勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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あけましておめでとうございます

更新はかなり遅くなりますが、完結まで頑張りたいと思うので宜しければお付き合いくださいませ



それはそうとして、今年は本当に暖冬ですね
とはいえ寒いのは寒いので皆様体調にはお気をつけ下さい


 PLANT phase 困難な道

「カーペンタリアが陥落しただと?」 

 

「…間違いないのか、パトリック」

 

「間違いなかろう」

 

「なんという事だ」

臨時招集されたプラント最高評議会において最悪の事態が報告される事になった

 

ザフト地上軍最大の拠点カーペンタリア基地の陥落

というものである

何とも救えない事だが、カーペンタリア陥落のインパクトが強すぎてカオシュンとジブラルタルの事がプラント本国の連絡を受け取った者の頭の中から抜け落ちていたのである

 

いや

 

(流石に此処でカオシュンとジブラルタルの陥落まで話をしてはマズイ。それではナチュラル共に和を請うべきだとまたシーゲル達が言い出しかねん)

とパトリックは握りつぶしていたのだ

 

これには地球のコーディネーター達も

「新人類(笑)がこのザマとは恐れ入った」

 

「目の前の現実から逃げる様な軟弱な奴らが地球の連中を馬鹿にするとは」

と嘲笑する事だろう

 

プラントのコーディネーター達が良く口にする

『我々は過酷な環境の中生きている』

という文言

 

地球に住むコーディネーター達から言わせれば

 

「…はぁ?」

と言いたくなる程余りにも意味が分からない話である

 

 

 

確かにコロニーでの生活には不自由な事もあろう

だがそれは自分達と同じく『調整されたもの(耐えられるレベル)』であるのだ

 

しかし、地球環境はそうはいかない

地震、洪水、落雷、竜巻や台風など様々な事が日常生活の中に起こり得るもの

 

 

ザフト地上軍の殆どは知らないだろうが、カーペンタリアとて年に3回程サイクロンが発生し、湾内の海水を攪拌するとすら言われる場所なのだ

言ってしまえば、まだザフトのコーディネーター達は本当の意味で『地球環境の恐ろしさ』というものを知らない

 

そう地球に住んでいるコーディネーター達は思っている

 

「もうお前等は砂時計(鳥籠)の中から出てくるな!」

というのが彼等の偽りない純粋な気持ちだったりするのだからどうしようもない

 

 

そして

 

「今我等が使えるマスドライバーはあるのか?」

 

「…分からぬ。少なくともあとパナマとオーブにある事は突き止めているが」

 

「パナマはともかくとしてオーブは不味いのではないか?」

 

「そんな悠長な事を言っていられる場合ではない!」

と怒鳴り合いながらの議論と化していた

 

 

「…ザフトの方はどうなんだ?」

シーゲルの言葉に

 

「こうなればやむを得まい。クルーゼに命じて謹慎処分となった3名の処分を取り消してもらい、速やかに第八艦隊を殲滅させる」

 

「足つきはどうするのだ、パトリック」

パトリックの言葉にジェレミー・マクスウェルが反応する

 

「足つきは拿捕し、そのシステムを我等が解析

そうすれば宇宙と地球を行き来出来る手段を一つ手に入れる事が出来ると私は考える

…どうだ、ユーリ。技術解析は出来ると思うか?」

 

「出来なくはないと思う

…だが、パトリック。お前が思うほど楽な話ではないと思うがな」

 

「何がなのですか?

私には現実的な方法と思えましたが」

パトリックに話を振られたユーリ・アマルフィは技術者としての観点から答えたが、それにエザリア・ジュールが怪訝そうな顔をする

 

「技術的には可能やも知れん

…が、先程の国防委員長の話ぶりから察するに足つきに準じる様な艦を作るのだろう?

それは今のプラントの状況下で出来るのか?

