は終幕となります
皆様のこれまでの応援や感想、評価などに感謝を
では、どうぞ
ファウンデーション王国はその悪名を世界中に轟かせた
何せあれだけ血眼になってまで世界中のMSの保有を制限したり、その管理を厳重なものとしようとした。その流れに逆らうものであったのだから
常識的に考えたならば、それらを不法に所有しているだけでも目をつけられるのは自明であり、しかもそれが数機程度ではなくしかも自国内で開発、生産体制を整えていた
となれば、主要3カ国や連合がどの様な手段に打って出るか?など考えつきそうなもの
しかも直前にそれに対抗したジャンク屋組合が本拠地を焼かれているのだ
どの様な考えで真っ向から喧嘩を売る様なやり方をしたのか?
そう考える者は多い
加えて、彼の国においてアコードなるコーディネーターよりも優れた能力を持つとされる者がいたとされると
草ぁ!
優れた能力があるのに、どうしてそんな無謀な事をしようとしたんですか?
これにはコーディネーターのワイ激怒を通り越してかわいたわらいしか出ないわ
優れた能力(笑)…なお世界情勢や敵の実力を正確に理解出来なかった模様
それ、本当に優秀?基準おかしくなーい?
などと場末のインターネットの掲示板においてすら笑いものにされる始末であった
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ファウンデーション王国民については周辺国が已む無く引き取る事となったのだが、問題は女王アウラと彼女に従う国家中枢を担っていたアコード達
数年前までは唯の小国であったファウンデーション王国を曲がりなりにも脅威と見做されるまでに成長させたのは、間違いなく女王アウラ・マハ・ハイバルを頂点とした者達の実力によるもの
それだけの実力と実績のある者達を世に放つのは明らかにリスクしかない
そう各国首脳が思うのも無理のない話だろう
当然ながら、それを自国で引き受ける
などと言い出す国家はひとつとて存在しなかった
誰が好き好んで爆弾を抱えたがると言うのか?
それが各国首脳の偽らざる本音
女王体制下において虐げられてきた多くの国民は周辺国での生活により生きる権利は最低限保証されているから、従順
更に増えた国民に対する補償と、今回の戦争への協力の対価として主要3カ国から王国民を受け入れた国家に対して支援が行なわれる事となる。これにより受け入れ先で粗忽な扱いをされるリスクは大幅に低下。増加した国民による治安の低下は最小限に留まる事となった
がアウラ達はそう出来ない
下手な国に送って国家中枢を乗っ取られる可能性は決して低くないと判断された為である
何せ先帝時代の政治体制を一新し、自身の意のままに王国を作り直したという実績があるのだから
その為、東アジアの首相は
「私に心当たりがある
任せてもらえまいか?」
と発言した為、各国首脳は内心安堵し東アジアに任せる事となったのだ
「言葉の通りですよ。アウラ・マハ・ハイバル達を彼処へ連れて行き隔離するのは反対だ
そう言ったのです」
そしてアズラエルは東アジア首相の提案を一蹴したのである
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『何故だ?あそこは終わりを迎える者達の最後の揺籠ではなかったのか?』
東アジア首相の発議により、急遽『例のコロニー』について知る者達が招集され、臨時の会議が開催された
アズラエルからのまさかの反対を受けて、東アジア首相は疑問を口にする
とは言っても、東アジア首相はそこまで件のコロニーについて詳しくなかった
精々が
『戦争犯罪者達の流刑地』程度の認識であり、ならばこそ問題にならないと見ていたのだ
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東アジア共和国の前首相は立派な人物であった
ザフトによるカオシュンへの攻撃を受けて、速やかに住民の退避を指示。カオシュンにあったマスドライバーの重要性よりも住民の生命を優先できる判断が下せたのだ
更にユニウスセブンに対する核攻撃に対して自身の辞職を以て責任を取ろうとしたが、そうであるが故にこそ首相として相応しいと周囲に引き止められ続投している
功罪はあれど、現在では立派な人物として声望を集めている
その一方で現在の首相の評価は今ひとつ
何せ彼が後継者として名乗りを挙げたのは『武力衝突が終わり、国民からの支持も盤石』だと思ったからこそ
勿論、そんな事を首班になる前に口に出す事はしなかったが
そうであるが故に張はシャンバラの事を口にする事はなかったのである
が、彼とて一国のトップ
何とか情報をかき集めてある程度まで迫る事が出来た
それ故に彼はそれが致命的に間違っている事や、それが特大の地雷である事に気が付かなかった訳である
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『終わりを迎える者達の揺籠、か
ならばその者達を態々引っ掻き回す必要がない事位は理解できると思うのだが?』
現ロゴスの代表の言葉に首相は眉を顰める
これは今後の地球圏の未来を左右しかねない重大な案件
経済界の支援が必要だと思い同席自体は見逃したが、発言権などあろうはずも無い
そう思い
「口が過ぎるのではないか?
