勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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カズイくんは大西洋連合軍の軍人になる事を決意します

しかし、これにより様々な事が動いてしまう事を彼は失念していました



なお、本作のカズイは機動兵器による戦闘技能で言えばトールよりやや上程度
カガリやオーブ3人娘よりも劣ります
悪しからずご了承下さい


 混沌の中へ

少し前に大西洋連合軍に士官する事にしたカズイ・バスカークです

バジルール少尉曰く

 

「前例のない話の為、少し時間が欲しい」

との事だ

 

まぁ仕方ない話だとは思う

つい先程までその軍の批判を公然と行なっていた奴がいきなりその軍への士官を願い出るとか

しかもそれが中立国であるオーブの市民となればねぇ

 

 

…うん。第三者からすれば全くもって意味不明だろう

とは言え、なんだかんだ情に篤いバジルール少尉である

 

「君が軍に志願する理由はなんとなく理解できる

が、現在この艦の責任者となったラミアス艦長や機動部隊のフラガ大尉にも話を通す必要があると思う

…しかし、私個人として君のその決意に対して敬意を払いたいと思っている。恐らく軍に入る、その意味を君の友人達より理解しているはずだからな」

とまぁ褒められた

 

その後、少しだけ微笑んで俺を営倉に入れてから小走りで艦橋に向かったバジルール少尉は控え目に言っても最高であったと思う

 

 

うむむ、何処ぞの天真爛漫な艦長や種の続編に出てくるステラも捨て難いがやはりバジルール少尉もまた素晴らしい!

 

カズイ君は大満足ですよ、いやホント(なお、営倉入り中である事は一切気にしていない模様)

 

 

此処にエンジェル(天使)はおったんやなって

 

 

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それはそうとして、つい今しがた艦が大きく揺れた事を考えると余り好ましくないがヘリオポリスは崩壊したのだろう

とにかくキラが無事に帰ってくる事を祈るしかない

 

相手は恐らくGだろうが、まだこの時期のザフト・レッド諸君は危機感がない

ぶっちゃけると、おなじザフト・レッドのラスティ君が死んでいるんだけどなぁ

 

ニコルが死んだ時とのあまりの扱いの違いに風邪ひきそうになるわ

 

 

あと、仲間であるミゲルを始めとしたクルーゼ隊にも死者が出ている筈なんですがねぇ

 

こっちみたいにそれ(死者を悼む)だけの余裕がない訳でもなかろうに

ま、ザフト軍って割と個人プレーの集団みたいなところがあるから仲間意識が希薄な可能性もあるかも知れん

の割には『血のバレンタイン』の犠牲者には敏感だ。その癖『エイプリル・クライシス』において被害を受けた地球に住むコーディネーター(プラント曰く同胞)には無頓着

 

結局のところ、今までの人類と同じく『都合の良い時だけ』使い分けている訳だ

精神的な成長や進化はなく、ただ頭脳や身体能力だけ(・・)優れてるとかねぇ

 

プラントの皆さんは歴史の勉強をなさらないので?

と思わず聞きたくなるな

 

 

なお、ザフトの高名な指揮官であるラウ・ル・クルーゼ隊長がナチュラルであると最後まで気付かなかった模様である事から考えるとあれなのだろうか?

 

自分達(コーディネーター)より優秀なナチュラルなどいるはずが無い

とでも言うつもりなのだろうか?

 

 

いやまぁ、何というか。もしそうだとしたらプラントの最高評議会の者達もまた人間だった。そういう事なんだろうが

 

それはそうとして、フリーダムやジャスティス(Nジャマーキャンセラー搭載機)の開発を密かに進めていた事を考えるに『ナチュラルの風下に立つつもりはない』というある意味強迫観念じみた思想が透けて見える

つか、プラントはどうやって戦争を終わらせるつもりなのだろうか?

 

現在の国防委員長であるパトリック・ザラは後に

「戦争は勝って終わらねば意味があるまい」

と言っていたが、ただでさえ出生率の問題を抱えるコーディネーター。そこに戦争による死者。しかもよりにもよってそれは、働き盛りの成人男性を中心としたもの

 

プラントの年齢別ピラミッドこの戦争が終わる頃にはヤバいことになっていそうなものだが?

ジェネシスとかいう気狂い兵器があって、地球を攻撃したとして人数の少なくなったナチュラルをコーディネーターが完全に屈服させる事が可能と思っているのだろうか?

