かなり短いので悪しからず
「…いや、なんでこうなるんだよ?」
「何を愚痴っている、シン
カズイさんがまだ持ってくるんだからカートを用意すべきだろう?」
「だけどさ、レイ
おかしく無いか?」
「…何がだ?」
「…いや全部だけど」
俺とついこの前オーブに越してきたレイは噛み合う様で噛み合わない会話をしていた
…カートを持ったままで
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此処はオーブの本島であるヤラファスで一番大きいショッピングモール
…ではなく、その近くにあるこじんまりとしたスーパー
此処に来たのはレイの保護者であるギルバートさんとその恋人であるタリアさん。それに仮面をつけているクルーゼさんに俺の母親とマユ
そしてカズイだ
何でもギルバートさん達はプラントの在り方についていけなくなったらしく、コーディネーターに対する政策がそれなりに整っているオーブに移住する事にしたらしい
ギルバートさんやタリアさん、レイは分かるんだけど仮面を外せないクルーゼさんは控え目に言っても不審者だ
だけど、カズイはそんな事どうでも良いと言わんばかりに
「おや、プラントからですか?
このご時世ですし、もし宜しければ何か力になりますよ?」
とあっさり受け入れた
ギルバートさんとタリアさんにクルーゼさんはかなり驚いたみたいで
「いやそれはありがたいのだが」
「私達はプラントのコーディネーターなのだけど」
「私が言うのもなんだろうが、不審者に見えないのかね?」
と困惑している様子だったが
「つまらない事情を気にして、どうして生活できましょうかよ
困っている人が居れば一先ず声をかける
その後は相手次第。それだけでは?」
と全く取り合おうとしない
「まぁカズイだからな」
「カズイ君なら仕方ない」
と密かにご近所から言われているカズイクオリティというものだ
「…もしも其方のご予定が無ければ是非お願いしたい」
とギルバートさんは自分の半分くらいしか生きていないカズイに頭を下げた
タリアさんとクルーゼさんも深々と頭を下げる
「…何かプラントのコーディネーターって感じがしないね、お兄ちゃん」
「だよなぁ」
その様子を見たマユの言葉に俺も心底同意したんだ
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「あらそうなの?
なら私が車を出すから買い物に行きましょうか?」
とあっさりカズイからの話を聞いた母さんはギルバートさん達との買い物を了承した
「…オーブとはこういう国なのか?」
と俺やマユと話をさっきまでしていたレイは戸惑いを隠せないような顔で聞いてきた
というか、いつもの事だけどカズイは普通にギルバートさん達との話をしていたんだよな
曰く
「話しやすい」
との事らしい
…カズイって本当に俺達とそこまで歳が変わらないのか?
と真剣に悩む事になった
まぁ、今更だけどさ
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そして夕方までギルバートさん達の買い物に付き合った俺達は家に帰る事にした
俺とレイにギルバートさん達はこれで終わりだと思っていたんだ
でも19時を回ってからカズイが困惑するギルバートさん達を連れてウチに来た
困惑するギルバートさん達や俺を他所に
「…いきますか?」
「ええ、勿論よ?」
「楽しみだね、お母さんにカズイ兄さん」
と何やらカズイと母さんにマユは目に見えて意気を上げていた
「シン君
カズイ君と君のご家族は何をしようとしているのか、分かるかね」
と困惑した様な声でクルーゼさんが俺に声をかけてくるけど
「いや、実は俺にも分からないんです」
と正直に答えた
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そして俺達はカズイと母さんに促されるまま、日中行ったショッピングモールの近くにあるスーパーへと足を運んだ
「…多いな」
「ええ、凄い混み具合ね」
「しかも熱気が凄い
…何だこれは」
19時半の少し前にスーパーへと到着した俺達を待っていたのは明らかに多い客と真剣そうな表情を浮かべるスーパーの店員達
「とりあえず初めてだから見ているだけでいいかしらね?」
「流石にキツイでしょうよ?
あ、クルーゼさんは俺と
タリアさんはマユと
ギルバートさんはおばさんと一緒に来て下さいね?」
「…俺はどうすれば良い?」
仲間外れされた形となったレイは少し険しい声でカズイに問いかける
「シンと一緒に此処でカートを持って待機
…ああ、一応言っておくが」
カズイは一息入れて
「油断はするなよ」
と俺達に真剣な顔をして言った
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主婦や独身貴族にとっての大切なイベント
割引セール
このスーパーはそれによって近くにあるショッピングモールとの差別化を図り、未だに生き残っている古強者だ
店名も店長の剛毅さから
『もってけ、ドロボー』
というもの
このスーパーは近くにある商店街と連携をしており、八百屋などの売れ残りを量産価格で当日買い取り、それをこの時間までに調理。割引セールの商品として売り出している
その為、毎日決まったものが並ぶ事は殆どなくそれが客を飽きさせない要素にもなっているのだから中々のやり手であろう
青果はシン達の母親が
惣菜はカズイが
製菓はマユが
それぞれ担当し、各自与えられた予算の範囲で迅速にものを回収
それこそがアスカ家やバスカーク家の家計を支えるものとなっていたのである
今後はそこにギルバート達も加わるだろう
やはり何かあっては困るからある程度の蓄えは必要なのだからこその倹約である
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「これが、ナチュラルの力なのか!」(違います)
「勝てるかしら?」(無理です、まず鍛えましょう)
「…むぅ、これは難しいやもしれん」
「慣れですよ、慣れ」
「慣れ、か」
とカズイに諭されているクルーゼの姿があったとかなんとか
という訳でこの世界線だと、主婦や独身貴族達に混ざって半額セールに立ち向かうデュランダルやタリア、クルーゼの姿が見られる事でしょう
プラントの今後?
デュランダル「タリアとの結婚を認めない上にクルーゼも離れるなら別にどうでも良いな」
グラディス「この人がそう言うなら私はそれで良いと思っているわ
レイもシン君やカズイ君にマユちゃんとも仲良く出来そうだし」
クルーゼ「…既に朽ちかけた身体ではあるが、最期まで足掻いてやるとしよう
せめてレイが学校を卒業する姿くらいはみたいものだな」
レイ「ギルやみんながいるならどこでも構わない」
カズイ「何でこうなるねん」
本作のヒロインは?
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大天使ナタル
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妹系少女マユ
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フレイ
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猪突猛進娘カガリ
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キラ
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シン
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その他