それは今もまだ消える事なく人々の中に残されていた
シェスター・リリーは地球生まれのコーディネーターである
両親はリリーの幸せを願って、少しばかりの名誉欲もあったのだろうが彼女をコーディネーターとした
当時コーディネーターの
しかし、リリーの両親は幸か不幸かコーディネーターを望めば手に出来るだけの
両親は平凡な生活を送っていたナチュラル
しかし、ジョージ・グレンによるエビュデンス01の発見には興奮する程度には世間に関心を持っていたらしい
人類史に残る輝かしい功績
その強烈な光に自分達は惹かれた
そう言っていた
そして、私はコーディネーターとして生を受ける事になる
----
生まれてしばらくすると、周囲の同年代の子供達よりも自分は物覚えが良く、運動も出来た
だから嬉しくなっていろんな事にのめり込む事となる
いつだって両親は褒めてくれるから
だから誰にも負けない様に、手を伸ばし続けた
しかし、そんな余りにも伸び代のある私を不思議に思った学校の教員は遺伝子検査を両親に勧める事となった
そして両親は初めて私がコーディネーターである事を私に教えたのだ
ショックだった
今までの自分の努力が否定されたような気がしたから
リリーは近くに住んでいたコーディネーターの同級生が嫌いだった。何かにつけて威張り散らし、時には暴力すら振るう
野蛮で、
リリーはそれを知ってから、半年程家に閉じこもる事になった
あれだけ好きだった両親。でもあれ以降話もろくにしたくなかった。何故自分をコーディネーターにしたのか?
何故それを今まで黙っていたのか?
言いたい事やぶつけたいやり場の無い感情ばかりがリリーの中に積もる事となる
そんなある日の事
「リリー!いつまで休んでんだよ
お前との勝負はまだ終わってない!」
そう幼馴染が家の外から声をかけてきた
勝負したい訳がない
私はコーディネーターで、彼はナチュラル
勝っても素直に喜べないし、負けるとも思えない
事実彼に負けた事なんて今まで一度もなかったのだから
だからリリーはそれを無視する
「逃げんなよ、リリー!
お前の勝ち逃げなんて俺は絶対認めない!」
五月蝿い。私の気持ちなんて
「リリー!」
「五月蝿い!もう放っておいてよ!!
私はコーディネーターなのよ!アンタに負ける訳ないじゃない!」
余りにもしつこいので、つい窓を開けて怒鳴ってしまう
「だから何だってんだ!
俺はコーディネーターだからお前に勝ちたいんじゃない!
「ーーっっ!!」
なんて事大声で言うのよ、このバカは!
あまりの言い方に涙が止まって、顔が熱くなってきたのを自覚した
「降りてこいよ、リリー!」
「バ、バカじゃないの?
アンタ一度だって私に勝った事ない癖に」
「んな事言われなくても知ってる
だけど、次はわかんねぇだろ?」
上擦った声で言ってみても、全く堪えた様子はない
「…言ってなさいよ
少し待ってて」
自分でも間違いなく顔が真っ赤になっているだろうと自覚しながら、あのバカの相手をする為にそう声をかけて着替えや身嗜みを整える
「…バカ」
私は鏡に映るリンゴの様に真っ赤に染まった自分の顔を見ながらそう呟いた
それは自分に向けたものが、それともあのバカに向けたものだったのか
今でも分からないけど
----
ユニウスセブンに核が撃ち込まれたと噂になった
真実は定かではないが、その直後プラント最高評議会とか言う人達がユニウスセブンの犠牲者を悼む式典の中で地球に対して屈する事なく戦う事を宣言していた
正直頭の中がどうにかしていると私は思うわ
確かに犠牲者を出したからそれに対して報復したくなるのは分かる
…けど、それを死者を悼むべき場で述べるのはどうかと思ってしまうのだ
言ってしまえば葬式の最中に亡くなった人の為に復讐する
そう言っている様なもの
せめて死者を悼む場所は静かにして、厳粛な空気で亡くなった人達の事を送れないのかしら?
