いつ果てるとも知れない戦争の向こうに彼等は何を思うだろう
『ザフトアフリカ方面司令官、アンドリュー・バルドフェルドだな?』
「…ああ。そういう君達は大西洋連邦軍かな?それともユーラシア連邦軍かな?」
『我々はユーラシア連邦軍地中海艦隊だ
既に地中海や紅海の制海権は我々ユーラシア連邦軍のものとなった
…制空権については今更聞くまでもなかろう?』
バルドフェルド隊旗艦レセップスの艦橋で僕は遂に来てしまった事態を直視する事となった
この通信が来ると聞いた時に僕が思ったのは
『来るべき時が来たか』
という安堵とも落胆ともつかない感情だった
…やれやれ、ジブラルタルに救援は行けなかった時点でほぼこの未来が確定していたのはわかっていた事だが、なんとも呆気ないものだよ
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ついこの間宇宙から
確かに機体だけを見ればザフト最新鋭だが、その中身はと言えば僕たちザフトの悪い部分をこれまた見事に継承した様なもの
見ているだけで頭が痛くなりそうなものだった
今は既に彼等の機体共々ボロボロになって、辛うじて話が出来るのはアスラン・ザラのみという有り様
彼等を逃す為に各地のザフトのただでさえ少ない戦力がほぼ壊滅状態となったのは本当にキツイ
負けるだろう
そんな予感はあったさ
だが、こちらの戦力に対して相手が圧倒的物量を有しているとしても全くと言って良いほど歯が立たない
なんてのは全くもって想定外だろう
航空戦力が払底していた為に、ウチの数少ない航空戦力であるアジャイル戦闘ヘリを敵の戦力確認の為の偵察に出した訳だが、これがもう酷かった
確かに温存している場合じゃないと言って、此方が全機投入したのは間違いないさ
だが、12機もの数を出しておいて帰還したのがたったの1機だったというのは流石に頭を抱えたよ
しかもパイロットは涙で顔を濡らしながら言うのさ
「奴等は
ナチュラルどもは俺をいつでも落とせたんだ!
なのにアイツらは俺をあたかも『何の価値もない相手』の様に見逃したんだ!」
…とね
ザフトにおいてMSに搭乗出来ないパイロットというものはどうしても立場をひとつふたつ下に見られがちだ
だが、それでも彼等もまたザフトの、プラントの未来の為に必死になって戦ってくれていたんだ
それが倒すべき敵に『お前が死のうが生きようがどうでも良い』と言わんばかりの扱いをされたんじゃあねぇ
…しかもご丁寧にバルカンやミサイルポッドだけは正確に破壊していると来たもんだ
お前らなぞいつでも殺せる
そう言われている様なものだ
プラントやザフトに多い『誇り高い』コーディネーターなら到底耐えられるものではないだろうさ
そんな彼が何とか持ち帰った映像データを確認した時、僕やアイシャにダコスタ君は目を疑ったよ
「これは、氷山、かしら?」
「しかし地中海に氷山があるのでしょうか?」
そう、その映像にあったのは紛れもない氷山だったからね
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僕とは結局最後まで折り合いの悪かったモラシム隊長
だが、彼はプラントの上層部やザフトの司令部や僕達よりも余程地球環境について調べていたね
勿論彼がザフト水中用MS部隊を指揮する事も理由だとは思うけど、モラシム隊長は僕達よりも良く知っていたのは間違いない
そんな彼から教わったものの一つが氷山というものだった
これの恐ろしいところは『海面から出ている部分よりも海中の見えない部分の方が大きい』という事だろう
だが、その氷山があるのは地球の中でも寒冷な気温の所だ
少なくとも、地中海の様な温暖な気象条件の場所で存続出来るものではないと僕は解釈していたし、アイシャもダコスタくんもそうだろうさ
それがいきなり目の前にいると言われても、正直反応に困るってものだろう?
