勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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久しぶりにこっちも書いてみる

原作剥離なんて気にしない、気にしない


 extra turn 底力

オルフェ・ラム・タオはかつて目の前の現実を前にして固まっていた

 

 

イングリット・トラドールはあまりの惨状に戸惑っていた

 

 

シュラ・サーペンタインは自身の力が及ばない状況に頭の中が真っ白になっていた

 

 

リデラード・トラドールは膝をつき慟哭している

 

 

 

彼等彼女達は今、窮地に立たされていた

 

 

 

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ファウンデーション王国において、アウラの父…いや義父の後継者を巡る政争において敵対派閥の者がアウラの素性が怪しい者であるとの話を国内に広めた

 

勿論、アウラは仮にも先帝の養女なので後継者として相応しい立場であったのだが、紆余曲折の末にアウラ達はファウンデーション王国から退去しなくてはならなくなった

 

勿論元とは言えメンデルの科学者であり、それなりの実績を持つアウラ。彼女の持つ資産はそれなりの額があったのだが、既にプラントと地球の対立は激化しつつあり、遂には武力衝突に発展していたのだ

 

 

 

「これでは安全な国などありはせん」

そう頭を抱えたアウラだったが、彼女は旧知の間柄であるギルバート・デュランダルが何故かオーブにいる事を知る

 

 

流石のアウラとて、オルフェ達と過ごすうちに多少なりとも情は湧いている

ならば、と

 

一縷の望みを持ってオーブへと向かったのだ

 

 

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「ディスティニープランを諦めた、とな?」

それは過去の彼を知るアウラからすれば驚きの事実だった

 

 

「今はラウやタリアにレイ

それに友人達もいる。不満に思う事などないのでね」

そう微笑みながら緑茶を飲むギルバート

 

「…言いたい事はあるが、まずひとつ言いたい」

 

「…何かな?」

 

「その恐ろしいものはなんじゃ!?しかもそれを平然と口にするでない!!」

 

 

アウラはギルバートの食べている物を指差してそう大声を上げたのだ

 

 

 

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「恐ろしい物?…ふむ、確かに最初こそ抵抗はあったが、食べ慣れてくると別に気になる事でもないのだが」

アウラの言葉にギルバートは視線を手元に落として苦笑いした

 

そのリアクションはかつて自分達もまた通った道であるのだから

 

ギルバートが今食べているのはタコとイカの刺身

友人であるラウが出かける前に調理してくれた物だ

 

隣の席でもタリアがのんびりTVを見ながらたこわさを摘んでいる

 

 

(ふむ、今日は日本酒を熱燗で飲むのもアリかも知れないな)

そう妻を見てデュランダルは思い、アウラに訊ねる

 

「…何か問題でもあるのかね?」

 

「問題しかないわ!何を言っておる!?」

アウラの絶叫が響き渡った

 

 

 

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アウラはオーブでホテルをとり、暫くの間滞在する事にした

プラントへ渡る事も考えたが、今のプラントはまとめ役であった最高評議会議長であるシーゲル・クラインやザフトへの影響力の高いパトリック・ザラの姿すらない

 

特にアウラとしてはシーゲルの行方が気になっていた

 

何せシーゲルの娘であるラクス・クラインは自分達の理想の為には何としても確保せねばならないものだったのだから

 

 

しかし、旧知の間柄であるデュランダルを訪ねてみれば、まさかの『ディスティニープランの全否定』

そしてオーブで自分達はのんびりと暮らす

などと宣う始末

 

かつて遺伝子研究をしていた男の姿はどこにも無く、日々のささやかな幸せを享受する男の姿がそこにある

 

 

 

 

「…まぁ良いわ。お前が腑抜けたなら、別にそれはそれで構わん」

その言葉には目の前の男への失望が見え隠れしていた

 

「そうか。それはそれで構わないのだが、あまり余計な事をこの国ではしない事を私はおすすめするとしよう」

 

「…なんじゃと?」

目の前の男の言葉にアウラは不快そうな表情を隠す事なく反応する

 