そんな呑気に考えていた私は僅かひと月半後、人類史上類を見ないであろう蛮行を目の当たりにする事になるなんて,想像もしていなかった
----
電気が一切使えなくなったのだ
「リリー!」
「…駄目。こっちもよ」
エイプリルフールに突如として起きた謎の停電
それは私達の生活を破壊し尽くした
幼馴染や両親達と共に必死になって、なんとかしようと試みた
此処はこの時期比較的温暖な気候となる
が、生活の殆どを電気によって賄っていた私達だ
照明が点かないから、日が暮れれば殆ど見えなくなる
冷蔵庫も冷凍庫も使えないから食料の保存が出来ない
レンジやポット、IHコンロも使えないから物を温めることすら出来ない
テレビも使えないから情報を集める事も出来ない。端末とて、電気が無ければただの置き物
となれば、どうしても足りない物を求めに行くしかない
「…なんて、皆同じ事を考えているでしょうね」
「どうなるんだろうな、これから」
私と幼馴染は不安の中目を閉じ、明日が無事に来る事を願った
それがザフトによる地球全土に対するNジャマーの敷設に伴うものであると私達が知るのは少し後の事になる
----
「…本気なの?」
「…ああ、アレのせいで父さん達は死んでしまった
俺はザフトを許せない」
あの最悪の電力不足により、私達の周りではとんでもない勢いで治安が悪化
食料を確保しに行った彼と私の両親はその混乱の中で命を落とした
それから暫くは互いに欠けたものを補う様に依存し合った
関係は幼馴染から男女の仲になったが
そしてあの日、彼は軍への志願を決めた
私も軍に志願したかったが
「リリー。君は此処で俺の帰りを待っていてくれないか?」
「嫌、私も戦いたいのよ!」
「リリー、聞いてくれ。確かに軍もコーディネーターを受け入れていると聞いている
けど、もしリリーまで志願したとして同じ所に配属されるとは思えないんだ」
「…でも、でも
もしあなたまで失ったら私」
「大丈夫。少しずつだけど戦況は良くなっているって教官も言っていたから」
不安に震える私を彼は抱き締めると
「帰ってきたら、一緒になろう。リリー」
そう約束してくれた
…今思えば何を都合の良い夢を見ていたのか?と当時の自分に呆れてしまう
彼はメカニックとしての腕を評価されて、宇宙軍のパトロール艦に配属され
そして、ザフトの卑怯極まる偽降によって、その艦は沈められたのだ
----
その報を聞いた時、私は全身の力が抜けるのを感じた
愛してくれた両親も
愛していた彼も
私にはもう居ない
だから、狂った様に勉強しプラントのコーディネーターの残党達を殺し尽くせる方法を模索していた
どうにも同僚達からは勤勉で優秀なコーディネーターと見られていたらしいが、そんな事はどうでも良かったわ
そしてある時、ある国家への誘いを受けた
始めはどうでも良さそうに聞いていたのだが『プラントのコーディネーター達よりも優秀』な者達が治める国と聞いて考えを改める
プラントの残党達は手の届かない所へと行ってしまった
ならば
そいつらよりも優秀と嘯くコイツらの国を滅ぼす事で彼やあの戦争で亡くなった人達への捧げ物としよう
そう考えたのだ
ファウンデーションに着いた私は予想通りの光景に心の中でこの国を治めている者達を嗤ったわ
確かに宮殿は素晴らしいものがあるし、周辺でも開発が進んでいる
…だが、物陰に隠れる様にして生活している明らかに真っ当な生活を送れていない者がチラホラ見えたのだから
どうやら、急ピッチで進んでいる都市計画の末端を任される事になるらしい
今は素直に従うわ
でも、もし
もしも彼や亡くなった人達のした事を否定する様な国なら
----
アスランは近頃のコロニー内の空気に違和感と既視感を覚え始めていた
それと同時に思うのは吐き気すら感じる程の不快感
(なんだ?)
