勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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という訳で漸く役者が揃いはじめました

難産でしたが、許して欲しい





 想いの行方

「…キラ」

 

「久しぶりだね、アスラン」

僕は本当に久しぶりにアスランと再会した

牢屋の格子ごしだったけどね

 

 

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「お前は」

 

「あの時は大西洋連邦軍の人間だった

今はオーブ国防軍の三尉かな」

カズイに追い越されてしまった事で少しだけ寂しい気持ちに僕はなったけどね

 

 

カズイはずっと走り続けてきたんだと思う

シンやその妹であるマユちゃんから色々話を聞いたけど、僕とフレイが思ったのは

 

「「カズイ(アンタ)のどこが一般人だよ(なのよ)?」」

という純粋な驚きだった

 

 

いくらなんでも、武装した複数人相手に大立ち回りをしたなんて

並大抵の覚悟で出来るわけがない

 

 

だからこそ、僕たちは怖いんだ

 

 

いつか、カズイがそのままあの世へと行ってしまうのではないか?と

 

 

 

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「キラ、お前はどうしてザフトと

俺達と敵対する事を選んだんだ?」

 

「選ぶとかそんな余裕はなかったんだよ、アスラン

君達からすれば敵の新兵器開発を阻止したかったのかも知れないけど、僕達からすればそんな事は知らなかったから

生き残る事で精一杯だった」

 

「…だが」

 

「君は言ったよね?

『なにも知らないナチュラルがこんなものを作るから』って

…ならそれを知っているコーディネーターが地球で虐殺紛いの事をしているのを知っているんだよね?」

 

「それは」

アスランはキラの言葉に口籠る

 

「そうやって見境なく敵を増やすから、プラントが弱いと思われた瞬間に全部敵になるんだ」

 

アフリカ共同体、大洋州連合、南アメリカ合衆国

彼等とてプラントが強者で(利用価値が)あったならば、多少の不満を飲み込んで関係を継続しただろう

 

 

 

特にカーペンタリアというザフト地上最大の拠点を提供した大洋州連合からすればプラントの敗北は何としても避けねばならない未来だった

 

 

だが、彼等はザフトのMSが狩られていくさまをむざむざと見せつけられる事となった

 

加えて国内においても、Nジャマーの地球への投下という危険極まる事を平然と実行したプラントやザフトの行為に対して批判する事があがっていたのだから

 

 

「彼等は宇宙に住んでいる

が、我々は地球に住んでいるのだ。Nジャマーの地球全土に対する投下はそのプラントと結んでいる我々の立場を損ないかねない行動ではないのか?」

 

 

 

なるほど確かに彼等はそれで良いのだろう

が、地球の一国家である大洋州連合としては決して無視できない問題なのだ

 

確かに食糧や資源は自給出来るし、工業製品はプラントから輸入出来る

 

 

 

が、だからと言って地球の各国との関わりを絶って良い

という話にはならないだろう

 

 

プラント支持を打ち出した大洋州連合、南アメリカ合衆国、アフリカ共同体

決して距離的に近いものとは言えないもの

 

しかも彼等は各々に敵を抱えてもいた

となると、そこまで親プラント国同士での連携はなかった

 

 

あくまでも彼等は『プラントを利用して』自国の立場を強化しようとしていたのだから

 

 

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「僕は確かに大西洋連邦軍に志願したけど、キチンと簡略だけど士官教育を受けたよアスラン

『軍人は民間人を巻き込む様な作戦をすべきではない』、『軍務において余程な事がない限り私情を挟んではならない』とかね

…アスラン、ザフトではそう言った事はしないの?

