ペルソナ5Rにオベロンっぽいキャラがいたら 作:名無しの妖精
カネシロパレスを脱出した後、新島真は怪盗団の仲間となることを選択し、連絡先を交換して家路についた。
そうしていつも通りの日々を過ごし眠りについた。
そして
「…………ん……?」
目覚めた真は、なぜか違和感を覚えた。
いつもの部屋、いつもの天井のはずなのにどこかが違うと感じたのだ。
まだ寝ぼけているのかもしれないと思った真は軽く頭を振って起き上がるとリビングへ向かう。
「やぁ真、よく眠れた?」
そこにいたのは、黒澤真白。
以前、同じ生徒会にいながら真とは生徒に対する方針で常に意見が割れていた相手だ。
彼女が、普段なら姉が座っているはずの席に座り真へと和かな表情を向けている。
「……どうしてここに?」
「お姉さんにお願いしたんだよ、少し妹さんと話がしたいってさ。僕らは、ほら……一緒に生徒会やって、同じ教室で書類整理と頑張ってた友達だろ?」
机の上に置かれた少し大きめのケーキの蝋燭に火をつけながら、真白は真に微笑みかける。
真は自身がいつも座っている席に座ることはなく、立ったまま彼女と相対する。
「君のペルソナが言っていたように、偽りの君からの卒業記念だ。今後の抱負でも思い浮かべながら吹き消してくれたまえ」
真は言われるがままに息を吹きかける。
蝋燭は一本を残してその火が消え、真が残る一本を吹き消そうとすると、未だ火がついた最後の蝋燭を真白がケーキから引き抜いた。
「……確か死神、という演目だったかな?人の寿命を司る蝋燭……、この蝋燭がそうだとしたらどうする?これが君の一生だとして、君は安寧と平和を望むかい?それとも……」
突然、蝋燭の炎が激しく燃え上がり、溶けた蝋が真白の手にまで垂れる。
彼女はそれを気にすることなく言葉を続ける。
「命の危険に満ちた道を、報われるかもわからない道を望むのかな?」
「その答えは、昨日示したはずよ」
「今なら選び直せる、と言っているんだ。昨日は断れる雰囲気じゃなかっただろう?」
「……何でそんなことを聞くの?」
「友達だからね。……君と過ごした時間は、僕の人生の中で最も青春と呼べるものに近かったと思う」
真白は溶けた蝋を机に垂らし、それを使って手に持つ蝋燭を机に立てると、真へと視線を向ける。
「僕は友人を大切にしたいんだ。だからこれは最後の意思確認だ」
「君は、本当に報われるかもわからない危険な道を歩む覚悟があるのかい?」
不気味な薄ら笑いを浮かべて真白が問う。
その黄金色の瞳が全てを見透かすように真を見つめる。
真は少しの逡巡の後、そんな真白の目を見てもう一度
「答えは昨日示したはずよ」
「…………あっそ」
彼女はその表情を退屈そうな無表情に染めたかと思えば、人懐っこそうな笑顔で先程まで自分が人生に例えていた蝋燭をあっさりと吹き消した。
「じゃあ、お食べ。自信作だ」
真白は机に置かれていたケーキナイフでケーキを切り分け、小皿に載せると真が座るはずの席へ置く。
真白の人懐っこいように見える表情とケーキの間で何度も視線を行き来させた後、観念したように自身の席に着く。
「……美味しい」
「本当かい?良かった!手作りした甲斐があったよ」
「あなたが?」
「そうだとも。手作りとかできないタイプだと思っていたかい?」
「えぇ、だってあなたのお弁当って毎回取り巻きの子が作ってたでしょう?」
「……あぁ、作ってきてくれるんだから、好意を無駄には出来ないだろう?」
そうして、二人で食べているとホールケーキはあっという間になくなった。
「それじゃあ、改めて君の新たな門出に祝福を」
立ち上がった真白はその蒼い瞳で退屈そうな表情で彼女を見つめると、真の額を指で押す。
それと同時に真は抗い難い睡魔に襲われる。
「……僕としては残念なんだけれど、それは置いておくとしようか。頑張ってね、真」
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カネシロパレスを脱出した後、新島真は怪盗団の仲間となることを選択し、連絡先を交換して家路についた。
そうしていつも通りの日々を過ごし眠りについた。
そして
「…………ん……?」
目覚めた真は、いつも通りにベッドから起き上がりリビングへと向かう。
リビングには家から出る準備をしている姉がいる。
「おはよう、お姉ちゃん」
「えぇ、行ってくるわね」
こうして真は、いつもと──怪盗団メンバーという肩書き以外が──同じ一日へと踏み出していった。