サブタイはあんまり関係なさそう
コロニーシャンバラ
理想郷と名付けられたこのコロニーが住人を迎えてそろそろ2年が過ぎる
当初、このコロニーはある人物をして
あくまでも、彼等の人生が終わるまでの隔離空間。辛い現実も悲しい過去も全てに疲れ果てた揺籠。中に注ぐ事はあっても、中のものは決して外に出る事の無いブラックホール
そう認識されていた
だが
「今日もまた結構な量だな、坊主」
「坊主はやめて下さいよ。ムウさん」
かつて共に命をかけて共に戦った者が
「変わりがない様で安心したわ、ナタル」
「此処はそういう場所ですので
久しぶりです。元気そうで安心しました、マリュー」
「おーい、坊主に嬢ちゃん
何かメンテのいるものはあるか?」
「あ、マードックさん!
少し待ってて下さいね?今お兄ちゃんとアウルとロミナさんが持ってきますから」
此処へきて新たに紡いだ絆が
確かにそこにはあったのだから
after STORY 変わらぬ日常
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『っと、これで全部か?』
『そうね。多分そうだと思うのだけど』
『オッケー、じゃ少し俺出荷倉庫を見てくるから』
複数の補助アームで出荷分の野菜の入ったコンテナを輸送艦に積み込むザウートに乗ったシン
格納庫で専門的な技術と知識を持つ整備班に点検を受ける為に輸送艦の固定箇所に真パンジャンを停めたロミナ
外部スピーカーから聞こえてくる2人の会話を聞いて、積み残しがないか確認しようとプロトジンを動かすアウル
格納庫で今までの整備記録を
人こそ変わるものの、シャンバラでは定期的に見られる光景だった
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「しっかし変わるもんだな、お前さんが野菜を作るなんて」
「元々軍属でなかった訳ですから、軍艦に乗っていたあの時期の方が不自然ですよ」
「…だな」
ムウ・ラ・フラガは穏やかな表情で自分と話をする少年、カズイの様子を見て内心で安堵の息を吐いていた
アークエンジェルでの彼は常に何か見えないものに恐怖しながら、それでも必死になって藻搔いていたと今思い返せば思える
だが、当時の自分はそれから目を背け続けていた
だから、同じ様な境遇であったキラは自分の事を「ムウさん」と呼ぶ事はあっても、カズイは決して「フラガ」としか呼ばなかった事に気付いていながらも何も出来なかった
『エンデミュオンの鷹』などと言われたところで、子供の心一つ救えなかった自分に嫌気がさしたものだ
ヘリオポリスから必死にやって漸く第八艦隊に合流できた時思ったものだ
やっと坊主達を平和な日常に戻してやれる
と
その淡い期待はフレイの嬢ちゃんも含めた3人の昇格によって無惨にも砕かれた訳だが
『アークエンジェルの口撃』
そう軍の関係者から呼ばれる事になった坊主のザフトに対する猛毒を含んだ通信
俺や艦長や副長はあの場限りのものと思っていたのだが、どうにもプラント本国の一部にまでその毒は届いたらしい
その結果、一部のコロニーでは暴動すら起きたとも
更に後から知ったんだが、どうにもオーブ本土にいた時の事からオーブのコーディネーターの多くから
そしてアークエンジェルで戦う決意をした経緯から、地球軍関係のコーディネーターにも重過ぎる期待を寄せられる事になり『真のコーディネーター』なんて呼ばれる事になったらしい
これは地球降下前にアークエンジェルに合流してきたジャン・キャリー少尉とその部下達から聞いた話だ
地球に住むコーディネーター達の境遇を知った俺は確かに彼等彼女達のそれに同情はした
だが、その支持を集める為にカズイとキラを生贄に捧げる様なやり方に見えてしまい複雑な思いを抱いてしまう
戦争を始めたのは俺達大人の都合だ
なのに地球もプラントも平気で子供達を『勝利する為』という名目で使い潰そうとする
その嫌悪感が一層増したのは北アフリカでオーブの姫とその護衛を連れてオーブに着いてすぐの事
…いやアレは護衛ですらないだろう
身の危険なところに飛び込む護衛対象を諌めるでもなく、常にそばにいて守ろうとするでもなく
そんな護衛をする軍人なら、直ぐにその任務から外されるだろう
…それとも、オーブでの護衛の意味と俺たちの知る護衛の意味が違うのだろうか?