これは経済界の話では無い。高度な政治的判断を求められるものなのだが?」
『…口が過ぎるのは君の方だ
そもそも君の腹案とはあそこへと全員放り込むつもりだったのかね?
それならばそれなりの事をすべきではないのか?』
彼の言葉を先の大西洋大統領アーヴィングが責める
アーヴィングは先代のユーラシア連邦大統領や東アジアの先代、つまり彼を指名した人物のまとめ役として此処にいる
「くだらない言い合いは後にしてもらえませんか?
僕達も暇では無いんですよ?
それと首相閣下。僕とて理由がなく反対している訳じゃないんですよ」
『…理由とは?』
アズラエルが口論になりそうな空気を一蹴すると本題に入る
彼はそれに疑問を口にする事で議論を深めようとした
「ファウンデーション王国女王、アウラ・マハ・ハイバル
彼女はメンデルの関係者ですよ。ほぼ間違いなく」
アズラエルの言葉に全員が息を呑んだ
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コロニーメンデル
それは忌まわしきコーディネーターの歴史を語る上において
そしてある程度の地位にある者にとって
一種の
しかもそれをかつてコーディネーター排斥運動の旗手であったブルーコスモス盟主が口にしたのだ
どんな悍ましい事が出てくるのか東アジア首相である己にも想像出来ない
聞きたくない
余計なリスクをおかす理由がないのだから
だが自分から
その選択が取れるはずも無い
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「やれやれ
全く前任者に似ず軟弱ですねぇ」
『全くだ。こうなると更にコープランドを厳しく鍛えねばならんな』
『おおかたシャンバラに送りつけて終わらせるつもりだったのでしょうな
…疫病神が』
東アジア首相の顔色が明らかに悪くなったのを見て取ったアズラエルは助け舟を出し、彼はそのまま
勿論、決定した事に対して異議を唱えない事を確約させた上でだが
残ったロゴスのメンバーとアーヴィングにアズラエルは余りにも身勝手で不甲斐ない同盟相手の醜態に苛立ちを隠せなかった
…まぁ約1名程、その憤懣を自身の後継者にぶつけようとしているが
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『それで、アズラエル
本当なのか?』
「ええ。ご丁寧にオーブくんだりまで勧誘に来ていたそうですよ?
