ペルソナ5Rにオベロンっぽいキャラがいたら   作:名無しの妖精

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短編版
ペルソナ5Rにオベロンっぽいキャラがいたら


統制神ヤルダバオトが消えた。

しかし、一向に認知世界が消える様子を見せない。

それどころか先ほどまでは怪盗団を応援していた人々が地面に倒れ伏して眠っている。

 

「──姿を見せろ、真白。」

「はは、やっぱり蓮にはバレてた?」

 

黒澤真白、人の心を見抜く稀有な程の観察眼とペルソナを使用しないシャドウとの戦闘方法でこれまで幾度も怪盗団を助けた女。

彼女がそこに、見たことないほどに冷淡な薄ら笑いを浮かべて立っていた。

 

「なんだこれ、人間でもシャドウでもない……!?」

 

その異常事態を告げた双葉を中心に怪盗団に戸惑いが走る。

 

「本当の姿を明かせ、真白。」

 

雨宮蓮は、ただ冷静に彼女を見つめて言った。

 

「ハハ、言われなくてもそのつもりさ。そうじゃなきゃ態々タイミングを伺ったりなんてしないからね。」

 

真白はその頭で輝いていた黄金の冠のような何かを両の手で掴み、引きちぎろうとするように力を込める。まるで初めてペルソナに覚醒した時に自らの顔から仮面を引き剥がそうとした怪盗団と同じように。

 

「ぐ──っ、あああ!アアアアア!!」

 

バキン、と音を立てて冠が砕け散る。黄金色の破片が青白い炎に包まれ、もう一度真白の頭上に集まり、冠のような形を成す。しかし、冠の色は青白く、頭に戴いた冠を中心に夕陽が透けていた白い髪は黒く変わり、その服装も暗い色合いのものへと変わってゆく。

 

「……君達には感謝しているんだ。統制神ヤルダバオト、あれが一番の障害だったからね。アイツはあんな(ナリ)でも一応は神に近かった。オレを一番の脅威だと察したアイツは一目散にオレのペルソナを封印した。その封印の証が黄金の冠さ、だからアイツを滅ぼして封印を解いた君達には感謝してもしきれないよ。」

 

真白は棒読みで大して思ってもいないことを言うように感謝を述べる。

そして

 

「騙していたのか」

 

そう言って真白を睨みつけた祐介に、その視線に怯むこともなく

 

「いや、騙してなんかいないさ。」

 

そう言って口元を三日月に歪ませる。

 

「オレは本気で全てを滅ぼしたかった。だから、君達にアイツを倒してもらえるように本気で君達を助けた。それだけは真面目にやったよ、騙してなんかいないさ。」

 

空が黄昏に染まる。

奈落が現実に口を開く。

 

「さて、そろそろ終わりの幕開けだ。ブッ壊せ!『ヴォーティガーン』!!」

 

奈落の蟲(ヴォーティガーン)が姿を顕わす。

しかし、何も起こらない。双葉が言う

 

「っ!アイツ、エネルギーをチャージしてる!それが終わったらきっと……本当に全部が終わる!時間がない!」

 

怪盗団の全員がそれぞれの武器やペルソナを構える。

真白はどこから取り出したのか、長い鎌を構えた。

真白は不意打ち気味に飛んできたキャプテン・キッドの雷を躱すと

ゾロの剣を鎌で受け止めて押し返す。

 

「は──っ!」

 

真の拳の一撃目を鱗のようなものに覆われた左腕で弾くと二撃目が叩き込まれるより前に真の腹を蹴り上げる。

祐介の刀を避けるとガラ空きの背を殴り飛ばし、春のハルバードを躱す。背中を蹴られて倒れた祐介に向かって鎌を振り上げた真白だが、その鎌は祐介の首を落とすより前に双葉のペルソナによって弾かれた。

 

「クソ面倒だな」

 

その言葉と共に真白がナニカをしようとした。その時

 

「そろそろ話せ、お前の全てを。」

 

名前ではなく、全て。名前は変わらずとも、その秘されたものを話せと

雨宮蓮はそう言った。すると真白は目を見開き、そして笑った。

全てを小馬鹿にしたように、そして意外なところを突かれたと言うように、心の底から笑って見せた。

 

「ッハハハ!そこまで気がつくとは恐れ入ったよ!……いいさ、答えてやる。」

 

空が黄昏に染まっていく。

 