そもそもこのコロニーの名前からして、真っ当な神経を持つプラント市民ならば顔を顰めて然るべきもの
言い換えるならば、ザフトひいてはプラント市民の罪の証と言える存在なのだ
そのコロニーで今も地球側への不満やプラントの
(ーーーっっ!!)
アスランは漸く理解した
そうだ、これは
地球軍に対して全面攻勢に出ようとした時のプラントの空気そのものだと気が付いたのだから
…だが、あの時はまだユニウスセブンの報復という曲がりなりにも名分があった
しかし今の動機は
自分達は負けていない
などと言う何ともしようのない言い分から来ている
しかし、現実には食料の完全自給や空気、水に至るまで地球の支援なくしては立ち行かないのが現実
(マズイ)
アスランははっきりと理解した
これを彼等は待っていた
のだと
かつてのプラントは少なくとも、地球側に工業製品を輸出すると言う役割があった
まぁそれもユニウスセブンに対する攻撃以降停止していたのだが
つまり、プラントの存在は少なからず地球側に利益を齎していた。だからプラントに対する全面攻撃を躊躇ったのだのアスランは思い至ったのである
ところが、このヘリオポリスⅡは何一つ地球側や現在の世界情勢に対して貢献する事なく存在していた
それは、つまり
いつ切り捨てたとしても、問題のない存在という事
そんなコロニーが牙を剥いたとなれば
彼等は今度こそ、許す事はないのだと
何としても止めなければならない
手遅れになる前に
アスランは自宅を飛び出した
----
ユーラシア連邦の一員であり、それ故に先だって行われた地球、プラント間の武力衝突の少し前に連邦大統領の地位を退いた人物の政策。『連邦領内総鉄道化計画』において、ユーラシア連邦の支援を受け国内の鉄道網の整備を行なっていた
その為経済的な繋がりは強く、最早独立独歩の道は閉ざされたと言っても良い国家と成り果てている
とは言え、ユーラシア連邦は決して小国であろうとも、誠実な対応を心掛けており、エイプリルフールクライシスにおける物流の混乱から生じた食料不足に対しても満額とはいかないものの支援を行なっている
その国に
「あれが」
「…なんと」
線路を走る巨大な砲塔を有する列車群が次々と到着
急遽連邦の支援によって増設された各ポイントに分散、配備される事になる
列車砲『ドーラ』
『旧世紀からの狂気』と先の戦争でザフトと地球軍関係者(特に財務関係者)を恐怖に陥れた陸の魔物が
その目覚めを待つ事となる
----
「くそっ、何でこうなるんだよ」
「MSの取引が出来ないんじゃあ、俺達の生活は苦しくなるばかりだ」
とあるところでは、ジャンク屋をしている者達は口々に不満を口にしていた
彼等としてはユニウスセブン落とし最大の激戦となった宙域、此処にあるジャンク。特に地球軍のMSストライクダガーのジャンクを狙っていた。戦争初期から中期にかけてはザフト製のMSの需要が高まり、地球軍も余裕がなかった事からジャンク回収について殊更問題になる事はなかった
ところが、地球軍が巻き返す様になるとザフト製MSの需要は少しずつだが確実に落ち込んでいった
特に主力商品(そもそも君達の商品ではない)だったジン。これの取引における相場が落ち込み始める
『既存の兵器より優秀』であるから、誰しもその力を求めたのだが詳しい事を知らない者達からすれば『航空機
誰しも、性能に疑問符のついたものより、最新でしかも実績のあるものの方が欲しくなると言うもの
そんな中で、ザフト製MSを圧倒した地球軍のMSに注目が集まる事は不思議ではない
特にストライクダガーは『ナチュラルでも扱えるOS』を搭載しているのだ
だが、ストライクダガーの損失は驚く程低い。勿論
しかし、そんなストライクダガーが多大な被害を受けた戦場が一つだけある
それがユニウスセブン落とし阻止における最大の戦場