私はそう聞きたいのだ」

 

「…それは確かに」

 

「市民感情を考えるならば到底出来ん、か」

ユーリの発言に中立の人間や穏健派の者からため息が漏れる

 

「今は耐えるべき

そういえば良いのではないか?」

 

「そう簡単に言うな、エルスマン

ただでさえ先の騒動でプラントは揺らいでいるのだろう。その上今回のカーペンタリアが落ちたとなればどれだけの死者が出たか考えた事はあるか?」

 

「…失言だった。すまんアマルフィ」

ダッド・エルスマンも無責任ともとれる発言を咎めるユーリ

 

 

 

そして会議の時間は進めど何一つとして決まることはない

 

結果決まったのが『クルーゼ隊のアスラン・ザラ、イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマンの戦線復帰と乗機への搭乗要請』だけだった

 

 

 

 

 

 

----

 

「呆れ返ってものも言えんな、これは」

 

「いったい何を考えているのでしょうか評議会は」

クルーゼはあと数時間で第八艦隊と接敵する。こんなタイミングで届けられたプラントからの『要請』の内容に半ば投げやりな言い方をした

 

無理もあるまい。隊内の事にまで一々口を挟まれるのであれば、何の為の隊長であるというのか?

 

「まぁ、そうしろと言うならするがな」

 

「…ではゼルマンにも伝えておきます」

 

 

 

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「出ろ。イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン」

 

「はっ、俺たち抜きじゃあ足つきは落とせないって事かよ」

 

「随分と振り回してくれるよな、ホント」

 

「お前達に特に言うことはない

但し一点だけ守れ

『足つきは鹵獲』

…以上だ」

 

「はっ?」

 

「おいおい、何だよそれは」

 

「…聞こえなかったのか?

聞こえたなら直ぐに出る準備をしろ。敵は待ってはくれんぞ」

 

イザークとディアッカの方を向く事なくゼルマンはそう言い残し、艦橋へと戻って行った

 

 

----

 

『ヒュウ、雁首並べて良くもまぁ』

 

『ふん、どれだけいたところで大した事はない!』

 

「っ!」

通信越しに聞こえてくる仲間の会話にアスランは出撃前にアデス艦長から聞いた事を思い返し、唇を噛んだ

 

 

----

 

「アスラン・ザラ

我々は正直に言ってお前達に期待し過ぎていた(・・・・・・・・)と思っている

故に今後は心配しなくとも良い

…意味は分かるな?」

 

「そ、それはっ!」

 

「足つきや新型を落とせなかった事を責めているわけではない

君達の軍務に向き合う姿勢。それが私や隊長、ゼルマンにとって期待すべきではないものと映った

それだけだ。それとこの任務が終わり次第、君達には別任務が与えられるそうだ

…これは忠告だがな、アスラン・ザラ

戦場の何たるかもろくに知らぬ子供が余り大きな口を叩くな碌なことにならんぞ」

 

「…はい、申し訳ありません」

 

「…その言葉をもう少し早くに聞きたかったものだ

いや、今のプラント本国を見れば君達がそうなるのも無理はないかも知れないが」

アスランの言葉にアデスは深くため息をつくと

 

「死ぬなよアスラン

たとえどの様な明日であろうとも、生きていなければそれは訪れないのだからな」

 

アデスの言葉にアスランは力強く頷いた

 

 

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『メネラオスコントロールより各艦へ

ハルバートンだ。これより我が第八艦隊はアークエンジェルの地球降下援護の為の防衛戦を開始する

かの艦と新型機はザフトとの戦争に勝利する為に必要なものであり、何があろうとも明日の為に守らねばならんものである

…陣形を立て直せ、我らの後ろに決して敵を通すな!

地球軍の意地を見せてやれ!!』

 

とハルバートンの檄が第八艦隊全艦艇とその機動部隊に飛ぶ

 

 

進行して来るのはクルーゼ隊とそれ以外にもローラシア級4隻

動員されるであろうMSは20を超えるだろう

対して第八艦隊の主力はメビウス

 

ザフトからすれば負けるはずのない戦いだった

 

 

だが

 

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『ジンだと!?ナチュラル如きが生意気なっ!』

 

『そうかい。じゃあお前が死ねや

赤いカラーリングで統一された地球軍のジン。唯一違うのは指揮官機と思われる白いジンのみ

 

ザフトのジンのパイロットは辿々しい動きをしているジンに狙いを定め、近接戦で一気に仕留めようと重斬刀を抜き敵のジンに迫った

だが不用意な接近をしたザフトのジンは相手が滑らかな動きで取り出した重突撃銃の連射により、コクピットを撃ち抜かれると爆発四散する

 

『他人を見下せるほど俺達コーディネーターもそこまで優秀でもないだろうが、バカが』

そう赤いジンのパイロットは吐き捨てると次の獲物を求めて動き出した

 

 

 

----

 

「ちっ、手間をかけさせる!」

 

『この声は子供か?