「人は度し難い生き物だ。他人を嗤い、他人より上を保たなければ生きて行けない。自分のためだけに他人を蹴落として嘲笑う。……全く吐き気がして仕方がない……そうだろ?蓮。」

 

雨宮蓮に親しげに呼びかける真白。まるで彼が理解者だと信じてやまないように目を細めた。

 

「統制神ヤルダバオトは人の怠惰が作り出した神だった。でも、人の悪心なんてそれだけじゃない。……ほら、希死念慮なんて言葉があるだろ?オレはそんなモノの集まりだ。」

 

そう言いながら真白はその鱗とも外殻とも見えるモノに包まれた左腕を撫でる。

 

「アイツと違うのは、その力がただ一人の人間に背負わされたことだ。人類が抱いた全ての破滅願望とそれを実現できるほどの力、それは全て一人の人間の器に流し込まれた……ちょうど、数年前だったかな?ただの学生だった女は突然に力と役目を与えられ、それを理解した。」

 

真白の表情が少しだけ険しくなったように見えた。

奈落の蟲(ヴォーティガーン)が吠える。

悲しみを湛えるように、怒りを叫ぶように、悍ましい声を上げる。

 

「役割だから、滅ぼすのか?」

 

蓮は問いかけた。

真白は相変わらずの笑みで蓮を見つめている。

 

「そんなわけじゃないさ。ただ、気持ち悪いだけ。全部気持ち悪くてやっていられない、それだけさ。……ヤルダバオトを消して最後の一押しをしてくれた君達には感謝してるから、少しは猶予とかあげようか迷ったんだけどね……それだと君達はオレと戦おうとしかしないだろ?だから、全部ここで終わりだ。オレの役目はただ滅ぼすことだけど、オレの目的は君達の最期を見届けることだ。」

 

奈落の蟲(ヴォーティガーン)がその言葉に応えるように再び叫ぶ。

すると、渋谷の道路にヒビが入り、ビルが折れて空へと──空に浮かぶ奈落の蟲(ヴォーティガーン)の穴へと吸い込まれてゆく。

その異常な景色に怪盗団の誰もが戸惑う。

双葉の顔が青ざめる。

 

「──落ちてる。これは浮かんでるんじゃない!全部があの穴に向かって落ちてる!」

 

双葉が叫ぶ。

 

「……チッ、まだ出力が足りないな。」

 

真白は苛立たしげに言う。

周りのあらゆるものが緩やかに、少しずつ砕け、壊れて落ちてゆく。

しかしそれは未だ緩やかなまま、封印されていた期間が長かったこともあり万全ではないのだろう。

 

「……まぁいい、ここでおしまいだ。お前達もオレと一緒に落ちてくれ」

 

奈落の蟲(ヴォーティガーン)が動き出し、真白と怪盗団を飲み込もうと迫る。

真のヨハンナが攻撃を放つが、擦り傷一つ付かない。

空洞音が迫る。少しづつ体が上へと引っ張られるような感覚が強くなる。真白が笑う。

瞬間、銃声が鳴り響いた。

真白の笑みは驚愕に変わり、自らの右肩を見つめる。

真白がヤルダバオトの討伐を手伝うために渡した弾丸。

ヤルダバオトと認知世界の繋がりを断つための弾丸。

繋がりを断つ、その一つのために真白が作り上げて蓮に手渡した三発の弾丸、残しておいたその最後の一発を蓮は真白の肩に撃ち込んだ。

 

「……ハハ、マジかよ、ソレ……普通は残さないだろ。しかも作った本人に撃ち込むとか、最悪だな。本当に気持ち悪いよ、お前。」

 

奈落の蟲(ヴォーティガーン)に供給されるエネルギーが不足し、その穴が自らを飲み込み閉まって行く。

暴走し、消えてゆく。

 

「おめでとう、お前たちの勝利だよ。本当に気持ち悪いけどね」

 

認知世界が消えていく、世界が眩く輝く。蓮は思わず今にも消えそうな雰囲気の真白へと手を伸ばした。世界を包むほどの閃光に蓮は思わず目を瞑る。

………………

「おい、目を開けろよ。死んでるのか?」

 

声が聞こえて目を開く。

あたりは美しい紅葉に彩られた秋の森だった。

 

「はぁ、全く……こんなとこまで追ってくるなんて思わなかったよ。なんの用?敗者を糾弾しなきゃ気が済まなかった?」

 

意地悪そうに笑う真白に蓮はそんなことはしないと首を横に振る。

 

