勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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今後カズイ達以外の視点についてはこんな感じにしていこうと思う次第

…ダメかな?
ダメならタイトルとか変えます


 extra phase 怒れる瞳

「ヘリオポリスとの連絡が途絶しただと!?」

 

「その様です

何でも地球軍とザフトによる戦闘行為があったとか」

 

「…馬鹿な、我らは中立国

それは連合もプラントも認めていたはずだ!」

 

「だから言ったではないか!中立など相手の都合一つで容易く踏み躙られるものだと!!」

 

オーブ連合首長国

ヘリオポリスを有している海洋国家であり、地上が大きく色分け(・・・)されている現在においても独立国家として存続している

 

国土は政庁のあるオノゴロ島を中心としたものであり、領海こそその国土に反して大きなものだが国土自体は然程に大きくない

だが、その国土的条件からかナチュラルとコーディネーターの対立が深刻化する世界情勢の中でも比較的(・・・)コーディネーターに対して寛容だ

無資源国家ではないにせよ、自国で生産するものだけでは到底国民を養えない

 

その為オーブは他国との繋がり(・・・・・・・)を絶やす訳にはいかないという事情があった

それは戦争となってもそうする他にない

 

信条以前の問題として、オーブがオーブとして存続する為には地球各国からあらゆる物資。プラントからは進んだ技術

を主に手に入れ、逆に技術の一部を地球軍の各国へ。食糧などを限定的にではあるがプラントへと輸出していた

 

更にオーブは地上でも数少ない施設であるマスドライバーを有している。これにより地球軌道上にあるオーブの拠点『アメノミハシラ』やヘリオポリスを始めとしたコロニーとの円滑な輸送などが行なえていたのだ

 

無論、外交的に孤立しない様にオーブの外交官などは大西洋連合、ユーラシア連邦、東アジア共和国などの『プラント理事国』やプラントとの欠かさぬ外交努力を行なわねばならなかったが

 

 

世界が『地球連合』と『親プラント国家』になれば、その後に待つのは互いに際限のない殺し合いとなる

そう、前代表ウズミ・ナラ・アスハは戦争前より主張しており、オーブ国内でもかなりの支持を集めていた(・・)

 

 

…だが、東アジア共和国による農業コロニー『ユニウスセブン』に対する核攻撃

所謂『血のバレンタイン』とその報復としてザフトが行なった『オペレーション・ウロボロス』により生じた『エイプリル・フール・クライシス』

これによりウズミが主張するのは理想論であり、それを自分達オーブが世界に対して受け入れさせない限り夢物語

 

との主張がオーブ国内で爆発的に増加

 

 

結果として、ウズミはオーブの代表としての地位を失う事となった

 

 

「…しかし妙な事ですな

此処はオーブのこれからについて話し合う場。そこに何故前代表(・・・)がおられるので?」

とある人物はウズミに対して皮肉をぶつける

 

「…ウズミ()もこの件に少なからず関わっておられた

故に私がお呼びしたのだ」

現代表であるホムラの発言に

 

「おかしな事を言われるものだ、ホムラ代表

私の認識ではこの場はオーブのこれからの行く末を左右しかねない話をする場所の筈だが?

確かに前代表(・・・)であるウズミ殿()が無関係とは思わんが、その程度なら聞き取りすれば済む話ではないかな?」

彼はウズミ・ナラ・アスハに対して明確な敵意を持ち、且つそれを隠す気すらない人物だった

 

「…」

 

「おやダンマリですか

構いませんよ?あの時の様に(・・・・・・)下らない御高説があるならば、我ら一同耳を貸しましょう」

彼はオーブにおける外交担当の部署を預かる者

 

「オーブは他国を侵略せず、自国を侵略されず、他国の侵略に介入しない」

ウズミはC.E70にその様な内容の演説を行なっている

 

それはオーブの中立国としての立場を改めて示したものであったのだが、既に世界情勢はプラント理事国とプラントの対立が避けられない所にまで来ていた

 

 

その状況下においてのウズミの演説

それは当事国にとって不愉快なものに聞こえたとしても仕方ない事であろう

 

受け手によって、感じ方は違う

ましてや、政治ともなれば尚更だ

 

その演説後オーブの外交関係は悪化してしまう

今となっては友好国と呼べるのは遥か遠い北欧にあるスカンジナビア王国のみという有様だ

 

 

大西洋連合軍のMS開発にオーブのモルゲンレーテが関与出来たのは、MSという兵器に対する懐疑的な意見が多い連合軍やその軍の兵器を開発している軍需企業が乗り気ではなかったからであろう

 

中立国であるオーブのしかも市民の住むコロニーにおいての新型開発について彼は詳細を聞かされていなかった

外交担当の彼ですら、だ

 

その為ヘリオポリス崩壊の報を受けた彼は当初ザフトによる蛮行に怒りを露わにした

そして、何故か(・・・)ヘリオポリスで大西洋連合軍とザフト軍の戦闘が起きたという次報を受け、背筋が凍る様な感覚に陥った

 

 

「どうやら余程に御都合の悪い事とお見受けする

…では、サハク殿にお尋ねしたい。この報告書ではモルゲンレーテ(オーブ国営企業)による連合軍の新型開発が行なわれた

そう書いているが、それは事実ですかな?」

 

「…その通りだ」

サハク家当主コトー・サハクは言葉少なく肯定した

 

ダンッ!!

