やはりジブリールの仕業なのか!(違う)
おのれ許さんぞ、ロード・ジブリール!(参考文献 アルちゃん構文)
「なぁ、カズイ」
「どうしたのさ?」
「お前は後悔してないのか?」
それはあの戦争が終わってから1年が経とうとしていたある日の出来事
「後悔なんざ、いくらでもしてるよ」
カズイは困った様な顔で笑った
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「別にシンとマユを助けた事は後悔してないし、寧ろ助けなかった方が絶対後悔してる」
「でもお前、それで…その」
カズイの言葉に思わず口を開いたカガリだったが、それは余りにもデリケートな話だと口を濁した
「…別にアンタが気にする事でもないだろ?」
「いや、そうなんだろうけど」
当事者であるシンの言葉にもカガリは口を閉ざそうとする
「私とお兄ちゃんを守る為にカズイ兄さんは一生ものの傷を負った
気を遣うくらいなら、最初から言わなきゃ良かったのに」
不機嫌そうにマユは事実を話す
「…一生ものの傷とは穏やかじゃねえな」
「でもカズイ、見たところ傷はないみたいだけど?」
スティングは呟き、アウルは思わずそれを聞いた
「そう言えば言ってなかったか?
片肺ないのよ、俺」
「片肺って凄い大怪我ですよね?」
あっけらかんと話すカズイにニコルは困惑した様な口調で訊ねる
「そりゃそうでしょ
片肺ないだけでかなり運動機能は落ち込むって書いてあったわ」
「…マジか」
「…なんでアンタが知らないのよ」
フレイの言葉に目を丸くするカズイ。そんなカズイに呆れた様な目を向けるフレイだった
「…では、あの時咳き込んでおられたのは」
「あの時?」
「ええ、アークエンジェルの時に」
ラクスは長い間疑問に思っていた事の答えが見えた気がした
「…よく覚えてるなぁ
よくよく考えたら直接会ったのってアークエンジェルの時だけではなかろうか?」
「そうですね。此処に来て再会した様なものではないかと
そう簡単に忘れられるものではありませんでしたわ、あの時の事は」
ラクスは何とも言えない微妙な顔で笑った
「ラクスさんの返還の時は大変だったんですよ」
「そりゃまぁ、国賓級の歌姫サマをあの時人質とされていたから仕方ないと思いますわ」
「まぁ」
ニコルの言葉にカズイは少しふざけて返すとラクスが少し頬を膨らませて抗議の意思を示した
「それもそうでしたけど、あの放送は色々な所に影響を与えましたから」
「割とプラント本国にいる人間を狙ってたので、そこは狙い通り」
「…狙っていたのですか?」
カズイの言葉にラクスは少し違和感を感じた
なんだかんだで一年程一緒に生活しているラクスはそれなりにカズイという人物がどの様なものか朧げながらに理解しているつもりだ
どちらかと言うと、血を流す事を嫌っている様に思えたのだが
「子供には血を流させておいて、自分達はのうのうと他人事みたいにしているのがプラント本国にいる殆どの人間だろ?
なら、無理矢理にでも戦争の恐ろしさの一端くらいは味わってもらわないとダメでしょう」
「…それは」
「結果としてプラント市民達はプラント本国から離れる事になった
ラクスやニコル、ロミナさんも此処へ来た。デュランダルさんやハーネンフースさんも地球での生活を選んだ
彼や彼女の中では戦争は終わったんだ。プラントの敗北という形で」
カズイは手元にある水を飲んで続ける
「暴動や混乱の酷かったコロニー市民は地球に移る事を受け入れていた。だが一方で混乱の少なかったコロニーの市民の殆どはヘリオポリスⅡを選んだ。移住の際にもかなりの抵抗があったと聞いたな
分かってないんだ。コロニーという隔離された空間の中で暮らしているから、自分の身の回りの人間が死んでないから」
「そんな事は、ないと思いますが」
カズイの言葉にラクスは弱々しく反論する
「そうか?
言っちゃあなんだが、ヘリオポリスでも同じ様な光景を実際に俺は見たがな」
「…え?」
ラクスは思わぬ言葉に目を丸くして戸惑った
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あれは俺達の平穏な日々がいつまでも続く、なんてありもしない幻想に身を委ねていた日の事
まぁ他ならぬその日にヘリオポリスは壊れて無くなったんだが、あの時ザフトによるカオシュン攻略戦が行なわれていた
…なんでそれを知ってるのかって?
それを見てたからさ、ニュースというモニターの向こう側から
それを見ていたトールやミリアリア、俺の友人だが
話していたんだよ
カオシュン?危なくないの?
大丈夫だって、本土からは離れてるから
海で隔たれていても移動しようと思えば何とかなるのにこんな意識だぞ?それこそ直接攻撃でもしない限り周りの影響を受けずに生活をおくれる
そんな環境にあって、負けている意識もないまま生活だけが苦しくなっていつのまにか戦争は終わっていた。しかも自分達の敗北で
認められるとは思えんよ
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「…そうね。多分コロニーに移った人達は認められないのでしょう」
カズイの言葉にロミナは沈痛そうな表情を浮かべながらも同意する
ロミナとて、夫と共にプラントで長い事生活している
…だからこそ知っているのだ
声高に叫びこそしても、良く見てみれば自分から前に出ようとしない者達。それがプラント市民の中に徐々に
だが確実に増えていった事に
「…そう、ですね」
ラクスとてそんな人達に心当たりがある
他ならぬ自分と共にプラントを脱出した者達の中にも、そういった人物がいた事をラクスもまた知っているのだから
「…結局自分に降りかからないと分からないって事なのか」
「はん、そりゃそうだろ?必死に戦場で殺し合いしている連中なんざ一握りの人間だ
他の連中からすれば究極的には他人事だろうが」
カガリは父を信奉、いやあそこまでいけば盲信だろうか?
