勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

22 / 131
予定は未定
未来は不確定

そう誰かが言った

だがそれを『所詮ナチュラルの戯言』と聞き流した結果
彼等は積み上げてきたものを失う事になるのだろう


プラントのコーディネーターという種の存続すら危うくなる未来を彼等は選んだのだから


今年最後の更新
皆様良いお年を

自分は凍死しないように頑張るのでまた来年


 ZAFT phase 崩れ落ちるもの

「…今何と言った?」

ザフト特務隊隊長を務めるレイ・ユウキは部下からの報告を信じられなかった

いや、もしかしたら自分の聴覚に重大な障害が起きたのではないか?とすら思わず考えた程

 

だが、現実はいつだって非情だ

 

 

「…カーペンタリア基地からの連絡が途絶したと」

 

それはクルーゼ達がアークエンジェルと合流した第八艦隊に攻撃をかけるほんの少し前の出来事であった

 

 

 

----

 

オーストラリアにあるカーペンタリア基地

ザフト地上軍最大規模を誇る軍事拠点であり、補給が途絶えたと言っても、それはあくまでプラント本国に対するもの。そう大洋州は判断し、カーペンタリアへの物資の搬入は継続して続けられた

 

言うまでもなく、大西洋連邦らはこの事実を把握しておきながらも沈黙を保った

気を遣ったのではない

 

オーストラリア大陸の北の玄関口ともいえるカーペンタリアを更地(・・)へと変えてから彼等の言い分を聞くつもりなのだ

 

そして赤道連合の各地にある基地から離陸した東アジア所属の制空ならび準備爆撃隊

それに続くは大西洋連邦の誇る凶鳥(まがどり)96機。彼等は北から北東から

ユーラシア連邦の誇るcrazyは北からそれぞれカーペンタリアとそこに籠るザフトを地図上の存在に変えんと進軍した

 

元々カーペンタリアの潜水艦隊は地球各地に派遣されており、それらの部隊も東アジアの対潜哨戒機の餌食となっている

余りにも広大すぎる地球の海をカバーする事など彼等には到底出来るものではなかった

 

「これが地球に住む者の底力だ!

思い知れ!宇宙(そら)の化け物ども!!」

この攻撃隊に参加したとある人物の言葉である

 

 

そしてカーペンタリア基地は地図上のみの存在となったのだ

…実はこの戦闘において東アジア所属の多段式航空母艦(ユーラシア連邦製)やユーラシア連邦所属の氷山空母なるものが投入されており、前者は東アジアの航空隊を。後者は大西洋連邦やユーラシア連邦の部隊のそれぞれ補給地点として機能している

 

 

…だが、はっきり言えばザフトは見積りが甘いと言わざるを得ない

 

ザフト地上軍最大規模のカーペンタリアが陥落したのだ

 

 

 

 

 

 

…では何故他の拠点が無事であろうというのだろうか?

 

 

 

----

 

「く、くそっ!全然数が減らないぞ

ナチュラルどもは命が惜しくないのかよ!」

 

「喋っている暇があれば敵を倒せ!

このままではこのカオシュンが奴らの手に戻ってしまう!!」

ザフトにとっても、最早地球側にとっても見飽きた(・・・・)機体となってしまったジンを駆るザフトのパイロット達は全く怯む様子を見せる事なく接近してくるリニアガンタンクの群れに少数でありながら果敢に立ち向かっていた

 

「素晴らしい敢闘精神だな

が、残念ながらそれで勝てる時期は過ぎ去ったのだよ」

カオシュンを攻略せんとする東アジア共和国軍の司令官は冷たい笑みを浮かべると

 

「…頃合いか

例の部隊を出せ!」

とオペレーターに指示を飛ばした

 

 

「なんだ、あれは」

 

「で、でかい」

 

それは巨大な

そう巨大過ぎる爆撃機だった

 

東アジア共和国としても対潜戦においては世界一であると自負している

だが、それだけでは足りぬのだ

 

