勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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平和なアークエンジェル

地獄のザフト


やる気に満ちたユーラシア連邦軍


生き残りをかけた戦いが始まる


 想いの先に

「…カズイ」

 

「…心底呆れたもんだ

何を考えて2人を焚き付けたのやら

なぁ?サイ・アーガイル」

俺はどうしても目の前の奴が許せない

 

カズイ・バスカーク

カレッジやカトウゼミでは碌な事をしなかった癖に、此処アークエンジェルではいつも中心にいる奴

 

そして、俺からフレイ(婚約者)を奪った憎い奴だ

 

「別に俺としてはお前がどうしようと知った事ではない

…だが、な?

お前のつまらない考えのせいでトールやミリアリアが死んだらどうするつもりだ?」

カズイは心底俺を軽蔑した様な目で見てくる

 

「…死ぬなんて」

 

「あり得ないと思ったか?

お前やトール達を艦橋クルーにしない理由が理解出来てないと見える」

俺の言葉にカズイは呆れた様に言ってくる

 

「アーガイル、お前が死のうが俺はさして気にするつもりはない

お前は以前俺の言った事を聞いた上でこの道を選んだんだからな。…だがもしトールやミリアリアが死んだとすればお前を俺は必ず殺す

許す許さないはあの時に終わったからな」

 

「…お前は怖くないのかよ

コーディネーターは俺達よりもずっと優秀なんだぞ」

 

「知った事か

俺達だって優秀だったり傲慢だったりする奴はいる

そもそも、コーディネーターだのナチュラルだのと一括りにする事自体が余りにも傲慢な考え方と思わないのか?

…ま、言ったところで無駄だろうがな」

カズイはそう言うと扉の方に向かう

 

「まだ話は終わってない!」

俺の言葉に

 

「お気楽なもんだな

今此処がどこかわかってるのか?

此処は北アフリカ、ザフト支援国家の一つアフリカ共同体だぞ?

軍に入ったんだ。なら自分に与えられた責務は果たせ。サイ・アーガイル二等兵」

カズイは振り返る事なく出て行った

 

 

----

 

『こちらユーラシア連邦軍マルタ基地所属航空隊

名高い大天使のエスコートとは光栄だ。よろしくお願いする』

 

「此方大西洋連邦軍アークエンジェル

マルタの勇者達の護衛に感謝したい」

どうやら私達は地中海をユーラシア連邦領に抜けてから暫くユーラシア連邦領を通って赤道連合経由でオーブに向かう事になるそうだ

 

どうやら宇宙とは異なり、地上ではザフトは相当苦しいらしい

先程すれ違ったユーラシア連邦軍の大型爆撃機?は20機以上の大編隊だった

 

 

曰く

『プラントご自慢のMSとやらもイチコロ』らしい

宇宙から此方に合流してきたキャリー少尉が言うには

 

『アレに対抗するにはディンは不可欠でしょう

…ですが、ディンは真っ先に始末される上に近頃では対空戦仕様の機体も出てきているそうです

勝てないでしょうね、ザフトは』

との事

 

 

因みにユーラシア連邦軍は超重戦車なるものを復活させたとの情報もあり、これはザフトのジンの突撃銃やバズーカすら装甲で止めるとか

 

その代わりあまり速度は出ないそうだが

 

 

聞けばザフト最大拠点であったカーペンタリアは更地となり、カオシュン、ジブラルタルもザフトの手からこぼれ落ちたそうだ

大西洋連邦のパナマ、オーブのカグヤが現在地球にあるマスドライバーだそうだが、再来月にはユーラシア。半年後には東アジアがそれぞれマスドライバーの整備が完了するとの事

そうなれば幾らプラントが必死になろうとももう手遅れと言ったところだろう

 

今回アークエンジェルに合流した『キャリー隊』

隊長のジャン・キャリー少尉

 