していたオーブの軍人達の事を思い出し、辛そうに声を絞り出す
それに対してオルガは鼻を鳴らして言い捨てる
「大衆が危機感を感じるのは自分達の身に直接危険が及ぶと確信した時さ
例え少し後に破滅が訪れようとも、それから目を逸らす事に慣れきってしまっているからな」
「だよね。言っちゃなんだけどさ、ジェネシスが地球に撃たれたりしたらそりゃもう血相変えてプラントを滅ぼせ!って言うんじゃないの?」
アウルは心底つまらなさそうなそう口にする
このメンバーの中ではしばしば色々な事を話す関係上、割と軍機密に関わる事も知る機会は多い
まぁその中心人物であるカズイ自体が軍機密の塊と言えなくもなかったりするのだが
「難しいもんだな
平和は大切だが、それをあっさり踏み躙れる奴もいるんだろう?」
腕を組んでスティングは険しい顔でそう口にする
「…ねぇ、ステラそろそろお腹すいた」
が、そんな事この集団一のマイペース娘であるステラには関係なく目の前にある大きな鍋を見つめて兄と慕うカズイにアピールする
「小難しい話はここまでにするか
良し、クロト鍋開けろー」
「待ってました!」
「…いつまで待てば良いのか分かんないから手がつけられないって」
クロトは鍋の大きな蓋を開けるとその場に湯気が立ち昇る
シャニはカズイの方を見て、視線で「まだ食べ頃じゃないの?」と問う
「そろそろかね。じゃあそっちも開けるか」
「分かった」
カズイの言葉にシャニは気怠そうに椅子を立つと、大きなホットプレートの蓋をやはり開ける
「…へぇ、いい匂いじゃん」
湯気と共に立ち昇る料理の香りにシャニは側に置いてある長箸を持つと持っている小皿に野菜とその下に隠れている魚の身を入れる
『ちゃんちゃん焼き』と『寄せ鍋』(割と適当)
それが今日の夕飯のメニューだった
「ほっふほっふ
熱いけど美味いな」
「慌てすぎだぞ、オルガ
別に逃げる訳ではないのだから、落ち着いて食べると良い」
そう柔らかな表情でやんわりと注意するのはナタル
彼女は今回、ちゃんちゃん焼きの仕上げを担当している
「…取り過ぎじゃね?」
「別に良いじゃん。まだたくさんあるじゃねぇか!」
シャニのジト目を向けられたアウルは小皿を隠しながら魚の身を頬張る
「あーあ、好きだからって細か過ぎんだよ、シャニはさ」
「まぁ分からなくもないな
これなら野菜嫌いな奴でも食べやすいだろうからな」
クロトはいつもの事と箸を咥えながらぼやき、スティングは既に半分以下になっている寄せ鍋を見つめながら自分の感想を口にする
「…なぁ、スティング
別に良いんだが、肉取り過ぎじゃないか?」
カガリの控え目な指摘にスティングは視線を逸らしながらも箸を動かす
「…スティング、偏食はだめだよ?」
ステラは小首を傾げながらスティングに注意して、野菜や肉の入った小皿の中身にゆっくり食べている
「クロトさん。それはあまり良くないと思いますが」
ラクスはクロトにやんわりと注意する。された側のクロトも分かっているのか、バツが悪そうにしながら軽くラクスに頭を下げた
「あの、シン
ちゃんちゃん焼きが好きなのは分かりますが」
「…あーダメだよニコルさん
お兄ちゃん、ちゃんちゃん焼きの野菜がすごく好きだから」
「あら、でも良いんじゃないかしら
キチンと野菜を食べているのだから」
ニコルは寄せ鍋に見向きもせず、ひたすらにちゃんちゃん焼きの柔らかくなった野菜を食べるシンに注意しようとするが、マユは無駄な事だとあっさり言う
ロミナはそんなシンを微笑ましく見ており
「…分かったよ」
空にした小皿に寄せ鍋をよそうとそれを口にする
「シンは好きだからなぁ、ちゃんちゃん焼き
何せ最後の残っている野菜や魚の身をしっかり綺麗に食べようとするんだから」
カズイはそう笑いながら、キッチンから茹でた麺をボールに入れて運んでくる
「雑炊の方が好みなんだが、流石に此処で稲作は無理だろうからなぁ」
と苦笑しながら麺を寄せ鍋の具が殆どなくなりつつある鍋に入れた
「平和だねぇ」
寄せ鍋に入った麺を巡って駆け引きをするクロト達とスティング達にカガリとラクス
既に灯の落ちている空を見上げて呟いたカズイであった
という訳で何故かまた飯回になりました
ジブリールは責任持って観覧車型パンジャンドラム(試作)初の搭乗者になってもらいました
突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?
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いる
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いらん
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それより本編でしょう?
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ifstory補完しろよ