勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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なんかやってみたかった
後悔はしない


短いが、三連撃目
ゆくぞー


 一休み

アスラン・ザラはヘリオポリスⅡへと移り住んでいた

 

とは言え、先の武力衝突によりプラント市民はプラント本国からの退去を強いられる事となり、そのやり場のない憤懣は戦争指揮をとっていたプラント最高評議会やザフトへと向けられる

 

負けるはずのない戦争で負けた

しかもナチュラルやナチュラルに味方した裏切り者達に

 

 

それが現実を受け入れようとしないプラント市民の本音

別にザフト入隊は性別、年齢問わず門戸を開いていたので、戦おうと思えば自ら武器を取って地球軍と戦えたと言うのに

 

 

元ザフトの者達はヘリオポリスⅡへの移住を望まなかった。当然であろう

彼等とてやれる事はやったのだ

地球軍のハルバートンや張、サザーランドなどはプラントの状況やザフトの余りの惨状を知り

 

「この状況で、あそこまで粘るとは

流石はコーディネーターによる軍隊だな」

と思わず称賛する程

だからとて、ザフトの無法を是とするつもりは全くなかったが

 

「勝敗は兵家の常

なれど敗者を甚振る必要はない」

と張は公式の場で発言している

 

 

確かに全地球規模の混乱を引き起こしたザフト

その作戦を是としたプラント

どちらも決して許し難い相手ではあるだろう

 

 

だが、そうやって憎悪や憤怒をぶつけ合い

その先に何があると言うのか?

 

 

----

 

 

各軍の司令部はヘリオポリス崩壊という軍隊に属している者ならば決して容認してはならない惨劇を目の当たりにして、漸く自分達の振るう力の意味と意義を自らに問いかける事となった

 

言ってしまえばそれまでの地球軍関係者の戦争に対する意識は地上におけるそれであり、ユニウスセブンに対する核攻撃とは全く異なる衝撃を受ける

とは言え、組織というのは難儀なものであり間違っているとしても中々素直に謝罪する事すら叶わないもの

 

その為、脱出したヘリオポリス住民

とりわけその中でも戦わねばならなかったキラやカズイに対する配慮は必要であると考えられた

 

 

そして両名の詳しい調査が行なわれる事となり、片方の少年つまりカズイの過去が注目を集めた

加えて丁度ラクス返還の際に発生したザフトとのやり取り

後に言われる事となる『アークエンジェルの口撃』も相まってカズイに対する注目と期待が高まる事となってしまった訳である

 

そんな状況においてもキラ(もう1人の少年)に対する追跡調査を進めていたアズラエルはキラの出生の秘密を知る事となった

つまり、遺伝子研究の異端児ユーレン・ヒビキとその妻ヴィア・ヒビキの間に生まれた子でありながら、忌まわしき遺伝子操作によりその能力を高められたスーパーコーディネーターとも言える存在だと

 

が、それを知ったアズラエルが抱いた感情は憤怒でも憎悪でもなく

 

「…親の都合に振り回された結果生まれた命ですか」

憐憫であった

 

 

当時遺伝子操作によるコーディネーターの製造は禁止されており、それを無視したばかりか多くのなどと言うのも過小表現となるだけの犠牲の元に生み出された命

 

それこそがキラ・ヤマトなのだ

 

 

だが、その人物ですらナチュラルであるはずのカズイに対して依存にも似た信頼を置いており調べたところでは近接格闘でもカズイに負けていると

 

アズラエルはその事実を知ると狂った様に笑い続けた

 

 

なんだそれは!

多くの科学者や砂時計の住人が求めてやまない実力と才能を持っていたとしても、それを発揮できなければ意味などありはしないのだ!

 

余りにも滑稽で

余りにも無様

 

いっその事、この事実をコーディネーターの力を信じてやまない連中に叩きつけてやろうか?とも考えたが、よくよく考えてみれば別に問題視する程のものでもないと思い直す

 

ビジネスの世界でもそうだが、当たり前と思っている所程致命的な被害を被る(落とし穴にはまる)ものだ

 

 

平和を求めるならば

地球の一員として生きるならば

 

この情報は自分の中に収めておこう

 

そうアズラエルは決意するのであった

 

 

それはそうとして、『真のコーディネーター(スーパーコーディネーターすら超える可能性)』には興味があったのは間違いなかった訳だが

 

 

だからこそ、過去の自分のした事に対してもいっそ馬鹿な事をしたと笑い飛ばすし

それにより生まれた者が自身を憎悪する事も許容する

 

 

 

そういう事があったからこそ、アズラエルはカズイについてかなり気にするし、期待も大いにしている

 

今も彼はプラントの人間や人の悪意によってその人生を歪められた者達、それに故郷を失った者と生活している

 

 

 

 

「…アズラエル様。本当にこれだけで宜しいのですか?」

 

「おやぁ?

ボクはそれだけでも十分美味しいと思いますが?

…そうは思いませんか?サザーランド君にアーヴィングさん」

 

「わかりませんが,レポートにあった時から気にはなっていましたね」

 

「こういう原始的な調理法ほど実は美味しくなるものだよ、レディ?」

 

アズラエルは今、部屋にある火災報知器の電源を落として部屋の中でささやかな楽しみをしている

不思議そうに首を傾けるアズラエルの秘書とせっかくだからと呼んだサザーランド。そして偶々居合わせたアーヴィング元大西洋連邦大統領

 

 

4人は中央にある焚き火を囲んで座りながら雑談している

 

「それで?そろそろ彼等も痺れを切らすと思いますが?」

 

「既に現在のロゴス傘下の企業から不穏な動きをしている企業の情報が入っていますな。今、内偵の人員の選出をしているとハルバートンから」

 

「どうやら自分が少し他所ごとに気を取られている間に自分の庭を荒らされたとかなり怒っていたな。彼は」

アーヴィングは心底楽しそうに笑う(嗤う)

 

「…たしかその人物はジブリール氏の遺産を継承していると聞きます。宜しいのですか?」

 

「構いませんよ。どうやら懐に手を入れられた事で本気になったみたいですからね」

秘書の懸念をアズラエルは一蹴する

 

「元々拷問器具の偏執的なコレクターですからね

間違いなく彼等は碌な最期を迎えられなくなるでしょうな」

 

「まぁそういう事です

…おっと、そろそろ食べ頃ですかね?」

 

「では私が味見を

…どれ」

サザーランドはトングで火の中から銀紙に包まれたものを掴み出すと

 

「あつつ」

そう言いながら銀紙を剥ぎ取る

そして皮を剥くと

 

「おお」

 

「いい焼き色ですね」

 

「本当にこれだけなのに」

思わず彼等の口から感想が飛び出した

 

「では、さっそく」

サザーランドは皮を剥いたそれにかぶりつく

 

 

そして

 

「確かに甘いですな。しかも人工的に整えられたそれとはまた別の味わいがします」

と口からほんのり湯気を吐きながら感想を口にした

 

「…では」

 

「私達も」

 

「いただきますかな」

そんなサザーランドを見たアズラエル達もまたそれを口にする

 

 

 

 

それは理想郷からの贈り物

 

 

黄金色の焼き芋だった




なお『宇宙再開発機構』のオフィスの中の出来事である


参加メンバーが無駄に豪華だが、まぁヨシ!

突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?

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  • いらん
  • それより本編でしょう?
  • ifstory補完しろよ
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