あの時、その程度の疑問で終わらせた事を俺は一生悔いる事になった
オーブに入港した俺達だったが、そこでまた坊主達と嬢ちゃんは大人の都合に振り回される事になる
大西洋連邦軍から、オーブ国防軍への所属変更
そして、オーブの現体制の打破
何を言ってるのか、俺だけではなくアークエンジェルの全員が理解出来なかった
オーブの当時の代表はホムラ
だが、実権は前代表に過ぎないはずのウズミ・ナラが握っていた
それがどうした?
ウズミはアフリカ共同体にて反ザフト、反政府運動をしていたレジスタンス組織に対して密かに支援を行なっていた。その様な国家を放置してプラントに対する攻勢を始めた場合、最悪背後から撃たれる可能性がある
また、オーブとの共同開発で作られたストライクを始めとした新型Gのデータを使用して、独自にMS開発を進め既に一部はオーブ本土に存在する
というものだった
プラント理事国はこの様な行為をしたオーブに対して、ザフトの地上における一大拠点オーストラリアのカーペンタリアを攻略
…いや、その尽くを灰塵として更地へと変えたのだ
それは理事国からの脅しであり、最後通牒であった
カーペンタリアで猛威を振るった部隊は各軍の基地に帰投する事なく、赤道連合領内に用意された基地に集結
これを重く見たオーブの反アスハ、親理事国勢力は現体制の首脳部を排除する為によりにもよって、坊主達を巻き込む選択をした
当時のアークエンジェル内の雰囲気は控え目に言っても最悪であり、アークエンジェルはオーブ国内に即応待機を命じられていたが、俺と艦長。そして副長は真剣にオーブ攻撃を考えていた程
自分達の不始末を正す事も出来ず、その尻拭いを他国の軍隊に志願してでも自分や友人達の命を守ろうとした子供達にさせると言うのだ
如何にすまなさそうにしていたとしても、何も出来てない以上意味はない
そして、オーブの体制は変わり、それにより俺達の待機任務も終わりを告げる事になる
そう思っていた
だが、俺達は忘れていたんだ
オーブの有力者の娘のわがまま一つ諌める事も出来ず、他国の軍人がレジスタンス活動をする危険性も理解していない
その程度の人間が護衛任務に就いていた。オーブの歪さを
そして、カズイは撃たれた
オーブ国内でアイツに反感を持つ市民に
護衛を担当していた軍人はあろう事か、護衛任務を私情で放棄
サイの奴が俺達に連絡してきたのも、オーブに対する拭い難い不信感があったと後から聞いた
挙句、そのカズイを収容していた病院。しかも国防軍管轄のそこでカズイの意識不明を長引かせる為の工作すらあったと
フレイの嬢ちゃんがカズイの身柄引き取りに動いていなければ、間違いなく副長が動いただろうし、俺達の誰もそれを咎めなかっただろう
オーブを離れて直ぐ、オーブが焼け野原になったと聞いても俺達の心にさざなみ一つ立てる事はなかった
そして俺達やカズイにカズイの弟であるシンと妹のマユにフレイの嬢ちゃんは大西洋連邦へと戻り、そのまま終戦を迎える事になる
終戦後、大規模な軍縮が行なわれると軍司令部から聞いた俺達だったが、副長は真っ先に退役を選択
今にして思えば、あの時点でカズイ達がどうなるか知っていたのだろうな
とは言っても、副長の実家であるバジルールは代々優秀な軍人を輩出している家系
父親の少将や兄である中佐が止めるのかと思ったのだが
そんな事はなく、彼女の申し入れは受理されアークエンジェルを離れる事になった
「…ナタル。貴女には本当に苦労をかけたと思うわ
私達が此処まで来れたのは貴女のお陰でもある。…ありがとう」
「…いえ、艦長。私だけではどうにもならぬ事ばかりでした
艦長やフラガ少佐、各員が協力して事にあたったからこそ誰1人として欠ける事なく此処まで来れたと思っています
…私はもう二度と世間に戻る事はないでしょうが、皆のこれからに良きものがある事を願っております」
「…なぁ、副長。世間から離れるみたいな事を言っていたが」
最期の挨拶の時、マリューと副長の話を聞いていた俺だったのだが、少し気になる事があってつい口を出してしまう
「…私にとって、かけがえのない困った奴の所へ行くつもりです」
その柔らかな表情を見て、俺達は副長がアイツを追いかけていく事に気がついた
既に軍籍どころか、戸籍の上ですらも抹消されている為その名を口にする事すら叶わなくなったアイツら