ジェラード・ガルシアユーラシア連邦軍宇宙艦隊司令の決死の作戦により、ユーラシアの宇宙艦隊や同艦隊の稼動戦力はユニウスセブンの速度を減じる為にその身を散らせた
勿論原形を留めているものは少ないだろうが、それでも回収さえできればある程度
そう考え、ジャンク屋達の一部は動き出そうとしていた
だが、地球を救う為にその身すらも投げ出した勇者達
その墓を無遠慮に荒らそうとする連中を良しとする訳がなかった
大西洋連邦軍と東アジア共和国軍、そしてオーブ軍は協力してこの戦域の監視と彼等の遺品やパーツなどの回収を軍主導で行なう事とし、ジャンク屋に対しては一切の立ち入りを禁止した
当時、その通告がなされているにも関わらず、戦域に入りジャンクを漁ろうとしたあるジャンク屋がいた
それを発見した東アジア共和国軍は直ちにこの宙域からの離脱と臨検を受ける様に勧告。それに従わない場合、実力で排除するとした
「どうせ何も出来やしない」
そうたかを括っていた彼等であったが、東アジア共和国軍は従わぬと見て各艦砲撃を開始
「勇者達の眠る此処を荒らそうとする禿鷹共を許すな!」
との檄を受け、周辺宙域からも部隊を集め、確実に始末すべく動いたのであった
まさかそこまで強硬な行動に出るなど予想もしていなかったジャンク屋側は直ちにジャンク屋組合に対して、これを報告
地球軍側の無法を止める様に依頼しようとしたが、艦に直撃を受け全員死亡している
その事実こそ組合は伏せたものの、今までのそれと全く違う対応に当時リーアム達は危険なものを感じずにはいられなかった
地球軍はその宙域を『準戦闘宙域』と定めており、ジャンク屋の立ち入りを改めて禁止している事をジャンク屋組合に通告
これを無視した場合『不幸な事故』が起きる事もあり得ると合わせて伝えた
その後しばらくして弱気との批判からリーアムは代表の地位を追われて、現在の体制へと移行する事になった訳である
が、リーアムを追い落とした者達を待っていたのは交渉に応じようとしない連合加盟国の者達だった
世界規模で戦争の火種を消しているのに、それに逆行する様なジャンク屋組合の主張など飲める訳も無かったのだが
元々ジャンク屋組合の創設の経緯からして、元プラント理事国は不満であったのだ
コープランドは当初
彼等にも生活がある
としてジャンク屋組合の存続を是としたが、先の件を受けてジャンク屋達は世界の平和よりも、自身の利益を求める連中と認識を改めた
その頃から関係者や軍関係者からジャンク屋達は禿鷹、バルチャーと呼ばれる様になる
リーアムを追い落とした理由が『ジャンク屋達よりも連合の顔色を伺う者達に任せられない』と言うものであった事も大きい
そして『MS拡散防止に関わる条約』により、MSの取引が規制され(正確には規制されているわけではない。取引を行う場合、販売先について政府に報告する義務があるだけ)
、自分達の自由な活動が不当に禁止された
それが彼等にとって何よりも不満であったのだ
…しかし
「ヘリオポリスⅡはMSを購入するらしい」
との噂が彼等の中に広まる事となり、一部のジャンク屋は自分達の保有しているジンの売却を決めた
…その販売について、一切口を開く事なく
ロウはこの動きに対して組合に危険だと意見を言ったが、組合上層部はこれを黙殺。本部のあるギガフロートのマスドライバーの使用許可を密かに出した
これらの動きはヘリオポリスⅡにおけるジャンク屋入港の事実から各国政府や新旧ロゴスメンバー、宇宙再開発機構などにも伝わり、速やかな意識共有が行なわれる事となった
と言う訳で各勢力で爆弾のカウントダウンが始まりました
突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?
-
いる
-
いらん
-
それより本編でしょう?
-
ifstory補完しろよ