しかし、映像を注視していて気が付いたのさ
これは巨大な航空基地だとね
…我ながら何を血迷った事を
と思わなくもなかったが、明らかにこの氷山と近くを航行している多段型?の母艦は航空機の離発着を頻繁に行なっていた
そしてそのさながら『動く巨大な航空基地』から放たれる鉄量は残念だけど僕達ザフトアフリカ方面軍だけでどうにか出来るレベルではなかったのさ
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そして、僕達は戦線を縮小し消耗する部隊を再編しながらどうにか軍としての最低限の戦力は辛うじて確保出来ていた
という訳さ
尤も相手が本気になれば、もう何の抵抗もなく吹き飛ばされるだけの哀れな獲物でしかないだろうがね
「此方から
『…ほう?』
僕の発言に相手は気を悪くした風もなく、あっさりと流した
何というか、もう少し感情的になってくれた方が僕としてはやり易いんだけど、無理だろうねこれは
どうにも僕達ザフトの人間は『自分達が軍人である』という意識に乏しいところがある様に思えてならない
ビクトリア攻略後の虐殺や、宇宙における各戦闘でのやり方を見るにほぼ間違いないだろう
その極地ともいえるのがオペレーション・ウロボロスによる地球全土への被害だけ
…あれが無ければ、まだ恐らく僕達は戦えたと思うんだがね
『アレはすべきではなかった
我々は
そうモラシム隊長は零していたと聞いているが、正しくその通りだったのだろう
『聞こう。何かね?』
画面の向こうで音こそ拾えなかったが、明らかに口論になっていた様に思えるが、そんな事を微塵も感じさせない風に相手は此方へと聞いてきた
「虫の良い話だと思うが、部下達の命は保証して貰えないだろうか?」
『…我々は軍人だ
降伏してくる者に向けるべき武器は持ち合わせておらんよ?』
「…感謝する」
返す言葉がないな、これは
『どうにも君達コーディネーターは情動的にものを考える人間が多い様に私は考えるがね?
…まぁ、君達が理性的に考えて行動していたのならば我々がこうして君達より優位に立てていたとは思えないのも事実だが』
何故か自身の部下を苦笑しながらそう言う相手
流石に気になるが
『気になるかな?
彼は我が軍のコーディネーターだよ』
頭を強く殴られた様な衝撃を僕は受けた
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「そんな」
「バカな」
「あり得ない」
相手の言葉に思わずレセップスの艦橋のあちらこちらからうめき声の様なものすら上がる
…無理もないだろうな
僕も正直言えば嘘であってほしいと願うところさ
『嘘だと思うかね?
…まぁこの際だ。中尉、構わんよ。思いの丈を彼等にぶつけてみると良い』
『…お前達が』
『お前達プラントの人間が俺達地球のコーディネーターに何をした!!お前達のした事は自分達が受けた悲しみの憂さを無抵抗な人間にぶつける八つ当たりだろうが!!』
彼の怒りと憎悪の籠った声が僕らを打ちのめした
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男はユーラシア連邦のヨーロッパ地区で生まれ、育った
コーディネーターとは言っても、彼は検査の結果生まれたとしてもその後生きていられるか分からない位に身体が弱かったからそうせざるを得なかった
彼の両親や周りの者達は彼をコーディネーターなどと思う事なく過ごしてきたし、彼もそうだと思って疑う事はなかった
それはインフルエンザ流行の後でも変わる事なく、暖かな生活を続けていったのだ
だが、ユニウスセブンの悲劇とその後に起きた
いや、プラントとザフトによって意図的に拡大されたエイプリル・フール・クライシスにより、彼は多くのものを失ったのだ
だからこそ、彼は許さなかった
地球のコーディネーターを同胞と言いながら、その手で同胞殺しをした砂時計の者達を
そして地上にまで手を伸ばし、地上すら我がものにしようとする無法者を
地球各地で旧世紀の珍兵器が復活しているのも、彼等地球のコーディネーターからの
『
という怒りと侮蔑の感情によるものだった
…勿論そこにロマンがなかったとは言わないが
そして、その刃は密かに奴等の
『お前らの作り上げた世界なんぞどこにも無い
あるのは他人から奪ったものだろうが!』
既にプラント理事国の中では『プラントの廃棄』がほぼ確定的なものとなっている
「確かに惜しいものではあります
…ですが、どれだけ設備が立派だろうともそこで働く者の質が悪過ぎるのであればどうにもなりませんよ
…お歴々は不満に思うでしょうが、この際一切合切全て一度白紙に戻してからやり直すべきでしょうね」
と某理事は頭を左右に振りながらため息混じりで言ったそうだ
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元々コーディネーターというものの種としての寿命はそう長くない
そうあれかしと設計図の時点でなっていたのだ
ジョージ・グレンが何故木星探索に赴く直前にコーディネーターの製造方法を世界へと公表したのか?