…どうやらプラントも終わりが近いとみえる』

イザークは赤いジンの中の一機と交戦していたが、全く突破出来ない事に苛立ちを隠さないでいた

相手のパイロットの声からはイザークと異なり余裕すら感じられ、それがまたイザークを苛立たせる

 

「終わりだと!?」

 

『終わりだよ、ガキ

残念だな。何も知らない子供なら助かる道もあっただろうが、…その機体はヘリオポリスで強奪した機体だな?

その事実だけで助かる道は無くなった訳だ』

どこまでも冷たい声がイザークを責める

 

「ナチュラルどもに従った腰抜けが!」

 

『腰抜けはどっちだよ?

そう思うんなら、ジンで戦えば良いだろうが

結局お前も格下を殺す事は出来ても、自分が死ぬリスクは犯さないタチなんだろうが

…あとな、クソガキ?

高度を落としすぎなんだよ、バーカ』

イザークの相手はそう笑うと、味方機から出されたワイヤーで離脱していく

 

「っ!

ちっ、高度を下げすぎたか!」

 

----

 

「ジュール機、離脱可能高度を超過!

ダメです離脱不可能っ!」

 

「敵に完全に弄ばれた事すら理解できなかったか

一応スペック的には大気圏を突破出来るのだな?」

 

「その様です

…しかしもうダメですな」

 

「我々の負けだ

素直にそれを認めねばならんよ」

クルーゼとアデスはヴェサリウスから戦場を把握していたが、ザフト側の被害はひどいものだった

 

投入したジン25のうち帰還機はたった6

イザークとデュエルは敵のジンにより大気圏離脱高度を割ってしまい、そのまま大気圏突破をせねばならず、アスランのイージスとディアッカのバスターを慌てて大気圏突入用のポッドで降下させていた

 

更に度し難い事に接近し過ぎた友軍のローラシア級は2隻メビウスと敵のドレイク、ネルソンによる集中砲火により撃沈

残り2隻のローラシアだが、片方は控え目に言っても中破

 

これでは放棄するほかにないだろう

 

 

それに対してあちらに与えた損害と言えばメビウスが10にドレイクが2隻

それだけだ

 

さしものクルーゼであっても、これは負けを認めるしかないレベルの大敗であろう

 

ディアッカのバスターはひたすら『試作ビームダガー』装備のジン二機に追い回されたせいで何も出来ず

 

アスランのイージスは『白いジン』に抑え込まれ、フリーとなってしまったストライクとメビウスゼロによりジンは蹴散らされた

 

 

 

 

「短い夢だったか」

 

「…そうですな」

クルーゼの呟きにアデスは同意した

 

 

「…離脱する」

クルーゼ隊は離脱していく、それに追従する各部に損傷が見られるローラシア

 

 

それを黙って見逃す第八艦隊

 

誰の目にも勝敗は明らかであった

 

 

----

 

 

星の加護

我らの正義

 

強い言葉で己を奮い立たそうとしても、無慈悲な現実が全てを押し潰す

 

 

それは今までの行為に対する対価なのか?

目を逸らしていたものが牙を剥く

 

次回

 

『理想と現実』

 

 




(速報)ザフト敗北(今更)

どうにも戦争の恐ろしさや現実を知らない子供達がいるみたいなので、激戦地に叩き込みます


しっかり学んでいってね!

なお、フェイズシフト装甲程度(・・)地上では御守りくらいの価値しかない模様

 本作のヒロインは?

  • 大天使ナタル
  • 妹系少女マユ
  • フレイ
  • 猪突猛進娘カガリ
  • キラ
  • シン
  • その他
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