勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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守る者の為に心を押し殺した者がいた
守る者の為に命すら投げ出した者がいた

守る為ならば、人はどこまでも強くあろうとする



新人類を謳う者達よ
古き人類の意地をみよ


 道連れ

リリーは内心呆れていた

 

 

自分達を優秀だ。やれコーディネーターなど自分達の足元にも及ばない

 

 

などと嘯いていた者達は誰も彼もが膝をつき、目の前の現実を受け入れようとしていない

 

 

(…気持ちは分かるけどね)

 

 

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彼女とてあの装置で自身を鍛え上げようとした事があった

 

が、どうしても超えられないのだ

 

 

無数の戦闘機の編隊

地を埋め尽くさんばかりの戦車や自走砲などの戦列にその上空を守っている戦闘機

此方は僅かな兵しかいないのに、それで相手の足止めどころか殲滅せねばならぬ状況

銃が主流のはずなのに、何故か楽器を演奏しながら時代錯誤も甚だしい大剣(クレイモア)(ロングボウ)で敵陣地を攻撃しようとする狂気

 

 

寧ろ

旧世紀の人間は本当に同じ人類なのか?

 

そうリリーは何度となく思ったものだ

 

 

 

超える事は結局出来なかったが、リリーは理解したのだ

 

 

世界には自分の想像を遥かに上回る様な事があるのだと

 

 

 

そして、その狂気に至らなかった自身では軍に入る事など出来ない

そう思い軍人になる道を諦めたのだ

 

 

 

 

 

 

一応補足しておくと、言うまでもなくそんな狂気の産物をクリア出来た者は誰1人としていない

ナチュラル、コーディネーター問わず。地球軍、ザフト問わず、だ

 

 

ただ、地球軍の士官の方が何とか少しでも結果を出してやろうと気勢を上げて幾度となく挑んではいるが

 

余談ではあるが、ナチュラル屈指のスーパーエースであるムウも挑んだ事があるが

 

 

「いくら俺が『不可能を可能にする』って言われてても、これは無理だろ」

と匙を投げている

 

 

他にも『月下の狂犬』モーガン・シュバリエや『乱れ桜』レナ•イメリアなども挑戦していたが

 

 

「寧ろこれが出来た奴がいたなら、全力で相手するのを遠慮させてもらう」

 

「此処までの実力差があると、いっそ笑えてしまいますね」

 

とそれぞれの感想を口にしていた

 

 

 

 

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そんな経験をしていた彼女からすれば、寧ろこの程度で折れてしまうアコードとやらの精神の脆弱性にいっそ憐れみすら感じた

 

 

何せあの四月危機(エイプリル・フール・クライシス)により世界中で発生した悲劇や惨劇による絶望や悲嘆はこの比ではないのだから

 

 

故に彼女は思った

 

 

コイツらはあの時の絶望を知らぬ者だと

 

 

 

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「…いい加減起きてもらえませんか?イングリット

私は言ったでしょう?生半可な覚悟でやるべき事ではない、と」

 

「…そうね

貴女の助言を無視してこの有様。ごめんなさい、リリー」

イングリットは友人の言葉になんとか気を持ち直すと、頭を下げる

 

 

イングリットはこのファウンデーション王国の中枢を担う新人類アコードの中では比較的マシな人物

 

…まぁリリーからすれば対して変わりはしないのだが、まだマシ程度には思っている

 

 

少なくとも、ギャンギャン喚くイングリットの妹や何やらリリーからすれば根拠のない自信を持つリューに情緒不安定と思われるダニエルよりは

 

 

 

 

オルフェやシュラは傍目マトモそうに見えなくもないが、人の汚いところも嫌と言うほど見てきた彼女には分かる

 

コイツらは自分達や女王以外にさしたる関心を持っていない、と

 

 

何やら国内とりわけ軍関係者からの評価の高いシュラ国防大臣であっても

 

 

「…自分が勝てるから騎士のふりをしているだけでしょ?」

と非常に冷めた思いしかない

 

 

そもそも、このファウンデーション王国は格差の酷い歪な国家である。確かにリリー自身も王宮付近の都市開発の担当部署に属しているが、優秀な人間には寛大であるが、優秀でない人間などこの国では権利も何もありはしない

 

では、その優秀か否か?の線引きを誰がするのかと言えば女王アウラではない

 

