希望も明日も救いもない
そんな戦争ではごくありふれた悲劇
人によってはかなりキツい話となります
それでも宜しければ、どうぞ
「バスカーク少尉、どうだろうか
私と一緒に来ないか?」
俺はこの人の手を取った
尊敬する人を護りたいから
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アークエンジェル級二番艦ドミニオンブーステッドマン担当官
カズイ・バスカーク中尉
それが今の俺の役職だ
なんだかなぁとは思う
アークエンジェルはアラスカに着いた
…キラという犠牲をはらいながら
もしかしたら原作の様に生きているのかもしれない
だが、そんな楽観的な考え方は到底出来なかった
そして
トールも死んだ
スカイグラスパーでキラの援護に向かい、そしてアスランに殺されたんだ
原作よりは多少アークエンジェルに貢献出来たと思うが、俺に出来たのはそのくらい
シミュレーターを頻繁にしていた所をバジルールさんに見られてしまい、それ以降何かと面倒を見てもらっている
オーブに着いた時、俺は必死になってトールとミリアリアを説得した
今まで無事だったが、これからもそうとは限らない
と
だが、予想通りと言うべきか2人は
「キラにばかり負担をかけたくないから」
と俺を気遣いながらも、はっきりとそれを断った
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こうなると分かっていたのに、殆ど何もしなかった
キラがアスランと戦う事に苦しんでいた事
フレイがキラを復讐のために利用していた事
そのフレイもいつしかキラに惹かれていった事
知っていても何も出来なかった
いや、しなかった
そして、大西洋連邦軍の人間である以上モルゲンレーテの外に出る事は勿論、余程な事がない限りアークエンジェルの外にすら出られない
親父やお袋
シンやマユ、おじさんやおばさんにも自分の無事すら伝えられない
「は、はは」
乾いた笑いが口から出ていた
何の為に俺は此処にいるのだ?
何も変えられない。知っていてなおソレを止める手立てを俺は持たない
虚しさだけが、俺を支配した
そして、オーブから出たアークエンジェルをアスラン達が待ち伏せしていた
「…トール」
スカイグラスパー2号機撃墜
パイロットはMIAとなった
「…キラ」
ストライク、イージスの自爆に巻き込まれ反応ロスト
パイロットはこちらもMIA
何も変えられなかった
俺に力がなかったから
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ブースデッドマンであるクロト・ブエル、シャニ・アンドラス、オルガ・サブナックの3人は度重なる投薬により既に元の人格とかけ離れたものになっているとの事
クロトは携帯ゲームが好きで
シャニは音楽が好き
オルガはジュブナイル小説が好きらしい
少しずつでもコミュニケーションを取っていこうと思う
もう帰る国もない
待っている家族や弟達もどうなっているか分からない
なら、せめて
せめて少佐だけは守りたい
それしかもう俺にはないのだから
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宇宙に上がったドミニオンはオーブで大西洋連邦軍との敵対を選択したアークエンジェルとオーブを脱出したクサナギの追撃任務に従事する事になった
戦闘報告書によると、オーブにおいて『飛行可能な青いMS』と『赤いMS』が確認されたとの事
…生きてたんだな、キラ
原作で生きていたからと言って、本当にそうとは限らない
俺は人知れず安堵していた
「…バスカーク、やはりこの新型には」
「キラ、でしょうね。恐らく」
「…そうか、ヤマト少尉も生きていたか」
安堵すると共にそんな友人と敵対しなければならない。が、既に心はオーブが焼かれた時に置いていった
優しい記憶と共に
だから、出会った時に躊躇うつもりはない
少佐の自室で俺達しか知り得ない情報の確認を少佐としていた俺は覚悟を決めた
お前は
なら、俺はお前の敵だ
アズラエル理事からの推薦というか、気まぐれで俺にもMSが与えられる事になった
まぁ元々理事の私兵と見られている部分があるから今更だろう
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アークエンジェル達と遂に対峙する時が来た
心がざわめく事はない
覚悟していた事だ
だが、
仮にクサナギをオーブから避難する市民に解放していたならば、恐らくもっと多くの市民が生き残れたのではないか?
しかもご丁寧にM1アストレイをしっかりと積んでやがる
つまり、最初からクサナギは逃すつもりだったのだ
そして、エターナル
コイツらについてはもう語る必要もないだろう
アークエンジェルとストライクは元々脱走兵の集まり
つまり彼等は何一つ自分達で用意した訳でもないのに、それを当たり前の様に私的に運用している
盗賊や強盗団でももう少し自分で何かを用意するだろうに
もう道は分かたれた
なら、いまさらいうべき事は何もない
敵は殺す
そして、俺もいつか死ぬ
それで良い
オルガが死んだ
シャニも死んだ
そして、俺もまた
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『もうやめよう、カズイ!』
「ふざけんな!そんなもんに乗って、ザフトも地球軍も敵とか何考えてやがる!