それはコーディネーターによる理想郷を作る為などというものではない
コーディネーターとは今は亡き東アジアの一国の言葉によると『調整者』或いは『調停者』となる
何を調整するのか?
何との話を調停するのか?
遺伝子という人間の可能性を調整し、ありとあらゆる争いや諍いを調停する
それこそが真にジョージ・グレンが望んだコーディネーターの在り方だったのではないか?
その上で人類を更なる高みへと導く為の導き手としてねがったのではないだろうか?
勿論既に故人である彼の胸中を慮る事は出来ないだろう
だが導き手や調整する者というのは『何れ不要になるもの』。いや『不要にならねばならないもの』なのだ
だからこそ、コーディネーターは種として短命である事を求められたのかも知れない
加えて、ジョージもそうだった様に『優れた能力』を持つ者というのは少しでも自身が『緩めば』その力を容易く他人へと向ける事もあるだろう
だからこその、セーフティとしての役割もあったのでは?とも思えてくる
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『貴様らに何がわかる!
コロニーという調整された空間にいる貴様らにわかるか!
耐え難い寒さに晒され命を失うものの嘆きが!
どうしようもない暑さの中でも必死に生きなければならない者達の苦しみが!
…言ってみろ!貴様らの中で食事を満足に食べる事も出来ずに死んでいった者がいるというのか!?』
「…」
「…」
言い返せないなぁ、これは
『20万人以上の犠牲を未だに悼んでいる貴様らが!
その復讐のために1億以上もの者達の命を弄んだのだ!
私だけではない。地球に生きる仲間達の多くは砂時計の住人達その悉くを殺し尽くしたいと切望しているのだ!!
…だが、地球の軍隊は指揮統制の取れたものだ。貴様らを私情の元に殺す事は認められていない!
でなければ、貴様らを1人とて残したくないのだ!!』
その怨念すら見えてきそうな言葉に僕達は言葉を紡ぐ事は出来なかった。…出来るはずもない
悲劇と誰よりも知っている僕達がその悲劇を拡大させたのだから
『挙句、ヘリオポリスを攻撃し崩壊させた!
答えろ!貴様らが未だに癒えぬ傷というユニウスセブン!
それはヘリオポリスという日常を生きていた者達の生活を!命を!それを脅かした事への免罪符になるというのか!
そのザフトの
コーディネーターとしての誇りとやらは今も貴様らの中にあるとでも言えるのか!!』
「…そ、それは」
この言葉に弱々しい声で答えるものがいた
…アスラン・ザラ
そのヘリオポリスを崩壊させた当事者の1人だった
という訳でアフリカ終いその1です
この時点でバルドフェルド隊はほぼ壊滅しているのでどれだけ彼等が意地を見せたとしても、無意味です(無慈悲)
新型であるイージス達がアフリカにいるとの急報を受けて『対試作型PS弾頭』も急遽ブリテン島の工廠から輸送されているので、仮にイージス達が万全であったとしても・・・
本作のヒロインは?
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大天使ナタル
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妹系少女マユ
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フレイ
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猪突猛進娘カガリ
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キラ
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シン
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その他