彼等東アジア共和国軍はユニウスセブンへの核攻撃を行なった事で今回の戦闘の引き金を引いてしまったのだから

それ故に彼等はこの戦いを終わらせる為の献身が必要なのだ

 

誰が見ても、東アジア共和国軍の活躍は、その存在に意味があったのだと明らかにする為に

 

 

そこで東アジア共和国軍は内陸の奥深くにて超重爆撃機といえるものを開発したのである

流石に生産数は多くないものの、それでも10機もの数を揃えたのは大国としての意地か

 

そしてその全てをカオシュンに投入したのである

既に別の箇所に新たなマスドライバーの建設を進めており、早ければ半年後には稼働できる見込みだ

…となれば遠慮は無用

 

 

「上空の部隊に打電しろ

『全てを焼き尽くせ』とな」

 

「はっ!」

 

「捕虜を取らぬと言うのなら、此方もそれ相応のやり方で応ずるまで

…さて、プラントの新人類とやらはこの地獄を生きて帰れるかな?」

 

司令の呟きの直後、カオシュンに至る橋が全て落とされカオシュンから逃れるルートには大量のリニアガンタンクが待機する事となる

 

 

ジンが倒しているのは無線制御で動いているだけのもの

待機しているものは無線制御で発砲ができるタイプだ。ザフトを1人たりとも逃すつもりは、ない

 

 

「詰み、だよ。プラント(・・・・)の諸君」

それから約半日後、カオシュンは奪還された

まぁマスドライバーも基地施設も何もかもない更地なので奪還したと言うのかどうかは些か以上に疑問ではあるのだが

 

 

----

 

そしてほぼ同時刻、旧ヨーロッパとアフリカ大陸を結ぶ地中海の入り口であるジブラルタルにおいてもザフトは苦境に立たされていた

 

ザフト最精鋭であるモラシム隊はインド洋にて、地球側の陽動作戦におびき寄せられている

バルドフェルド隊はアフリカ共同体が動かす事を拒んでいた

 

 

まぁ、そんな事をユーラシア連邦が考慮する必要性など微塵もないのだが

 

 

 

ジブラルタル攻略にはイベリア半島や旧フランス、イギリス、ドイツ、イタリアの各地域から抽出した航空部隊総勢2500が、後続としてベルギー、オランダから地中貫通弾を携えた爆撃隊200がそれぞれ向かい、外洋に逃げようものなら活躍の機会に恵まれない大西洋連邦海軍の猛攻を

地中海を逃れるならば、クレタ島を始めとした地中海にある島嶼に存在する空軍基地とギリシャにある海軍基地を拠点とするユーラシア連邦地中海艦隊を相手取らねばならなくなる

牽制役としてユーラシア連邦北海艦隊がジブラルタル付近に待機しており、バルカンシステムであっても命中さえすればジンとてタダではすまないだろう

 

 

…言うまでもないが、仮に迅速な撃破が叶わなければ周辺基地からの増援をも倒さねばならず、消耗戦となる可能性もある

 

守るにしても敵の数は膨大。退くとしても敵の勢力圏が殆ど

そして何よりも『彼等には逃げる手段がなかった』

 

空も

海も

陸も

 

その全てがザフトのものではないのだから

 

 

「…降伏勧告を出せ」

 

「!?閣下?」

ジブラルタル攻略作戦司令の言葉に参謀として付けられているユーラシア連邦軍のコーディネーターは驚きの声をあげる

 

「いけません!奴等は我々との約定など守るとも思えませぬ!

兵達の命を危険に晒すだけかと!」

 

「…であれば、『あの部隊』を動かすとしよう

不審な動きを見せれば、分かるな?」

 

「…はっ」

 

 

----

 

「降伏勧告、か」

 

「まだ我々は負けた訳ではありません!