ラクスさんをそっちに引き渡す時も、そうだったけどあの場合ラクスさんに危害を与えられてもおかしくないと思うんだけど?」

 

「…そう、だな」

キラの言葉に俺は返す言葉を持たなかった

 

ザフトの教育機関であるアカデミー

そこで教わるのは戦闘訓練などと言った『実践的』なものが多い

 

 

ラスティはヘリオポリス襲撃前に

 

「しかしいいのかねぇ、中立のコロニーなのにさぁ」

と言っていた

 

当時の自分達はそれに対してさして気にしていなかった事を今更ながらに思い返す

そして、そんな自分に余りにも情けなくなってしまう

 

 

「アスラン

君にも守ろうとしたものがあるんだと思う

…それが僕と相容れなかっただけなんだ。それだけだよ」

 

「だが」

キラは寂しそうに笑うと

 

「今のプラントは余りにも敵を作りすぎたんだ

僕も守りたい人達がいるんだから、それは仕方ない

…仕方ないんだ、アスラン」

俺の元を離れた

 

言葉が出なかった

母の仇を討とうとして、父の期待に応えたいと努力した結果、親友を失う事になる

 

「なんで

…なんでなんだ、キラ」

俺は割り切ったつもりだった

キラが相手でも戦えると

 

 

だがそうじゃなかったんだ

 

俺はいつまでも弱いまま

 

「…うっ、…くっ

うああああっ

 

 

何が正しかったのか?

何がしたかったのか?

 

俺はわからなくなり、牢屋の床に膝をついて嘆いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

----

 

 

「ラクス・クラインかぁ」

 

「『プラントの歌姫』でしたか?

確か彼女の返還にも貴方は関わっていたと聞いてますが?奇妙な事ですね」

俺の愚痴ともとれる呟きにアズラエル理事は反応した

 

「まぁアークエンジェルで保護した時に少し縁がありまして

とは言え、殆ど関係のない自分を頼るとは」

 

「余程どうにもならないのでしょうね」

だよなぁ

俺はアズラエル理事の言葉に内心同意する

 

 

 

しかも彼女と共に避難してきたメンバーの一覧が送られてきたが、何というかコメントに困る面々だ

 

ラクス・クラインを筆頭にギルバート・デュランダル、タリア・グラディスにレイ・ザ・バレルにシホ・ハーネンフース?

更にニコル・アマルフィにロミナ・アマルフィとまぁ錚々たるメンバーと言えるのではなかろうか?

 

 

まさかデュランダルやレイが避難してくるとは思わなかったし、ニコルがオーブに逃げてくるなんて想像出来るわけない

ロミナ・アマルフィという名前には聞き覚えがないが、ニコルの母親だと思うが

 

そしてシホ・ハーネンフース

技術者としてシグーのビーム兵装試験機であるシグーディープアームズを乗機としており、物語後半にはイザークの補佐役になっていた筈

 

…恐らくはこちら側に対する彼方から出せる精一杯の誠意なんだろう

 

 

言うまでもなく、まっっったく足りてないがな!

 

 

 

いやホントにこちとら小市民なんだからさ、これ以上重い荷物を載せないで貰いたいね

 

 

とは言え、今更放り出すのも無責任極まるんだがなぁ

 

…嗚呼胃が痛い

 

 

あ、バルドフェルドさんについてはアークエンジェルに留め置いている。流石にこの状況でラクス達との合流を許す程此方も甘い対応をする理由はないからな

 

…さて、ラクス・クライン

あの時とは状況が違う訳だが、どうするよ?

 

 

 

 

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「悪いな、カズイ

本当なら病み上がりのお前を酷使したくないんだが」

 

「仕方ないと割り切りますよ

その内纏めて長い休みを貰いますが」

 

「そこについてはギナと調整している

問題無いはずだ」

いやホントシンやフレイ達からの視線が痛いのなんのって

 

 

その内部屋に監禁されるかも知れんなぁ

仕方ないが

 

 

これもコラテラルダメージ(必要経費)として割り切らないと無いとあかんやろうなぁ

 

俺は内心溜め息をつきながら、ラクス・クラインと話をすべく通信をとった

 

 

 

 

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オーブのアメノミハシラへの入港こそ許可されましたが、私達の状況は最悪だったところがかなり悪くなった程度の変化でしかありません

 

現在私達はアメノミハシラの宇宙港にて、待機する様に命じられています

 

 

 

…私達プラントの人間がした事に対する大き過ぎる不信感がそうさせるしかなかったのだと思います

 

そう私達のした事を考えれば納得するしかないのですが

 

 