 

Nジャマーを地球に投下する作戦を決議したのが穏健派(・・・)で知られているシーゲル・クライン最高評議会議長とか

もう頭おかしいと思うのですわ

 

 

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まぁそれは放置するしか無いので、これからどうするか?だ

 

営倉入りしている以上、そこに人員を配置すべきだと思うのだが誰か来る気配はない

となると、俺が思う以上にアークエンジェルの人手不足は深刻な可能性もあるのか

 

となれば余程の緊急事態

当然物資などを積み込む余裕があったとは思い難い

仮に現実的な判断を下せる指揮官ならば、崩壊したヘリオポリスからある程度の物資などの確保を検討するかも

 

…いや無理か

クルーゼ隊がいる上に、その判断を下したとしても実際メインで活動するのは作業に適した(・・・・・・)ストライク(人型機動兵器)に乗るキラ(オーブの国民)

心情的に出来るとは思えないし、仮に無理矢理させたとなると間違いなく後々までのしこりになる

 

 

となるとやはりアルテミス要塞になるのかねぇ

あんまり気が進まないんだが

 

あと、物語前半において爪痕を残した(良くも悪くも)アルスター。いやどうすっかなぁ

救助された当初は親しい仲であったアーガイルとの距離が近かったのだが、アルスターの父が先遣艦隊に同乗してアークエンジェルの、いや娘の救援の為に駆け付け

そしてクルーゼ隊により全滅する

 

そしてよりにもよって、それを軍籍にない彼女がプラントの歌姫であるラクス・クラインを人質にとった状態でブリッジに侵入

そこで父親の乗る艦が撃沈される光景を目の当たりにする事となった

 

戦力的にアークエンジェル側はメビウスゼロのフラガ大尉とキラのストライクのみ

相手はナスカ級とローラシア級それぞれ一隻とそれに搭載されているジンや強奪されたG

どう考えても数が圧倒的に足りない

 

 

だが、アルスターは戦闘で疲労しているキラに対してこう言い放つ

 

「アンタ相手がコーディネーターだからって本気で戦ってないんでしょ!」

 

親友であるアスランと敵味方に分かれているキラだ

加えてトール達が軍人となった事を知り、それに対して複雑だっただろう事はそこまでおかしな事でもないだろう

 

アルスターの父とて『戦闘艦に乗って戦場になるかも知れない所』へ出て来たのだ

言いたくはないが、それで死んだとしてもそこまで同情する事でもない。当時の地球軍でザフトのジンに対抗しようとするならば圧倒的な数と的確な指揮が必要だったのだから

 

このアルスターの八つ当たりとも言える言葉は後々までキラを苦しめる事となった

更にアルスターはキラとそういう仲(・・・・・)になる事でキラを死ぬまで戦わせようとすらしている

 

その結果、オーブ近海での戦闘でトールを喪う事にも繋がった

…そう考えるのは俺の考え過ぎだろうか?

 

 

----

 

最終的にキラは『相手を殺さないで無力化する』という割と意味不明な結論に至った訳だが

何というか画面の向こうから見ていても見ていられなかった

『戦わなきゃならない。でも誰も死なせたくない』

言いたい事は分かるし、そうしたいというのも理解出来なくもない

 

が、地上で宇宙で行動不能になったMSなど只の的だ

のちの話になるが、地球側に残されていたパナマのマスドライバーをザフトが攻略しようとして新兵器『グングニール』を投入

電子機器の無力化を行なった

 

その際行動不能になった連合軍のMSを破壊したり、降伏の意思を示した連合軍兵士達をザフトは虐殺している

それを見たイザークはこう呟いていた

 

「動かない的を撃って何が楽しい」

これがこの世界におけるザフトの標準的考え方だとすると行動不能になったMSの末路がさして良くないものであろう事は容易に想像出来る

地球軍とて、その辺を徹底しているとは思えない

 

仮に

そう、もし仮に行動不能になって撃破されなかったとしても救助されなければ、宇宙であれば待つのは緩やかな死

 

 

確かにキラは殺していない。直接的には(・・・・・)

だが武器を取る事を、振るう事を躊躇しないと云うのはとても恐ろしい事のはず

キラは一度剣を置いた。そこにザフトの特殊部隊が攻撃してきたからこそもう一度剣を取らざるを得なかったのだろう

 

があまり好ましい未来と俺には思えない

 

 

とにかく今はキラのメンタルケアを欠かす事なくすべきだろう

どうにもアークエンジェルのクルーですらキラのメンタルケアについてまで手が回っていた様に思えなかったからな

 