 

「断言しよう

アウラ・マハ・ハイバル。君の願いが叶う事は決してない、とね」

そうギルバートはタコの刺身をつまみながら断言したのだ

 

 

 

 

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場面をオルフェ達に戻そう

 

 

 

オーブで滞在するとなれば、それだけでもかなりの出費になる事をオルフェ達は理解していた

 

その為、アウラから幾らか資金を預かったイングリットを説得してオルフェは買い出しに出かける事にしたのである

 

その後色々あってダニエル・ハルパーがインターネットで安い店を調べた結果、この店を見つけ出したのだ

 

 

『もってけ、どろぼー』を

 

 

 

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オルフェ達としてはアウラはともかくとして、自分達にかかる食費はそこまでの物を求める必要はないと話し合った

 

最初は大型ショッピングモールで買い物をする事をオルフェは考えた。しかしいざ現地に向かってからグリフィン・アルバレストは

 

「…なぁ、此処の値段コンビニとあんまり変わらないぞ」

と指摘。その結果、オルフェ達は一度ホテルに戻り、ダニエルが見つけたのである

 

 

どうにも口コミを見る限り、ある程度動けた方が良いとあった

 

 

その為オルフェはイングリット、シュラにリデラードを連れて店へと向かったのである

 

 

ダニエルは外出自体を余り好まず、リュー・シェンチアンは少しばかり社交性に問題があり、グリフィンはそんな2人を見る為に残した

 

 

 

そして彼等は挑んだのだ

 

半額セールという名の戦場へと

 

 

 

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「くっ、動きが早い!」

オルフェは激戦区である惣菜コーナーにおいて、苦戦を強いられる

 

「思考が、読めないだと!?」

シュラは己の絶対的な能力が通じない事に戸惑いと動揺を隠せない

 

 

というのも、ここ惣菜コーナーは常連(歴戦の猛者)の中でも上位陣レベルの実力者が常に鎬を削る修羅の国

 

見てから動く

では遅いのだ

 

店員の動きや周囲の動きを予測して、その上で自身の動く道を考え、更にバッティングつまり他者と獲物が被った場合にはどう動くか?を常に考えて動いている者達のみが戦利品を得る事の出来る戦場

 

 

当然初見であるオルフェとシュラは店の配置すら理解していない

店員の動きとて分かるはずもなし

 

 

これがまだ青果コーナー(ファーストステップ)ならば或いは誰かが声をかけてくれたかも知れないが

この修羅の国に初見で挑む者、つまり身の程知らずに対して温情も慈悲もかけられる事はない

 

 

 

その結果、己の実力に絶対的な自信をもっていたオルフェと能力への信頼を持っていたシュラは何ひとつ得る事なく、店の外へと誘導されたのである

 

 

 

 

 

因みに容赦のなさについては製菓コーナーも大概であり、オーブの氏族の姫とも言えるロンド・ミナですらも最初の挑戦の時には何ひとつ得る事は叶わなかった

 

当然、イングリットやリデラードも果敢に挑んだが

 

 

 

 

 

「…邪魔よ!」

 

「はいはーい。それはアタシのえ・も・の」

 

「ウチの邪魔すんなや!」

 

「あらぁ、初めてかしら?

…ごめんなさいね?でも初心者にはすこーし早いのよ、此処に挑むには」

 

まるで激流に翻弄される木の葉の様に2人は思う様に動く事すら出来なかったのである

 

それでもリデラードは手を伸ばしたのだが、その手は虚しく空を切っただけ

 

 

 

 

 

その結果、4人とも冒頭の様に絶望するに至ったのである

 

 

 

 

 

 

 

なお、4人が絶望している近くをカズイ達が通り過ぎて行ったのだが、誰1人としてそれに気づく事はなかった(ラクス含むメンバー)

 

 

 

 

 

この日オルフェ達はナチュラルの底力を目の当たりにしたのである

 

突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?

  • いる
  • いらん
  • それより本編でしょう?
  • ifstory補完しろよ
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