開戦直前までプラントにいたそうだが、余りにも戦争に対して肯定的な雰囲気に耐えかねて地球へ渡った人物だ

彼は地球でザフトの、プラントの行なったオペレーション・ウロボロスによる被害の凄惨さを目の当たりにし、結果大西洋連邦軍に志願したそうだ。工学博士であった事から、当初はMSジンの解析、研究部署に回されていたそうだがグリマルディにおける敗戦を受けて鹵獲されたジンに搭乗し、地上各地でザフトとの戦闘に明け暮れたそうだ

 

彼の部下も元ザフトの投降兵やカズイの様にオーブの人間。ユーラシアや東アジア、赤道連合にアフリカ統一戦線といった出身国も異なる者ばかり

 

 

だが、共通するのはザフトを地球から追い出し、やがて砂時計全てを叩き割るべき

というブルーコスモス過激派よりも余程過激な主張を持っている事だろう

 

だが、彼等はザフトのコーディネーターの様に命令違反を犯す事はないと聞いている

 

 

階級的にはヤマト少尉やカズイの方が高い事や

 

…あれは本当に現実に起きたものだったのか?と疑いたくなる様な事があった為に、彼等が独断で動く事は先ずあり得ないだろう

 

 

----

 

アークエンジェルにキャリー隊が合流して、アフリカに降下して直ぐの事だった

 

 

彼等にとって理想といえる(!?)カズイとの初顔合わせが行われたのだが、その時のレクリエーションで模擬戦が行われる事になった

 

 

 

「うおおおっっっ!?」

 

「はい、どーん」

大の大人、しかもコーディネーターが宙を舞い

 

 

「なんでかねぇ」

 

「いて、いでででで!」

 

「…降参します?」

 

「降参だ、なんだこりゃ。全然抜けられんぞ」

組み伏せられて関節をきめられ

 

 

「此方から仕掛けないと思った?

んな訳ねぇでしょうが!」

 

「お、おわっ!?」

初めてカズイが相手に対して攻めかかったり

 

 

「…ふぅ、手強かった

流石は元とはいえザフトの人間か」

 

「……」

明らかに女性である私から見ても危険部位に対する攻撃をしたりと彼等相手にカズイは劣る事はなかった

 

 

「こちとらヘリオポリスに来るまで毎日弟から指導を受けていた身ですよ?

そうそう負けられますかっての

…あ、何ならフラガ少佐、リベンジします?」

 

「いやいや、やめとくぜ」

 

「…キラ、カモーン」

 

「カズイ。僕は君から教わった事があるんだ」

 

「?なんぞ?」

 

「勝てない勝負はしない方が良いって」

 

「…ぷっ、マジかよお前」

 

「カズイに勝てるイメージがないからね、仕方ないんだ」

 

「少尉も彼と模擬戦を?」

 

「はい。勝てませんでしたけど」

 

あの時、キャリー隊の者達はカズイに対する見方をある意味定めたのかも知れないとは思う

 

 

 

なお

 

「きゃあああっっ!!」

 

「いちいち喧しい悲鳴上げるな!

どうした!?ゲリラ活動しておいて、全く近接格闘が出来てないとか普通ありえんだろうが!」

 

「う、くっ」

 

「相手を殺す、傷付けるというならば!

自分もまた殺されたり傷つけられる事を覚悟するのが当たり前だろうが!!

何が『虎は卑怯者』だ!市民に紛れてレジスタンスという名のテロ行為をしていたお前らの方が余程卑怯だという事を理解しろ!」

 

「く、くそっ」

 

「口だけの人間に誰がついてくるかよ!

ウズミ・ナラに一丁前に反発するってなら、地に足のついたやり方がどうして出来ない!