「あっそ……で?オレはもう語り得る全てを語って、オレが語り切らなかったことだって君は推し量っただろう?これ以上何を話したいんだい?」

「お前の本音が聞きたい。本当の、心からの言葉が。」

「……お前、それで無自覚?随分と──はぁ、まぁ良いさ。お前がどこで誰をオトそうと知ったことじゃない。オレは全部話したよ。」

「お前は希代の嘘つきだろ?真白。」

 

希代の嘘つき、それは彼女が蓮に初めて協力したその日に言った言葉だった。真白はそれを聞いて諦めたようにため息を吐く。

 

「それ覚えてたんだ。なら良いよ、オレのくだらない戯言を最後まで覚えていた特典だ。少しだけ話そうか。」

 

真白は、蓮が座っている切り株のちょうど反対側にあった倒木に腰掛ける。

 

「黒澤真白は数年前までは普通の学生だった。それがこうなった理由は……あっちで話したな。それで、結局はまぁ気持ち悪かったんだよ。気に食わなかったとも言える。オレは昔から人が嫌いだったからね、憎悪はあった。でも、目的と役目が乖離したのは最近のことだった。」

 

理由はお前だ、というように真白は蓮を指差す。

 

「オレの目はある程度の感情と嘘を見抜く。だからこそ人の汚い部分はいくらでも知ってた。だから、滅ぼすために東奔西走してたわけだけど、そんな時にお前達と出会った。それで少し考えが変わったんだよ」

 

彼女は憂いを帯びた目を蓮へと向けた。

 

「君の言葉に嘘はなかった。君達は愚直に正義を目指した、そして踏み躙られた。それが嫌だった、気に入らなかった、それこそオレ自身の憎悪と吐き気を忘れるくらいにね。」

「……俺たちの為に?」

「勘違いしないでくれ。お前達が意思を固くしたってだけで、お前たちのためなんかじゃない。オレのためだよ。踏み躙るのも踏み躙られるのも、人の仕組みの全てを終わらせたかったのさ。」

 

そう言って真白は笑った。儚げに、そしてこれまでで一番曇りのない、嘘偽りない笑みを浮かべた。

 

「さて、聞きたいことはもうないかい?このパレスももう消える。朝の雲雀も夜の帷もまだ先だ、君はあの黄昏を進まなければいけない。そうだろ?」

 

そう言って背を向けて秋の森の中に歩みを進めようとした真白を蓮は呼び止める。

 

「また、会えるか?」

 

真白は以外そうに目を見開く。

 

「……へぇ、こんな嘘しか言わない女とまた会いたいだなんて物好きだね。まぁ、近いうちに会えるさ。その時には紅茶でもご馳走してあげよう。」

「──俺は、お前を親友だと思ってた。お前の嘘はいつでもわかりやすかった」

 

蓮は最後に真白にそう呼びかけた。

 

「そうかよ、オレにそんなことを言えるのなんてお前くらいだ。ならそれでいいさ、また会おう!【親友】」

 

眩い光が辺りを覆い、夏の夜の夢が醒める。

目を覚ました怪盗団の面々が居たのは渋谷のスクランブル交差点だった。

モルガナと真白、認知世界に属していた二人の姿は何処にもなかった。

そして、ルブランで行われた年越しパーティでのこと。

怪盗団や協力者の面々が語り合っていたその時、ルブランのドアがノックされる。

惣治郎がドアの方を見る。

そして、ドアの向こうの人物に向かって

 

「悪いな、今日はもう店閉めてんだ」

 

すると、ドアの向こうの人物はルブランのドアを開けて中に入って言う

 

「そうなのかい?ボクを除け者にしてパーティなんて、中々に腹黒いね……親友?」

 

透けるような白い髪、こちらを見透かすような青い瞳と薄ら笑いで、真白はそこに立っていた。




読了ありがとうございます
書きたいものを詰め込んで書いたので甘い部分が多い気もしますが許していただけると幸いです。
※↓も書き方が誤解ありまくりな感じがしたので一部書き直しました
クソどうでも良い設定ですが、ここの秋の森は真白ちゃんとのコープを最後(6〜7くらいが上限のかすみちゃん的な仕様)まで進めないと見られないイベントです。
しかし、そこまで進めても親友止まりですので、恋人にするには三学期やらなきゃ……って感じのところまで考えてました。
気が向いたら連載で最初から書くかもしれません。
読みたいって方がいらっしゃったら、感想などで言っていただけると
書く可能性が高くなります。
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