勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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紅茶とマーマイトばかりではいけないと思い立ち、緑茶とずんだを食べて書きました


久しぶりの登場がありますし、割とアレな内容も含まれていますが
今更なので気にしない事にします


 日常

キラ・ヤマトの朝は早い

 

 

「おはよう、父さん母さん」

 

「おはよう。キラ」

 

「今日も仕事か?」

 

「うん。トール達が迎えに来てくれるって」

母親であるカリダ・ヤマトと父親であるハルマ・ヤマトに朝の挨拶をしつつ、キラはそのまま洗面所で顔を洗う

 

「…ふう」

眠気を飛ばしたキラは食卓に用意されている朝食を食べる

 

「いただきます」

 

 

『アイサツハダイジ、コジキニモソウカイテアル

ってのは冗談だけど、やっぱり挨拶は円滑な関係を築く為にはしておくに越した事はないと俺は思う』

とかけがえのない親友(依存者特有の過大表現)から言われて以来、キラは挨拶を欠かす事はない

 

「そんな、嘘だろう?

嘘だと言ってくれ!キラァァァッ!」(コロニー在住A.Z氏)

 

何か聞こえた気がしなくもないが、気のせいとキラは食事に集中する

 

以前不審者からスーパーコーディネーターとか言われたが

 

「うん

…それで?」

程度のもの。気にする程のものでもない

自分はキラ・ヤマトでオーブに住む明日を楽しみにしているだけの人間なのだから

 

 

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「よう、キラ!」

 

「おはよう、みんな」

 

「おはよう」

 

「キラ、おはよう

早速だけど昨日晩連絡があって」

トールの運転する車に乗ってキラは今日も仕事場に向かう

車内ではあるが、どうにも計画に変更があったらしく詳しく知るサイから話を聞く

トールは助手席に乗っている恋人のミリアリアと話をしていた

 

 

 

 

「おはようございます!今日も晴れていますが、日中気温が高くなる予報が出ています

時期としては少し遅いですが、各自熱中症対策をして今日も一日安全作業で仕事を終えましょう

ご安全に!」

 

「ご安全に!」

 

朝礼を済ませたキラ達は車で事務所から移動する

今やっている作業場所は事務所から遠く、車で10分程移動しなければならないのだ

 

「もっと近くで朝礼してくれないかねぇ」

 

「移動時間もトータルで考えたら結構なものよね」

 

「仕方ないと言えば仕方ないんだろうけどな」

 

「確かに少し不便だよね」

口々に愚痴を言い合いながら、移動していく

 

 

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「今日解体するのは、えっと」

 

「あっちだ、キラ

逆側で整地していくから一応注意しておいてくれ」

 

「うん」

 

ミリアリアは仮設の休憩所で書類の作成

キラはザウート(解体用カスタム)で建物の解体と瓦礫の移動

サイは建設重機でキラが移動してきた瓦礫を搬出車両に積み込む

トールは地中にあった基礎を撤去して終わった所を真パンジャン(建設仕様)で整地する

最初は割と意味が分からなかったキラだったが、そのうち深く考えるのをやめた

 

まぁ出来てるからいっか

 

という一種の諦めの境地と現実逃避であるが、深く考えすぎるとどこからともなく重厚な音楽が聞こえてきそうなので、考えるのをやめた

 

 

10時に一度小休憩を挟み、キラ達は昼前に作業を終えて事務所へと向かう

 

キラ達のグループのリーダーはサイなので、サイは事務所に行き作業終了の報告と伝票にサインを貰う

 

「悪い。少し打ち合わせがあって」

 

「仕方ないって」

 

「お疲れ、サイ」

 

「大丈夫よ」

 

頭を下げて車に乗り込むサイに皆それぞれ気にしない様にと声をかける

キラ達は事情があって、拘束時間は決して長くない

 

 

「やっと色々復興してきたって実感がわくよな」

 

「そうね。…あ、トール。夕方で良いから買い物に付き合って」

 

「…あー、あそこ?

なぁミリィ、キラとサイも連れて行こう」

 

「夕方?なら時間はあるけど」

 

「別に僕も大丈夫だけど」

車でオーブ市街を走っているとミリアリアがどうやら夕方から人手を欲しているみたいだとキラは思った

別に構わないとキラとサイは気軽に返事をする

 

 

 

…これがその日から続く事になる長い戦いの始まりとも知らないで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ごめんね、2人とも」

 

「悪い。けど俺とミリィだけだと流石にどうにもなりそうになくてさ」

 

「いや、別に構わないが

何処に向かってるんだ?」

 

「大丈夫だよ。僕も暇だったから」

夕方になり、オレンジの光が街を照らしている時間、キラはトール達と合流して車で移動していた

 

「買い出しがあるんだけど

私とトールだけだと」

 

「サイとキラが来てくれて助かった

あそこの人達って本当に手強いからさ」

 

「…なぁ、トール。俺達買い物に行くんだよな?

何で手強いなんて言葉が出てくるんだよ」

 

「ねぇトール。ショッピングモール過ぎたけど?」

大型ショッピングモールを過ぎた事を僕は口にするけど

 

 

「大丈夫だって、間違えてないからさ」

トールは笑って取り合わなかった

 

 

 

 

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「さて、今日こそは」

 

「…トール、負けないでね?

