蕾の私と星の光 作:アーくん
花言葉は、「運命的な出会い」
10年くらい前、あたしはお父さんに連れられて東京に行ったの。お母さんはその時お腹の中に妹達がいたからお婆ちゃんと一緒に家に居て、多分憶えてる限り初めてのお父さんと2人での外出だったと思う。
あたしは昔から身体が弱くて、よく入院を繰り返してた。その時東京に行ったのもなんか良い療法?とかを知ってるお医者さんがいる病院に行くのが目的だった。それで東京の大きな病院に1週間入院。
正直すっごく退屈だったよ……。
だってせっかくのお出かけかと思ったらベッドとテレビくらいしかない白い天井の部屋の中でずっと寝るかテレビ観るかしか出来ないんだもん。そのテレビもお昼はアニメとかも全然やってないからつまらないし……。窓から外を見たらあの有名な東京タワー、そして出来たばかりのスカイツリーも見えた。
夜、こっそりとベッドから降りてカーテンを開けてから見た外にはキラキラと光る夜景。
すごかったんだ……。そして羨ましいなって思った。あたしが見てる光の下には、たくさんの人が元気に過ごしてるんだろうなって。なのに何であたしは、こんな所にいるんだろうって悔しくもなっちゃった……。
それでね、退院して今から帰るぞってなった時、あたしお父さんにワガママ言ったんだ。東京で遊びたいって。
最初はダメって言われたけど、それでも諦めなくて泣いちゃったんだ。だからお父さん、すごく困った顔してたよ。今考えると悪かったけど……いや、でも頑張った娘にご褒美もくれないのは良くないよね!?まあ、それでめちゃめちゃ泣いて、お父さんはお母さんに電話して説得してもらおうとしてたけど、あたしは譲らなかったの。
そしたらお父さんもお母さんも折れて、夜帰るまでだよって許してくれたの!時間は少ないけど、それでも嬉しかったんだ。お父さんに手を引かれて街に向かって歩いてる時、どこに行こうか何をしようかたくさん考えてた。美味しい物を食べたり、綺麗な景色を観たり、可愛いぬいぐるみを買って貰ったり、いろんなことをしてもらえると思ってワクワクだった。
そうやって歩いていたら、あたしは道端に咲いている一輪の花を見つけた。遠くから見ても、それは綺麗だっていうのがよく分かるくらいに綺麗だったの。それで、あたしは思わずお父さんの手を離してその花の側に走っていっちゃったんだ。
近くで見たその花は不思議な色をしてた。赤と青が混ざり合った様な、グラデーションって言えばいいのかな?とにかく不思議で凄く綺麗な色。ずっと見てても飽きない、そんな素敵な花だったの。
お父さんにも見せなきゃって思って振り向いた。
「お父さーんっ!」
でもその声は、それ以上の大きな叫びと爆発音で上書きされた。
見上げるとそこに居たのは、夕暮れに照らされた真っ赤な怪獣。怪獣は空に火を吐いて、それと同時に周りの人達は悲鳴をあげて一斉に逃げ出した。
10年前、新宿に現れた世界で初めての宇宙からやって来た怪獣の怪獣災害。あたしもその場に居たの。
怪獣の吐いた火が大きなビルを吹き飛ばした。たくさんのガラスや瓦礫、火の粉が落ちて来てもうみんな大パニックだったよ。
あたしも早くお父さんと逃げないとって思ったんだけど、このままだと花が潰されちゃうって思って花を持って逃げようって考えたんだ。もちろん、ちゃんと根っこから抜いたよ。まあ、今考えたら危ないし簡単に花を抜くなんてこともするべきじゃなかったなって思ってるけどね……。
花を採って、それからお父さんと逃げなきゃって振り向いたんだけどお父さんの姿を見えなかった。見えるのは必死に逃げる人達の姿ばかり。さっきよりも大きな声で「お父さーんッ!!?」って叫んでもみんなの悲鳴がそれを掻き消してた。怪獣は強そうな腕を振り回してビルを壊して、それが怖くなったあたしはその場所から走り出してしまった。
後から聞いたんだけど、お父さんもあたしが居た場所に必死になって辿り着こうとしたけど人の波に流されて全然進むことが出来ないでいて、やっと辿り着けたと思った時にはもうあたしはそこに居なかったんだって。その後もお父さんは必死に探したけど人の波に呑まれて見つけることが出来なかったみたい。
どれくらいかは覚えてないけど、あたしはただひたすらに走ってた。でも途中で身体が重くなっていくのを感じてだんだんと走れなくなったの。元々身体が弱いのに急に走ったりするから当たり前だよね……ていうか、そもそもそれまで走れたこと自体正直びっくりなんだけどね。
気付いたらもう夜なのに、怪獣が燃やした街の所為で辺りは不気味な明るさがあった。