男はその言葉を聞き、机を力を込めて叩くと

 

「いったい何をしたか、分かっておられるのか!

これで我が国の中立性はなくなったばかりか、守るべき市民にまで危害を加えたのですぞ!!

それで良くオーブ国民の為などと嘯けるものですな!」

 

「…だが中立を貫くにもある程度の軍事力が必要だ」

 

「本末転倒ではありませんか!

中立を貫く為の力を求めて中立の立場を放棄すると!

我等が守るべきは何と心得ておられる!

国か?思想か?我等の命か?軍の面子か?

違うでしょう!

国民が、民がいるからこそそこに国があるのですぞ!!」

彼とて軍事力を持つ事自体には不満もないし否定する気もない

 

だが、市民の命すら犠牲にしてまで軍事力が欲しいとは思わない

 

 

「…どうやら、私は今のオーブには不要な様ですな

………結構!

ならば私とて今の地位に未練などありませんからな!」

男はそう言い放つと席を立つ

 

「待て、どうするつもりか?」

ウズミは初めて口を開く

 

「大西洋連合、たとえ軍であろうとも外交についてならば私にも知る権利はあったはず

それにも関わらず、そんな話は聞いていない

…であれば私は不要。そういう事でしょう」

男は辞表を机の上に置いて、部屋を後にしようとした

 

「…待ってもらいたい

貴殿の領分でありながら、我等が独断で動いた事申し訳なく思う

都合の良い話であるとは重々承知している

…が、それを理解して頼む

オーブの為、民の為に今暫く働いてもらえぬだろうか?」

そうコトーも説得する

 

何せ彼以外でオーブの中枢部にマトモな交渉(・・・・・・)の出来る人間がいないだろうとコトーは考えていたからだ

 

 

何せ、前代表であるウズミがこの席にいる事に対して

現代表であるホムラがウズミに遠慮している事に対して

 

不満や不快な顔をしているのは彼とコトーだけだったのだから

更に言えば、彼は長年オーブの外交担当として各国の要人との繋がりがある

ウズミの思想に囚われている今のオーブ中枢部の人間では壊れたスピーカー位の役割しか期待出来ないだろう。そうコトーや息子ギナ、娘ミナも考えていたのだ

 

加えて、本来一番危機意識を持たねばならないオーブ国防軍ですら、アスハの信奉者の集まりとなりつつある

 

勿論この件についてコトーも責任を取らねばならないだろう。だからこそ彼に辞めてもらう訳にはいかないのだ

 

 

「断らせてもらおう

この様な事をしておいて、どの様な顔で各国の人間と交渉できようか?国民の、市民の命すら犠牲にする国を誰が信用出来ると?

…今までお世話になった

失礼する」

 

コトーには彼が部屋を退室した時閉じられた扉が、まるでオーブの未来が閉ざされた様に思えてならなかった

 

 

 

----

 

『臨時ニュースをお伝えします

資源コロニーヘリオポリスが本日、通信を絶ったとの事です

現在詳細を確認中なので、続報をお待ち下さい』

 

「…え?」

自宅で何となくTVをつけていたシン・アスカはTVのニュースキャスターが何を言っているのか一瞬理解出来なかった

 

ヘリオポリス

聞き覚えのある名前だ

 

 

…いや、そんな訳ない

似た様なコロニーに決まってる

 

だってそこは

 

 

『シン、それにマユちゃん

悪い、暫くの間会えなくなりそうなんだ

ちと親の都合でコロニーに行かなきゃならなくなってな?ヘリオポリスっていうんだが』

 

嘘だ

…そんなの嘘に決まってる

 

だってそこは

 

そこは

 

シンは恐ろしい考えに震えが止まらなくなりそうになったが

 

「お兄ちゃん!ニュースで」

妹のマユが

 

「シン!マユ!大丈夫か!!」

父さんと母さんがリビングに駆け込んで来たのだ

 

 

----

 

ガシャン!!