勿論、ロンド・ギナから連絡が直ぐに届きましたが」
『厄ネタですな
あの長閑な場所にその様な者を入れさせる訳にはいかんでしょう』
「勿論ですよ」
アズラエルや新旧ロゴスにアーヴィングやコープランドは世の中が落ち着き、あの頃の記憶が世界から風化した頃には彼等に近しい者だけでも会える体制を作るつもりなのだ
その為には世界の紛争などを根絶し、かつてのものとなる様にせねばならない
『しかしメンデルか』
『確か遺伝子研究をしていたと聞きましたが?』
「ええ。何でも最高のコーディネーターや遺伝子による社会秩序。更にコーディネーターをも超える実力をもつ新人類とやらにご執心だった様ですね」
アズラエルの憮然とした態度から繰り出された言葉に
『…なんとまぁ』
『愚か、としか言えんな
所詮研究者という狭い世界しか知らない世間知らずの世迷言だな』
2人は揃って呆れ、不快感を隠しきれなかった
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『そもそも、社会において能力の突出した1人
或いは数人でも構いませんが、いた所で何になりましょうか?』
ロゴスという経済と産業に深く関わる者はそう疑問を口にする
『正しい事だとしても、それを広く理解させねば意味がない
1人の、数名の影響力などたかが知れておりましょうに』
仮に
もし仮に組織のトップと親密な関係であったとしても、うまくいかない
暫くは上手くゆくだろう
…だが、人とは往々にして理屈よりも感情を優先させる不合理的な行動をとる生き物なのだ
組織が上手くいっているとしても
それが自分自身の功績でなければ、いつかは不満を持つだろう
そしてトップと昵懇の仲であろうとも
…いや、そうであるならば確実に引き摺り下ろそうとする
人の持つ負の側面が噴出する事だろう
仮に強権を以て抑えたとなれば、何れその反動が来る
それが人だと彼は知っているから
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『確かに個の集まりが集団であり、組織だ
だが、人付き合いから逃れる事は出来ん
上手く相手を説得させる
それらが出来ない者や組織は良い様に利用されて、捨てられるのが世の常なのだ
理屈だけでも
感情だけでも
我々人間は生きていけぬ。時に妥協し、時に話し合い
そうやって我々は
それすら分からない者が作る者が完璧であろうはずも無い』
完全
完璧
そんな言葉をアーヴィングは嫌悪する
そんな事は早々出来るものではないからだ
実際アーヴィングが生きてきた中でその様な言葉を使っている者を数えるのも馬鹿馬鹿しくなる位見てきた
仮にも大西洋連邦大統領であり、その前とて政治家だった
近づく者は多く、その多くは自分に何らかの価値を見出してそれを利用せんが為に
だが、往々にしてその様な人物は『己のみ』の立身出世や栄達を望む
故にアーヴィングの元に提示されるものは必ずと言ったら良い程に漏れや抜けと言った欠陥があった
それも当然であろう
仮に1人で全てを用意できたとしても、独りであるが故に盲点には気づく事が出来ないのだから
そして
完璧とか完全という者は総じてそれ以上のものが無いと思うが故に
そこで止まるのだ
ましてや
『他者を信じる事すら出来ぬから独りよがりな理想に拘るのだ
そんな偏った思想で出来たものが完全な訳があるまいに』
アーヴィングもファウンデーション王国についてある程度情報を得ているが、女王の親衛隊たる新人類アコードとやら
『人を繋ぐ事ひとつ出来ぬ者が新人類、か
アウラとやらはデータの上でしかものが判断出来ぬと見える』
人を信じる事も出来ずに組織を束ねる事叶わず
されど、盲目であるなかれ
それがアーヴィングの根底にある考えなのだから
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結局、この話し合いにおいてアウラとアコードの面々の調書から女王アウラ、宰相オルフェに国防長官シュラは暫く拘束する事が決定され、明らかに親しい友人の死に落ち込んでいるイングリットとその姉を心配するリデラード。つまりトラドール姉妹についてはまだ更生の余地があるとして
『人間クリニック』と一部から呼ばれているシャンバラへの移送が決定された
結果としてこの判断は最善とまではいかぬものの、最良ではある
アウラとオルフェの求めるものはシャンバラにこそあるのだから
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キラ・ヤマトがコロニーシャンバラの地を初めて踏む事となったのは、実に10年もの歳月が経過してからの事であった
既にキラも三十路を目前に控えており、友人であり会社の同僚であったケーニヒ夫妻は子宝を授かっていた
会社の上司、というか社長であったサイは昨年オーブ国民議会議員として当選を果たし、オーブの未来の為に働いている
カズイの両親にシンとマユの両親にも声をかけたのだが
「息子に会えば、連れ戻したくなるだろうからな
…ありがとう、ヤマトくん。息子には身体に気をつけて長生きして欲しいとつたえてくれるかい?」
「あの子達が決めた事です
…ただ、カズイには決して無理せず長生きして欲しい
そう伝えてくれないだろうか?」