甘えんな!!お前の行動一つでオーブが戦火に包まれる事だってあるんだぞ!」

 

「…くそ、くそっ」

保護した少女、どうやらオーブのウズミ・ナラ・アスハの娘カガリ・ユラ・アスハに対しては苛烈ともいえる特訓を課しているカズイは控え目に言って私達が士官学校で『鬼教官』と呼んでいた人物に何処か似ている様にも思えたものだ

 

----

 

「アスハの娘についての処遇を任せる、と?」

 

『そうなりますな。そもそも紛争地帯に護衛を連れて資金援助や実際に現地のザフトと交戦しているとなると国際法に抵触している可能性は非常に高いですからな

その辺の処遇については保護してもらった大西洋連邦軍に任せる他ないかと』

 

「…殺すかも知れませんよ?」

オーブの外交官と艦橋で通信をしていたカズイは相手の身勝手とも言える物言いに、そう発言した

 

「此方は平穏な暮らしを理不尽な理由で奪われた

それを目にしておきながら、本土に戻って何をするでもなくアフリカで戦争ごっこする様な思慮の足りない、自覚もない人間に加減をしたいとは思えませんよ

どうせ紛争地帯にいる時点で死んだ様なものでしょう?」

 

『…』

 

「どうにもオーブ本土の人間、特にあなた方の様に政治を動かしておられる方々は見ている場所が違う様に思えますが?

明日を、未来を語るのは結構かと思います

ですがそれは今日を、今を積み重ねた結果届くものではないのでしょうか?今を疎かにして、より良い明日が掴めるとは私には到底思えぬのです

…あと、ウズミ・ナラには是非お伝え下さい」

 

『何と伝えますかな?』

 

「アンタは本来実権を持たぬ、持ってはならない『前代表』だ。それでも何かしたいと言うなら、キチンと議会なりを通した上で発言権を得てもらいたいものだ、と

オーブはアンタのおもちゃでも、私兵組織でもないと」

 

『必ず伝えましょう』

 

 

 

----

 

「どうやらオーブは終わるかもしれんなぁ」

通信を終えた後、カズイはそう苦笑いして呟いた

 

「終わるってアンタ軽いわね」

 

「国民を見ない顧みない国家なんぞあったとしても碌なもんにならんだろうよ、フレイ」

 

「…そりゃそうかも知れないわね

ならどうするのよ、アンタは?」

 

「とりあえずおじさん達を助けてシンとマユを助けるかねぇ」

 

「そこですぐ逃げるって言わないのがアンタらしいわね」

 

「逃げてもいつかは立ち向かわにゃならんからね

壁は低いうちに乗り越えないと後になったら大きく見えるもんさ」

 

「…まぁアンタの好きにやれば良いと思うわ

ダメなら私がアンタの家族ごと養ったあげるから」

 

「ヒモになるつもりはないんだがなぁ」

 

「ならいっそ政治家にでもなってみる?アンタなら多分普通にやれると思うけど」

 

「狐と狸の化かし合いに関わりたいとは思わんわ

とりあえず生き残る為に努力するかね」

 

「…ふふ、頑張んなさいよ

男の子」

フレイは笑ってカズイの肩を軽く叩いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-----

 

 

「これがプラント理事国の本気だとでも言うのか!?」

 

ザフトの此処の守備を任されている人物は目の前にある光景が俄かに信じられなかった

…確かにこの拠点にそこまでの戦力を割いているわけではない

 

だがそれでも、ジンを10機にザウートも3機は配備している

 

 

だが、遠くに見える敵艦隊は艦上から回りながら飛んでくる飛翔体が数えるのも馬鹿らしくなる程此方に向かってくる

 

岸壁付近にいるジンは飛翔体に向けて突撃銃を放っているが、それは虚しく空を切るだけ

 

 

そして

 

ドゴーン!

 

「っ!何事だ!!」

 

「飛翔体が着弾した箇所で爆発が起きています!」

 

「何が起きているのだ、いったい」

 

 

敵は全く近づいてくる様子はない

なのに此方に対する攻撃の手を緩める事はない

 

「なにを、考えているのだ。ナチュラルどもは」

 

男の困惑した声が虚しく響いた

 

 

 

----

 

「さて、彼等が根を上げるまで丹念に拠点を潰して回るとするか」

 

「…閣下、まだ全面攻勢はされぬので?」

 

「慌ててはならんよ。既に勝負は決しているのだ

それから目を逸らそうとしている連中にもそれを分からせる必要があるのだよ

キチンと現実を直視させねば、いずれまた同じ事が起こるだろう

それでは何の為の戦争なのか分かるまい?」

 