 

 

----

 

「…本気なの?バジルール少尉」

 

「ええ、ラミアス艦長が彼の事を厭うのも分かりますが『今は非常時』です。少なくとも、ヤマト少年や他の少年たちを気にしているのは間違いないかと」

やはりと言うべきかラミアス艦長はカズイ・バスカークの志願を歓迎している訳ではない

 

「…でも彼は」

懸念がある。それも分からなくはない

確かにラミアス艦長は技術士官だ。だがそれでもキチンとした士官教育を受けているからこそ、大尉にまで昇進している

教育課程には護身術や白兵戦もあり、その為正規の軍人ならば一般的な市民に遅れをとる事はない

 

それをオーブ(中立国)のまだ成年すらしていない子供が制圧したというのだから、ラミアス艦長が悩むのも仕方のない事ではあるのだろう

 

「確かにあの坊主は割と考えが読めない所はあるとは俺も思う

が、はっきり言って俺たちに選り好みしているだけの余裕がないのも事実だろう?艦長」

 

「…それはそうですが」

フラガ大尉の言葉を聞いてもラミアス艦長の表情はあまり優れない

 

「仮にこのまま本艦に先ほど収容した民間人と同様に彼を扱うとなると

それはそれで面倒な事になると思いますが」

ヘリオポリス崩壊により、ザフト軍も一時撤退を選択した。そしてヤマト少年はヘリオポリスから放出された一基の緊急脱出用のポッドを回収し帰艦している

だが避難民に充分な支援を行なえるだけの人員や物資がこの艦にはない

 

回収した以上、それをもう一度放出する訳にいかないのだが困った事ではあるだろう

勿論ヤマト少年のした事は本来であれば称賛される事はあっても非難されるものではないのだが

 

どうしても我々の指示であるとヤマト少年にも心理的な圧力になってしまう事があるだろう

残念ながら、ストライクとヤマト少年の協力はアークエンジェル防衛の為に必要不可欠となっているのだから

しかし、その場合やはりと言うべきか私達軍人の考え方にヤマト少年がついていけない可能性はある

 

そこをバスカーク少年に任せてみては如何だろうか?

私はそう考える

 

----

 

「…そうね、確かにそれは必要かも知れないわね」

 

「確かになぁ。おかっぱの坊主なら、その辺をある程度察して動く事も期待出来るかも知れんな」

ナタルの提案にマリューとフラガも同意する

自分達からの指示は勿論遵守してもらいたいが、元々士官教育を受けていない、しかも民間の子供

となれば。自分達では見逃してしまう様な意思疎通における齟齬が発生する可能性は決して低くない

 

少なくともこの場にいる3人はカズイという人物が『必要ならば言葉をぶつける事に躊躇いのない』人間であるという一点においては共通の見解を持っているといえた

 

なお仮にカズイがそれを知った場合には

 

「…あのさぁ

余計なもんを挟んでどうするんですか?(ややギレ)」

と表情を険しくしてツッコミを入れる事だろう

勿論この場に居ないため、カズイの発言権なぞありはしないのだが

 

 

そんなこんなでカズイの大西洋連合軍仕官については一先ず受け入れられる事となる

 

…なお軍隊である以上、指揮系統は明確に定めねばならない

そこで提案してきたナタル・バジルール少尉の部下としてカズイは付けられる事に決まった

 

 

----

 

「よ、皆の衆。元気か?」

 

「!?カズイッ!」

 

「大丈夫なの?」

 

「拷問とかされてない、よな?」

 

どういった話し合いがあったのかは知らんが、とにかく俺の大西洋連合軍への仕官は受け入れられる事になった

なお、バジルール少尉の直属の部下との事である

 

「…私は部下を持つのが初めてなものでな

色々と気苦労をかけるかも知れないが、よろしく頼む。バスカーク伍長」

と照れと部下を任せられる重圧(プレッシャー)を感じているらしいバジルール少尉のお顔は控え目に言っても最高だった事を此処に記す

 

 

やったぜ、バジルール少尉の初めてを貰ったぞ!(言い方ぁ!!)