たかだかナチュラルとナチュラルに尻尾を振ったコーディネーターの恥晒しなど我々の敵にならぬ!」

 

ジブラルタル基地司令を務める男は自分の部下達を見渡して内心ため息をついた

 

(我々プラントのコーディネーターの未来は終わったのかも知れん

この期に及んでいったい我々に何が出来るというのか)

最早満足な航空戦力も水中戦力もない。あるのはジンくらいだ

 

 

だが、ジブラルタルは大西洋を望む断崖絶壁付近に作られた軍事基地

無論立て籠もれば或いは時間くらいは稼げるだろうが

 

少しでも表に出たら最後、現在沿岸に待機しているユーラシア連邦艦隊により火達磨となるだろう事は明らかだ

 

 

(これが我々の求めた未来の果て、か)

どうにもならない状況にジブラルタル基地司令は暗澹たる気持ちに包まれた

 

 

----

 

「何故友軍の支援に向かえないのかね?」

 

『…勘違いしてもらっては困る。アンドリュー・バルドフェルド隊長。君達が此処北アフリカで自由に出来るのは君達の戦力が高いからだけではない』

 

バルドフェルドは副官であるマーチン・ダコスタに任せていたアフリカ共同体との交渉、つまりジブラルタル基地への救援についての話し合いを自らしていた

 

「それは理解出来なくもないがね、それでジブラルタル基地が落ちればどうにもなるまい?」

 

『それはプラントや君達ザフトの都合だ

それに、もし仮に増援を出したとして間に合うと思うのかね?』

 

「間に合わない。そう其方は考えていると?」

バルドフェルドは不快そうに聞くと

 

『寧ろ私は何故間に合うと思うのか?

その方が疑問だよ。仮にイベリア半島に向かうとなれば輸送手段が必要だと思うがあるのか?』

 

(やれやれ、どうやらボク達は隔離されていた間に相当状況から置いて行かれたらしい)

バルドフェルドは漸く理解がいった

 

 

 

----

 

「バカな!」

モラシムは自身の母艦であるクストーで怒りの声を上げた

 

「カーペンタリアが、陥落」

 

「まさか、そんな」

 

カーペンタリア基地という地上の要たる基地の陥落はそれこそプラントにいるユウキ達よりも地上で戦っているモラシム達の方が確認が早かった

 

「昨日までは通信も出来ていた

それが僅か1日、だと」

 

だがそれが納得に繋がるかと聞かれれば否、であろうが

 

 

こうなると脆いのが潜水艦というものである

補給が無くなれば、ただの鉄の棺桶と化してしまう

 

既にクストーに搭載されているのもモラシムのゾノと部下のグーン3機一小隊にディン2機のみ

合流予定の友軍艦は合流予定時刻を1時間過ぎた今でも姿を見せない

 

モラシムがどれだけ憤ろうとも、何も変わらないのだ

 

 

「このまま行けば帰る場所もなくなる、か」

 

----

 

モラシムは妻と子をユニウスセブンへの核攻撃で失った

故にこそ復讐のために戦っていたのだが、それだけで生き残れるほど地上は甘くなかった

 

故に彼は必死に己の感情を殺して、部下達の命を預かってきたのだ

 

「笑う他あるまいな

…これが我々の選んだ未来とは」

だが、流石のモラシムにとってもカーペンタリアが僅か1日も持たずに陥落(実際は消滅の様なもの)したとなれば肩を落とすしかなかったのである

 

 

その僅か半日後、カオシュンが奪還(こちらも消滅と同義に近い)された事を聞いたモラシムは俯き、肩を震わせたという

 

 

 




凶鳥、crazy
「やんのか、オラァ!!」

多段式空母
「ほらお前等帰ってこーい」

護衛戦闘機達
「わーい」

氷山空母
「ほれ、凶鳥とcrazyはこっちやぞ?」

ザフト
「やめろよ、いやマジで」

連合軍
「お前等がやった事だろ?
当然返ってくる。それだけさ」


というお話

 本作のヒロインは?

  • 大天使ナタル
  • 妹系少女マユ
  • フレイ
  • 猪突猛進娘カガリ
  • キラ
  • シン
  • その他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。