「困ったものだ。こちら側は『助けを乞う側』であって、向こうからすれば厄介者なのだが

それを理解してない

…いや、しようとしない者が少なくない数居るようだ」

 

「…そうですか

逆にある程度皆様の持つ感情が分かったと言うのは幸いかも知れませんね、デュランダルさん」

デュランダルさんの発言を受けて私はそう言うしかありませんでした

 

「…予想以上に現実を知り受け入れられている事を喜ぶべきか、それともここまで来てもまだ受け入れられない人がいる事を嘆くべきか

…悩みますね」

シホさんも心底疲れ果てた様に溜め息をつきました

 

 

私達と違って、シホさんはどうやらプラントの現在がかなり危ういところにある事をしっかりと認識されていた様でした

 

「元々私は地上戦線に投入される予定でした

それが取り止めになった事などからも察するしかないんです」

兵力の移動や資源の移動などからある程度シホさんの様に兵器開発に携わっている方や物資を管理している者は間違いなく、今のプラントの状況を理解しているそうです

 

 

 

…それでもまだ戦争を止めない事に恐ろしさしか感じませんが

父もカナーバさんも戦争を止めたいと考えていながら、どこかで『自分達のした事』が無意味になる事を恐れている様にも見えました

 

勿論、始めたからには負けられない

それは理解出来ます

 

ですが、その為に全てを失う事を許容出来るとは私はどうしても思えません

それはしてはならない選択なのですから

 

 

ニコルさんとも話をしました

彼はこう言っていました

 

「…僕たちはユニウスセブンで死んだ人達の敵討ちという名目で戦争をしていたと思うんです

……でも、そうだとしたら地球の人達も同じ事を言い出すのではないか?

そう思ったんです」

 

 

命に価値をつけるなんて恐ろしい事でしょう

でも、そうだとしたら私達が赦される事はあるのでしょうか?

 

 

私は強い不安に襲われました

 

…婚約者であるアスランは遂にプラントに戻りませんでした

 

 

 

同じ部隊にいたはずのイザークさんとディアッカさんは戻ってきた事を考えれば、そうなのでしょう

 

 

ですが、それが私達のしている戦争

親しい者や家族を死地においやり、それでも自分達にとってより良い未来を求める

 

目眩がします

 

 

たった50人程度の私達

でも、それだけの命を預かっていると思えばその重圧に押し潰されそうになります

 

 

 

ですが、私は必死で足掻くしかないのです

何が正しく、何が間違っているかすら定かでないのに

 

 

 

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そして、漸く待ち望んでいた機会が訪れました

 

今の私達にとって、最後の希望となる繋がり

 

『お久しぶりですね、ラクス・クライン』

敵の戦闘艦で出会ったカズイ・バスカークさんとの再会が

 

「お久しぶりですわ、カズイさん」

 

 

 

『あれからお互い色々変わったものです

…今回何人かに同席してもらうつもりですが、大丈夫ですか?』

 

「お気遣いありがとうございます

ですが、助けを求めたのは私達。余り気になさらず」

カズイさんは私にはそう声をかけてくれます

 

『では紹介します

国防産業連合理事ムルタ・アズラエル氏です

今回プラントからの『避難民』について、力添えをしてもらう可能性が高い事から同席してもらう事にしました』

 

『はじめまして、プラントの歌姫ラクス・クライン

まぁ、カズイ君はわざと分かりづらい方で私を紹介したと思いますので私の方からわかりやすい方で改めて自己紹介しておきましょう

僕はムルタ・アズラエル

ブルーコスモスの盟主をやっています』

カズイさんの紹介した方はそう笑って私に話しかけてきました

 

デュランダルさんやタリアさん、シホさんは驚きの表情を隠しきれない様でしたが、私は動揺を隠せていたでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




遂に歌姫と真のコーディネーター(笑)と盟主王による対談が始まる


次回はプラントの話となります







明日を求め
妻の無念を晴らさんとした男は

変わりゆく世界の中で何を想うのか?

次回『孤独な戦い』

突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?

  • いる
  • いらん
  • それより本編でしょう?
  • ifstory補完しろよ
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