走れなくなって座り込んじゃったあたしの後ろで、防衛隊が怪獣にたくさん攻撃してた。走ってる時は気付かなかったけど、耳がキーンってなるくらいすごい爆音だった。でも怪獣には全然効いてなかったみたい。どんなミサイルも、戦闘機での攻撃も、怪獣は気にせずに進んでいた。
怪獣が手と手を合わせて出したビームが、空を飛んでいた戦闘機に当たった。戦闘機は爆発して堕ちていく。怪獣は凄く強くて、防衛隊は全然歯が立っていないみたいだった。あたしは疲れと恐怖でもう一歩も動けなくなってたし、多分息もすっごく荒れてたと思う。でも防衛隊と戦いながら進む怪獣から目を離す事が出来ないでいたの。
怪獣が次第にあたしの方に近付いて来る。怪獣や防衛隊の攻撃の衝撃で身体が震えてた。少し離れたビルが崩れて土煙があたしの方にかかって来たり、瓦礫やガラスの欠片が付近に落ちて来た。病院にいる時は考えたことの無かった「死ぬかも」って考えが頭に浮かんだ……。
怖く、胸が苦しくて、身体が固まっていた時、防衛隊の怪獣への攻撃が止まったの。これも後から聞いたんだけど、あたしのことを見つけた防衛隊の人が攻撃を中止させたんだって。
怪獣の目が、あたしに向けられた。恐怖で血の気が引くって言うか、胸を締め付けられる様な……もう終わりだって思ってしまった。
そんな時、握っていたあの花が明るく輝いた。「えっ?」って思って視線を落としたら、あたしの右手にはゴツゴツしたメダルみたいなのがあって、左手首には大きな腕時計みたいなブレスレットのが巻かれてた。花は無くなってて、信じられないと思うけど、この二つは花が変わった物みたいなの。
何が何だか分からなくて混乱してたら、ブレスレットから赤い光がメダルに伸びて来た。驚いてる間に光に引っ張られてメダルはブレスレットの後ろの穴に入った。閉じてたカバーが開いて光と音が鳴ってまた驚いてると、今度は青い光があたしの手に伸びたの。そして光はあたしの手を引っ張って、前の方に付いていたスイッチを押させると………。
星の輝きが咲いた───
視線を上げたあたしの前に居たのは、大きな大きな巨人。銀色の身体に赤と青の線がぐちゃぐちゃに書かれている不思議な姿。一度あたしの方を向いた時、顔の左側に綺麗な水色の角みたいなのが輝いてたのを覚えている。
巨人は何かに祈りを捧げる様なポーズをした後、怪獣へ向かって吼えた。
それからは凄かったよ……。巨人はビルに登って飛んだり、怪獣にキックやパンチをしたり…………目の前で起こってる事が信じられなかった。巨人と怪獣の戦いなんて、あまりにも現実離れした光景だもんね。
叫び声も凄くてなんか、「ルロォォイ!」とか「ロオオオ!」とか「ロアアアアア!」みたいな……そんな感じだった。似てるよね?
一度ね、怪獣がまたあたしの方に来そうになったの。その時巨人は吼えたり跳ねたりして、まるで自分の方に意識を向けさせて怪獣をあたしから遠ざけようとしてるみたいだった。
「君!?」
そうこうしてる時、防衛隊のお兄さんがあたしの所に駆け付けてくれた。お兄さんはあたしを抱えてその場から走っていく。あたしは抱っこされて移動されてる時も、巨人と怪獣の戦いから目を離せなかった。
怪獣は強くて巨人はピンチになりかけてたけど、戦闘機が怪獣の頭の上にあった水色のお皿みたいな所に爆弾を落として、さらにそこに巨人がエルボーしたらびゅーって火花を出しながら苦しんでた。多分あそこが弱点だったんだね。
フラフラしている怪獣。すると巨人は腕から光の槍を出した。そして振り被って、叫びながら槍を怪獣に投げたの。この時はお兄さんも驚いて足が止まっちゃってた。槍は怪獣の身体をグサって貫いて、怪獣は倒れて大爆発。巨人は勝ち誇るみたいに吼えていた。
あたしもお兄さんも呆然としてた。そしてそんな中で巨人は空へと飛んで行っちゃった。見上げた時に夜空にあった赤と青の線が綺麗だったなぁ……。
そんな事を思いながら左腕を見ると、いつの間にかブレスレットは無くなってたけど右手にはあのメダル……と云うよりは平べったい石って云った方が正しいかな?それが握られてたの。
「ウルトラマン……」
「ウルトラ、マン?」
お兄さんが呟いた言葉をあたしも繰り返したのを覚えてる。そしてあたしは、また夜空を見上げた。
少し長くなっちゃうかも知れないけど、みんなに聴いて欲しいんだ。10年前、まだまだ蕾だったあたしにあった大切な出逢い……。
星の光、ウルトラマンブレーザーとの日々を───
・主人公は幼い花帆。
・彼女の語りや独白がメイン。
・リンクラ原作開始の10年前。
・花帆の妹達はまだ産まれてない。
・ブレーザーはブレーザーブレスを介して召喚される。
・公表されてる最初の宇宙怪獣はバザンガではない。
ここら辺が基本的な設定、原作との違いです。
リンクラ×ブレーザーのクロスオーバー、楽しんで下さい。