「…はっ」

 

「彼等には思い知ってもらう必要がある

最早彼等は敵を追いかけ回す捕食者ではない

捕食者達から必死になって逃げ回る哀れな子羊だという事をな?」

 

「必要ならば、どれだけコストをかけても良い

…だが、それに見合ったものが得られぬと言うのならばそれはすべきではない」

 

地中海に進出したユーラシア連邦軍北海艦隊はユーラシア連邦軍地中海艦隊と合流

 

彼等は念の為にマルタ航空基地と連携し、ありとあらゆる障害を排除する役割を担っている

既に東アジア共和国から各国に対して『海鳥』と呼ばれている『対潜の魔王』がライセンス生産され、ユーラシア各方面艦隊に配備されている。勿論北海艦隊や地中海艦隊も例外ではない

 

氷山空母三番艦は補給基地としての機能を

多段式空母はその収容力の高さを使い、ユーラシア連邦軍各航空基地から来た爆撃隊の中継基地として機能する

 

数少ない砲火力に特化した艦艇群は動く事の出来ない地上の軍事施設に対する対地砲撃を敢行

イージス艦は空母部隊の護衛と、周辺海域に出没が予想されているザフト水中MSの襲撃に備えていた

 

 

艦隊後方にいた輸送艦群からは『自走回転式地雷(パンジャン・ドラムC.E仕様)』がひたすらザフト基地に向けて投射される

正に旧世紀より伝わる『圧倒的物量による制圧戦』が展開されていた

 

 

 

----

 

「隊長!」

 

「…その様子だと間に合わなかったみたいだね、ダコスタ君」

 

「はい、北アフリカ沿岸の我が軍の基地に対して地球軍による一斉攻撃が始まりました」

 

「そうは言っても全く気が乗らなかったみたいだけど、アンディ?」

 

「そりゃそうだろう?

確かに生き延びるのは大事だがね、人質をとってまでとは言いたくないもんだよアイシャ」

 

「…でも少し前に宇宙から降りてきたあの子達どうするのかしらね?」

 

「さてね。僕としては潔さも必要だと思うんだがねぇ」

バルドフェルド隊隊長アンドリュー・バルドフェルドは憂鬱そうにつぶやいた

 

 

----

 

 

「ちっ、何だこのザマは!」

 

『てか、何だよ。地上も優勢じゃなかったのかよ!』

 

『油断するな、イザーク!ディアッカ!』

バルドフェルドの忠告を無視してイザーク達は地球軍の猛攻を食い止めるべく近くの拠点に向かっていた

 

そして、それはきた

 

『…おいおい、なんだありゃ』

 

『なんて、大きさだ』

 

「デカいなら、被弾面積も広いだろうが!」

イザーク達は武器を構えようとしたが

 

 

巨大な機体の下部が開き

 

『じょ、冗談だろ!ナチュラルは何考えてやがる!』

 

『イザーク、これは無理だ』

 

「くっ、くっそぉ!!」

 

ロケット砲による地上掃射がおこなわれ始める

 

 

----

 

「機長、どうやら大西洋連邦軍から強奪された機体かと」

 

「となれば、ヘリオポリスを崩壊に導いた連中か?

…宜しい。民間人を考慮せぬ連中に容赦は無用だ

彼等の頭上に『死の雨』を降らせてやるとしよう」

 

「「「了解!!」」」

 

そして、イザーク達の命をかけた戦闘が幕を開ける事になる

 

 

なお、イザーク達は気づかなかったが、ジンやバクゥ、ザウートの残骸が彼等の逃げた後に遺されていた

 

 

 

 




仮にcrazyの弾幕に絡め取られた場合、PS装甲持ちの機体で数秒間生存できます

なお、確実にトラウマになる模様


 本作のヒロインは?

  • 大天使ナタル
  • 妹系少女マユ
  • フレイ
  • 猪突猛進娘カガリ
  • キラ
  • シン
  • その他
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