「馬鹿な!地球軍だと!?
あり得ん、奴らはボアズ攻略に戦力を出しているはずだ」
…あーあ、馬鹿な上司がまた喚いてやがるぜ
俺は隣の席に座っている同僚にだけわかる様に肩をすくめてみせる
するとそいつもそいつで
(やってられねぇよなぁ)
と言わんばかりの表情を俺に向けていた
ほんの少し前にヤキンの司令が変わり、今までの消極的方針から積極的攻勢に出る事となった
俺は自分の耳と新任の司令の頭の中を疑ったよ
どこにそんな戦力があるってんだ?
しかもあれから暫く経っているとなれば、MSを作っていたとしても俺は驚かない
あの時点で俺達ザフトすら持ち得ない性能を有していた機体の開発に成功していたんだからな
で、俺達は意図的に無視していたけどよ?アルテミス要塞がある以上、そこに戦力を集める事位考えられんのか?
っておい!
「っ!こちらに識別不能の物体接近中!」
少し他所ごと考えてたら、ジェネシスを破壊しているのだろう飛翔体がこっちにまで向かってきてやがる!
「対空防御、何をしてた!」
うっせぇよ!
テメェらが変な事したせいでまだ現場は落ち着いてないのがわかんねぇのか、このボンクラがよ!!
「ジェ、ジェネシスにはPS装甲が施されている
ば、馬鹿なナチュラル共だ。全て無駄だと言うのに」
…こいつマジで何もわかってやがらねぇな?
確かにそう言った話があったと俺達にも聞こえてきたさ
…で?
満足に新型機はおろか、戦闘艦艇すら建造できないプラントとザフトに何が出来るって言うんだよ?
テメェは気付いていないみたいだけどよ、みんなアンタを白い眼で見てるんだがな
…くそ
こんな役立たずを何で最終防衛線の守りになるはずの
「着弾!被害報告急げ!」
…こりゃあもうダメだな
あーあ、ボアズに攻撃が届くようになってからいつかこんな日が来るとは思ってたんだけど
俺は人知れずため息をついた
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「て、敵も、MS!?」
「何だと!」
部下の報告に思わず大声が出てしまう
そんな馬鹿な、いくら何でも早すぎる
しかし、そんな私の狼狽など全く無関係だと言わんばかりに地球軍のMSは我が方のジンを駆逐していく
…ああ、戦闘ではない
あれは
レーダーに映し出されるのは単騎で動いている我が方のジン
それに対峙するのは『
ただでさえ恐らく敵のMSはジンよりも高性能のはずなのにそれが複数機で運用されているとなると
私は足元が崩れていくような感覚に襲われた
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『ナチュラルのMSだと!?』
『所詮はナチュラルの作ったおもちゃだろうが!
ハリボテに何が出来る!』
仲間達は地球軍のMSを見ても怯む事なく突っ込んで行った
俺は一瞬だが戸惑ったせいでアイツらより少しだけ接敵するのが遅れてしまう
だが、問題ない
所詮形だけのMSもどきに何が出来るはずもないのだから
そう俺は思うとスラスターを全開にして、地球軍のMSに迫った
…だが
『な、何だコイツらっ!』
『そんな馬鹿な!重突撃銃が効かないだと!?』
『気をつけろ!コイツらビーム』
警告を発した奴からの通信が突如として途絶え、その直後にそいつの居たところで爆発が起きた
…何が起きたかなんて言うまでもない
『ヴェス!