私は何とかデザートの一つくらいは確保するから」

とあるスーパーの前に僕達は立っていた

 

 

トールは腕まくりして気合を入れているし

ミリアリアも何か不吉な事を口走っている

サイは

 

「嘘だろ?」

と顔を青褪めさせていた

 

店の近くでは明らかに雰囲気(オーラ)の違う様な人達がトールみたいな人達を微笑ましそうな表情で見ていた

 

僕は直感的に悟った

 

 

この人達は、強い

 

自分でも何を言っているのか理解に苦しむけど、何故かそう思えてならない

ふと看板を見上げると

 

 

 

 

 

帰ってきた!もってけ、ドロボー

とやたら気合の入った様な看板がそこにはあった

 

 

「ヘイ、トールニミリアリア

キョウハオトモダチツレテキタノ?」

とトールとミリアリアに声をかけてくる人がいた

 

「げ、ケバブ屋のおっさんかよ

…マジかぁ。難敵が増えた」

 

「が、頑張ってトール!」

そんな人にトールとミリアリアは引き攣った顔をしていた

 

「ハハハ

タマニハカラダウゴカサナイト

オタガイガンバロー」

と2人の失礼な態度を気にするわけでもなく、笑って店に入って行った

 

 

 

 

「作戦を決めるぞ、キラにサイ」

 

「私は製菓。トールは青果よね?」

 

「ああ。あのおっさんが来たからには惣菜は間違いなくヤバい事になる。残念だけど今回はキラに任せてサイは俺と一緒に」

 

「お前なぁ!こんな修羅場に連れてくるなら先に言えよ!」

トールにサイが怒りながら抗議する

 

「じゃあ聞くけどよ」

 

「…何だよ」

 

「説明したら着いてきたか?」

 

「来るわけないだろ、言わせんなよ」

トールの言葉にサイは間髪入れずに答えたんだ

 

…どういう事なのか、僕には分からなかった

 

 

 

----

 

 

『えー、ご来店の皆様にお知らせします

間も無く店内戦場となる事が予想されますので、巻き込まれたくないお客様は速やかにお会計を済ませて退店して下さいます様お願いします』

店内放送を聞いた僕は顔を引き攣らせる

明らかに穏便ではない内容なのに、全く近くにいる人達は動揺していない

 

『えー、イートインコーナーで観戦希望のお客様

これからレシートの確認をしますのでレシートの準備をしてそのままお待ち下さい』

 

「何だここは、思考が全く読めん」

?なんかブツブツ言っている人がいるけど、正直気にしている余裕はない

 

周りの人達の視線が鋭くなったその時

 

 

『皆様大変お待たせしました

当店恒例、半額セールを実施いたします

当店が閉店するまでのチキチキレースですが、皆様どうか怪我のない様にお願いします

…では、good luck!』

 

その放送に合わせて皆早足でそれぞれの目標に向かう

 

 

 

----

 

 

「そのエビフライはウチのや!」

 

「ふふふ、ずんだは譲りません!」

 

「ずんだのフライとか冒険しすぎだと思う」

 

「ヘイソコノヒトジャマデスヨ!」

 

「馬鹿な!いつの間に背後に

うわあっ!」

さっきの人があっさり人を押し退ける

 

視線で探している暇はない!

とにかく確保しないと!

 

「あら、ボウヤ。見ない顔だけど、新人さんかしら?

ごめんなさいねぇ、それはアタシの獲物なの」

咄嗟に手を伸ばして掴もうとした豆腐ハンバーグ(170アースダラー)だったけど手の届く瞬間に近くにいた女の人がアッサリと確保していった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なにも、出来なかった

僕は無力感に打ちのめされながら、店先に立ち尽くしていた

 

取れた筈のものはあった

でも届く瞬間には誰かがそれを手にしていたんだ

 

「生憎だが、にいちゃん

俺達はこれに命をかけているんでな」

そう言って特売弁当(225アースダラー)を持って行った人がいる

 

「まだまだ若いのぅ

精進しなされ」

そう軽く僕の方を見て笑ったお爺さんがいた

手には昔ながらの漬物詰め合わせ(260アースダラー)が握られていた

 

 

 

「こ、心を読める筈の私が抵抗すら許されない、だと」

 

僕の隣で落ち込んでいる男の人がいた

余りにも見ていられなかったので声をかけると

 

「…どうやら貴方もですか」

お互い理不尽な現実に共に涙した

 

「私は明日戻らねばなりません

…しかし、いつか必ずこの手に惣菜を手にしてみせるっ!」

 

「僕も両手に惣菜を手に入れてみせる」

僕とその人はお互い強く頷き合った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして僕のあの店でのデビュー戦は散々な結果に終わった

でも、いつか必ず

 

そう強く心に決めたのだった

 




低評価が沢山ついても気にしたら負け

そう思い突き進むのみ!

突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?

  • いる
  • いらん
  • それより本編でしょう?
  • ifstory補完しろよ
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