勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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最終話以降触れられてなかった彼の話


短いよ?


 分かたれた道 続く思い

「…ふぅ」

コクピット内でキラは息を吐く

 

今は彼がしている事はかなり神経を使う仕事であり、それ故にキラも緊張している

…だが、そこにはかつての様な陰はない

 

『おーい、キラ

そろそろ昼にしないか?ミリィの飯が待ってるぜー』

 

「うん、分かった」

外からの声にキラはシートベルトを外し、コクピットを解放するとそれから降りる

 

 

「お疲れさん」

 

「ありがとう。それでどうかな?」

キラは声をかけてきた友人であるトールと共に歩きながら話をする

 

「こっちはかなり予定よりも先行しているな

ただ、南区の方が少し手間取っているって聞いてる」

 

「…どうする?」

 

「ま、その辺はサイに任せればいいだろ?」

トールの言葉に

 

(サイ、頑張れ)

と内心でエールを送るキラ

声には出さないし、サイに会っても口にしない

 

「…ごめん。それは僕の仕事じゃないから」

キラ・ヤマト

何もかもを背負い込む事がどんな事になるのか、彼はよく知っているのだから

 

 

「そういやぁ、昼過ぎに電源車が来るらしい

少し長めの昼にしようぜ、キラ」

 

「うん」

トールの言葉にキラは少し表情を緩ませると足早にその場を後にした

 

 

その場にはかつて人の生活を壊し、命を奪っていたはずのものが残された

 

 

 

 

分かたれた道 続く思い

 

 

----

 

 

ユニウスセブン落とし阻止作戦に従事したキラは、その功績をもってカズイとの再会を果たす

 

その場でカズイから『自分達は良くも悪くも影響力を持ちすぎた。その為人々から離れなければならなくなった』との事を聞く

 

 

キラとしては命の危機にまであったカズイがその様な事になるなど到底認められる訳もなく、初めてカズイと本気で戦う事にした

 

 

 

 

「…僕が勝ったらカズイについていく」

 

「俺が勝ったらキラは残る」

 

「…はぁ、なんでこうキラはカズイの事になるとムキになるのかしらね?」

向かい合いお互い条件を確認するキラとカズイ。それを見守りながら、深いため息をつくフレイ

 

「フレイはずるいよ。君はカズイに着いていけるのに」

 

「何言ってるのよ、キラ

もし置いていかれる事になるくらいなら、私はカズイとの思い出を胸に抱いて死を選ぶわ」

 

「…え?」

 

キラの抗議にフレイは平然と言い放つ

 

 

誇張表現でも何でもない

フレイの口調は

 

「今日は晴れるわね」

と青空を見て呟くような自然でいて、まるでそこに疑問の余地はない。そんなものだ

 

 

 

因みにフレイの発言は決して間違いでも大袈裟でもない

敢えて補足するならば

 

「私は(父を殺す決断をして、傷付きながらも生きる選択をした)カズイとの(憎しみも悲しみも、そして愛おしさも含んだ)思い出を胸に(しまっているカズイ(愛しい人)から貰ったナイフを)抱いて(つまり突き立てて)死を選ぶわ」

となる

 

それを知っているからカズイはフレイを止めないのだ

 

 

 

「そ、そうなんだ」

流石のキラもそんな事を平然と穏やかな顔をして口にするフレイに勝てないと理解してしまう

 

「まぁそれはそれとして」

カズイはのんびりと

 

「…うん」

キラは真剣な、少し固い声で

 

 

「「いく()」」

 

 

同時に地を蹴った

 

 

 

 

 

(カズイに掴まれたらマズイ)

キラはフェイントを織り交ぜて攻撃する事でなんとかカズイの体勢を崩そうとする

力任せではダメなのだ。それで何度地面に叩きつけられたか、もう数えたくない程に負けているから

速度で翻弄してもダメだった。動こうとした瞬間にカズイが動く事で速度の乗らない中途半端な攻撃になる

 

だから、力と速度をある程度高めた攻撃でカズイの隙を作る

 

それがキラの結論だった

 

 

キラの怒涛の連撃をガードするカズイ

だが、やはり万全ではないのか痛みのせいだろうか顔を歪ませている

そしてキラの息が切れた瞬間カズイの視線がキラの右肩あたりに動くのをキラは見逃さない

 

(くる!)

キラはカズイの攻撃に対処しようと構える

 

 

 

(…え?)

次の瞬間キラの視界は回っており、そして仰向けになって倒れたのか無機質な天井が彼の視界全てを支配した

 

 

「相変わらず素直と言うか、純朴というか」

 

「アンタが性悪過ぎるんじゃないの?」

カズイとフレイの会話が遠くに聞こえる気がする

 

 

負けたのだと

キラは涙で滲む視界の中思った

 

 

 

 

 

----

 

 

「…もう二度と会えないのかな」

自分の事ながら何とも情けない事を口にする

そう思いながらも、キラはカズイに問いかけた

 

キラにとってカズイは最も苦しい時、傍で支えてくれた恩人なんて言う表現も足りないくらい感謝している友人

…此処で親友と内心であっても言い切れない、そんな弱い自分がキラは嫌だった

 

「さぁな

…もし可能性があるとしたら、オーブの事もコーディネーターとナチュラルの事も遥か過去の事になって笑い合える様になった時くらいしか俺には思い浮かばないな」

 

「…そっか」

 

「それでも、俺もお前も生きている

同じ空の下にいないし、言葉も届かない」

 

「…うん」

 

「でも俺達が過ごした時間はあったんだ

…キラ。お前のやった事には確かに意味があったんだよ」

カズイは笑う

 

「生きてれば、また何かが掴めるさ」

 

「…うん」

 

「元気でな、キラ

お前ばっかり頼りにしてて、何も出来なかった俺だけど。お前がこれから幸せに生きてくれるって信じてるからな」

 

「…カズイ

……ありがとう」

 

こうしてキラとカズイは互いの道を行く事を決めた

もう二度と会えない道と知りながら

 

 

 

----

 

そしてキラは再建の続いているオーブ本土のオノゴロ島で行われている大規模な開発計画に一技術者(オペレーター)として参加する事を決めた

 

友人であるトールやミリアリア、サイも理由は違えどそれに参加する事となり、旧アークエンジェル所属だったキャリー隊の者達も軍を退役しヤラファス島側の復興計画に従事している

隊長であったジャン・キャリーも退役。彼は再建中のマスドライバーの計画に参加。技術者として高い評価を受けているそうだ

 

 

 

 

 

同じ空の下にはいない

それでもあの時貰った言葉を胸に僕は生きていく

 

キラは足を止め、あの時の事を思い出しながら、青空を見上げる

小鳥達が行き交うその空を

 

 

「おーい、キラ」

 

「キラ、トール

昼ご飯の準備出来たわよー」

 

遠くからサイとミリアリアの声がする

 

「行くか、キラ」

 

「うん」

トールと共にキラは歩き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしてキラもまた明日へと向かうのだろう




余談ではあるが、キラがしているのは旧オーブ市街の瓦礫撤去などの解体

なおキラの乗っているザウートは砲身部分が散水の為のホースに換装されたザウート(解体仕様)であるとかなんとか

突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?

  • いる
  • いらん
  • それより本編でしょう?
  • ifstory補完しろよ
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