そんな事をしても、後に残るのは怨恨や怨嗟の声だけだって、何でわからん!」
『守らなくちゃいけないんだ!僕は』
キラのその言葉に思わず手が止まった
…そうだよな、お前はフラガ少佐と一緒に戦ってきた
お前は『戦わなければならなかった』
お前の意思と無関係に
「…そっか
だからお前はそうなっちまったのか」
今更ながらにキラの抱える心の闇の一端を見た気がして俺は全身から力が抜け落ちた
「トールよぉ
…なんでお前が死んじまったんだ?お前ならキラの孤独に寄り添えたかも知れないのによ」
そして俺の乗るストライクダガーは行動不能にされた
キラとしてはすぐ俺をアークエンジェルに連れて行きたかった様だが、混沌の様相をみせる戦場でそれは出来なかった
『…カズイ、また話をしよう』
「ああ」
キラはそう俺に言い残して、この場を去った
「じゃあな、キラ
せめて長生きしろよ」
もう二度と会う事のない、友人の背を俺は見送った
戦場はザフト、地球軍にキラ達三隻同盟という混沌とした状況に置かれていた
そんな中でも身動きの取れない敵がいたらどうなるだろうな?
「…ざまぁないな
シン、マユ。お前らはせめて生き」
そうして俺もまた戦場に咲く光の一つとなって消えた
『今度は負けないからな!』
『…これ、結構良い曲だから』
『中々これ面白かったから貸してやるよ』
3人との思い出を焼き尽くして
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「バスカーク機、反応消失しました!」
その報告を聞いた私は必死で込み上げてくる涙を抑えた
彼はオーブのヘリオポリスに住んでいた民間人で、オーブに家族や弟の様に大切な存在と妹の様な少女がいると本人から聞いた事がある
アークエンジェルでそこまで目立った事をしている訳ではなかったが、どうしても軍隊という組織に馴染めない少尉達の不満の受け口になってくれていた
それを整理して、私に話してくれる
そんな気遣いの出来る不器用な優しさを持つ少年だった
アークエンジェルから異動となる事になった私は、あの時から様子のおかしくなった彼をつい自分の元に連れてきてしまう
私は彼のことを実戦に出すつもりなど無かった
が、理事は彼に利用価値を見出したらしく戦場に立つ事を望んだ
そして今彼は死んだのだ
彼の部屋に用意していたものは、もう意味をなさなくなってしまった
…だが、私は軍人だ
中尉の死すら乗り越えなければならない
そうでなければ、何の為に彼が死んだのか分からなくなるのだから
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戦後、オーブのカガリの元にあるものが届けられた
カガリはその中身を見て、顔を青褪めさせると隠遁生活を送っていたキラ達の所へと向かった
「カガリ?」
「これはな、アスラン。どんな理由があっても私達が受け入れないといけない罪なんだ」
向かう車の中でカガリはそう唇を噛みしめた
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ボロボロになった半壊している箱
その中にボロボロの紙が入っていた
ところどころ焼き焦げているので全てが読めるわけではない
親愛なるカ イへ
私のわがままでアークエンジェルと敵 する事を選ばせてしまったな。本当にすまない
本当ならオーブに君を やりたかったのだが、この戦争が終わらない事には無理 だ
戦場に君を立たせている私が言うことではないと思う
だが、それでも言わせて欲しい
死なないでくれ
この戦争が終われば、私も退役する
君も退 るだろうし、アルスターもそうさせる
君の人生を狂わせ
大切なものを失わせた私だ
だから私は ぬまで君の にいたいと思う
迷惑かも知れ が私に 事はこれくらいしかない
帰ってきてくれ
そしていつかまた君と本の感想を言い合える日が来る事を私は願っているよ
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「っ!」
「これは」
泣き崩れるマリューを支えながら、バルドフェルドは疑問を口にする
「恐らくだけど、これは中尉の
ドミニオンの艦長の書いた手紙だと思う」
カガリは暗い顔をしてやるせなさそうに呟く
プラントと地球軍による武力衝突は終わった
だが、その傷が癒えることはあるのだろうか?
カガリ達はそう思った
本編が割と消化試合になりそうなのでその分の闇成分補完
いうまでもなく、シンとマユとキラ達の関係は改善する事はありません。多分メサイア攻防戦でシンは死ぬまで戦い続ける事でしょう
その前にミネルバでアスランが隊長出来るかどうかも怪しいでしょうが
突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?
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いる
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いらん
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それより本編でしょう?
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ifstory補完しろよ