『僕として聞きたいのは一点のみです、ラクス・クライン
今君達はオーブへの亡命を希望している形ですが、あなた方は何をオーブに提供出来るのでしょうか?
少なくとも、貴女が今頼ろうとしている人物はオーブ再建のキーマンであり、加えて大西洋連邦軍を始めとした地球軍にとって決して無視し得ない影響力を持つのです
友誼があるからと言って気軽に頼れる相手ではないと思いますが?』
アズラエルは先ずラクスとカズイに現実を直視させる事とした
勿論、彼女の近くで話を聞いている者達にも、だ
情報の共有や認識のすり合わせはビジネスにおいて最も重要な事の一つなのだから
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アズラエル個人としての考えは故ジョージ・アルスター外務次官の唯一の親族であるフレイ・アルスターとカズイに結ばれてもらう事で、コーディネーター排斥を未だに諦めていないブルーコスモス過激派とプラントとの戦争が終わった後どうなるかわからない地球軍に所属しているコーディネーター達に対する重石となってもらいたい
それかあの生真面目そうな女性士官との結婚でも構わない
何せカズイの影響力は間違いなくオーブ国内にあるだろうし、仮に彼がオーブを離れたとなっても優秀なシンとその妹であるマユ。様々な人脈を期待できるフレイ。もしかしたらキラまで付いてくるかも知れない
そうなれば無下にする必要もないだろうし、軽んじられることもないだろう
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だが、間違いなくオーブはまた違った考えを持っているだろうとアズラエルは確信している
何せ現在の代表であるカガリ・ユラ・アスハは決して脛に傷がない訳ではない
そうであるからこそ、今のオーブに相応しいと大西洋連邦などは判断している訳ではあるが、不安定な政権では困るのも事実
オーブの議会はこれ幸いにと首長制の廃止やその権限の縮小を狙って動くだろう
となれば、カガリの伴侶としてカズイを迎えるなり補佐役として側に置くなり
それが叶わないならば、カガリの有力な協力者であるロンド・ミナに彼をあてがうのも選択肢の一つとなるだろう
特にオーブ国内においてカズイの話は噂話程度には知られているとアズラエルの秘書が調べたところ判明している
しかも本人は首長制に対して懐疑的である事から、議会からもある程度の期待をされる可能性もあるだろう。もしかしたら、彼をうまく利用する事でカガリなりミナを追い落とす方法を模索する事もありえる
逆に権力などから完全な距離を置くのであれば、マユと結ばれるのが1番だろう
どの選択をするにせよ、間違いなくカズイにかかる負担はかなりのものとなるだろう
ならば、ある程度のフォローくらいはすべきとアズラエルは考えたのだ
勿論、それなりの利益が見込めるからこその判断だが
だが、彼の立場は極めて不安定であるとも言い換えられる
だからこそ『頼ればなんとかなる』なんて事にされては困るのだ
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「それはそうだと思います
私に出来ることがあれば、どの様な事であってもするつもりでいます
この様な交渉にもならない話を聞いてもらっているのですから」
ラクスの言葉に
『相手に容易く『白紙の委任状』を渡すのはどうかと思うのですが
まぁいまの自分に何が出来るのか少々自信はありませんが、どの様な事をお望みなのですか?
それがわからない事にはこちらとしても何も出来ませんよ』
カズイは苦笑を浮かべる
「話の途中に申し訳ない
私はギルバート・デュランダル。一応プラントで生命工学の研究をしていた者です
私のこれまでの研究データをそちらに譲渡しますし、研究に協力したいと思います。…情けない話ではありますが我々に出せるものはこれくらいしかない」
「シホ・ハーネンフースと言います
今更いうことではないと思いますが、私のディープアームズも研究対象として提供します」
ラクスのみではない。デュランダルもシホもわかっているのだ
たとえ自分達の身柄を預けたとしても全く向こう側に対する対価となり得ない事が
それでも最早彼女達に出来る事は『相手の慈悲に縋る』という余りにも情けない事だけ
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『現存艦隊主義』という考え方がある
或いは艦隊保全主義とも呼ばれる事のある戦略の一つだ
これは敵に対して対抗できるだけの戦力を可能な限り維持する事により、敵側の部隊展開などにおいて一定の拘束力を持たせる事である
要するに
敵にはまだ戦力が残されている
故にこの地域の防衛戦力は残さねばならない
などと言ったものだ
敵側に脅威となり得る戦力があれば、迂闊に彼等とて攻撃出来ないと言ったものだ
今のプラントにはかろうじてそれだけの戦力が残っている
だが、ラクス達にはそんなものはない
故に交渉となり得ないのである
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『まぁ、そこら辺は仕方ないでしょう
ただ一つだけお聞きしたい』
「…はい」
ラクスは直感した
この答え次第で自分達の未来が変わる、と
『オーブに住むにせよ、どこに住むにせよ。そこの住民として馴染む努力は出来ますか?』
「勿論です」
カズイの言葉にラクスやデュランダル、シホは力強く頷いた
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ジェネシス攻略作戦を目前に控えた地球軍
だがそれを察知されない為に通常通りボアズ方面に対して大西洋連邦宇宙軍は戦力を出していた
「申し上げます
敵のジンが降伏したと」
「…そうか
いよいよ彼等も終わりだな」
オペレーターのは報告に艦長は重々しくつぶやいた
そして月面のプトレマイオス基地に帰還する
…その筈だった
「何事だ!」
艦内にアラートが響き渡る
「そ、それが格納庫で先程降伏した筈のジンが」
そう、遂にザフトはしてはならない事をしてしまったのだ
『偽りの降伏』
を
ザフト側はこの混乱に乗じて、このパトロール艦隊を撃破
久しぶりの勝利に酔う事になる
…だが
「偽降だと!?」
それがザフトを
プラント市民を滅亡に追いやる引き金を引く事になる事を彼等は知らなかったのだ
戦争にもルールがある
それを破った以上、あるのはルール無用の殺し合い
凄惨な戦場が今此処に現出する
突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?
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いる
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いらん
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それより本編でしょう?
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ifstory補完しろよ