 

その下にいる宰相オルフェでも

親衛隊を纏めるシュラでもない

 

 

そもそも、人は自身の適性など分からないものだ

仮に分かったとしても、それが必ずしもその人物にとって良い仕事であるかなど分かるはずもなし

 

 

一応友人関係にあるイングリットが言うには『遺伝子を調べる事により

その人物の適職が分かる』との事

 

机上の空論

絵空事だ

 

 

それは人に対する扱いではない

もの(パーツ)に対する扱いではないか

 

 

仮に

もし仮にその様な事が罷り通ったとなれば、誰しもがコーディネーター(遺伝子を操作して生まれる事の出来る方)を選ぶ事だろう

 

 

誰だって少しでも有利な方へと向かいたいのだから

 

 

しかし、だ

リリーはこう口にしている

 

 

----

 

 

「仮に貴女達の言う社会ができたとして、その社会はいつまでも続かないと私は思うのだけど、イングリット。貴女はどう思うの?」

 

 

どうやら彼女達は先の武力衝突の際に自分達コーディネーターに突きつけられたものの意味が分かっていない様だった

 

『コーディネーターの出生率の低下』

この難題をどうにかしなければ、コーディネーターは何れいなくなるだろうし、彼女も含めて地球側に協力したコーディネーターはナチュラルへの回帰を望んでいる

 

 

それとも、支配者階級だけがアコードやコーディネーターでナチュラルはその下で働きアリとしてその生涯を終えろとでも言うつもりなのだろうか?

 

 

その問いをリリーは敢えてイングリットにぶつけてみた

 

 

彼女はそれに対する明確な答えを終ぞ出す事は出来なかったのである

 

 

 

 

----

 

 

 

女王親衛隊アコード達の醜態は瞬く間にファウンデーション王国内を駆け巡る事となる

 

 

何せ彼等彼女達はまだ若い

その能力は認めざるを得なくとも、その傲慢とも言える態度などに不満を持つ者は少なからずいた為である

 

加えてファウンデーション王国において何らかの仕事に就いている者の多くは『他国から誘いを受けて』ファウンデーション王国へときた者が多い

 

 

その優秀な(頭脳)をファウンデーション王国に貸してほしい(人間特有の自己解釈)

そう請われて自分達は此処へきた

 

にも関わらず、自分達を女王の側近だか何だか分からない者達は見下しているのだから、それは不愉快にならない方がおかしいだろう

 

 

そういったアウラやオルフェ達が思ってもみない所で王国は知らず知らずのうちに内部に敵を抱えていたのである

 

 

しかも、発展していると言うのに未だ浮浪者などの対策は取られてすらいないときた

 

 

 

(…予定とは異なるが、これはチャンスかも知れない)

 

そして、アウラ達は知らなかった

あのプラントにおいて暗躍していた復讐にその身を預けた者達の遺志を継ぐ者が王国にも潜んでいる事を

 

 

 

----

 

 

 

ファウンデーション王国に潜ませていた者からの連絡を受けたユーラシア連邦軍総司令部は速やかに政府へ『状況の開始』を求め、また政府もそれを了承した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「急げ!荷物を積み込むんだ!」

 

「滑走路の一時占有の許可を取ってこい!」

 

 

『オペレーション・バベル』の開始がユーラシア連邦政府により出されるや否やファウンデーション王国近隣国にてその翼を休めていたcrazy(空の悪魔)本来の目的(・・・・・)を果たさんと数年ぶりにその威容を世界に示さんとしていた

 

 

 

 

 

 

 

「各列車砲は速やかに所定の位置へ移動せよ!」

 

「62番、指定ポイントに到着!現在砲身展開中」

 

勿論、周辺国内に張り巡らせていた鉄道網により、列車砲が緊急展開される事となり、近くに偶然あった(・・・・・)弾薬を装填してその時を待つ

 

 

 

 

 

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その日世界を激震させる声明がアフリカ共同体から発表された

 

 

「…以上の事情より我が国はファウンデーション王国に対しMSの供与をしていた事をここに認め、地球連合による沙汰を待つ事とします」

 

そうアフリカ共同体の代表は地球連合総会の議場で発言したのだ

 

 