とそれぞれ言伝を頼まれている
トールも行きたかったが、既に妻ミリアリアのお腹の中に第二子がいるので今回は辞退
サイも会って色々言いたいらしかったが、流石に現職議員が国外へ出るとなると嫌でも目につくの辞退した
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何もかも上手く行かないもどかしさに 焦る気持ちを抑えて
キラは少しずつ歩みを進める
青々と繁った畑の向こうに
はがゆさと苛立たしさに 心乱れ 抱え込んだ 膝小僧
彼がいる
守りたくて、守れなくて
悔しさをこらえて 涙に震えて 泣いた夜が明ける そう 確かに君のいう通りだよ 今なら 引き返せるけれども
傷つけて、離れ離れになってしまった
つまらない意地を張り続けてる 歩き始めた以上諦めない もう一度この手にチャンスを…
友人が
全てこの胸の中に しまっておこう 夢が叶うまで…
待っているのだから
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カズイはベットに伏せ、今日までの事を想う
此処まで我ながら無茶してきたと内心自嘲する
やるせない儚さに 身をゆだねるほど そんな危うい時代に
既に数年前から身体に異常が見られるようになっていた
無理もない。片肺を失ってもなお無茶をしてきた自覚はある
あがいても手の届かない 岸を目指し 無我夢中で泳いだ 流れに逆らう 声も上げられない 行き止まりの場所で
…でも確かに手に入ったものが
かけがえのないものが出来たのだ
愛する弟や妹。愛する異性
毎日バカをやって笑い合える友人達
そう 愛が全てを助けるとは 思わない だけど君の微笑み 心を癒すその唇に 立ち上がる勇気を もらうのさ
…そしてもう会えなくなった人達
もう一度 この手にチャンスを…
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カズイが伏せるようになって暫く経つわ
…分かっていた事なのよ
アイツは元々そこまで身体が強い訳ではなかった
何度も病院への入院をすすめたが、アイツは頑なにそれに同意しなかった
シンもマユも
カガリもラクスも
ニコルもユミナも
イングリットにリデラード
クロト、シャニ、オルガにスティング、アウルにステラが言ってもアイツは頷かない
ナタルと私が言ってもアイツは聞かない
川の流れは 今日も激しいけれど 君の手は離さない
でも私達はアイツに死んで欲しくないし、いつまでも生きていてほしい
いつも この胸の中の愛を信じていこう 夢が叶うまで
だから私達は
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キラは青々と生い茂った畑のあざ道を抜け、ログハウスへと近づいている
やはりその足取りは重い
そう 愛が全てを助けるとは思わない だけど君の微笑み 心を癒すその唇に 立ち上がる勇気をもらうさ
いつまで経っても自分は変わらないとキラは思う
彼の無事を知らされた時、キラはすぐに会いに行く事が出来なかった
そして彼が今既に病床の身である事を知らされて、ようやく此処にくる決心がついた
確かに君のいう通りだよ 今なら引き返せるけれども つまらない意地を張り続けてる 歩き始めた以上諦めない
思えば彼との付き合いは一年にも満たない短い間だった
でも、そんな短い時間の中でも
何かを紡ぐ事は出来たのだろうか?
もう一度この手に チャンスを…
扉を開ける
川の流れは 今日も激しいけれど 君の手は離さない
そこには見知った顔や知らない顔もある
そしてベッドの上に
いつも この胸の中の 愛を信じていよう
「よう、キラ」
やっと会えた友人がいた
「久しぶりだね、カズイ」
夢が叶うまで
引用
River 石井竜也
ガンダムSEED 第二期エンディング
という訳で何とか物語を書き切ることが出来ました
これも読んでくださった皆様のお陰です
伏してお礼申し上げます
恐らくではありますが、数多いガンダムSEEDの二次創作作品の中でも異色に過ぎるものかと
私自身の考えの至らなさや原作に対する理解の不足などでご不快に思われた方も多いかと猛省する次第
本作においてガンダムSEEDのメインとも言えるMSの活躍は殆どなかった様に今更ながらに感じております
更に一部キャラクターやナチュラルに対する贔屓とも取れる表現も多々あるとのご指摘もありました
それでも此処まで読んでくださった方々には感謝しかありません
本当にありがとうございました
突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?
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いる
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いらん
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それより本編でしょう?
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ifstory補完しろよ