貴様ら許さん!!』
『おい、よせっ!!』
友人を殺された事に激怒した奴が地球軍のMS目掛けて突撃するが
『…あ、がっ!』
その瞬間を狙ったかのように敵からのマシンガンの嵐がそいつのジンをハチの巣とした
『畜生
…ちくしょうがぁぁぁっ!!』
『い、嫌だ死にたくないっ!』
『ナチュラル如きに負けるのかよぉ』
耳を塞ぎたくなるような悲鳴や怒号ばかり通信から聞こえて来る
元々恐らくコイツらはジンを倒す為に作られた機体なのだろう
それが複数機でしかも緊密な連携をとって攻撃して来るなんて此方からすれば悪夢でしかない
重突撃銃は弾かれ、重斬刀では敵のビーム装備に対抗出来ず、キャットゥスでは弾速が遅い為にそもそも有効弾を出せない
だが
相手のマシンガンはこちらの装甲をいとも容易く撃ち抜き、ビームによる近接攻撃に耐え得る手段はなく、距離を離せばビーム兵器による遠距離射撃が待っている
しかも奴らはフォーメーションを決めているらしく、前衛の機体の動きはとても良い
恐らくザフトにいたとしてもベテランの域に達しているのではないか?とすら思える程に
しかも数機が明らかに周りの機体を援護しているらしく、そいつらの動きは更に良い
『こちらゲイツ隊だ
遅くなってすまないが、援護する!』
そこにようやくボアズからの援軍が到着する
『ナチュラル共が!このゲイツならば貴様らの好きにはさせん』
『ジンを倒したからと調子に乗られては困る!』
『我々がいる限りボアズは落とさせん!』
これで何とか俺達も体勢を立て直せる
…俺は阿呆な事にそんな幻想を抱いていたのだ
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「敵の新型機ですな」
「ああ、しかしその割には投入が遅過ぎる
恐らくまだ本格的な量産には至っていないのだろう
…よしならば構わん。アレをやれ!」
ゲイツの姿をレーダーで認めたハルバートンは直ちに温存していた部隊に突入を命じる
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『メビウスだと?今更こんなものが』
『どう言う事だ?』
『ふん、このゲイツ相手にこんなものでは不足だな!』
新型機に乗っている3人には感じられなかったのかも知れないが、俺はメビウスやミストラルが戦場に現れて嫌な予感がしている
そしてそれは程なくして現実のものとなった
『なんだこいつら?
被弾したのにつっこんできやがる!』
『うわぁぁぁっ!
落ちろ!落ちろ!!落ちろよぉっ!!』
…正気を疑うような光景がそこには広がっていた
メビウスやミストラルは被弾した瞬間に1番近くにいるこちらの機体に突撃して此方を道連れにしようとしているのだ!
『正気か!コイツら』
『ソル!避けろっ!』
『…あ
…がっ、ち、ちくしょう。狂ってやがる』
そしてそんな常軌を逸した地球軍に遂にゲイツ部隊すらも飲み込まれ始める
メビウス2機の突撃により1機が落ち
『ばか、な』
メビウスやミストラルの突撃を回避して、体勢が崩れた所を敵の指揮官機と思われる機体が狙撃
これで2機め
『む、無念だ』
最後はもう撤退する他にないと判断した彼を4機がかりのマシンガンによる弾幕で足止めし、指揮官機2機によるビームライフルで撃ち抜かれてゲイツ隊は全滅した
『…こちらはザフト軍ボアズ要塞司令だ
地球軍に対して降伏する』
殆どのジンと僅か一隻しか残らなかったローラシアを見て要塞司令は漸く降伏を決断したらしい
これで命は助かる
俺はそう思っていたんだ
だが
『此方大西洋連邦軍宇宙艦隊司令ハルバートンだ
残念だが、君たちの降伏の意思表示は既に我々にとって信用するに値しないものとなっている
残存するザフトの機動部隊ならびローラシア級はボアズに帰還。しかるのちにそこで全てが終わるのを見ているのだな』
絶望の返答が送られてきた
『どういう事だ?地球軍は降伏を受けぬというつもりか?』
『つい1週間前くらいまでは我々も君達の降伏を受け入れていたよ
だが、君達ザフトはしてはならぬ事をした
殺しはしない。但し降伏の意思表示をした以上、此方の指示であるその要塞から一歩でも動けば、我々は降伏の意思なしと見做しボアズを破壊する』
『…』
…まさか
俺は要塞司令と地球軍のやり取りを聞きながら最悪の想像をしてしまう
ほんの少し前に地球軍のパトロール艦隊を撃破したと大騒ぎした事があった
だが、ゲイツ隊の連中はそんな俺達を冷ややかな目で見ていたのを思い出す
あの時は『たかだかナチュラルに勝った程度で騒ぐとは』と思っていたが
『…残存部隊はボアズに撤退せよ』
要塞司令の沈んだ声が俺には妙に冷たく聞こえた
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「ラクス様にこんな扱いをしやがって」
そして、アメノミハシラでも
『報告します!アメノミハシラの宇宙港にて爆発がありました!』
「何だと!?」
惨劇の幕があがる
戦争は恐ろしいものと
してはならぬと
人は何度も己に言い聞かせた
だが、時が経ち代が変わればその祈りと誓いも全て遥か過去のものとなる
という訳で寧ろこれからがラクスとカガリ達の正念場です
報連相は大事、ですよね?
突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?
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いる
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いらん
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それより本編でしょう?
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ifstory補完しろよ