ペルソナ5Rにオベロンっぽいキャラがいたら 作:名無しの妖精
真を仲間に加え、順調にカネシロパレスの攻略を進めていく怪盗団。
そんな中、やはりと言うべきかカネシロパレスの中にも禍々しい楔が存在しており、蓮はそれを躊躇いなく破壊した。
「そういえば、この楔ってなんなんだろ」
「……鴨志田と斑目で二つ、今回で三つ目か。──真白、前々から聞きたかったのだが、お前はこの異世界とどう関係しているんだ?」
祐介は立ち止まると、真白を見据えて静かにそう言った。
真白はいつも通りの軽薄な笑みを崩さずに振り返る。
「どう、っていうのは?」
「これまでのパレスすべてにお前の言った楔が打ち込まれ、それはお前自身では破壊できない。しかし、それが破壊されるたびにお前は力を強めている……ここまでの証拠があって、なぜお前が一連の出来事に関与していないと考えられる?」
少しの沈黙の後、真白は口を開いた。
「確かに道理は通っている。だがこれは君たちの敵であると言う証拠ではなく、むしろ味方である証拠──名誉の負傷だと言って欲しいな」
「……ほう?」
「僕もこの力を得た直後には単独で行動していたんだよ。そうして色々なことを探るうちにとあるパレスで敵の襲撃にあった……、しかし僕はたった一人、多勢に無勢だったが健闘を続けた」
真白はまるで劇か何かのような大袈裟な言い方で話を続ける。
「しかし!健闘虚しく敗れた僕は力を分たれ、それを各パレスに楔によって封印された。……だからこれは、必死で抵抗を続けた僕の名誉の負傷だと言って欲しい!かの正体不明の強大なシャドウでさえ、僕を殺すことは叶わなかったのだから!」
「「………………」」
怪盗団のメンバーの反応は様々だった。
蓮はいつも通りのポーカーフェイスだが、竜司は半分感心したような反応、高巻は先ほどのいつにも増して芝居じみた大声と喋り方に軽く引いており、祐介は素直に感心し、真は疑いの目を向けている。
すると、真白は
「はははっ、信用がないなぁ。そもそもの話、もし僕が君たちの敵だったとして……」
真白はおもむろに蓮に近寄ると、その首元に腕を回す。
蓮は微動だにしなかったが、怪盗団のメンバーには先頭である彼の背後がよく見えていた。
彼の首に回された腕にはギラリと光るナイフが握られており、気が付いた他の面々が止まる間も無く、それが蓮へと突き刺さる。
そして………………
シャコ、という音と共に刃が引っ込んだ。
「ビックリしたかい?まぁ、こんな具合で、君たちの敵だとしたら君たちを殺す隙なんていくらでもあったのさ。それをしないってことは、逆説的に味方……ということで、一つどうかな?」
「……ま、待て待て!認知世界なら、そのナイフだって武器になるはずじゃあ──」
「新しく楔を壊しただろう?おかげで僕の認知世界に作用できる力が強まったんだ。これも君たちのサポートに活かすつもりだからよろしく〜」
真白は、手元に水のペットボトルを
その場にいたほぼ全員がとてつもない冷や汗と緊張で喉が渇いていたからだ。
「……さて、ジョー力一?これは僕のせいでもあるけれど、みんな疲れたみたいだし、今日は撤退でどう?ちょうど今日の目標はこれくらいだろう?」
「あぁ、そのつもりだった」
「そうかい、じゃあみんなで出口まで行って解散しよう。……明日は空けておいておくれ、リーダー」
最後に囁かれた内容が気に掛かりながらも、その日の活動は解散となり、蓮はルブランまで帰ってきた。
蓮が屋根裏に上がり荷物を置いたちょうどその時、ルブランのドアが開かれる音がした。
「お前の客だぞ」
階下から惣治郎の声が響いた。
階下に向かうと、そこにはカウンターに座ってコーヒーを口にする真白の姿があった。
「さっきぶりだね」
「……明日じゃなかったのか?」
「うん、そりゃあメインは明日なんだけどね、とりあえず今日は感謝を伝えておこうと思って」
「君の言葉は確かに僕の在り方を変えた、目標を変えた。だから、ありがとう。君は僕の一番の親友だ、この先もずっとね」
そう言って空になったコーヒーカップを置いた真白は席を立つ。
「それじゃあ、今日はこれだけ伝えに来たから、明日また会おう」
真白は惣治郎に二千円を差し出すと
「お釣りはいらないよ」
と言って去っていったのだった。