勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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伏線?回収回




 禁忌(パンドラの箱)

ジャンク屋組合本拠地ギガフロートに対する大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国。所謂『主要3カ国』の軍による攻撃

 

 

それはファウンデーション王国政府にも当然届いていた

 

これを受けて女王アウラはファウンデーションに対する攻撃が行なわれる可能性が大として、国防長官兼近衛師団長であるシュラ・サーペンタインに対し臨戦体制に移行する様に通達を行なう

 

 

 

 

宰相であるオルフェとしては、せめてあと数年の猶予が欲しいところではあったが、ジャンク屋組合に対する攻撃の名目が『MS拡散防止に関わる条約』の違反

 

ファウンデーション王国はその条約に批准した訳ではないものの、条約に批准していない事自体が『新たな戦争を呼び込みかねないもの』として見られる世論が出来つつあった

 

 

言うまでもないが、MSの獲得の為の各ルートについて慎重に慎重を旨としている。その為、MSの絶対数自体が不足している上に、どうにも一部のMSは試作品らしきOSや機構を採用している

その為ただでさえ時間がかかる作業が更に手間をかけられる事になってしまっていた

 

そして、肝心のMSも大半がジン(ザフトの旧式)であり、ごく少数M1アストレイがある程度

ファウンデーションが望むストライクダガーやロングダガー(地球軍のMS)はパーツすら殆どない

 

その為、新しく設計するMSの性能の基準が曖昧となり、これまたMS開発に支障をきたす事に繋がっている

 

 

一応大筋では『地球軍のMSに優越するスペックを持つMS』となっているが、肝心要の敵手のそれが判然としない

 

 

実際ファウンデーション王国開発部ではこの事が問題視されており、ただでさえ他国の目を気にせねばならぬが故、慎重にならざるを得ないMS開発が一本化されていない。などと言う笑えない事態が発生していた

 

如何に能力の高いアコードであろうとも、一からMSという精密機器の塊を作り上げ、その上既存のMSの性能を凌駕する

そんな事は不可能だった

 

 

それ故にこそ、世界中から優秀な人材を集めた訳であるのだが

問題があった

 

しかも、途轍もなく大きな

 

 

 

----

 

世界にはそれなりに国家が存在するものの、MSを本格的に運用しているのは

 

旧プラント、大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国、オーブ連合首長国、アフリカ統一機構

そこにアフリカ共同体と南アメリカ合衆国が入るくらいなもの

 

 

多いと思われるかも知れないが、MSの保有にすら厳格な制限を課された状況において、果たしてMS開発技術を持つ人物が注視されないだろうか?

…否

 

各国や各組織において、MS開発に関与した者達はその居場所などを明らかとせねばならないとして、各国の諜報機関などが監視体制を構築している

 

 

 

それでも、何とかMSの知識のある人物を集める事が出来たのだが

 

 

 

 

 

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「火力だ!敵を倒さねば意味がない!」

 

「その攻撃があたらねばどうしようもないだろうが!

機体の運動性こそ重視すべき」

 

「防御力のない兵器なんておもちゃ以下だろう?

堅牢な機体こそ必要ではないか?」

 

 

…とまぁファウンデーション王国開発部内において深刻な対立が発生してしまう

 

 

オルフェ達としては全ての能力において既存の機体を優越して欲しいと

思っていた

 

…事実、MS隊の指揮をとる予定であるリデラード・トラドールがその旨を伝えたのだが

 

 

「ならばその既存の機体を早く用意してくれ!

明確な基準や指標がないから、この様な無意味な話し合いをしなければならないのだぞ!」

 

と凄い剣幕で言われてしまい、流石の彼女も

 

「オ、オルフェ達に伝えておく」

と足早にその場を後にするしかなかったりする

 

 

 

その後、姉であるイングリット・トラドールの所へ行き

 

「アイツら怖い」

とこぼしていたそうな

 

 

 

世界中から集められた

そう言えば聞こえは良いが、方向性をまとめ切れる人物が不在のままプロジェクトはスタートしてしまったのが最大の過ちだろう

 

 

この辺は(人格はともかく)優秀なアウラを頂点とした確たる指揮系統を構築しているアコード達には少しばかり難しい話であった

 

 

そして何よりも

 

MSというものがまだ世界中で認知されている訳ではない為に、其々が思い描くイメージが余りにも遠かった

 

 

結局、ファウンデーション王国開発部の方針として

 

ジンよりも高い性能を持つ機体の開発

となってしまう

 

 

…無理もない。M1アストレイですら、機体こそあれど武装であるビームライフルの入手は出来ておらず、そのアストレイすらジャンクばかりだったのだから

 

となれば、機体として完全な状態のものの多いジンを指標にするのも無理のない話だった

 

 

 

 

----

 

 

そんな混迷を深めていたMS開発と無縁であった筈(・・・・・・・)のシュラ達親衛隊

 

 

しかし彼等もまた試練の時を迎えていた

 

 

「…バカな」

 

「そんな」

 

シュラやイングリットを始めとした親衛隊の者達は皆ショックを隠しきれない

 

…何故か?

 

 

 

彼等彼女達アコードとは『コーディネーターより優秀』であり、かつてギルバート・デュランダルが提唱した『ディスティニープラン』による社会において人類を導く立場の者として定義されている

 

…なのに

 

 

「…これが、ナチュラルだと?

何の冗談だ」

 

「…俺はナチュラルにも勝てないのか」

 

 

超えられないものがあると、絶望しているのだから

 

 

 

----

 

 

彼等彼女達の目の前に、とある装置がある

 

先の武力衝突の時にユーラシア連邦軍の一部において採用され、捕虜となったプラントのコーディネーター達の自信(プライド)を粉々に砕いたもの

 

 

…そう『コーディネーター矯正装置』こと『人外チャレンジ』と関係者を恐怖に陥れたシュミレーター

 

 

 

かの『空の魔王』『赤い悪魔』『黒い悪魔』や『白い死神』と言った旧世紀における大凡その存在自体がフィクションじみた

しかし、実際に存在した軍人達の駆け抜けた戦場を記録などから再現

 

「ナチュラルより優れているなら、出来るよなぁ?」

と安い挑発をされて入ったが最後。そのプライドはまるで落ちたガラス玉の様に粉々に砕け散る

 

 

という確たる実績と武功を持つある意味でユーラシア連邦軍最大最強の兵器との呼び声も高いもの

 

 

 

 

都市開発部に所属しているシェスター・リリーが余りにも親衛隊の者達の態度がアレだったので、親しくなったイングリットにそれとなくこの装置の話をしたのだ

 

 

リリーの人柄がある程度分かっていたイングリットだが、流石にそんな荒唐無稽な事はないだろうと、ついオルフェの前で口にしてしまう

 

ある意味ではプライドの塊とも言える彼の琴線に触れたのか、彼はそれを何とかファウンデーション王国に用意する事に成功

 

 

 

これはユーラシア連邦からの『素敵な贈り物』であり、あわよくばプラントのコーディネーターの捕虜達の様になれば良い

程度の考えで輸出している

 

 

 

その結果、死屍累々となったアコードの面々

 

 

 

特にシュラは一度オーブでナチュラル相手に不覚をとっている

その為、今回の件でその傷口が抉られるどころか傷口が広がってしまう

 

 

 

この惨状を見たアウラだが、信じられる訳もなく

彼女もまた地獄への道を開いてしまった

 

 

 

「なんじゃ、あれは

あれが旧世紀の人間?ナチュラルとでも言うのか?」

 

 

 

此処にファウンデーション王国の掲げていた理想が過去よりの刃によって砕かれる事となる

 

 

 

 

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