これは現在のアフリカ共同体首脳による最期の仕事

彼等は先の武力衝突においてザフトアフリカ方面軍を自国領土内に受け入れた事で戦後のアフリカ共同体の発言力は目に見えて低下していた

 

 

そこで、主要3カ国の首脳や軍司令部と協議の上不穏分子に対するMSの取引を行なう事でそれらの炙り出しと撹乱を担当

特にOSについては各軍の試験段階で廃案となったOSを実際に組み込んでそれを流すという確信的行為

 

 

一族、ジャンク屋組合が既にその立場や機能を喪失した以上、アフリカ共同体の

いや、アフリカ共同体現政権の役割は終わったと言える

 

 

…そう

ファウンデーション王国を

女王アウラとその側近たるアコード達を道連れとして彼等は舞台を降りるのだ

 

 

自分達は間違いなく政権を離れればマトモな最期は迎えられないだろう。それは誰もがわかっている

……だが、将来の禍根となり得るファウンデーション王国に対する攻撃の名分を用意した事で多少なりとも自分達の責任を追求している者達への風当たりは弱くなる

 

これはロゴスも交えた会議の中で決められた事

 

 

「…我等の汚名が拭いされなくとも、この国が存続するのであれば我等の勝ちなのだ」

そう現トップは不敵に笑った

 

 

 

 

当然ながら、総会は大騒ぎとなりアフリカ共同体に対して明確な証拠の提示を求める流れになるのはおかしな事ではない

 

そしてこの様な流れになる事は最初から想定されていた事なので、代表もその証拠を即座に提出

 

 

そこにはファウンデーション王国との違法取引(MS売買)の証拠がまとめられており、議場にいる各国代表誰1人として異議を唱えられなかった程のもの

 

こうなってくると流石に条約に批准していないファウンデーション王国とは言え問題にせざるを得ない

 

 

 

地球連合とは地球圏の平和と秩序を保つ事を至上命題としており、間違っても目の前にある重大事項から逃げる事など許されないのだから

 

 

 

こうして事務総長による異例とも言える『ファウンデーション王国代表の召還』或いは『ファウンデーション王国に対する査察』が提案され、満場一致で可決された

 

 

----

 

 

 

この決議の後にファウンデーション王国宰相オルフェ・ラオ・タムの元に事務総長からの使者が訪れ、どちらかの受け入れを要求された

 

勿論、ファウンデーション王国は条約について批准していない旨を伝えるも元より使者にはその様な権限などあろうはずもなく、使者は受け入れるか否か?のみを求める

 

 

オルフェは理解した

 

自分達は泳がされていたのだと

 

 

 

それはアコードとして人類を導く役割を課せられたオルフェにとって耐え難い屈辱であり、先の醜態と合わせて彼から冷静な判断力を奪うに充分なものとなる

 

が、彼とてファウンデーション王国の宰相だ

何とかして時間を稼ごうと苦心するが

 

 

「…失礼ながら何か思い違いをされておられるご様子

地球連合はあなた方ファウンデーション王国にある疑念さえ払拭出来ればそれで良いのですよ

お伺いしたい。何故(なにゆえ)時間を稼ごうとされるのかな?」

微笑を浮かべていたが、その目の奥底にはオルフェの真意を見抜こうとする鋭い光があった

 

「っ!」

そしてそれは、あの装置の中で散々見た覚悟を決めた兵士達のそれに似ていたのである

 

 

 

----

 

 

ファウンデーション王国は結局地球連合からの提案(要求)を拒否

徹底抗戦の構えを見せる事となる

 

 

これは女王であるアウラの意向が大きかったが、親衛隊を務めているアコード達としても良い様にされた事に対する不満があった

 

確かに王国のMS開発は遅々として進んでいない

しかし、それでもザフトのジンに優越する機体性能を持たせる事には成功していたのだ

 

 

 

…もっとも、王国は理解していなかった

 

 

元より相手は

 

MSによる(非効率極まる)戦闘などする気は微塵もなかった事を

 

 

 

 

 

 

 

 




と言う訳でファウンデーション王国攻撃の引き金はアフリカ共同体の現政権が自身の破滅と引き換えに引く事となりました


しかし彼等は全く後悔していません
自分達の命程度でアフリカ共同体の未来が守れるならば、それは安い取引だと

突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?

  • いる
  • いらん
  • それより本編でしょう?
  • ifstory補完しろよ
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