止を頼む。後は付いて来てくれ!」
クロノの指示に皆頷き、それぞれ任された場所に散っていく。
俺とクロノはフェイトの案内でプレシアの居るであろう屋敷の奥、アリシアのポッドがあった場所に向かう。
「なあ、クロノ。この穴の開いた空間ってなんだ?」
「そう言えば言って無かった。これは虚数空間ですべての魔法が使用できなくなる。落ちたら最後、重力の底まで落ちていく」
「・・・魔導士にとっては天敵以外の何もんでも無いな」
「ああ、だから落ちるなよ」
通路を走り抜け、目的地である屋敷の奥に着くが言葉を失う。
部屋は禍々しい感じになっており、足場が崩落し虚数空間が口を開けている。
部屋の中心には大きなポッドと一人の女性・・・プレシアが居た。
「母さん・・・」
フェイトがそう呟きながらゆっくりとプレシアに向かって歩き出す。
俺達もゆっくりと警戒しながらそれに続く。
いつ崩れても可笑しくないが、俺達とプレシアの間はまだ道が繋がっている。
「フェイト・・・なぜここに来た?お前は母さんを裏切り、管理局の犬どもの方へ行ったのに」
「私は裏切って無い。私は母さんが悪い奴らに操られている事を教えて貰い、母さんとアリシア助けるために手伝って貰っているだけ」
プレシアはフェイトの言葉を聞くと「フンッ」と鼻で笑いながら目を細めて言った。
「確かに操られていたさ、けど今操られていなかったとしたら?私の言葉は私の本心だとしたら?」
「え?」
「フェイト、アナタはアリシアの出来損ないのクローン。アナタを今まで世話していたのはジュエルシードを集めるための駒だったのよ。
本当は、私はアンタが大っ嫌「そんなんで騙せるとでも思っているのか?」何?」
「プレシア、アンタは自分が全ての罪を背負って更にフェイトとの親子の縁を切るために演じているんだろうけど、俺はアンタに嘘でも自分の娘に大っ嫌いなんて言わせない」
一歩、また一歩とプレシアに近づく。
「アンタがどんだけフェイトを罵ろうが、フェイトや俺達はアンタがどんだけ家族思いで娘たちを愛していたのかを知っている」
喋りながらプレシアにゆっくりと迫る。
「だから、自分が死んでもフェイトが悲しまない様に自ら悪役なっている事は皆気付いている」
「ち、違う私はフェイトの事が!」
「だから!俺はアンタの間違った思いもアンタの病気の元凶もすべて!」
俺は最後に駆け出す!
あと数歩の所でリミッターを解除して拳を力いっぱい握る。
「ぶち壊す!」
思いっ切り踏み込んで、足に体重を乗せて右手の拳をプレシアの顔に向かって振るう。
ガツッ!っという鈍い音の後にパキィィン!と割れる音がした。
殴られ、吹っ飛ばされて倒れたプレシアのBJは解除され、紫色の落ち着いた服装に戻り、顔色が少しだが元に戻っている。
「母さん!」
「フェイト・・・ごめんなさい」
フェイトが走って近づきプレシアを起こし、プレシアはフェイトを抱きしめて泣いている。
「プレシア・テスタロッサ 貴女を保護します」
クロノがデバイスからディスプレイをだし、何かを表示している・・・て!