 

「何故だ、何故」

 

「あなた。カズイは」

 

同時刻バスカーク家ではカズイの父親がTVのモニターを叩き割っていた。カズイの母親も顔を青くしている

 

「どうして、どうしてあの子が」

 

 

2人の息子であるカズイは少しばかり変わっている子どもだった

 

 

コーディネーターであるアスカさんのところの息子にも分け隔てなく接したり、ゲーム感覚でシミュレーターをしていたり、古い文献を好き好んで読んでいたり

とまぁ、他の同年代の子供とは少しばかり趣味が違っていた

 

特にオーブ本島であるヤラファス島が見える海岸が好きらしく、そこで一日中海を眺めていたりと

 

それでも2人にとって大切な、自慢の息子だったら

決して何かに秀でている訳でもない。けど誰にでも優しく、時には厳しく。当たり前の事を当たり前といえる強い子だった

 

自分達の同僚から目をつけられそうになった為、ヘリオポリスに逃したのだが、まさかそれが息子の命を脅かす事になるなど思いもしなかったのである

 

「…ザフトか、連合か

どちらにしても俺は奴等を許す気にはならん」

 

「…ええ、カズイを

あの子を殺した彼等に相応の報いを」

 

その日よりバスカーク夫妻はモルゲンレーテ本社に寝泊まりして研究に没頭する様になる

まるで喪った息子の事を忘れようとしているかの様に

 

 

----

 

「待て、面会の予約はあるのか?」

 

「…ない。でもどうしても俺は聞かなきゃならないんだ!」

それから少し後の事

 

オーブ本島であるヤラファス島にあるオーブ行政府にシンは来ていた

どうしても聞かなければならない事があったから

 

しかし当然警備の者達も

「そうですか、どうぞ」

とは言えない訳で

 

「通してくれ!

俺は聞かなきゃならないんだ!どうしてカズイは死ななきゃならなかったんだよ!!」

 

「っっ!

ダメだ!」

まだ少年であるシンが涙を浮かべながら通して欲しいと叫ぶ

彼等とて、ヘリオポリスの事は既に警備員間の連絡にて知っている

 

つまり少年(シン)は親しい人を亡くしたのだ

そう彼等はシンの言葉と表情で察してしまう

 

余りにも理不尽で、突然の死

それは若いシンにとってどれだけ苦しく、悔しいものであるのか?

それを警備員達はどうしても思ってしまう

 

 

身体能力においてならば、シンは警備員達に勝る

だが、他ならぬカズイから

 

「シン。人を傷付けるってのは本当に恐ろしく、そして悲しい事なんだ。もしもお前が誰かを傷付けたい

そう思ったとしても、それを振り下ろす前に少しだけ考えて欲しい。甘い考えだと笑ってくれてもいい

でも、誰かを傷付けた分だけ優しいお前もいつか傷付くんだ」

と言われていた

 

だから

 

「っく、頼む

通してくれよぉ、アンタたちを傷つけたくない

…カズイが

カズイが笑ってくれないんだから」

シンはカズイとの思い出を思い返してしまい、その場に立ち尽くす

 

警備員達はそんなシンにかけるべき言葉がない事に内心歯を食いしばっていた

 

 

----

 

「随分と騒がしいな」

 

「見て参りましょうか、ミナ様?」

 

「…ふむ、そうだな

騒がしくなってから既に数分経つ。一応様子を見てきてもらえるか?」

 

「はっ、お任せを」

 

父コトーに付いてオーブ行政府に来ていたロンド・ミナ・サハクは行政府玄関の方で何か騒ぎが起きている事に気が付き、護衛の人物がそれを確認しに向かった

 

 

「ミナ様。どうやら民間人の少年が此処に用があったみたいでして」

 

「民間人が?

しかし、だからと言って入れる場所でない事くらい分かりそうなものだが」

 

「…実は警備員から聞いたのですが

どうにもヘリオポリスで親しい人物を亡くしているそうで」

 

「…なに?」

その言葉にミナは表情を歪める

 

何せヘリオポリスにおける連合軍の新型開発にはサハク家も大きく関わっているのだから

 

 

なお、情報が錯綜している上にカズイ達は連合軍の戦艦(アークエンジェル)の中

しかも連合軍期待の新造艦であり、その情報自体が軍機に抵触するもの

 

脱出用のポッドから救助された者達は後日無事が判明するだろうが、フレイ達の乗っていたポッドやキラやカズイ達についての生存が判明するのにはアークエンジェルが地球軌道上にてハルバートンの艦隊と合流するまでかかる事になる

 

 

故に現状においては、カズイが死んだ

という認識になってしまっているのであった

 

 

「…少しその少年と話をしたい

出来るか?」

 

「…分かりました。何とかしてみましょう」

自分達の理想の為に出てしまった犠牲者

その者達を想う、遺された者達の思い

 

ミナはそれと向き合わねばならないと思った

 

 

 




という訳で、ヘリオポリス崩壊した直後のオーブでした

私個人としてはウズミの理想もありとは思う
が、だからと言ってマスドライバーのみならずオーブの主要施設をぶっ飛ばしたのはどうかと思うけど

カガリについては割とフルボッコにする予定
次期オーブ代表だし、仕方ないね!
割とキサカさんの役割がわかんない気がする


オーブの主張をしてからのオーブの外交関係は地獄だったのではなかろうか?
地熱発電があったとしても、全てが賄えるとも思えないし
友好国がスカンジナビア一国ってのも割とヤバそうな思える
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