 

が、喜んだのも束の間。どうにもキラとアークエンジェルクルーとの間を取り持つのが当座の仕事らしい

 

 

「おいゴラァ!何だその微妙な割に重要なポスト(役割)はよぉ!」

と思わず口にしそうになりましたが、少尉の表情を見るに苦渋の決断であった事は間違いない

 

 

 

流石にオペレーター業務を遂行するにはちとばかし仏頂面であるからして、士気を上げるという役割は果たせないだろう

 

さりとて、ラミアス艦長やフラガ大尉に噛み付いた事はアークエンジェルクルーの知るところである以上、ブリッジクルーにも出来ない

 

元より我らが大天使サマにはストライクとメビウスゼロ以外の機動兵器は置いていない

ストライクはキラ専用機でメビウスゼロもフラガ大尉以外が使うと明らかにパフォーマンスが落ちるだろう

 

 

この2機はアークエンジェルの唯一無二の存在であり、性能面ならキラとストライクが

しかし、戦場をよく知っているフラガ大尉とメビウスゼロ

どちらが欠けてもアークエンジェルの航海はそこまでとなる

 

一応オーブ本国でシミュレーター限定とはいえVTOL戦闘機や既に地球軍では使用される事の殆どないミストラルの操縦訓練は積んでいる

が、流石に連合軍が使用している現有主力機であるメビウスについては終ぞシミュレーターを行なう事は叶わなかったが

 

 

一応、前世において狂った様に種のゲームをやり込んでいたものの、基本俺は『大艦巨砲主義者』であり、何れ連合軍で生産されるだろうカラミティや続編にあたる運命における連合軍主力機の砲戦特化型であるD系をメインとして使っていた

 

なので現在の連合軍やオーブに採用されている兵器群については戦闘機か型落ちの機体程度しか扱えなかったりする

 

 

まぁ、一民間人であるカズイの立場的に考えればそれでもすごい事ではあったのだが

 

 

なお、カズイの両親の同僚であるエリカ・シモンズ女史はカズイのその鬼気迫る形相でシミュレーターを行なっていたのを目撃している

曰く

 

「もし彼があんな形相でなかったら、私は彼をモルゲンレーテのテストパイロットに推薦したわね」

との事

 

カズイの両親は息子が自分達の様にオーブの裏側を見る事が我慢ならなかった

その為、息子の意思すら無視してまでヘリオポリスに連れてきたという経緯があったりする

 

言うまでもなく、ザフトによるヘリオポリス侵攻により彼等の願いが叶う事は無くなってしまったのだが

 

----

 

「おいおいそんな幽霊をみた様なリアクションするなって

あとアーガイルよ、拷問って。一応彼等も俺達の立場を分かっているんだがなぁ」

なお、納得しているとはカズイも言えない模様

理解していても、感情面で納得させる事が出来ない者も恐らくいるのだろうとカズイは思っていた

 

(これが正規軍のざまか?)

と思わず嘆きたくなるが、残念な事にこれから自分もその組織の一員となる

友人(キラ)の為

などと言い訳をするつもりはない

 

目を閉じ

耳を塞ぎ

口を閉ざす

 

そんな選択肢もあった。にも関わらず、この道を選んだのは他ならぬ自分自身なのだ

 

 

「…カズイ

あの、その」

キラもトール達から遅れて話しかけてくるが

 

「悪い。これからバジルール少尉に簡略ではあるが、軍規などについての説明を受けにゃならんので時間が無いのよ」

俺の一言にトール達の表情が凍り付いた

 

 

----

 

「悪い。これからバジルール少尉に簡略ではあるが、軍規などについての説明を受けにゃならんので時間が無いのよ」

…僕はカズイが口にした言葉の意味を一瞬理解出来なかった

 

軍規を?

どうして?

 

そう思ってしまうが、無駄に回ってしまう頭がその残酷な答えを僕に突きつける

 

カズイは

あまり話をした事はないけど、僕を守ろうとしてくれた彼は地球軍の軍人になった

 

という事を

 

 

何で?

…僕がストライクを動かせるからだ

…僕がコーディネーターだから

 

だからカズイは

 

 

確かにカズイに対して僕は少し前まで苦手意識を持っていた

…でも、ヘリオポリスや格納庫でカズイは怒ってくれたんだ

 

なのに、僕は

 

 

----

 

「…あの」

 

「おお、どうした坊主?

ストライクは今整備中なんだが」

 

だから僕も戦うよ

僕を守ってくれたカズイを守る為に

 

「軍人になりたいんですけど、誰に言えば良いんですか?」

そう僕は整備班長に告げた

 

 

 

 

 




カズイが大西洋連合軍に仕官した!

キラも大西洋連合軍に志願しました!


…さて、残ったトール達の選択はどうなるでしょうねぇ?(ゲス顔)


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