「おい!クロノ!空気読めよKY!」
「そうだよ何考えているんだい!」
「いや、だが・・・」
「だがもクソもねえ!今感動のシーンだろ!」
ボロクソ言われるクロノ・・・まあ、しょうがない。
「クロノ!」
「は、はい!かあ・艦長!」
「今すぐそこから離脱しなさい!急に崩壊が加速して今にもそこが!」
「キャア!」
悲鳴の方を見ると、フェイトとプレシアの周りの足場が崩れかけている。
「クソ!フェイト!クロノはアリシアのポットを頼む!」
走りながらフェイトの手を掴み、引っ張る事で、俺とフェイトの位置が変わり、後ろに引っ張られたフェイトはアルフにキャッチされる。
「翔真!アンタも早く!」
「今行く!プレシア掴まれ!」
プレシアに肩を貸し、つつBJをもう一回着る。
そして、脱出しようと宙に浮かんだ途端・・・ガコッ!っと崩れる音がした瞬間。
翔真と、肩に掴まってたプレシアは虚数空間に落ちていった。
「翔真!プレシア!」
「母さん・・・翔真・・・」
『クロノ!脱出しなさい!これ以上は貴方たちが危険だわ!』
「しかし! ・・・くっ、脱出するぞ!」
それを聞いてフェイトは目を見開いてクロノを見る。
「どう・・して、まだ二人は戻ってきてないんだよ?」
「急がないと僕達もああなるぞ!」
「けど・うっ」
ドンッとアルフがフェイトの溝に拳を入れていた。
それにより、フェイトは気を失いアルフが抱きかかえる。
「済まない」
「良いんだ。 ごめんフェイトこうするしか無いんだよ」
そう言って、彼らは時の庭園から脱出した。
(ああ、まずッタな・・・これが虚数空間に落ちる時の感覚か・・・。)
皆の必死の叫び声が聞こえたが、俺はそれに答える事は出来なかった。
「イマジン!AIM拡散力場の魔力変換を停止!使用能力を『超電磁砲』へ!」
右手から電気を放ち、屋敷の天井に届かせようとしたが、虚数空間の入口にすら届か無かった。
「クソ!落下を止める方法は何かないのか!」
「ゴホッ 無駄よ、此処では魔法は使えないのだから」
プレシアは諦めた表情で呟き、翔真を見る。
「貴方のお陰で、私は最後の最後にフェイトを娘として抱きしめる事が出来たわ。・・・一緒に過ごす事は出来なかったけど」
「諦めるな! まだ、まだ何かあるはずだ!」
必死に思考を張り巡らせる。
(魔法はダメ、能力は射程外・・・能力?そう言えば、奴らは『座標移動』で来たんだよな?って事は、虚数空間でも能力が使えるならもしかして!)
「イマジン!、俺の体で出力と演算処理の足しにして『座標移動』を発動させるんだ!一つに繋がれば処理能力も上がるし体をデバイスの一つに勘定すれば行けるはずだ!」
・・・つまり、デバイスと自分の脳を連結して一つになり演算=直接発動とする事で他の能力を一時的に使おうという考えだ。
『了解!演算開始』
イマジンがそう告げた途端、翔真はぐったりとした。
「ちょっと!どうしたの!」
『現在、彼の脳を使って演算をしています。脳への負担を減らす為、強制的に気を失わせています』
イマジンが代わりに答える。
それを聞いてプレシアは安堵し、彼の頭を撫でる。
「フェイトと同い年の子に諭されるなんて・・・母親失格ね」
『いえ、まだやり直せます。 その言葉はやり直せなかった時に取って置いて下さい』
「そうね、そうするわ。」
『演算完了! 転移します!』
重力の底まで落下していた二人は消える様にその空間から転移した。
やっとここまで来ました。
無印編も後少し・・・空白期のストックが無い(泣)
前回は懐かしい仮面ライダーアギトに出た警視庁の未確認生命体対策班が使用した第3世代型強化外骨格および強化外筋システム、G3-X=GENERATION-3 eXtensionの必殺武器 GX-05 ケルベロスがモチーフになっています。
ガトリングモード時の性能
6連装 ベルカ式カートリッジ150発リンクベルト給弾方式
圧縮魔力をカートリッジから抽出、銃口内で魔力弾に形成、発射される。
その為、一発でなのはのディバインバスターの半分ほどの威力
しかし、それによりすぐに加熱し、オーバーヒートしてしまうので7分の1に抑えられている。
押さえられた魔力は次の魔力弾の魔力に持ち越されるのでそれが繰り返され、実質150発以上の魔力弾を発射可能。
若干の誘導能力があるので命中精度はそこそこ良い。
しかも、カートリッジの魔力のみなので自分の魔力は一切消費しないが、発射後、デバイスはメンテナンス・部品交換が必要不可欠となってしまった。