副長の言葉を受けて、ずっと気にしていたアイツらが気になる事となった
「新組織、ですか?」
「…うむ。既に私はそちらで特別顧問として働く事が内定している
『宇宙再開発機構』と言うのだがな。もし、君達が望むならアークエンジェルのクルー全員をそのまま輸送艦のクルーとして扱う事も出来る」
俺と艦長は副長が艦を降りて少し後、大西洋連邦軍のオフィスに呼ばれる事となった
そこで間も無く
「これからは手に入れた平和を守り、維持していく事が重要となる
更に将来的には宇宙開発も進める事になるだろう」
「その一環、という事でしょうか?」
マリューの言葉に
「それも確かにある。が、実はとある農業用コロニーへの輸送任務
これを出来れば君達
その言葉に俺とマリューは目を丸くする
「機密保持の観点からも
…どうかね?」
「…大佐。つまり自分達に
俺の質問に
「そうだな
…まぁ
そう少しだけ楽しそうに返答した
その言葉で俺とマリューの心を決まった
クルー達に話をするとやはり皆心配であったらしく、新しい組織への転向の意思を固める事になった
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そして、カズイ達との再会を果たし、それ以後このコロニーへの輸送任務を担当する事となった訳だ
「摘み食いしたらダメですよ?」
「そこは俺達の為に取り分用意しておいてくれてもいいんじゃないか?」
カズイとなんでもないふざけたやり取りをしながら俺は安心した
もう大丈夫だ、と
戸籍も軍籍も家族との繋がりすら無くなったカズイ達
だが、間違いなく充実した日々を過ごしているのだと確信した
「…これ」
ステラの差し出した小箱
「良いのか?」
「偶には良いでしょ?」
俺の言葉にカズイは楽しそうに笑いながら答える
ついでにステラの頭を撫でているが、全く似ていないのにそのやり取りは兄妹の様にも見える微笑ましいものだった
「なお匂いには注意してくださいね?」
「おいおい、宇宙艦艇の中で暴動でも起こす気か?」
俺達は顔を見合わせると声に出して笑った
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「
「良し。ノイマン、コースの設定は任せる」
「了解」
格納庫にシャンバラ産の野菜を積み込んだ俺達は本部に向けてシャンバラを出港した
「航路に乗りました」
「良し、艦内警戒体制のまま
…俺は少し副長と話をしてくる」
そう言って、俺は艦橋を後にした
「ムウ…いえ、艦長」
「一応任務中だからな?ラミアス
格納庫で作業していたマリューと合流し、食堂へと俺達は向かっていた
アークエンジェル時代艦長をしていたマリューだったが、自分はやはり技術者の方が合っているとの事により、艦長は俺となる事になった
まぁ、MSもMAも搭載していない様な現状、俺は手すきだったからな
「おっ?」
「あら?」
食堂に入った俺達は香ばしい匂いに直ぐ気がついた
「おや、艦長と副長
…ああ、これ目当てですね?」
と食堂長は目の前で焼いていたものを皿に移すと俺達の前に置いた
焼き目のついた黄色の物体
「焼きとうもろこしです
少しだけソース(醤油)をかけて時間をかけてゆっくり焼いてみました」
俺とマリューは目を見合わせると
「食べるか」
「そうね」
そう言って、焼きとうもろこしとやらの両端を掴むとそのままかぶりついた
少しアレな食べ方だが、不思議と懐かしさを感じてしまう
「「
そして俺達は口を揃えて笑いながら感想を言い、焼きとうもろこしを食べ始めた
偶には2人にも食べさせてみたくなった
突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?
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いる
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いらん
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それより本編でしょう?
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ifstory補完しろよ