多分人を選ぶ話になると思います(手遅れ)
「わ、私はどうすれば良かったんだろうか?」
官舎に戻った俺とシンを待っていたのはまるで親を亡くし、自分がこれから何をしたら良いか分からず迷い泣きそうになっているじゃじゃ馬娘だった
まぁ、親が死んでいない事以外はほぼその通りだろうが
いやマジで、勘弁しろよ
こちとらナタルさんとの別れで結構メンタル的にキツいんだが?
「…なぁ、それをカズイに聞いてどうするんだよアンタは」
「どうって」
おーい、シン。気持ちは分かるがそんなに怖い顔で人を睨みつけたらダメだぞー
お兄ちゃん泣きたくなるだろー
なお、ヘリオポリスでラミアスを『今にも殺しそうな目』で睨みつけながら組み伏せた人間の言葉である
というか、割とメンタル的にキてるな。このじゃじゃ馬娘も
…とりあえず此処にマユやフレイがいない事を喜ぶべきだろうな
マユは基本的に『自立できていない年上の人間』を嫌悪するところがあるし、フレイからすればこのじゃじゃ馬娘のやっている事は意味不明
無茶苦茶あたりが強くなるのは避けられないだろうからなぁ
ともかく今はシンを止めないとダメかなぁ
俺もそんなに余裕がある訳じゃないんだけどな
----
何をすれば良かったか?
そんな事知るもんか!
でも、間違いなくこの女がアフリカでやった事は間違っているとだけは断言できる
政治なんて全く理解出来ない俺でもそれくらいは分かる
オーブの中立云々は置いておくとしても
誰かが殴られているからって、殴っている相手に殴りかかっておいて無関係
なんて事は普通にあり得ない
『物事が大き過ぎるなら矮小化して考えるのも一つの手だ』
とはカズイの言葉だ
別に俺やマユだってカズイの言葉を鵜呑みにする事はない
間違う事は誰にでもあるんだ
それを周りの者が止められるかどうか?が大事だとカズイは言っていたし、俺もそう思う
参考にするのは良いと思う
…でも今のこの女はカズイの言う事を盲目的に信じてしまいそうな危うさがある
「まぁ落ち着け、シン」
そんな俺の頭に手を置いてカズイはゆっくりと話を始めようとしていた
(ホント敵わないよなぁ)
と改めて思わされる。カズイ自身も精神的に余裕がない筈なのに、それでもこうやって自分を落ち着かせる事が出来るのだ
たった少ししか歳が変わらないのに(中身的にはそうではない)、これだけの差を見せつけられると『コーディネーターが優秀』なんてどの口が言えると言うのだろうか?
「…ごめん、カズイ」
「良いって事よ。俺もお陰で冷静になれた
でもな、シン。そんな怖い顔してたら彼女見つけるのに苦労するだろうから、自重しろよ?」
「…わかったよ」
そう言われてしまうと俺も反論できない
俺はカズイが悪戯っぽく笑ったのを頼もしそうに見つめた
----
「さて、カガリ・ユラ
どうすれば良かったのか?と言うが、何を俺に期待するんだ?」
「なに、って」
私は相手の言葉の意味を理解出来なかった
「…あのなぁ、カガリ・ユラが何処を目指そうとしていたのかを知らずに俺が何を言えるってんだ?」
「俺は統治者や軍人ってのは『国民を守る為にあるもの』
そう考えているから、ウズミ・ナラやホムラ代表にキサカさんを糾弾した
だが、そうでなければ俺の糾弾は全くの的外れだろう
だから聞くぞ、カガリ・ユラ
お前の目指す未来ってのは一体なんなんだ?」
「そ、それは」
相手の言葉に私は何も返せなかった
----
あ、これあかんやつや
俺はそう判断を下すしかなかった
え、何それ?
まさか明確な目標も目的意識もないままに突っ走ってたっての?
嘘でしょ
え、コレが次期オーブの代表になんの?
冗談だよな?
これはケジメ案件待ったなしですわ
「カガリ・ユラ。もしかして、お前さん」
…頼むからこの後の言葉を俺に言わせんでくれ
もしそうなら俺は自分を抑えられる自信がない
----
「っ!」
シンは迷う事なく自身に用意されていた『非常用のボタン』を押した
何せカズイが
シンが最も怒らせたくない人が
本気で怒りを露わにしそうになっていたのだから
----
マユや自分の両親は知らないだろうが、シンは知っている事がある
コーディネーターである自分に親身にする事を好ましく思っていなかった大人達がカズイに文句を言った時の事だ
「…何か?」
「お前がカズイ・バスカークか?」
「そうだとしたら?」
カズイを取り囲む武器を持った3人の男。だがカズイは全く表情を変える事はなかった
「コーディネーターに媚びを売ってさぞ楽しいだろうなぁ」
「コーディネーターは滅ぼさねばならない宇宙の
なんで
「そいつを渡せ!ならお前は見逃してやる」
「…けせよ」
口々にカズイに言葉を浴びせる男達
だが、カズイの様子がいつもと違うのを彼を1番近くで見ていたシンは気付いた
「なんだって?」
「取り消せよ」
「な、なんだ?」
カズイの様子がおかしい事に漸く気付いた3人は怪訝としたが、もう遅い
「ふざけんな!シンの何処が化け物だってんだ!!テメェら絶対にゆるさんぞ!!」
「なっ!」
「このガキっ!」
カズイは怒りを露わにして男の中の1人に飛び掛かった
「は、はなっ?!」
馬乗りになったカズイは迷う事なくその拳を男の鼻へと叩き付ける
「…がっ!」
鼻を折られた男は昏倒し
「構うな!コイツもコーディネーターに味方する人類の敵だ!」
「ガキだと思ってりゃ」
残りの2人はスタンロッドを構える
が、
「っ!
石だと!?」
カズイは迷う事なく足元にあった石を2人のうちの1人に投擲した
その顔面に向かって
そして投擲した次の瞬間にカズイは動いていた
男が顔面を庇う
そして腕をどければ
「…」
其処には怒りを露わにしたカズイの顔があった
----
「なぁ、カズイ!
もういいっ!もう良いって!!」
3人が倒れ伏してもカズイは男達への攻撃を止めようとしなかった
シンが泣きながらカズイを羽交締めにするが、何も言わずカズイは男達にジリジリと向かっていた
カズイの手は男達の流した血で紅く濡れている
それが何よりも当時のシンにとって恐ろしかったのだ
しかもいつもならばシンが泣いていれば何を置いても駆け付けるカズイがそれをまるで気にしないのだから
----
それは2年以上経った今でもシンにとって恐ろしい記憶
カズイが死ぬ事の次に彼が恐れている事なのだ
(頼むから、あんな事にはならないでくれ)
シンはいるかどうかも分からない神に祈った
という訳で次回カズイがマジギレします
そして一部の者達は知る事になるでしょう
カズイの抱えているものを
物語が進んだので改めて、本作のヒロインは?
-
ナタル
-
マユ
-
フレイ
-
カガリ
-
ラクス
-
シン
-
キラ
-
その他